出張経験は「仕事のエッセンス」 ゲーム好き社長の巧みな海外出張術に迫る【海外出張リーダー】Vol.3

出張経験は「仕事のエッセンス」 ゲーム好き社長の巧みな海外出張術に迫る【海外出張リーダー】Vol.3

「海外出張はバイアスを外して価値観を広げるアンテナを張るチャンスです」
株式会社エイプリルナイツ 代表取締役CEO 三瀬尚徳氏

10代の頃からゲーマーとして活躍し、海外へ遠征していた三瀬氏。現在は、「株式会社エイプリルナイツ」の代表取締役CEOとしてエンジニアを育成しています。この「株式会社エイプリルナイツ」にはある特徴があります。それは、社員のほとんどが“ゲーマー”であること。なんと三瀬氏は、ゲームが好きなあまり「ゲーマーによるゲーマーのための会社」を創ってしまったのです。今回は、三瀬氏による「ゲーマーによる海外出張ハック術」をお届けします。

このインタビューのポイント
・ゲーマーが、ゲーマーのために輝ける会社を設立
・好きなことが仕事だと出張そのものが「ブレジャー」になる
・海外ではゲームそのものが共通言語

1.ゲーマーが海外へ行く理由とは


三瀬氏が持っているのは会社のロゴ。後ろに飾られているのはサバゲー(サバイバルゲーム)で使う武器

——「株式会社エイプリルナイツ」の事業内容について教えてください。

「株式会社エイプリルナイツ」はIT企業でスタートし、現状は受託開発とエンジニアの教育と派遣業に力を入れています。コンセプトは「ゲーマーがゲーマーのために輝ける社会を創ろう」です。

——どのような経緯で会社を立ち上げたのですか?

私自身、15年程前にゲーマーとして、アメリカ、韓国、オーストラリアなどに行って世界中のチームと戦っていたのですが、当時は学生ということもあり何度も直接遠征をして大会に出場するのは難しかったんですね。そこでお金を稼ぐため同じチームメンバーと一緒に会社を立ち上げました。

もともとWEB制作のディレクターをやっていた経験から中小企業や商店街のWEBページやアプリケーションを制作していました。

——社員のほとんどがゲーマーだということですが、なぜですか?

ゲーマーってすごく選手生命が短いもので、20代半ばでも反射神経が弱くなってきて、10代の子に勝てなくなるケースがあります。私も23、4歳の時に“衰え”を感じました。

それで、「今度は自分が若いゲーマーたちを支援する事業をやりたい」と思い、「株式会社エイプリルナイツ」のコンセプトをゲーマーのための会社と定めました。今も昔も、一緒に働いている社員の中には、世界的に活躍するゲーマーやゲーム配信で有名なゲーマーが何人もいるんですよ。

——仕事で海外に行く機会はあるのでしょうか。

「e-Sports」関連の視察やIT開発のお手伝いで海外に行きます。現地のプロゲーミングチームを訪問してお話を伺い、国内の企業とマッチングをすることもあります。

仕事の内容にもよりますが、出張期間は通常2~5日間、現地のゲーマーに会うとなると、7~10日間ほど滞在しています。

「e-Sports」関連だと、イベントの主な開催地にもなるロサンゼルスやサンフランシスコ、韓国などにはよく行きますよ。海外のゲームの文化にはとても関心があるので、行けないときには現地の友人にイベント会場を見てもらうこともあります。また別の仕事で、ベトナム、ニュージーランド、タイなどにも行きました。

「e-Sports」とは
「e-Sports」とは、「エレクトロニック・スポーツ」を略した言葉。電子機器を使って行う娯楽、競技、スポーツ全般を指す。現在は、コンピューターゲーム、ビデオゲームを使った対戦を競技として捉える際の名称としても使われている

2.ブレジャースポットは「お気に入りのゲーム制作会社」


イタリア・ヴェネチアでブレジャーを楽しむ三瀬氏

——「ビジネス」と「レジャー」を合わせた出張の形「ブレジャー」が欧米などで注目されつつありますが、三瀬さんが海外出張で満喫しているブレジャーはどういったものがありますか?

現地のゲーム開発会社を訪問することです。「あなたの会社のファンです」って行くと、先方は開発リーダーやコミュニティマネージャーが出迎えてくれて、会社の中を案内してくれたこともあります。「キミがプレイしているゲームのデザイナーはこのスタッフだよ」と開発に関係していたスタッフを紹介してくれたこともあります。

自分の大好きなゲームのクレジットに載っている人と実際に会えるのは、本当に嬉しいですよね。こういう出会いは、ブレジャーにおいては大事にしたい部分です。

——「ゲーム会社訪問」と聞くと仕事のようにも思いますが、三瀬さんにとっては仕事ではない?

仕事というつもりはありません。本当にひとりのゲーマーとして好きな場所に足を運んでいる気分なので。仕事になるケースもありますが、それは「おまけかな」という感じです。

社内に入れなくても、自分が好きなゲームを作っている会社の建物を外から見て写真を撮るだけでも、楽しいんです。普段から「ブレジャー」をしている感覚ですね。

3.海外へ行くことはバイアスを外すきっかけになる


社員とともに企業対抗戦に参加

——海外出張でブレジャーをすることについて、どう思われますか?

海外に行って環境を変えるって、自分のバイアスを外す手短な方法だと思うんです。限られた時間と予算の中で、できる限りアンテナを張って情報を持ち帰れば、日本で仕事をする時に周りと差別化できるようになりますよね。

仕事とあわせて自分の好きなことに目を向けて、楽しみながら仕事でも趣味でも何か得られることがあったらステキですよね。

——エイプリルナイツの社員の皆さんにも、同じことが言えそうですよね。社員がブレジャーを楽しむことに対してどのようにお考えでしょうか?

推奨します。
今の時代、先が不透明な中でパラレルキャリアや個人のブランディングなど、会社に依存しない生き方をする方も増えていますよね。自身のキャリアを考えた時、少しでも自分の武器となる情報や経験を持つことは大切です。

また、会社に期待値以上の結果を返すためには、海外へ行くなどして違う視点から情報を仕入れることが効率的な手段だと思います。

4.服は現地調達、ガジェットは持参! 身軽で行くのが基本


服装のコンセプトは「自分が楽な方法で過ごすこと」。取材をした日に着ていた服は会社のロゴ入りTシャツ

——海外に行く時は、どれくらいの量の荷物で行くのですか?

バックパックか3泊4日程度の大きさのキャリーケースで行きます。これで2週間いけます。私、着替えを持っていかないんですよ。現地の安いお店でまとめて買ってしまいます。モノによっては、現地の友だちに「使って良いよ」とあげてしまうこともあるんです。

あまり服にこだわりがなくて、「自分が楽な方法で過ごそう」というコンセプトで1年中、会社のロゴが入ったTシャツとジーパンを着ています。クローゼットの中には同じTシャツが何枚もかかっているんです。「何か変わったヤツだな」というキャラ付けにもなりますよ。


海外出張で必ず持っていくLUMIXのカメラ、iPad、音楽を聴くためのイヤホン。イヤホンはメーカーにこだわらず、bluetoothで完全独立型をチョイス。

三瀬氏がずっと使い続けているマウス。カーブのフォルムが「たまらない」のだそう

——海外に必ず持っていくものは何ですか?

ガジェットです。基本的に視察と打ち合わせが目的なので、カメラやiPadは必須です。空き時間も多いので、時間を持て余さないように音楽を聴くためのイヤホンや、電子書籍をたくさんダウンロードしたKindleも必ず持って行きます。

あとは、ゲームイベントに参加する場合はゲーミングデバイスですね。私はパソコンでゲームをするのですが、自分専用のマウス、キーボード、マウスパッド、ヘッドセットを持っていきます。自分専用のガジェットにこだわるのは、普段から使い慣れたものでないと良いパフォーマンスが出せないからなんです。

5.出張先の経験を活かすのは純粋な発想


海外では役職や階級を気にせず、フラットな関係性を築くことを心がけている

——現地の方と接した時に印象に残っていることはありますか?

ゲーマーにとっては、ゲーム自体が共通言語になっているということですね。「君ゲームやってるよね?」「何のタイトルプレイしているんですか?」みたいな会話から始まって、同じタイトルをプレイしていたらもう“フレンド”みたいなところがあるんです。

「三瀬君は、このタイトルのゲームプレイヤーだからね」と紹介してくれる人もいて、ゲームのタイトルが名刺代わりになったりもします。

——出張先でのリアルな経験が三瀬さんのお仕事に活かされたことはありますか?

「ゲーミングデバイス支給制度」を作ったことですね。現地のゲーム会社の人たちは、ゲーミングデバイスをはじめゲーム環境が整っているとのびのびとプレイしているんです。楽しそうに仕事をしている現地のゲーム会社の人たちと交流する中で「会社に所属しているだけでゲームのマウスをもらえたら嬉しいだろうな」と思いついたんです。
※現在制度整備中

——「嬉しい」という純粋な気持ちから社員のモチベーションが向上すれば、仕事で得られる成果も期待できるということですね。

最初は、「仕事、仕事!」という感覚が強かったですね。ただ、ビジネス視点でばかり見てしまうと予算や日本独自の規制のことを先に考えてしまい、あまり成果を得られなくて。いちゲーマーとして現地の人と交流するようにしたら、そこに仕事の本質といえる“エッセンス”があったんです。純粋に「ゲーマーが喜ぶことって何だろう」と自然に考えられるようになりました。

同様の発想で、社内で作ったゲームサークル活動の延長線上で、企業対抗戦で知り合った会社と新しく取引が始まった、というケースもよくあります。海外出張先での経験が、日本で喜ばれる仕事の“エッセンス”になって成果を生むことは多いですよ。

6.海外における防犯対策


海外でさまざまなトラブルを経験し、その都度対策を講じていると話してくれた

——海外でトラブルに巻き込まれたことはありますか?

スリに遭いそうになったことがあります。アンケートを取る振りをして近づいてきて、ポケットからお札を抜こうとしていたんですよ。だから、自分で目視できるように財布は大きなカバンには入れず、体に密着できる肩掛けのショルダーに入れるようにしています。

あと、現金はあまり持っていきません。海外では電子マネーを使えるところが多いので、「QUICPay」のような電子決済を利用します。

——身の危険を感じたことはありますか?

現地のゲーマーから、「夜、遊びに行こうよ」と誘われたことがあるんです。待ち合わせ場所へ行ってみたら、そのゲーマーが他のゲーム友だちを呼んでいて、大きな黒い車から怖そうな人が出てきて連れて行かれそうになりました。

それからは、本当に信頼できる人とだけ出かけるようにして、夜は外には出歩かないようにしました。移動手段もタクシーで“ぼったくり”に遭ったことから、今では必ず「Uber」を利用しています。

7.日本でも「e-Sports文化」や「ゲームを楽しむ文化」を広めたい


海外で行われた「e-Sports」会場の様子

——国内外での経験や人との出会いを通じて、三瀬さんが今後取り組んでいきたいことはどのようなことですか?

私は、「e-Sports」をはじめ日本国内でゲーム文化を広めたいと考えています。そのために、イベントを企画する、社内にさまざまな文化を取り入れるなどの取り組みをしていきたいと思っています。ゲーマーから何か学べそうなことが少しでもあるようでしたら、海外を含めてゲームのイベントに足を運んでもらえたら嬉しいです。

三瀬尚徳さんプロフィール
株式会社エイプリルナイツ代表取締役CEO。10代の頃からゲーマーとして活躍し、現在は「ゲーマーがゲーマーのために活躍できる社会を創る」をモットーに、IT人材の派遣、イベント事業、メディア運営に取り組んでいる。自身はゲームが大好きで、海外出張の際は時間を見つけてブレジャーとして一般的な観光地の代わりにゲーム制作会社を訪問するほど。トレードマークは会社のロゴ入りTシャツとジーンズ。
株式会社エイプリルナイツhttp://april-knights.com/

構成:リベルタ、文・撮影:宅野美穂(リベルタ)

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