世界の航空会社が取り組むSDGs事例9つ!仕事の参考にしてみよう

世界の航空会社が取り組むSDGs事例9つ!仕事の参考にしてみよう


国連加盟国が2030年までに達成するべき持続可能な開発目標として掲げられたSDGs。SDGsのための取り組みは、ビジネスでも日常生活でも目にする機会が増えています。

航空業界でも、他の業界同様、国内外を問わず各社でSDGsへの取り組みが広がっています。大きな飛行機を運行させる航空会社のビジネスは、一度のフライトで大量の燃料を消費するなど、環境へのインパクトが大きいもののひとつです。
また、航空業界では、パイロットやキャビンアテンダントなど性差によってイメージが固定されやすい職種も多く、ジェンダーにどう取り組むもうとしているのかのかも気になるところです。

実際にどんな取り組みがあるのかを見ながら、皆さんのビジネスや会社の今後の方針に生かしてみてはいかがでしょうか?

1.航空会社も推進しているSDGsとESGとは?

持続可能な開発目標として国連が加盟国に掲げたSDGs。2030年までの達成を目標に、幅広いジャンルの社会問題解消に向けて、企業だけでなく国や自治体など非営利の組織もSDGsを積極的に推進しています。
まずは簡単に、SDGsが掲げる目標とはどんなものなのかを見てみましょう。

1-1.SDGsの掲げる目標

SDGsには、全部で17の目標があります。


貧困、飢餓、健康や福祉、教育、ジェンダー平等、持続可能な街と地域社会の創造、気候変動対策など、さまざまな社会問題を取り上げています。

詳しくは後述しますが、航空業界では気候変動対策やエネルギー問題など環境問題に関わるもの以外にも、飢餓や貧困問題、ジェンダー平等など幅広いSDGs課題に取り組んでいます。
これは、航空業界のビジネスが世界中をフィールドにしたものであることも一因と言えるでしょう。

1-2.ESGとは?

SDGsとよく似た言葉に、ESGがあります。
こちらは環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)の頭文字からなる造語で、業績や財務状況以外の、企業投資の新たな判断基準として注目されています。

例えば、ある企業に株式投資をしようとしたとき。企業の収益性や経営状況だけでなく社会に貢献できるビジネスかどうかを判断材料とする投資家も増えています。投資の視点からも、成長を期待したり、成長を託したいビジネスかどうかを見極める一つの材料として、社会問題にどれだけ真剣に取り組むかが問われているのです。

SDGsとESGの違い

SDGsの達成を目指すのは企業だけでなく自治体なども含まれています。一方で、ESGは企業活動に対して使われています。
また、SDGsは国連の持続可能な開発目標として掲げられた企業の“行動指針”。
一方で、ESGは環境や社会に対する貢献内容を投資の材料とする、ある意味“物事の判断基準/ものの見方”を表す言葉です。

2.世界の航空会社における主なSDGsの取り組み

ここからは、世界の航空会社がどんなSDGsの取り組みをしているのか、具体的に見てみましょう。一つの航空会社の中でも、さまざまな切り口でSDGsを推進していますので、今回は取り組みの内容別に事例をご紹介いたします。

2-1.CO2排出量削減など環境に関するSDGs活動

多くの航空会社の多くが取り組んでいるのが、航空機の運航時に発生するCO2排出量削減への取り組みです。例えば、持続可能な航空燃料(SAF)の導入の検討やを具体的に検討したり、SAF燃料関連企業への出資などもその一つ。

さらには、効率的なフライト運行をすることで、無駄なCO2排出を減らすフライトオペレーションの改善に取り組む企業も出てきています。さらには、航空機の技術革新により、より低燃費なフライトを実現する飛行機の製造など技術的な努力・開発が進められています。 

2-1-1.ユナイテッド航空は温室効果ガス排出量100%削減を掲げる


画像出典:ユナイテッド航空:Newsroom (ニュースルーム)

世界の航空業界の中でも、先進的に環境問題に取り組み、業界をリードしているのがユナイテッド航空です。企業として「2050年までに温室効果ガス排出量の100%削減」という目標を掲げています。

具体的なチャレンジとして最近話題になったのが、2021年12月に実施されたシカゴ発ワシントン行きの運航便です。民間企業が実際に乗客を乗せ、100%持続可能な航空燃料(SAF)を使って運行した世界初のフライトとなりました。
実現にあたっては、ユナイテッド航空に加えて、ボーイング社やCFMインターナショナル社など関連企業も大きく関わっています。

さらに、ユナイテッド航空では持続可能な燃料の調達にも本腰を入れています。
2021年4月に「エコ・スカイズ・アライアンス」プログラムを発足。延べ5,700万人以上の乗客を乗せたフライトも可能な、15億ガロンの持続可能な航空燃料(SAF)購入に合意したことも発表しています。

2-1-2.国内航空会社もバイオジェット燃料導入検討などに積極姿勢

ユナイテッド航空の取り組みに追随するように、世界各国の航空会社が温室効果ガス削減に取り組んでいます。
日本国内でも、2021年2月にJALが、衣料品由来のバイオジェット燃料を使って試験フライトを実施。さらにJALではアメリカのバイオジェット燃料関連企業Fulcrum BioEnergy,Inc.への出資を行っています。

同様に、ANAでも持続可能な航空燃料(バイオマス燃料など)の活用を検討する他、航空機の技術革新やオペレーション改善などに取り組んでいます。

実現への道のりは、技術的な問題や燃料補給のための体制づくりなど課題もありますが、航空会社は化石燃料以外のエネルギーを使ったフライト運行に向けて、大きく舵を切っています。
こうした取り組みは、投資家に対してもESGの取り組みとしての大きなアピール材料となっています。

※参考
OnTrip JAL「衣料品からジェット燃料を製造!? JALが未来のフライトを実現できた舞台裏」
JAL公式サイト「SAF(代替航空燃料)の開発促進と活用」
ANA公式サイト「航空機の運航で発生するCO₂排出量実質ゼロを目指して~SAFの活用~動画の代替情報を表示する」

2-1-3.機内食容器の工夫などでゴミ排出量を減らす取り組み


画像出典:All Hi Fly flights single-use plastic free become reality

飛行機に乗ると、フライト中に出される機内食を食べ終わった後のゴミや、提供されるブランケットなどの寝具などを包装するプラスチックゴミなど、ただ乗っているだけでたくさんのゴミを出していることに気付かされます。
航空会社の中には、こうした廃プラスチックゴミに着目し、サステナビリティの取り組みとしてプラスチックゴミ削減の取り組みを始めている企業もあります。

例えば、ポルトガル航空では機内サービスで使い捨てプラスチックゴミを出さないために、機内食の容器は再利用可能なものを。機内で配られる歯ブラシなどのアメニティも自然由来の素材やアルミ容器などを使っています。
ポルトガル航空は、世界で初めてプラスチックフリーに取り組むフライトを、2018年12月に運行されたリスボンからブラジルの州都ナタルへの便から実施。この分野での先駆的存在となっています。

※参考
ポルトガル航空公式サイト「All Hi Fly flights single-use plastic free become reality」


画像出典:ANA Future promise 資源 機内用「木製カトラリー」と「紙製ストロー」の導入

ANAでも、同様の取り組みが始まっています。
機内食で使われるスプーンやフォークを木製に、ストローなどを紙製にすることでハイプラスチックゴミの削減を推進。さらに、2021年10月末からは、国際線・国内線での手荷物梱包用のビニール袋提供を終了しています。
同社が発表する資料によれば、2019年の1年間に使われていた手荷物梱包用のビニール袋はビニール袋は、なんと約196万枚!
一見些細なことのように見える取り組みも、企業全体の活動としてみてみると、そのインパクトの大きさを感じられるのではないでしょうか。

※参考
ANA公式サイト「木製カトラリー、紙製ストローの導入、機内食容器を植物由来に」

2-1-4.機内食の廃棄を減らしてフードロス問題の解決を目指す取り組み


画像出典:JAL Ethical Choice ~Meal Skip Option~

JALやANAは機内食の廃棄を減らしフードロス問題の解決に着手。JALは「ミールスキップオプション」として、出発前に同社Webサイトから機内食不要の申し込みができる体制を整えました。普及に向けて、機内食不要の申込みをした乗客には、オリジナルアメニティキットも配布していますので、JAL便に乗る機会があれば試してみてはいかがでしょうか?

※参考
JAL公式サイト「機内食の廃棄を減らすために、機内食の事前キャンセル受付サービスをスタート」

2-2.人権などに「人」に関するSGDs活動

SDGsの掲げる持続可能な開発目標の中には、人権やジェンダー平等、福祉、働きがいの創出などを通じた持続可能な経済成長と言った、人にフォーカスを当てた目標も多くあります。

2-2-1.ANAでは寄付活動の一環として「サステナビリティボンド」を発行

例えばANAでは、環境に加えて、人権やダイバーシティ&インクルージョン、地域創生の4項目を企業の経営重要課題として据えています。
投資家に向けたESGという側面もありますが、SDGsの観点からも注目したい姿勢です。

環境問題に向けたゴミ削減や持続可能なエネルギーへの返還など、直接的に企業として関われる分野以外にも、ANAの取り組みは広がっています。
その一つが、世界の環境・社会に対してポジティブな活動をする企業や団体への寄付をするサステイナビリティボンドの創設・発行です。

※参考
ANA「サステナビリティリンクボンドの発行」

2-2-2.JALはスカラシッププログラムで学生の国際交流を実施

JALでは、学生の国際交流プログラムを通じて未来を作る若者の育成に貢献するJALスカラシッププログラムを実施しています。
2019年に50回目となったJALスカラシッププログラム。アジアやオセアニアの大学生・大学院生が、日本で数週間かけて相互理解のためのフィールドワークなどを実施しています。

※参考
JAL公式サイト「JAL SDGsレポート 第97回 JALスカラシップが紡ぐ絆」

2-2-3.人身取引を防ぐJALの取り組み

国境を超えて飛行機を運航させる航空会社。
人を運ぶ企業として、国際的な犯罪防止への取り組みも、企業としての重要な責務となっています。
例えば、JALでは人身取引などの移動に飛行機が使われることもあるため、独自のガイドラインを制定。社員研修の場でも人権教育をしっかりと行い、実際に人身取引の兆候を発見した場合にどう行動するべきかなどを社内で徹底しています。

※参考
JAL公式サイト「JAL SDGsレポート 第87回人身取引を未然に防ぐ」

2-3.ダイバーシティ(多様性)に関するSDGs活動

SDGsやESDの観点に限らず、今世界ではダイバーシティに関して企業が取り組むことが当たり前になっています。かつては職種によるジェンダー問題を語る一例として、航空会社が取り上げられることもありました。客室乗務員を「スチュワーデス」ではなく「CA」や「キャビンアテンダント」と呼ぶようになったのと同様に、少しずつ広がり始めたダイバーシティへの取り組みを最後にご紹介いたしましょう。

2-3-1.AeroKのジェンダーレスなユニフォーム

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画像出典:AERO K公式インスタグラム

韓国の格安航空会社(LCC)、AeroKでは、客室乗務員の制服をジェンダーレスなデザインにしたことが話題となりました。

<AeroKのジェンダーレスな制服デザインの特徴>
・男女共に同じパンツデザイン
・夏はパンツ+ベストと半袖
・冬はパンツ+ジャケットと長袖

AeroKのジェンダーレスな制服は、航空業界でも先駆的な取り組みとして、2020年発表当時はSNSなどでも好評です。

※参考
ハフポスト「『ジェンダーレス』制服を導入した韓国航空会社が反響呼ぶ。誕生の理由を聞いた」

2-3-2.女性パイロットを大量採用したインドの航空会社

航空会社における職種のジェンダー固定という視点からみたときに、世界的にも進んだ動きが見られるのがインドの航空会社です。

スパイスジェットなどインドの国内航空会社では、女性パイロットの採用者数が増加傾向にあります。女性に対する悲惨なレイプ事件や、児童婚文化、カースト制やヒンドゥー教などによる男尊女卑の文化のイメージが強いインドから、「ジェンダーに関する先進的な事例が挙げられるのは、意外」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。

インドではパイロットの仕事は、性別ではなく飛行時間や年齢などの経験によって評価されるといった、ジェンダーに縛られない給与条件の良さなどが、若いインド人女性がパイロットを目指す理由となっているようです。

航空業界におけるジェンダー格差は、まだまだ他の業界と比べると先進的とは言えないのも実情です。だからこそ、世界の航空会社が、今後どうやってジェンダーに取り組むかは注目したいところ。SDGsの取り組みとして、自社のジェンダー問題解決を考えている方にも参考になるかもしれません。

※参考
「スパイスジェット、インディゴ(インド)では女性パイロットを大量採用」

航空会社が取り組むSDGs事例を自社のビジネスにも活かそう

環境、人権、働き方などさまざまな切り口からSDGs活動を推進している航空会社。
ワールドワイドにビジネスを展開している企業ならではの、視点や規模、取り組みの手法は大いに参考になるのではないでしょうか。

出張などの移動時に飛行機を使うなら、航空会社が着手しているSDGsへの取り組みを実際に体感できるチャンス。ぜひ、移動時間に皆さんの仕事のヒントを、航空会社のSDGs活動から探してみてはいかがでしょうか?

文:オナイ ウイコ
編集:山﨑 梨惠(リベルタ)

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