出張前に覚えておきたいアメリカ流ビジネスパーソンの歩き方

出張前に覚えておきたいアメリカ流ビジネスパーソンの歩き方

これから海外出張でアメリカがビジネスの場となる方々に覚えておいていただきたい、アメリカにおけるビジネスの考え方と基本マナーを伝授します。商談には事前の準備をし、積極的なコミュニケーションを取り、フォローを確実にすれば、アメリカでの成功を遂げるチャンスが広がります。

出張前に確認・準備すべきことは6つ

アメリカ出張の前に確認や準備をしておくべきことを6つご説明します。日本でできることは済ませておき、現地で余裕と自信を持って行動できるようにしましょう。

アメリカ出張はESTAの申請から始まる

出張前にはESTAの申請を済ませておきましょう。

アメリカへの渡航には、パスポートの有効期限が残っており、往復のチケットを購入して、ESTA(電子渡航認証システム)を申請しておけば、トラブルなく入国できます。ESTAは商用や観光の入国者全員に義務化されており、クレジットカードがあれば$14で簡単に申請できます。
参考:https://esta.cbp.dhs.gov/esta/application.html?execution=e1s1

ESTAは、パスポートの有効期限が残っていれば2年間有効です。意外と忘れがちなので、アメリカへの入国に際しては忘れないよう事前に申請しておきましょう。

話す議題や条件を明確にしておく

渡米前には、相手に、誰と何を決めるのかを明確に知らせておきましょう。

例えば、販売の条件や契約に関しての具体的な話が目的であれば、絶対に譲れない部分や、条件交渉において譲歩できるラインをあらかじめ決めておくことは、とても重要な事前の準備作業です。これは円滑な会議のためのマナーでもあります。

発音しやすいニックネームを用意する

事前に英語の名刺を用意しましょう。その際、自分のニックネームを記載しておけば、相手に対し親近感を与えます。

例えばソフトバンク・グループ代表取締役会長兼社長の孫正義氏は、海外では「MASA」のニックネームで通しています。男性で義明なら「Yoshi」や「Aki」、女性で純子なら「June」や「Jenny」、織江なら「Olivia」を使うのもありです。名前と全く関係がない好きな歌手名でも構いません。

大事なことは、誰でも呼びやすく発音しやすいニックネームにすることです。お互いをファーストネームで呼び合える仲になることは、相手の信用を得るのに大きな役割を果たします。

交通網や渋滞状況を把握しておく

ニューヨークやシカゴなどの東海岸は電車や地下鉄などの公共の交通機関が便利です。ですが、LAやシリコンバレーなどの西海岸の都市の場合は、電車を使って目的地に行く選択はしない方が賢明です。なぜなら、西海岸には電車や地下鉄などの公共の移動手段が少ないからです。

そこでUberやLyftなどの配車アプリを使ったオンライン配車サービスは便利な移動手段となります。
利用場所や時間、距離にもよりますが、タクシーよりも1?3割は安いことが多いので便利です。あらかじめダウンロードをしておきましょう。会議や訪問予定と同じ曜日・同じ時間帯の渋滞具合や、車移動の所要時間を、Googleマップを使って確認しておくと良いです。

因みに、タクシーは日本のように流しがなく空港やホテル以外では捕まりにくいので、余計な時間がかかってしまい不便です。
レンタカーは空港やホテルで借りることができます。価格は日本よりも安価で保険も加入できますが、手続きに手間がかかることや、乗り捨てができないことなどが難点です。

アメリカでの通信手段を確保しておく

通信手段としては、アメリカ用のSIMかモバイルルーターを用意しておきましょう。

SIMフリーのスマホであればアメリカのSIMを入れることができ、普段使っている写真や電話帳など便利な機能を使うことができます。海外のSIMは、出発の各空港で借りることができますが、SIMフリーでない方は海外で使用できるモバイルルーターかレンタル携帯を借りてください。

現地の人との英語でのコミュニケーションや、スマホのAPN設定(注)にも自信がある方は、現地の空港やスーパーマーケットでもプリペイドSIMが販売されていますので覚えておくと良いです。料金は、使い方によっては日本よりも安い場合があります。

APN設定

PCやスマホの時間自動修正機能を設定する

PCやスマホは、時間自動修正機能を使ってください。

アメリカでは西海岸と東海岸で4時間の時差があるので、アメリカに住んでいても何時なのかわからなくなる場合が多いものです。夏時間と冬時間というのもあり、ホテルの部屋の時計が間違っている場合もしばしばあります。そんな場合でも、PCやスマホの時間自動修正機能を使えば時間を間違えることがありません。

iPhoneの場合は設定>一般>日付と時刻の中の、自動設定をONにしておくことで、現地の携帯の電波を受信するか自分の位置情報を取得できれば自動的に修正できます。
参考:https://support.apple.com/ja-jp/HT206986

Androidの場合も同様の設定でタイムゾーンの自動設定をONにしておけば自動的に変わります。
参考:https://support.google.com/wearos/answer/6344664?hl=ja

渡米後に押えるべきポイントは5つ

ビジネスの現場で特に押さえておくべきビジネスマナーのポイントをご説明します。アメリカではしっかりと相手の目を見て話し、自分の意見をはっきり述べることが、コミュニケーションの基本です。

自ら握手し目をしっかり見て話す

相手と初めて会ったときには自ら握手を求め、相手の目をしっかりと見て話しましょう。会議が終わった後に「また会いましょう」と言って、もう一度握手するのも有効です。

ハグは日本人の習慣だと最初は抵抗がある人もいると思います。相手が異性だともっと難しいことも考えられます。ですが同じ人に会うことがまたあるのであれば、2回目以降に会う際にはできるようにしておく方が望ましいです。

顔の位置を気にする方もいると思いますが、顔を左右どちらかに寄せるというよりも、相手の背中を軽く叩き握手と一緒にするイメージが自然です。ビジネスでは胸をつける必要はなく、肩に手を添えるだけでも大丈夫です。自然とできるようになるまで社内で練習してみてください。

「I’m fine」は使わない

通訳がいたとしても、簡単な挨拶は英語でできるようにしておきましょう。

例えば、挨拶時に「How are you?」と言われたら、「I’m fine」という返答をする人がいますが、これは「まあまあ」というようなニュアンスがあり、ビジネスで使うのは適当ではありません。元気だと言いたいのであれば「Very good!」や「Perfect!」と言って笑った方が、印象が良くなります。

自分の意見をはっきりと述べる

会議の場では、相手と同じ考えだったとしても自分の意見をはっきりと伝えることが礼儀です。相手の言葉に相づちを打つだけであれば「何を考えているのかがわからない」と思われてしまいます。

例えば、相手の提案に対する感想は「Good idea!」や「I do not think so」と言うだけで、その会議はとても有効な時間になっていきます。何が良くて何が悪いかを相手がはっきりと認識できるからです。

アメリカ人の懐に入り込むためには、自分の意見を言う姿勢が必要です。判断が正しいかどうかよりも、自分の意見を伝えられる人だということを認識してもらい深い人間関係を構築する方が、現地での信頼につながります。

笑いや気軽な話で信頼関係につなげる

取引の話だけに固執せず、笑いや気軽な話題も織り交ぜたやりとりを図りましょう。

話の内容が会社の損得だけの話にこり固まってしまうと、取引だけでつながるギクシャクした人間関係になってしまい長続きしません。硬い話の中にも笑いや気軽な話を挿入することは、プレゼンテーションのテクニックです。気軽な話からの方がその人の本音が出やすいものです。相手が本音で話すようになれば、自分もさらに本音で話しやすくなります。

両者が本音で話し合うことで、より良い人間関係や信頼関係が構築され、それは同時に、より良いビジネスパートナーとしての関係にもつながるというわけです。

差別的な発言にはとくに気をつけて

相手の立場を多様に想定して、差別的な発言はしないように十分配慮してください。

アメリカ人とはいっても純粋なネイティブアメリカンは少なく、ほとんどのアメリカ人は移民の子孫です。アジア系、中近東系、ヨーロッパ形、ユダヤ系など様々な出身系と様々な国籍の人々が集まって、各々を認め合いながら生活しているのがアメリカの姿です。

例えば同性婚やマリファナの使用を認めている州もあり、個人の主義や権利を守ろうとする特性が強い国なので、相手の価値観を尊重していないと受け取られる発言はマナーに反します。

会議中だけでなく世間話の際であっても、政治的なこと、宗教的な考え、結婚の有無、家族構成などの質問や、性差別や人種差別と受け取られる発言は、すべきではありません。州によって法律が違いますので一概には言えませんが、場合によっては訴えられてしまうこともあります。

ミーティング後のフォローアップも大切

ミーティング後の対応で信頼関係を築くことも忘れないようにしましょう。相手の考えをより深く知るために、またミーティングの方向性の再確認のために、フォローアップには大切な意味があるのです。
 

食事は重要なコミュニケーション

食事は重要なコミュニケーションの場になりますので、できれば滞在時に数回の機会を設けてください。気取って高級なレストランに誘う必要はありません。気軽なピザやハンバーガー店でも良いのです。

例えば、「あなたは、どこのハンバーガーが好きなのか?」などの質問から入ると、お気に入りのバーガーショップを教えてくれることもあります。英語が得意でなくても、そういった簡単な会話は両者とも理解しやすいものです。簡単な会話を重ねることで相手にこちらの意図を伝えやすくなりますし、相手の考え方を知ることもできます。

ミーティング後の連絡では確認作業を

ミーティング後にEメールや電話で連絡をして、話し合ったことや両者が出した方向性、結論などを再確認しましょう。

ミーティングだけでは、相手にこちらの意図が伝わっていない場合もあります。相手の反応が鈍い場合には、コミュニケーションに問題点があるのかもしれません。ミーティング後のフォローをすることで、お互いの齟齬をなくすというわけです。

アメリカ人は再確認することを「make sure(メイクシュア)」と言います。メイクシュアは何度しても恥ずかしいことではありません。相手にこちらの要望を確実に伝えることにもなりますし、補足事項の再確認もできます。

相手を認め自分を主張しながらチャンスをつかむ

相手を認めることから始まり、自分の意見を伝えながら関係を作って行くのがアメリカ的なやり方です。ビジネスにおけるお互いのゴールを確認し、ゴールに向かって話を進めていきましょう。
アメリカでは少し大げさなくらいに自分の能力を売り込むべきです。自分の経験や実績を伝えることは、自分の会社がどれだけ信用があるかを話すよりも有効です。アメリカではチャンスは与えられるものではなく、自分でつかみ取るものであることを忘れないでください。

海外出張の“あり方”を考える 〜Afterコロナ、Withコロナ〜

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