株式会社フロンティアコンサルティング ワークテック事業本部 xP事業部 佐竹孝太氏
2007年設立より「働く人と働く場所の未来を作る会社」として、約18年にわたってオフィスづくりをしてきた株式会社フロンティアコンサルティングは、2022年より個室型シェアオフィス「comolu」をオープン。
法人・個人利用が可能で2024年8月には利用登録者数が累計10,000人を突破し、都内に10店舗展開しています。
comoluは「居心地の良さ」にこだわり、働く人が使いやすいよう、多くの工夫がなされています。
「無料ドリンクがある」「フィットネスマシンが使える」といった付加価値で他社と差別化するシェアオフィスが多いなか、なぜcomoluは快適さにこだわったのでしょうか。
その理由と快適な空間づくりのために工夫した点をxP事業部の佐竹孝太氏(画像)に伺いました。
1.快適さを最大限に追求したcomolu
comoluのこだわりについて熱く語る佐竹さん
個室型シェアオフィス「comolu」は、これまで見られたほかのシェアオフィスとはどう違うのでしょうか。
そこでまずは、個室型シェアオフィス「comolu」について特徴や工夫した点などを伺いました。
Q.「comolu」とは、どのようなシェアオフィスなのでしょうか。
ーー佐竹さん
「comolu」とは、15分単位で利用できる完全個室のシェアオフィスです。
集中してPC作業やオンライン会議ができるサテライト的な役割を担うスペースとして作りました。
「空間にこもって集中して仕事ができる場所」という意味をこめて「comolu」と名付けたのです。
シェアオフィスには2種類あり、一つはコワーキングスペースで月単位で利用可能なもの。
さまざまな企業が同時に利用しており、会社同士の交流ができることが特徴です。
もう一つが、個室型で個人が時間単位で利用できるもので、短時間で集中して仕事をしたいときに向いています。
comoluは後者に該当し、個人でも法人でも利用可能です。
自宅や職場以外の心地よく過ごせる場所「サードプレイス」として使っていただければと考えております。
Q.ほかのシェアオフィスにはない、comoluの特徴を教えてください。
ーー佐竹さん
居心地の良さ・意匠性をコンセプトとしており、主に次の点にこだわっています。
1.遮音性
2.内装
3.空調
この3つにこだわるのは普通だと感じるかもしれませんが、とても重要だと考えています。
利用者の方が安心して利用でき、落ち着きすぎず緊張しないフラットな心理状態になれるよう、細かな点を工夫しているのです。
Q.どのような工夫をしているか、具体的に教えてください。
ーー佐竹さん
まず、遮音性について。
個室の壁を通常の倍近い厚さにして、一般的なオフィスよりも音が漏れにくいつくりにしています。
壁は音を遮ることを目的とした資材や補強材など、複数の構造材を重ね、何層かによって構成されておりまして、comoluの壁には通常の1.5から2倍ほどの吸音材を入れているので、遮音性に優れているのです。
とはいっても、完全防音の個室は利用者に緊迫感を与えてしまうリスクがありますから、完全防音にしていません。
扉の隙間から通路へ漏れてしまう音への対応としては、通路には落ち着いた曲を流してサウンドマスキングをしています。
Q.なぜ遮音性にこだわったのでしょうか。
ーー佐竹さん
企業や個人の情報の漏洩を防ぐためです。
一般的な企業のオフィスだと同じ社内の人間しかいないので、ここまで遮音性にこだわる必要はありません。
しかしシェアオフィスの場合、同じ会員とはいえ、どこの誰だかわからない人が隣り合わせで仕事をすることになりますから、会議などで話している内容をほかの人に聞かれたくないでしょう。
そこで、オンライン会議などの音声が外に漏れない工夫をし、通常のオフィスより遮音性を高める必要があると考えました。
Q.内装はどのような点にこだわっていますか。
ーー佐竹さん
シンプルな内装を心がけています。
内装がおしゃれなシェアオフィスも良いですが、装飾がノイズとなってしまい集中力が低下する原因になり得るためです。
そのため白を基調としていますが、壁の色を純白にしてしまうと緊張感を生み出す可能性があるため、アイボリーにして柔らかな印象を与えるよう工夫しています。
Q.空調については、どのような工夫をしていますか。
ーー佐竹さん
利用者に空調の風が直接当たらないよう設計しています。
風が直接当たると、冷えや乾燥など不快感が生じる恐れがありますから、風を壁面に当てて反射させるようにしているのです。
シェアオフィスで求めるものを当社が調査したところ、ユーザーは快適な温度や湿度を求めることがわかりましたから、より良くすべく尽力しているところです。
2.居心地の良さにこだわる理由
遮音性や内装、空調以外にも、長時間座っても疲れにくい椅子やPC作業をするのに適した高さのデスクを導入するなど、快適に仕事ができる工夫が見られます。
次からは、なぜここまで居心地の良さにこだわるのか理由を伺いました。
Q.なぜ居心地の良さにこだわるのでしょうか。
ーー佐竹さん
当社では「働く人が、いかに豊かに働けるか」をテーマとしており、当社の事業の一つであるcomoluもお客さまの満足度・居心地の良さを一番の軸としているからです。
お客さまに満足していただくことに対してはある種のプライドがあり、居心地の良さを軽視することはできません。
Q.会社が掲げる理念やコンセプトを忠実に事業へ反映できるのは、なぜだと思いますか。
ーー佐竹さん
当社では、経営層から社員一人ひとりまでの全従業員がお客さまを満足させることを重要視しているからです。
私自身がそれを感じたのは、年に2回開催される全社会議での社長の発信です。
全社会議では、社長が毎回「最終的にはお客さまを満足させることが、当社最大のミッション」だと述べています。
私が入社したときも、その後も、毎年ずっとこのミッションについて話していますから、経営層から一人の社員まで全員に「お客さまをいかに満足させようか」という気持ちが浸透しているのでしょう。
Q.お客さまを優先する社風についてどう考えていますか。
ーー佐竹さん
経営者・社員の全員がお客さま最優先を軸にしている点は、この会社の良いところだと思いますね。
多くの企業が「お客さまが最優先」をコンセプトとしていますが、実際に実現している企業は多くはないかもしれません。
当社は掲げたミッションをしっかり実行しており、それがcomoluに反映できていると感じています。
Q.居心地の良さを実現できるのはなぜでしょうか。
ーー佐竹さん
年間1,000室以上のオフィス構築の実績があり、居心地良いオフィスづくりのノウハウを保有しているためです。
他社には真似できない当社が培ってきたノウハウを活用すれば、ほかにはない、エッジのあるシェアオフィスがつくれると考え、comoluが生まれたんです。
個室型シェアオフィス自体はすでにあるサービスなので、当社だからこそ実現できる居心地の良さを追求することで他社と差別化を図りました。
Q.居心地の良い空間作りのために心がけていることを教えてください。
ーー佐竹さん
利用者の方にアンケートを実施しています。
回答結果をもとにして、「この箇所はこうしてみたらどうだろう」と仮説を立て、comoluを発展させるようにしています。
アンケート結果は、基本的に良い声ばかりです。
遮音性に優れている、照明の明るさがちょうど良い、椅子や机が使いやすいなど、私たちがこだわっている部分に気づいてくれるお客さまも少なくありません。
とはいっても、アンケート結果を鵜呑みにせず、事実確認も行っています。
Q.どのように事実確認をしていますか?
ーー佐竹さん
アンケートの回答に対して、どういった背景がありどのような根拠でそう思うのか、お客さまと一対一のインタビューで確認をしています。
また、改善すべき点を指摘された場合は、現場に足を運び自分自身で体験して確認するようにしています。
その際には、自分の体験を客観視することも重要です。
いままで体験したことに対してバイアスをかけてしまうことがありますから、フラットな目線で見て良し悪しを判断するよう留意しています。
3.時間を有効活用し場所に縛られないワークスペースを提供することがミッション
Q.comoluはどのような使い方をされているのでしょうか。
ーー佐竹さん
comoluは個人契約・法人契約どちらも可能で、それぞれ使い方が異なります。
個人契約の方は、営業中で次のアポイントメントまでに時間があり、仕事ができるスペースを探しているときにcomoluを使うという方が多いです。
たとえば、オフィスが新宿にあり渋谷で複数の商談があり、次の商談まで時間があったらオフィスに戻って仕事をするでしょう。
しかし渋谷のcomoluを利用すれば、オフィスに戻る必要がなく移動時間分を仕事にあてられますよね。
comoluを利用することで、効率よく仕事ができるのです。
Q.法人契約をしている企業はどのような使い方をしていますか。
ーー佐竹さん
大きく分けると二つの使い方があります。
一つはオフィス内の会議室が足りずに、comoluを代替場所として契約する企業さまです。
コロナが落ち着き出社率も増えていることが起因して、オフィス内の会議室の予約が取れない状態で困っている企業さまが急増しています。
また、WEB会議がニューノーマルになったものの、オフィス内にWEB会議ができるスペースが少ないという企業さまも珍しくありません。
会議室を増やしたり個室ブースを購入したりすると費用と時間がかかるという理由から、無駄なコストがかからずに都度利用ができるcomoluをご利用いただいています
Q.もう一つはどのような使い方でしょうか。
ーー佐竹さん
採用でテレワーク・ハイブリットワークを導入していることをアピールするために、comoluを契約してくださるケースです。
近年は多様な働き方が可能となったので、comoluのようなサードプレイスを使えることをアピールすると、応募者が増え、企業が求める人材を採用できる可能性が高まるのです。
このように、働く人が時間を有効活用でき、場所に縛られずに、快適に集中して働けるようなスペースを提供することがミッションだと思っています。
Q.最後にBTHacks読者へメッセージをお願いいたします。
ーー佐竹さん
近年は働き方が自由になってきており、自分の意志で働く時間・場所を決めやすくなっています。
特に、20代・30代の人たちは入社時から、多様な働き方を認められているでしょう。
せっかく働ける場所を自分で決められるような世の中になっていますので、自分に合ったワークスペースを見つけてほしいですね。
その選択肢にcomoluがあると嬉しいです。
使ってみると居心地のよさ・使いやすさがわかると思いますので、ぜひ一度使ってみてください。
4. 筆者が使ってみた体験談(comolu新宿西口店)
今回のインタビューでcomoluに興味が湧き、筆者が実際に利用してみました。
利用したのは新宿西口店。
その際の利用の流れや使用感などをお伝えします!
4-1. 会員登録・予約
まずはcomolu公式サイトから会員登録のために、氏名や住所、電話番号、クレジットカードなどの情報を入力します。
予約の手順は次のとおり。
1.予約したい日時と店舗、部屋タイプを選択(部屋タイプは個室と会議室の2種類)。
2.画面下部の「利用する部屋を選ぶ」をクリック。
3.使用したい部屋を選択。画面の青い色の箇所をクリックすると、部屋の写真と設備が表示されます。
4.以下が部屋の詳細画面。ここで「予約画面に進む」をクリック。
5.予約確認画面が表示されるので、次の情報を確認
・店舗及び部屋番号
・利用日
・利用時間
・支払い金額
6.問題なければ、ページ最下部までスクロールして「予約を確定する」をクリックして、予約完了!
4-2. いよいよcomolu新宿西口店へ
新宿西口店は新宿駅直結のエルタワーB1階。
利用した日は雨天でしたが、雨に濡れずにすみました。
予約した時間の前後30分はフリースペースを使えるというので、少し早めにcomoluに到着。
入店する際は、公式サイトにログインすると画面上部に表示される「MY QRコード」をクリックし、発行されるQRコードをリーダーにかざすとドアの施錠が解除されます。
次の写真はフリースペース。
予約時間までこちらで待機しました。
壁で区切られているため、隣に人がいたとしても気にならなさそう。
Wi-Fiが使えるうえコンセントもあり、フリースペースだけでも十分仕事ができます。
フリースペースには軽やかなスウィング・ジャズのBGMが程よい音量で流れており良い刺激となって、自然とモチベーションが高まりました。
comolu全店舗にフリースペースがあり、どの店舗も快適に使えますが、特筆したいのが市ヶ谷店のフリースペースです。
座席に座ると、大きな窓から景色が楽しめリフレッシュもできそうです。
画像出典:comolu公式サイト市ヶ谷のシェアオフィス | comolu
市ヶ谷店のフリースペース。どの席に座っても窓の景色が眺められます
画像出典:comolu公式サイト市ヶ谷のシェアオフィス | comolu
フリースペースからの眺め。窓が大きいので開放感があります
画像出典:comolu公式サイト市ヶ谷のシェアオフィス | comolu
フリースペースは隣の人の姿が見えないよう、席ごとに壁で仕切られています
時間になったので、いざ個室へ!
扉を閉めると、外で流れていたBGMが聞こえなくなります。
店内は自動販売機などがありませんが、お酒以外の飲み物なら持ち込み可能。筆者はcomoluがあるエルタワー地下2階のカフェでコーヒーを調達しておきました
個室には、PCへ接続可能なウルトラワイドモニターが用意されていました。
オンライン会議では完備されているモニターを使用し、自分のPCで資料を閲覧できたのが便利でした。
ちなみに、オンライン会議用のライトも。
会議システムに入った際、モニターに映る自分の姿がやつれておりぎょっとしましたが、このライトを付けたら顔が明るく見えました。
4-3. 実際に利用してみた感想
■使い心地
筆者は日常的に自宅やカフェなどさまざまな場所で仕事をしており、ときにはシェアオフィスやコワーキングスペースを利用することがありますが、ここが一番集中できたと感じました。
以前、ほかのシェアオフィスを利用したときには、他の人の気配やタイピング音などが気になり集中できませんでした。
しかし、comoluでは他人の存在や物音などがまったく気になりません。
「comolu」とは「籠もる」を意味すると聞いていたように、個室に入ると外部からの情報がシャットアウトされ、集中できると感じました。
■料金
15分300円から使えるので、ちょっとだけ仕事したいというときに便利。
1時間半の利用なので1,800円ですが、登録時に1時間無料クーポンをいただいたので、実質600円のみの支払い。
支払いは、事前にクレジットカードを登録し利用後に引き落とされる仕組みです。
最近、筆者は支払いはキャッシュレス決済がメインで現金をあまり持ち歩かないため、便利でした。
■予約の取りやすさ
今回は利用当日にサイトに登録し予約をしましたが、サイトが感覚的に操作できるため、登録から予約までさほど時間はかからなかったと思います。
サイトをブックマークしておけば、急に使いたいというときでもサクッと予約できそうです。
「comolu 新宿西口店」
住所:東京都新宿区西新宿1丁目6−1新宿エルタワーB1
利用時間:平日9:00~21:00(営業時間8:30~21:30)/土日祝9:00~19:00(営業時間8:30~19:30)
※年末年始・GWなど休館日あり
※飲食(酒類以外)持ち込み可
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20代前半はプロボクサーとして活動。
2024年に25歳で国際モバイル通信事業会社に入社し、
セールスマーケティングや新設部署・新規事業の立上げに従事。
2022年にフロンティアコンサルティングに入社をし、
新規事業開発部(現xP事業部)の設立初期メンバーとして参画。
comoluを含めた二つの新規事業を0→1を生み出し、現在はスケール拡大フェーズにおいて、事業戦略の立案・推進および市場開拓などに携わっている。