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2024.03.18

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飛行機の機体を種類ごとに詳しく紹介!特徴や開発された理由も解説

出張や旅行で飛行機を利用するとき、e-チケットや予約画面に「Boeing787」「AIR BUS900」など
機体の種類が記載されているのを見たことはありませんか。

飛行機が好き、飛行機マニアだという方以外は、飛行機の利用時にはJALやANAなどの航空会社を意識することはあっても、
機体はさほど気にならないかもしれません。

しかし、機体の種類の特徴や開発の経緯などを知っておくと、空の旅がより楽しいものになりそうです。
例えば、機体によっては日本の企業が開発に大きく関わっていたり、環境に配慮した機体が開発されたりしています。

この記事では、代表的な航空機メーカーと機体の種類を紹介します。

1.飛行機の代表的な航空機メーカー2社

代表的な航空機メーカーといえば、「エアバス」と「ボーイング」です。
飛行機に詳しくなくても、これら2つのメーカー名を聞いたことがあるという方は多いのではないでしょうか。

ボーイングとエアバスは、航空機メーカーの世界市場シェアトップを誇る2大メーカー。
この章ではボーイングとエアバスについて解説します。

1-1.日本のLCC市場シェアトップのエアバス(AIR BUS)

エアバスは、アメリカの航空機メーカーに対抗すべく、1970年にフランスとドイツ(当時西ドイツ)の企業の共同出資により設立されました。
その後、イギリス、スペイン、オランダ、ベルギーなどの主要な航空機メーカーが出資し、
現在では世界で市場シェアトップの航空機メーカーとなっています。

日本においては、LCC(ローコストキャリア)市場の90%以上をエアバスが占めています。

【エアバスを導入している日本のLCC】
・スターフライヤー
・ジェットスター・ジャパン
・Peach Aviation
(ANA及びJALもエアバスを導入)

1-2.日系企業が製造に携わっているボーイング(Boeing)

米国の航空機メーカーで、エアバス同様に世界中の航空会社に機体を提供しているのが、ボーイングです。
民間機のほか、軍用機やミサイル、ロケットエンジン、衛星、衛星打ち上げ機なども製造。

日本とも関わりが深く、三菱重工と川崎重工、SUBARUといった日本企業が機体の主翼などの製造に関わっています。
尚、日本企業の製造割合は次の通りです。

【各機材における日本企業の製造割合】
・ボーイング767:16%
・ボーイング777:21%
・ボーイング787:35%

上記のうち787は、

・東レが主要構造部分の炭素繊維複合材料をボーイングと共同開発
・ブリヂストンがタイヤ提供
・ジャムコがバトリー、ギャレー、フライトデッキのインテリア、バルクヘッドの生産

…を担当。
「準日本製の飛行機」だともいわれています。

2.代表的なエアバスの機体の種類

世界の航空会社に最も多くの飛行機を提供しているエアバスには、どのような機種があるのでしょうか。

ここでは、エアバスを代表する次の3つの機種を紹介します。

2-1.世界初のデジタル式コンピューター制御を導入したエアバスA320


画像出展:ANA公式サイト「機種・シートマップ」より

エアバスのベストセラー機が「エアバスA320」です。

世界の旅客機で初めてのデジタル式コンピューター制御による「フライ・バイ・ワイヤ操作システム」を導入した飛行機です。
かつては、昇降や方向変換などを油圧で操作をしていましたが、
フライ・バイ・ワイヤ操作システムを導入することにより、電気信号によるコントロールが可能となりました。
従来機よりも操縦性や整備性が向上し、より安全性に優れた機種です。

また、空気抵抗を軽減するために主翼の先端に装備するシャークレットをエアバスが開発し、A320に導入しました、
それにより、空力性能が向上し燃費消費と排気量の削減に成功しました。

【スペック】
座席数146席(ANA)/全長34.6m/全幅35.8m/全高11.8m

2-2.エコな飛行機エアバスA350


画像出展:JAL公式サイト「JAL国内線 AIRBUS A350」より

エアバスA350は、より地球環境に優しい飛行機と言えそうです。
胴体に、軽くて強度のある炭素繊維を導入し機体を軽量化したことにより、
燃費が改善され二酸化炭素排出量の削減に成功したためです。
例えば、JALで運行している他の飛行機と比べると、二酸化炭素量の排出量が15〜25%ほど削減できると言われています。

また、ロールス・ロイス社はA350のために新世代エンジン・TrentXWBを開発。
それにより、騒音が抑えられたつくりになっています。

日本では、2024年1月15日にエアバスの新機種A350-1000が羽田空港で公開され、同年1月24日にJAL羽田〜NY線で就航しました。

【主な機種とスペック】
AIRBUS A350-900:座席数 X11:369席/X12:391席(JAL)/全長66.8m/全幅64.75m/全高17.05m

2-3.世界最大のジェット旅客機エアバスA380


画像出典:エミレーツ航空公式サイト「機種一覧」より

エアバスA380は、世界最大のジェット旅客機です。
2階建て構造で、A380を導入した一部の航空会社は、機内に免税店やラウンジ、バー、シャワーなどを設置しています。
その一つであるエミレーツ航空は、A380の広さを活用しファーストクラスの上位クラスとして、
リビングルームやベッドルーム、シャワールームなどを持つ「ザ・レジデンス」を設けました。

しかし、その大きさから燃料コストやメンテナンス費がかさむうえ、座席数の多さが裏目に出て運賃が低下するといった理由から、
注文をキャンセルする航空会社が相次ぎ、残念ながら2021年に生産打ち切りとなりました。

生産されていないとはいえ、運行は継続中。
例えばANAでは、成田〜ホノルル間をA380が運行しています。
このA380は、機体へウミガメに模した塗装を施し、「FLYING HONU(フライングホヌ)」という愛称で親しまれています。

【スペック】
座席数 520席(ANA)/全長72.7m/全幅79.8m/全高24.1m

3.代表的なボーイングの機体の種類

次から紹介するのは、ボーイングの代表的な機体の種類4つです。

それぞれどのような特徴を持つのか、みてみましょう。

3-1.操縦士2人での運行を可能としたボーイング767


画像出展:ANA公式サイト「機種・シートマップ」より

セミワイドボディのやや細長い機体が特徴のボーイング767。
1981年より生産が始まり、日本ではANAが1983年に、JALが1985年に導入しました。

特筆すべきは、次のようにコックピットをハイテク化した点です。

【FCC(フライト・コントロール・コンピューター)】
機種の上下と・横転・左右軸を異なるコンピューターによって姿勢が制御されていたものを一つに統合。

【FMCS(フライト・マネジメント。・コンピューター・システム)】
最適な飛行高度や推力、速度設定をコンピューターで算出する機能を搭載

さらに、FCCとFMCSを連動させた「AFDS(オートパイロット・フライト・ディレクターシステム)」を採用しました。
これにより、以前は2人の操縦士と航空機関士の3人で飛行機を操縦していたところを、操縦士2人での運行が可能に。

ボーイング767以降に開発された機体のほとんどの機種は、
操縦士2人で操縦されていることを考えると、歴史を変えた機種と言えるでしょう。

【主な機種とスペック】
ボーイング767-300ER:座席数 252席/261席(JAL)、202席(ANA)/全長54.9m/全幅47.6mまたは50.9m/全高16m

3-2.航空会社の要望を取り入れたボーイング777


画像出展:ANA公式サイト「機種・シートマップ」より

「トリプルセブン」とも呼ばれている飛行機が、ボーイング777です。

機体の開発では、設計段階で航空会社が要望を提示する「Working Together(ワーキング・トゥゲザー)」を結成。
ANAやJAL、ユナイテッド航空など、ボーイング777のローンチカスタマーの要望が取り入れられていることが特徴です。

例えば当初は、767を導入している航空会社からの受注を得るために、ボーイング777は767の派生型として開発が予定されていました。
しかし、ANAやユナイテッド航空などは767と同じコックピットを拒否。
そこで、747-400のコックピットをベースに最新技術を盛り込んだコックピットを開発し、「767-X」という名称の予定が「777」となりました。

【主な機種とスペック】
ボーイング777-300ER:座席数244席(JAL)、212席(ANA)/全長73.9m/全幅64.9m/全高18.5m

3-3.従来機より客室が広くなったボーイング787


画像出展:ANA公式サイト「機種・シートマップ」より

ボーイング787は777の後発機です。
構造や操縦手順などは極めて似ていると言われており、異なるのは787は操縦中に目線を下げずに飛行中の計器情報を確認できるところ。
よって、悪天候時でも滑走路を早く見つけやすくなりました。

機体が広く、開放感がある点も特徴です。
767よりも機内幅が約17%広くなったうえ、天井が高くなり、シート頭上の手荷物入れにより多くの荷物を収納できるようになりました。
また、従来機よりも窓が1.3倍大きくなったため、視界が広がり、圧迫感を感じにくいでしょう。
さらに、窓の日除けは手でスライドするタイプではなく、ボタン一つで透過光量を5段階でコントロールできるようになりました。

【主な機種とスペック】
ボーイング787-9:座席数195席/203席/239席(JAL)、215席/246席(ANA)/全長62.8m/全幅60.1m/全高17m

3-4.地方空港のジェット化を推進したボーイング737


画像出展:ANA公式サイト「機種・シートマップ」より

ジェット機のなかでも機体が小さめの飛行機が、ボーイング737です。
日本の地方空港のジェット化を推し進めた立役者といわれています。

かつては日本の地方空港の多くはプロペラ機を運行していました。
しかし、737の登場で地方空港もジェット機を運行できるようになったためです。

737は、最先端テクノロジーを導入した機種が生産されており、代表的なものがボーイング737-800です。
737-800は、787の開発で得られた次のようなノウハウが活かされています。
例えば、BSI(ボーイングスカイインテリア)は、機内スピーカーの音響改善や機内の騒音低下など、快適さが向上しました。

【主な機種とスペック】
ボーイング737-800座席数:144席/165席(JAL)、166席(ANA)/全長39.5m/全幅35.8m/全高12.5m

4.その他の種類の飛行機

次からは、エアバスやボーイング以外で、海外の航空会社が提供している飛行機の機種も見てみましょう。

4-1.エンブラエル190

エンブラエルは、エアバス、ボーイングに次ぐシェアを持つブラジルの航空機製造会社です。
エンブラエル190は78から124人乗りの小型ジェットで、小型機の客室空間としては最大級の広さを誇ります。
天井も高いので、小型機であるにも関わらず、さほど圧迫感がありません。

【主な機種とスペック】
エンブラエル190:座席数:95席(JAL)、166席(ANA)/全長36.2m/全幅28.7m/全高10.6m

4-2.DHC-8

デ・ハビランド・カナダ社が開発した小型プロペラ機・DHC-8。日本では、
JAL、ANA系列の航空会社が導入し、地方路線や離島路線などで就航しています。

DHC-8シリーズで最大級の大きさのDHC-8-400カーゴコンビは、前述したボンバルディア社がデ・ハビランド・カナダを買収して改良した機体。
ジェット機に匹敵するスピードと快適性が特徴です。

【主な機種とスペック】
DHC-8-400カーゴコンビ:座席数50(JAL)、72席(ANA)全長32.8m/全幅28.4m/全高8.3m

4-3.ATR-42

ART-42は、ATRが開発した小型プロペラ機です。
ARTとは欧州のプロペラ機メーカーで、座席数50〜100程度、後続距離2,000〜3,000Kmのリージョナル機の世界シェアを30%占める企業です。

日本では天草エアラインと日本エアコミューターが最新鋭の「ATR42-600」を導入しています。
ATR42-600は高い快適性と環境性能(低燃費、低騒音)を兼ね備えていることが特徴です。
また、ATR42-600の改良型・ATR42-600Sは800mほどの短い滑走路でも、離陸可能となりました。

【主な機種とスペック】
ATR-42-600:座席数48(JAL) 全長22.7m/全幅24.6m/全高7.6m

まとめ:飛行機の機体の種類を知って空の旅をより楽しもう

飛行機に搭乗するときには、機体の種類もチェックしてみてはいかがでしょうか。
日系企業が開発に携わっていることや、改良された機能などを知ると、飛行機に乗る楽しみがより増えそうです。
例えば、搭乗予定の飛行機の機体には、取引先の企業が開発に携わっているかもしれません。
商談中のアイスブレイクや、出張の移動中には上司や部下との話のネタになるでしょう。

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文:カワムラ ルイ

編集:Rie.Barsanti(リベルタ)