取材記事

2023.04.03

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元スクウェア・エニックス米国社長が語る!ワクワクする社会創造のプロセス

株式会社HLD Lab 代表取締役 岡田大士郎氏

働き方改革が始まる以前より「ワクワクする生き方、働き方」を提唱してきたのが、
株式会社HLD lab(Happy Life Design Laboratory) 代表取締をはじめ、
一般社団法人デジタル田園都市国家構想応援団の専務理事、複数の企業の顧問を務められている岡田大士郎さんです。

「皆さんは働く喜びをどの程度感じていますか?」と語る岡田さんに、生活と仕事を調和させる新しい生き方について、伺ってみました。

コロナ禍を経て働き方が多様化する中、「なぜ働くのか」と自問自答する人もいることでしょう。
金融業界からデジタル・エンターテイメント業界への転職、日本から世界へ飛び出して得た岡田さんの経験は、その疑問にひとつの答えをくれそうです。

1.ワクワクすることが仕事の原動力

―岡田さんにとって、今の仕事の原動力とはなんでしょうか?

自分の仕事で、誰かが笑顔になることですね。金融で25年、
エンターテイメント業界で13年仕事をしてきて「今を楽しくワクワク生きる」のが人生で最も重要だと思うようになりました。
生活も仕事も楽しむ、そうして喜びに満ちた人生を送るための方法をお伝えすることに、一番やりがいを感じます。

―多方面で活動するために、どうやってモチベーションを維持しているのでしょうか。

金融業界で企業に属しているときは「何か成果をだし、より多くの報酬をもらうこと」がモチベーションだったこともありました。
その後、ビジネスの場をエンターテイメント業界に変えた頃からは、社会に属して仕事をすることを意識しながら活動していますね。
多くの人と交流し、繋がりを持つことこそかけがえのないものだ、と実感する日々を送っています。

今はHLD Labを通して、自分の経験や学びを社会にフィードバックしていく時間を大切にしています。
自分の活動を通じて関わった人たちに笑顔をもたらすことが、モチベーションの維持に繋がっています。

また、新しい世代の人々と同じ目線で自分が持っているものを伝えられたときも、モチベーションが上がる瞬間ですね。

―異業種での経験は、今のお仕事にどんな影響がありましたか?

金融の経験を持ちながらエンターテイメント業界で活動したことが、今の私のビジネスの定義でもある「ワクワク社会創造」のベースになっています。

金融の世界では、「今を楽しくワクワク生きる」ことをお手伝いできる事業活動や仕事は、その一端しか担えません。
しかし、金融の経験を持ちながらエンタメ業界で活動したことが、人々が楽しくワクワクする社会、
そして、暮らしが豊かになるだけではなく「幸せを感じられる社会」づくりをしたい、という志を作るきっかけをくれたと思います。

―お金が行き着く先には、ワクワクと幸せが必要ということですね。

エンターテイメントの世界に入ってから「ワクワクすること」の大切さに触れ、
「お金は何のために稼ぐのか?何のためにあるのか?なぜ私たちは働いているのか?」という本質的な問いかけを持ちました。

お金は喜びの多い人生を作るための手段です。人間は、喜びを持って楽しくワクワクする人生を送るために、お金を使うのです。
例えると、旅が好きな人は、働いて得た収入を使って旅行をし、現地でワクワクしながらレジャーを楽しみます。
旅行業者や宿泊施設など観光ビジネスをしている企業は、自分たちの会社が提供した「旅行で素敵な時間を過ごすためのサービス」の対価として、利用者である旅行者から料金をいただくわけです。

「ワクワクできる時間」を共通項にして、お金が循環していく。
それが、個人と組織だけでなく、社会全体をもっと幸せにすると考えています。

2.HLD Labを通じて幸せの「心地」を伝えたい


海外勤務時の写真

―HLD Labの事業において、岡田さんが重視することは何でしょうか。

仕事と生活を調和し、人生を楽しむことを「ライフアンドワークハーモナイゼーション」と呼んでいます。
そのためにどう考え、行動したらいいのかを皆さんに伝えていくことを、一番大事にしています。

―HLD Labには、ワクワク作りのノウハウがたくさん詰まっていそうですね。

楽しくワクワクする人生を味わえる幸せな感覚を「心地」と呼んでいます。
人生では、ワクワクするような心地をどれだけ感じられるかが重要です。

ある人は旅行、ある人はスポーツ、ある人は陶芸が好きなど、楽しいと感じることは人によって様々です。
選択肢が多ければ多いほど人生を楽しめるでしょう。ですから私は、「人生で心地をどれだけ味わうか」という視点を持つことを心がけています。

人々の喜び、幸せ作りのハブになることが、HLD Labの活動の基盤です。
そのための選択肢をハッピーライフデザインラボからいろいろ提供できるよう、様々な分野の人と接点を持っています。

―世代やジャンルを超え、多彩な活動をされていますね。

デジタル田園国家都市構想やアーティストエイド協会、ゲームカルチャー協会、一般社団法人ライフシフト協会など、多くの方々と共創しています。
いろいろな人と繋がることで、多くの視点を得られる。
社会との交わりを広げて、自分の気づきをもっと多くの人たちに伝えることができれば、何より嬉しいですね。

3.働き方改革から一歩先へ進んだ展望

―HLB Labの活動は、働き方改革よりも一歩先に進んでいますね。そのアグレッシブさの元は何でしょうか。

本来の働き方は、「ワクワクする人生を作る」ためのものです。
働き方改革は良いことですが、労働時間の短縮や変更、格差の是正だけにとどまらず、もっと本質的なところから改善が必要だと感じます。

日本人の働き方を根本から変えるには、「仕事を心から楽しむこと」が欠かせません。

仕事に熱中できれば、働く人全てが自分の持っている力を存分に発揮できる。
それは、組織だけでなく社会全体を進化させることにもつながります。

・働くことに喜びを持つ
・趣味のごとく仕事に没頭できる
・仕事の成果が社会の幸せに貢献している

この3つの実現が、HLD Labが目指す働き方改革です。

―ウェルビーイングという言葉も唱えられるようになりましたね。

上手に暮らし、人生を作っていくための「ちょうどいい感覚」がウェルビーイングだと思います。

海外勤務時代、現地の人々と交流するうちに学んだのは「仕事も大切、生きるも大切、楽しむも大切」ということでした。
プライベートと仕事は別、という価値観だけではなく、「プライベートと仕事の時間はシームレス」と、一歩進んで考える必要もあるのです。
仕事しているのも、プライベートの時間を楽しんでいるのも、同じ「自分」なのですから。

例えば、9時~17時が勤務時間の人は、17時を境に、突然企業人から私人になるわけではありませんよね。
ですから、ワークライフバランスだけではなく、ハーモナイゼーションが必要なのです。

人生と仕事のハーモナイゼーションを実現させるため、仕事中に「ウェルビーイング」を感じる働き方、仕組みを増やしていきたいですね。

4.「ビジネス」とは人々の暮らしを幸福にする活動のこと


海外勤務時の写真

―働き方が変われば、組織も変わっていきそうですね。今後、ビジネスで成功するため、組織に必要なことはなんでしょうか。

これからの時代、社会に貢献するための「ワクワクする価値、人、コト、モノ」を作り出す組織が必要とされるでしょう。
その組織作りには、ヒエラルキー型、ホラクラシー型があると考えています。上下関係で統制をとるか、仲間関係なのかの違いです。

【ヒエラルキー】統制しやすく責任が明確で、非常に合理的
【ホラクラシー】気が合って思いを同じくする仲間が集う。働く人の目的意識、未来への展望を一致させやすい

2つの組織の特徴をうまく取り入れていくことを、「場づくり論」と呼んでいます。
ワクワクするものを作り出す組織には、楽しく熱中しながら働くための「場づくり」が欠かせないはず。
そのノウハウを、HLB Labから伝えていきたいですね。

―これからのビジネスには何が求められるでしょうか。

先ほどもお話ししたとおり、私にとってビジネスの定義は「ワクワク社会創造」です。
ビジネスで収益を産むことも大事ですが、本質は、幸福な社会の創造だと考えています。

例えば、皆さんは温泉に行ってのんびりすることに価値を感じ、そこでお金を払い、事業者は利益を得ています。
それは何のためなのかを突き詰めていくと、一人一人の人間の心地のよい社会活動のため、幸福な社会づくりのためなのです。

これからのビジネスに求められるのは、いかに幸福を生み出せるか、ということだと思います。

―未来のビジネスを担うBTHacks読者へのメッセージは?

読者の皆様にもぜひ、喜びを感じる働き方、ワクワクする人生の過ごし方を実践して欲しいですね。

全ての人が自分の好きな仕事、やりたい仕事を選べるわけではありません。
しかし、自分の仕事が誰かを笑顔にしているのだ、という視点を持って仕事に臨んでみて下さい。

自分の仕事がほんの少しでも誰かを笑顔にしていることが分かれば、次は仕事に喜びを感じられるようになるでしょう。
さらに踏み込んで考えると「喜びのある仕事のためどんな働き方がベストか」と、仕事への意識が変わってくるかもしれません。

そのようなワクワクする変化が実感できれば、自分の持っている本来の力も発揮できるのではないでしょうか。

―仕事にも人生にもワクワクが必要ということですね。

仕事に喜びを感じ、またワクワクを作り出せる人が増えれば、組織もそういう人に合わせて柔軟に変わっていきます。
社会に、より喜びを提供できる人材が、今後評価されていくことでしょう。

生活、そして人生は、エンターテイメントそのものです。喜びとワクワクを探すことが、仕事や人生を楽しくしてくれます。
生きる目的は、仕事も人生も豊かにすることだということを忘れないで下さい。

岡田大士郎さんプロフィール
1955年生まれ。
1979年に日本興業銀行(現在のみずほ銀行)に入行。ロンドン勤務を経た後、1999年にドイツ証券に移り国際税務を担当。
2005年にスクウェア・エニックスに入社後、内部監査室長やアメリカ現地法人社長、本社総務部長などを歴任。
2019年HLD Labを設立。
並行して、一般社団法人日本ライフシフト協会理事、一般社団法人ゲームカルチャー協会理事、一般社団法人日本ワーケーション協会特別顧問なども務める。
2022年2月には、一般社団法人デジタル田園都市国家構想応援団の専務理事に就任。

HLD Lab: https://hld-lab.jp/
Facebook: https://www.facebook.com/daishiro.okada
デジタル田園都市国家構想応援団:https://digital-supporter.net/

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※画像は取材協力者提供

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