転職やキャリアアップなどを考えている社会人なら、なんらかの資格を取得しようと考えたことがある人は多いのではないでしょうか。
そのような方のために、この記事ではおすすめの資格や、資格を取得するメリットをご紹介します。
資格を選ぶときのポイントもまとめましたので、どれを取得したら良いか迷っているという方の参考にもなるでしょう。
1.社会人が資格を取得するメリット3つ
漠然と「資格を取得すると良いだろう」と考えている方は多いものの、実現できていない方は少なくないかもしれません。
仕事が忙しくて、勉強したり技術を身に着けたりする時間を確保するのが難しい、という方は多いでしょう。
また、資格によっては講座の受講が必須または、書籍を購入する必要があるなど費用がかかります。
それでも、社会人が資格を取得するメリットは大いにあります。
次からは、資格取得のメリット3つを見てみましょう。
1-1.資格が必要な職業に従事できる
資格を取得すれば、資格がないと従事できない医師、公認会計士などに従事できます。
業務独占資格と呼ばれ、その多くは難易度の高いもので、合格するには多くの時間を学習に当てる必要があります。
しかし、専門的なスキルを要する職業では給与が高い場合も少なくないので、チャレンジする価値はあるでしょう。
1-2.昇進や昇給しやすくなる
資格を保有しているということは、ある一定の知識や技術を持っていることの証明です。
現在就いている仕事に関連する資格を取得すれば、より重要な業務を任せてもらえ、昇進や昇給に有利に働くでしょう。
目標達成力や向上心があることもアピールでき、人事評価が上がる可能性もあります。
また、資格取得の際の学習内容が業務内容に関わってくるので、働きながらでも取りやすいです。
1-3.転職で自分の能力をアピールできる
職場では成果を出すなどして自分の能力を示せますが、転職活動では自分の本来の能力をわかりやすいかたちでアピールしにくいかもしれません。
しかし資格を取得していれば、その資格を持てるだけの能力があることを示せるので、採用される可能性が高まるでしょう。
2.取得すると職に困らないおすすめの資格8選
安定して収入を得たい、職探しに困りたくないという人は多いでしょう。
そのような方は、次から紹介する資格がおすすめです。
仕事をしながらでも取得しやすい資格をピックアップしているので、社会人でも挑戦しやすいでしょう。
資格を取得して副業するという働き方も可能です。
2-1.電気工事士
「電気工事士」は電気設備の施工・保守・管理など電気に関する仕事に従事する資格です。
電気に関わる工事などは、この資格なしには行えません。
そのため、電気工事士は常に必要とされています。
近年は、人材不足に加え、電気の需要がさらに拡大することが予想されているため、資格を取得しておけば職に困ることはないでしょう。
また、国家資格のなかでは、比較的合格率が高いといわれており、しっかり準備しておけば合格できるでしょう。
そのためか異業種からの転職は珍しくなく、電気工事に従事している年齢層も広め。
資格は、第一種電気工事士と第二種があり、第一種のほうが難易度が高く手掛けられる業務の範囲が広がります。
2-2.介護福祉士
高齢者や障がい者などのサポート・ケアを行うのが「介護福祉士」です。
この資格の保有者は介護に関する知識を持っていると判断され、介護系の職種への就職・転職に有利。
また、介護の仕事は、社会の高齢化に伴い今後特に必要とされるでしょう。
介護福祉士の資格を持っておくと、仕事が見つからないという事態には陥らなさそうです。
介護の仕事は資格がなくても従事できますが、介護福祉士の資格があるとより重要な仕事を
まかせてもらえ、やりがいがあるだけでなく、高待遇も期待できます。
2-3.登録日本語教員
日本語教師になるための資格は、「登録日本語教員」です。
2024年4月に国家資格となり、同年11月に1回目の試験が開催される予定の新しい資格です。
日本語教師には年齢制限がないため、定年後も働け、60代以上の日本語教師も珍しくありません。
オンラインで教えられるので、在宅でできる副業としてもおすすめです。
来日外国人に日本語を教える、海外で現地の人たちに日本語を教えるなど、さまざまな働き方ができるでしょう。
外国人とコミュニケーションをとりたいという方は、登録日本語教員の資格がおすすめです。
近年は、日本や日本の文化に興味を持つ外国人が増加しているといわれており、日本語を学ぶ外国人が増えつつあります。
そのため、日本語教師の仕事は今後、需要の増加が期待できそうです。
また、2024年3月31日には、リモートワーカーの外国人が最大6ヶ月滞在できる「デジタルノマドビザ」が創設されました。
今後は、日本に滞在して日本語を学ぶ外国人がさらに増えるかもしれません。
参考:出入国在留管理庁公式ホームページ在留資格「特定活動」(デジタルノマド(国際的なリモートワーク等を目的として本邦に滞在する者)及びその配偶者・子)
2-4.ファイナンシャルプランナー(FP技能士・AFP・CFP)
ファイナンシャルプランナーは、主に次のようなお金に関する相談を受け、現状を分析し具体的なアドバイスをする仕事で、従事するには資格の取得が必要です。
・資産運用
・不動産
・相続
・ライフプラン設計
…など。
不動産を扱うことも多いので、保険や金融業界のみならず不動産業界の仕事に就いている社会人にもおすすめの資格です。
なお、国家資格のFP技能士と民間資格のAFPとCFPがあり、次のような違いがあります。
・FP技能士:1級から3級まであり、最も難易度が高いのが1級。
仕事で活用するなら2級以上が望ましい
・AFP:FP技能士の2級と同等レベル
・CFP:FP技能士の1級と同等レベル。
受験にはAFPを取得していることが条件。
国際資格としてみとめられている。
ファイナンシャルプランナーの資格は、国家資格と民間資格の2種類がありますが、両者は関連しています。
たとえば、AFPはFP技能士2級に合格し、かつAFP認定の研修の受講をすれば取得とみなされます。
また、CFPを保有しているとFP技能士1級の学科試験が免除となるため、CFPを取得してからFP技能士1級に挑戦するのがおすすめです。
なお、CFPは国際資格として認められているので、海外で仕事をするにあたって有利でしょう。
合格率目安:1級7〜18%/2級20〜60%/3級40〜80%
試験内容:学科・実技
※学科試験は金融財政情報研究会(きんざい)のみ、実技試験はきんざいと日本FP協会で実施。
きんざいの実技試験は面接形式、FP協会は筆記形式で行われるため、受けやすい方を選ぶと良い。
公式サイト:https://www.kinzai.or.jp/(金融財政事情研究会)/https://www.jafp.or.jp/(日本FP協会)
合格率目安:AFPなし/CFP約6〜8%
※AFPはFP技能士2級に合格することが条件のため、AFPの合格率データなし
試験内容:AFP:FP技能士2級合格と認定研修の受講/CFP:学科のみ
2-5.応用情報技術者試験(AP)【IT】
「応用情報技術者試験(AP)」は、ITエンジニアとして応用的な知識と技術を持っていることを証明できる国家資格です。
次の様な業務を行う応用情報技術者を目指すなら、取得すると役立つでしょう。
・企業経営に関する課題に対して、ITを活用した戦略を立案する
・システム設計・開発、汎用製品のインテグレーション(最適組み合わせ)をし信頼性・生産性の高いシステム構築を行い、安定して運用する
なお、2023年に「日系クロステック」で実施したIT資格に関するアンケートでは、この資格が転職や昇進、実務に最も役に立ったと回答しています。
IT系の企業に転職する社会人に役立つ、と言われているのが次の資格で、「3大IT資格」と呼ばれています。
1.基礎情報技術者
エンジニアの登竜門といわれており、IT人材の多くが所有しています。
応用情報技術者試験と問題が重複するので、応用技術者を目指すなら、まずは基礎情報技術者試験を受けてみても良いでしょう。
2.ITパスポート
ITに関する基礎知識を持っていることを証明できる資格。
IT系の国家試験では難易度が低いため、気軽に挑戦できるでしょう。
3.MOS
マイクロソフト社認定の民間資格。
Word・Excel・PowerPointを使いこなすスキルがあることを証明できます。
IT系の仕事以外でも事務などPCを扱う仕事でも役立つので、社会人であれば保有していて損はないでしょう。
どれも難易度はさほど高くないので、これからIT系の仕事をしたいという社会人の方は、これらの資格取得に挑戦してみてはいかがでしょうか。
2-6.ITストラテジスト【IT】
IT系の資格のなかで最も難しいと言われていますが、ITに関する高い能力・知識を持っていることを証明できるのが、ITストラテジスト。
ITストラテジストは、ITを駆使して次のような業務を行います。
・経営戦略を策定する
・事業革新・業務改革を行う
会社経営に関わる内容なので、ITコンサルを目指す人にもおすすめです。
この資格を所有していると、経営に関わる上級エンジニアとして社会で活躍できます。
また、ITストラテジストは他のIT系の仕事よりも給与や待遇が高めなので、難易度は高くても挑戦する価値はあるでしょう。
2-7.中小企業診断士【経営コンサルなど/国家資格】
中小企業診断士とは、中小企業の経営改善や課題解決をサポートする仕事に携わる仕事です。
従事するにあたって、資格取得は必須ではありません。
しかし、中小企業診断士を保有していれば、中小企業の経営に関する専門知識を持っていることをアピールできます。
他にも、コンサルティングファームへ転職する際に有利になるほか、企業の経営や事業企画などでも重宝されるでしょう。
試験ではマーケティング理論についても出題されるため、マーケッターにもおすすめの資格です。
また、財務会計の科目もあるので、銀行員など金融業界の人も働きながら取りやすい資格です。
中小企業診断士は、前職が金融業界だったという人が少なくないといわれています。
合格率は約4%といわれており狭き門ではありますが、取得すると幅広い場面で役立つでしょう。
2-8.宅地建物取引士【不動産】
不動産関連の仕事をしている人、または転職を希望している人は宅地建物取引士を取得するのがおすすめです。
また、保険や金融、建築業界でも不動産に関する知識が必要な業務があるので、宅地建物取引士の有資格者は不動産業界以外でも活躍できそう。
これらの業界に身を置いている人は働きながら学びやすいのではないでしょうか。
宅地建物取引士は不動産取引の際に、クライアントに重要な情報を提示し契約締結を行うのが主な業務です。
この資格がなければ、不動産の売買や賃貸物件の斡旋業務を行えません。
ですので、不動産業を営む場合、従業員5人に対して1人の割合で宅地建物取引士を配置することが法律で定められています。
需要が高く、不動産業界でのキャリアアップや転職に役立つ資格といえるでしょう。
3.国内外資系企業や海外での転職に有利!語学系のおすすめ資格4選
日本にある外資系企業や海外で就職・転職をする際には能力やスキルも必要ですが、それ以前に身に着けなければならないのが、語学力です。
海外で仕事に就くなら、世界的によく知られている試験を受けたり資格を取得したりすることがポイント。
例えば、日本では就職の際にTOEICを採用基準とする企業は少なくありませんが、海外ではTOEICのスコアはあまり基準とされていません。
この章では、世界的に知られている英語と中国語、韓国語の試験・資格を紹介します。
語学系の資格は、通勤中にヒアリング教材を聴く、仕事の休憩時間に単語を覚えるなど隙間時間を活用して学習できるので、社会人でもチャレンジしやすいでしょう。
3-1.ケンブリッジ英語検定【英語】
ケンブリッジ英語検定は日本での認知度は高くありませんが、世界的には最もよく知られている英語試験です。
主に、大学・大学院、企業、行政などにおいて英語ネイティブではない人の英語能力を測ります。
ケンブリッジ大学の英語検定機構が多くの研究を重ねて開発した試験のため、信頼性が高いと見なされているので、自分の英語能力を正確に把握できるでしょう。
英語検定はスコアで判定され、海外の企業で働くには最低限B2レベルが必要といわれています。
B2レベルであれば、海外企業でも通用する語学力があることを証明でき、日本国内の外資系企業に転職するときも役立ちそうです。
基礎レベル:A1〜A2 (スコア100〜140)
初級レベル:B1 (スコア140〜160
中級レベル:B2 (スコア160〜180)
上級レベル:C1 (スコア180〜200)
最上級レベル:C2 (スコア200〜230)
合格率:合否ではなくスコアで判定
試験内容:リーディング、ライティング、リスニング、スピーキング
公式サイト:https://www.cambridgeenglish.org/jp/
3-2.TOFEL(トーフル)【英語】
TOFELもケンブリッジ英語検定同様に世界的によく知られ、英語力の測定にさまざまな機関で採用されています。
0から120のスコアで英語力を示し、海外移住のビザ取得をする際の審査や大学・大学院の出願の際に、TOFELのスコアの提示を求められることも多いです。
高いスコアを出せれば、海外での就職や転職にも役立つでしょう。
目安としては、最低限、国内外資系企業・海外就職ともに80点以上は欲しいところ。
海外就職の場合は、企業や職種によっては100点以上のスコアを求められるケースもすくなくありません。
3-3.HSK【中国語】
日本にある中国系企業などに就職したいなら、日本独自の中国語検定より中国政府認定のHSKが役立ちます。
日系企業勤務の中国駐在員も中国語検定ではなくHSKを受験する場合がほとんど。
日本人など外国人が中国で働く際に必要な、外国人就労許可の審査基準には出身大学や年収などのほか、HSKの合否も含まれています。
1級から6級まであり、数字が大きいほど難易度が高くなる仕組みです。
4級までは合否判定、5級以降はスコアが表示されるのみとなり、正解率60%ほどで合格の目安と言われています。
ビジネスで中国語を使用するなら、HSK5級の正解率60%以上を目指すとよいでしょう
合格基準:1〜4級は合否判定、5〜6級は合否判定なし。6割正解(180点)以上で合格とみなされることが多い
試験内容:リーディング、ライティング、リスニング
※1〜2級はリーディングなし
公式サイト:https://www.hskj.jp/
3-4.TOPIK【韓国語】
韓国語の検定にはハングル検定とTOPIKの2種類ありますが、日本国内の韓国系企業や韓国で就職したいならTOPIKがおすすめ。
ハングル検定は日本独自の試験であるのに対し、TOPIKは韓国政府公認の試験だからです。
HSK同様に1〜6級があり、1〜2級は初級の「TOPIKⅠ」3級以上は中上級の「TOPIKⅡ」に分類されます。
韓国で就職を目指すなら、上級の5〜6級を取得しておくとよいでしょう。
ただし、韓国では現地の人でさえ就職が難しいといわれています。
中小企業と大企業では、待遇面で格差が大きいことから、大企業には募集が集中し、さらに困難に。
高い韓国語力だけで採用されることは滅多にないので、その企業に欲しいと思ってもらえるよう、高いスキルや豊富な知識、経験を積んでおく必要があります。
海外で現地の企業に採用してもらうためにも、資格を取得しておくと役立ちます。
おすすめは、ITと経営、会計に関する資格。
これらの分野は需要が高いことから、採用されやすいといわれているためです。
さらに、次のような世界でも通用する国際資格を保有すると、能力の高い社会人であることを海外でも証明でき、心強い味方となってくれるでしょう。
・認定情報技術者(CITP)
IT分野の国際資格。
高度な専門知識と豊富な実務実績を保有しているIT人材であることを証明できます。
特にアジアでの就職に有利です。
・Microsoft認定資格プログラム(MCP)
マイクロソフト社認定の民間資格。
ITプロフェッショナルやデベロッパーとしての技能や知識を評価します。
・オラクル認定技術者制度(ORACLE MASTER)
オラクル社による民間資格。
システム開発の分野の仕事を目指すなら、取得するとよいでしょう。
取得には、データベースの管理・運用に関する高度な知識が必要です。
・USCPA(米国公認会計士)
アメリカ各州が認定する公認会計士資格で、世界で最もよく知られているビジネス資格の一つ。
特に、監査業務やコンサルティングファームへの転職や就職の際に保有しておくとよいでしょう。
英語で出題されるので、試験に合格すれば英語力の高さも証明できます。
4.取得する資格を選ぶときのポイント3つ
資格を取得したいけれど、どれを選べば良いか迷うこともあるでしょう。
そのような方は、次の3つのポイントを踏まえて取得する資格を絞るのがおすすめです。
4-1.興味があるか
取得しようとしている資格が、自分が興味を持てる分野であることは非常に重要です。
興味のある分野の資格なら、モチベーションを維持でき合格する可能性は高まるでしょう。
取得すれば転職に有利、高待遇が期待できるといったメリットがあっても、その資格の分野にまったく興味を持てなければ、学習する意欲を維持するのは難しいものです。
また、資格を取得しその分野の職種に就いても、興味がなければ仕事がつまらないと感じて、その結果退職してしまったという事態になりかねません。
4-2.需要があるか
仕事で資格を活かしたいなら、需要のある分野のものを取得するのがおすすめです。
需要があるぶん、募集している仕事も多く、就職や転職しやすいでしょう。
なお、需要が高いのは、今後成長が見込まれているIT系や人材不足が深刻化している介護系や保育系などが挙げられます。
4-3.価値が高まるか
資格取得をすることによって、人材として価値が高まるものを選んでも良いでしょう。
例えば、この記事で紹介したITストラテジストは非常に難易度が高い資格です。
しかし、その分保有している人が少なく、高い専門知識を持つ人材として職場でも重宝されます。
転職などでも採用される可能性が高まるでしょう。
まとめ:おすすめの資格を取得してより活躍できるビジネスパーソンを目指そう
おすすめの資格は、活躍したい業界や目指すキャリアによって異なります。
しかしどの業界であっても、資格を保有していれば高いスキルや専門的な知識を保有する人材として、重宝されるでしょう。
資格を持っていることで、積極的に仕事を任せてもらえたという人も少なくありません。
職場でもっと活躍したいという方は、今の仕事に関連した資格がおすすめです。
昇給や昇進ができたり、よりやりがいのある仕事をまかせられるかもしれません。
既に基礎的な知識やスキルが身についている分、働きながら学習しても理解するスピードが速いでしょう。
一方で、今と仕事とは異なる業界に関する資格を取得すれば、異業種への転職の可能性が高まります。
同じ業界で働き続けても、今までとは違う仕事に就いても、資格があることでできる業務が増え、可能性が広がるでしょう。
より有能なビジネスパーソンを目指す意味でも、資格の取得を検討してみてはいかがでしょうか。