ビジネス基礎知識

2021.07.14

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スターアライアンス、ワンワールド?!いまさら聞けないアライアンス基礎知識

出張のための航空券を買うときに、どこの航空会社から購入するか迷ったことはありませんか?そんなときは、アライアンスに注目してみましょう。フライトを決めるとき、到着時間や直行便かどうかなどの条件以外に、アライアンスも考慮すると決めやすくなります。
そこで、アライアンスとは何か、また、出張時に活用できるアライアンスの活用方法をまとめました。

1.アライアンスとは航空会社の連合組織

本来、アライアンスとは「同盟」「連合」「提携」など、異なる立場の個人や法人が互いに協力関係となることを意味します。
航空業界でのアライアンスとは、世界を就航している各航空会社の連合組織のことを指しており、多くの航空会社が加盟する世界規模のグループです。

1-1.グローバルアライアンスは3つ

・世界で最も規模が大きいスターアライアンス
加盟航空会社数が最も多い、世界最大のアライアンスです。日本からはANAが加盟しています。

≪加盟している航空会社≫
エーゲ航空/エアカナダ/中国国際航空/エアインディア/ニュージーランド航空/全日空/アシアナ航空/オーストリア航空/アビアンカ航空/ブリュッセル航空/コパ航空/クロアチア航空/エジプト航空/エチオピア航空/エバー航空/LOTポーランド航空/ルフトハンザドイツ航空/スカンジナビア航空/シンセン航空/シンガポール航空/南アフリカ航空/スイスインターナショナルエアラインズ/TAPポルトガル航空/タイ国際航空/ターキッシュエアラインズ/ユナイテッド航空

出典:https://www.staralliance.com/ja/home

・世界で2番目の規模のスカイチーム
日本から参加している航空会社がないため耳慣れないかもしれませんが、スターアライアンスに次いで大きな組織です。ヨーロッパの大手航空会社が多く加盟しています。

≪加盟している航空会社≫
アエロフロート・ロシア航空/アルゼンチン航空/アエロメヒコ航空/エアヨーロッパ/エールフランス航空/アリタリア航空/チャイナエアライン/中国東方航空/チェコ航空/デルタ航空/ガルーダ・インドネシア航空/ケニア航空/KLMオランダ航空/大韓航空/ミドル・イースト航空/サウディア/タロム航空/ベトナム航空/厦門航空

出典:https://www.skyteam.com/en

・顧客満足度抜群のワンワールド
世界で最も権威ある審査組織の1つ「ワールドトラベルアワード」で最優秀アライアンス賞を17年連続受賞。顧客満足度が高いことで知られるアライアンスです。日本からはJALが加盟しています。

≪加盟している航空会社≫
ブリティッシュエアウェイズ/アメリカン航空/キャセイパシフィック航空/フィンランド航空/イベリア航空/日本航空/マレーシア航空/カンタス航空/カタール航空/ロイヤル・エア・モロッコ/ロイヤル・ヨルダン航空/S7航空/スリランカ航空

出典:https://www.britishairways.com/ja-jp/executive-club/collecting-avios/flights

1-2.その他の独自アライアンス2つ

・中東路線が豊富なエティハド航空パートナーズ
UAEの航空会社エティハド航空が立ちあげたアライアンスです。現在4つの航空会社が加盟しています。

≪加盟している航空会社≫
エティハド航空/セルビア航空/セーシェル航空/アリタリア航空。

出典:https://www.etihad.com/ja-jp/https://www.airserbia.com/https://www.alitalia.com/ja_jp

・アジアのLCCによるバリューアライアンス
アジア太平洋地域の格安航空会社によるアライアンスです。加盟航空会社は現在5社。

≪加盟している航空会社≫
スクート航空/セブパシフィック航空/セブゴー航空/チェジュ航空

参考:https://www.valuealliance.com/#/about

2.アライアンスを利用する4つのメリット

アライアンスを選ぶメリットで思い浮かぶのは、マイルの活用ではないでしょうか。例えば、自分が会員になった航空会社のマイルを利用して、アライアンス内の他航空会社の航空券を購入できます。しかし、アライアンスを利用するメリットは他にもたくさんあります。その中で、特に出張時にうれしいメリットをピックアップしました。

2-1.空港内での移動が簡単

ロンドン・ヒースロー空港や成田空港など、アライアンスごとにターミナルを分けている空港なら、同じターミナル内で乗り継ぎすることがほとんどです。同じターミナル内での移動なので時間を短縮しやすく、トランジットの時間がタイトなときに重宝します。

2-2.チェックインは1度でOK

乗り継ぎ便が同じアライアンス内なら、出発地から最終目的地までスルーチェックイン可能です。出発時の空港で全ての便の搭乗手続きができ、荷物もそのまま目的地まで運ばれます。

2-3.高い水準のサービスと安全レベル

アライアンスへの加盟を希望する航空会社に対して、厳しい審査を行なっています。そのため、一定のサービスレベル及び安全基準をクリアした航空会社だけが、アライアンスに加入可能。安心して利用できます。

2-4.マイレージサービスの利用が簡単

同じアライアンス内ならマイルのサービスが共通化されています。マイレージサービスに加入している航空会社とは違う、同じアライアンス内の航空券を購入してもOK。自分が所属しているマイレージクラブと同様に、空港ラウンジ利用などのサービスを受けられます。

3.アライアンスを選ぶ基準

どの航空会社のマイレージ会員に加入しようか?と考えたとき、アライアンスに注目してみてはいかがでしょうか。選ぶときのポイントは、出張へ行く国を基準にすること。アライアンスによって、就航している国や都市が異なるためです。

この章では、目的地別のアライアンスの選び方を見ていきましょう。

3-1.アジア・オセアニアへ行くなら「行く可能性がある国」で選ぶ

行き先が中国、韓国、台湾の3カ国がメインの場合は、どの3大アライアンスを選んでも良いでしょう。3大アライアンス全てが、この3カ国に就航しているからです。さらに絞りこみたいなら、他に行く可能性のある国を考慮して選ぶと良いでしょう。

・目的地がインドやタイ、シンガポール:スターアライアンス
(エアインディアとタイ航空、シンガポール航空が加盟)

・目的地がベトナム、インドネシア:スカイチーム
(ベトナム航空とガルーダ・インドネシア航空が加盟)

・目的地がオーストラリア、オセアニア:ワンワールド
(カンタス航空が加盟)

3-2.北米へ行くならスターアライアンスかワンワールドを

北アメリカへの路線なら、ANAとJALが日本からの直行便を最も多く運行しています。しかし同じ日本の航空会社でも、行き先の都市によって就航会社が異なります。そのため、最も行く都市によって、スターアライアンスかワンワールドを選ぶと良いでしょう。

3-3.ヨーロッパへ行くならスカイチームを

ヨーロッパ最大の航空会社、エールフランス・KLMが属するのはスカイチームです。この1社だけでほぼヨーロッパの全域をカバーできるほどのネットワークを誇ります。日本〜ヨーロッパ直行便も多く就航しているので、ヨーロッパ出張が多い方にオススメです。

3-4.中東へ行くならワンワールドを

中東からは、ロイヤルヨルダン航空とカタール航空の2社がワンワールドへ加盟しています。アメリカによる経済制裁が敷かれた関係で、他の航空会社が進出しにくいイランなどのエリアにも就航しているので、中東へ頻繁に出張する方に向いています。

・カタール航空の主な中東就航国
イラン、イラク、レバノン、ヨルダン、サウジアラビア、オマーン、アラブ首長国連邦

・ロイヤルヨルダン航空の主な中東就航国
イラク、レバノン、サウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦、クウェート、イエメン、イスラエル、シリア、バーレーン

参考:ROYAL JORDANIAN「Destination Airports」
参考:カタール航空「ディスカバー」
参考:DELTA PROFESSIONAL「制裁対象国および航空会社」

3-5.南米へ行くならワンワールドかスカイチームを

南米〜日本間の直行便を運行しているのは、グローバルアライアンス未加入の、南米最大手LATAM航空です。
とはいえ、3大アライアンスのいずれかに加入する多くの航空会社と提携しているので、各アライアンスで提供するサービスが全く利用できないというわけではありません。

日本から南米への出張は、ワンワールドかスカイチームのいずれかを選ぶと便利です。LATAM航空の提携航空会社であるJALはワンワールド、デルタ航空はスカイチームに加盟しているためです。

参考:LATAM航空「Associated Airlines」
参考:JAL 「LATAM航空のワンワールド アライアンス脱退に伴うJMB取り扱いについて(2020年5月1日以降)」

3-6.アフリカへ行くことが多い場合はスターアライアンスを

アフリカで最も規模が大きい南アフリカ航空、それに次ぐ規模のエジプト航空の2社が加盟しているのがスターアライアンスです。この2社からは日本〜ヨハネスブルグ、日本〜カイロへの直行便も出ているので、アフリカへ頻繁に出張する方に最適です。

4.アライアンスでのマイレージ活用術

貯めたマイルは、アライアンス加盟会社間で使える様々なサービスを利用できます。アライアンス間でのマイレージサービスをうまく利用すれば、快適なフライトをリーズナブルに利用できるでしょう。

4-1.異なる航空会社間でマイレージ積算・利用

メインの航空会社を1社決め、マイレージ会員に加入しておくのがおススメ。貯まったマイルは同じアライアンスの別航空会社の航空券に利用できます。例えば、国内出張で貯めたJALのマイルを使って、ブリティッシュエアウェイズの東京〜ロンドン間のフライトを予約、もしくは座席のアップグレードが可能です。

注意したいのは、同じアライアンス間であっても別航空会社の利用時はマイル積算率や航空券予約・アップグレードの必要マイル数が異なる場合が多いことです。予約時には気をつけましょう。

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4-2.同じアライアンスの空港ラウンジを利用できる

マイレージ会員なら、同じアライアンスの別航空会社ラウンジを利用できます。ヒースロー空港やスキポール空港、成田空港など各航空会社がメインとする各国のハブ空港は特に、快適なラウンジサービスの提供に力を入れています。

会員のランクごとにサービスが異なることが多いので、空港でのひとときをより快適にしたいなら、上級会員を目指してみてはいかがでしょうか。

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4-3.アライアンスを使っておトクに世界一周できる

北米の後にヨーロッパへ行くなど、世界を一周するような規模の出張もアライアンス利用に適していると言えるでしょう。アライアンスごとに割引運賃があり、リーズナブルな料金で何カ国も訪問できます。

有効期間や途中降機の回数の制限などがあるため、航空券利用規定に注意して予約をしましょう。

コラム:出張で獲得したマイルの扱いはどうする?
出張時に航空券を購入すると、マイルは航空券を利用する本人に対して提供されます。貯まったマイルをブレジャーなどに活用する方もいることでしょう。

しかし、企業によってはマイルの私的利用を禁じ、会社で管理することもあります。罰則などが設けられていることもあるので、マイル利用の際はご注意を!

サービスの利用前に、マイルの私的利用の可否を会社に確認するのがベストです。

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5.アライアンスとコードシェアの関わり

航空券の予約時や空港などでよく目にするのが、コードシェアと呼ばれる便です。「JALを予約したのに、なぜ違う航空会社の飛行機に乗るの?」「同じアライアンスではないのになぜコードシェアなの?」など、疑問に思ったことはありませんか。

1章でご紹介したとおり、アライアンスは「複数の航空会社が参加する世界的な航空連合」を差します。それに対し、コードシェアは「ある路線を複数の航空会社が共同で販売する便」のことです。
ここでは、アライアンスとコードシェアの関わりを見ていきましょう。

5-1.コードシェアは、複数の航空会社が共同で販売する便

コードシェアとは、出発地から目的地までのフライトを複数の航空会社が共同して販売する便のことです。
実際に飛行機や人員を提供する運行航空会社と、その便の販売に協力する各航空会社の間で販売座席数を割り当て、航空券を発売する仕組みです。

コードシェアはアライアンス内の航空会社間で行われることが多いですが、アライアンス外の航空会社と独自に契約を結んで運行される便もあります。

5-2コードシェア便を利用するときの注意点4つ

運行航空会社のHPはもちろん、提携航空会社のHPや航空券予約サイトなどでコードシェア便の航空券を販売しています。しかし、同じ便を予約したつもりが、価格や条件に差がある場合も。そこで、以下のポイント4つに注意して利用しましょう。

1)同じフライトでも値段が違う
同じアライアンス同士のコードシェア便でも、提携航空会社が販売する航空券の方が高いことが多いです。これは、販売手数料が航空券に上乗せされているため。

予約画面に「航空会社:ANA」など運行航空会社名の表記があれば、そのチケットは提携航空会社で発売されたものです。安く購入したいときは、運行航空会社を選ぶと良いでしょう。

上は運航航空会社、下は提携航空会社が販売している航空券。下の提携航空会社販売のほうが料金が高い。
出典:スカイスキャナー

2)チェックインは運行航空会社があるカウンターで行う
提携航空会社の航空券を購入して飛行機に乗る場合、空港の出発便案内の画面に注意しましょう。画面には、まず運行航空会社のコード、次にコードシェア便のコードが表示されます。
海外の地方の空港などは運航航空会社のコードしか表示されない場合もあります。

チェックインはアライアンスと無関係に、運行航空会社があるカウンターで行われるため、取り違えないようよく見て搭乗を。

3)乗り継ぎ時荷物のスルーチェックイン有無を確認
アライアンス外のコードシェア便を使い乗り継ぎを行う場合、預け入れ荷物が最終目的地まで自動運搬されないことがあります。経由地の空港でいったん降り、荷物をピックアップしてから再度搭乗手続きが必要なことも。
出発時に必ず、空港カウンターで確認しましょう。

4)マイル加算率が違う
アライアンス内・外に限らずコードシェア便の利用は、マイル加算率などが異なることが多いです。マイルを貯めたい人は、予約の際にご注意!

参考:
JTB総合研究所「コードシェア」
ITmedia ビジネスオンライン「業務提携ってどのように進めるの? JALの達人に’交渉術’を聞いてきた」

アライアンスで航空会社を決めてみよう

多くの航空会社が参加する、アライアンス。フライトを利用する私たちにもメリットが多いので、マイレージ会員に加入し自分のアライアンスを決めておくと重宝します。空港ラウンジ利用やマイルでの座席アップグレードなど、出張での移動時に何かと役に立つことでしょう。上手に活用して、快適な出張を楽しんでみてはいかがでしょうか。

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