数ある乗り物のなかでも、飛行機は最も天候に左右されやすい乗り物です。また、整備不良など航空会社の都合によって遅延や欠航してしまうケースも意外と多いもの。ビジネス出張で飛行機が飛ばないとなると、スケジュール変更など手間もストレスもかかってしまいます。いざという時に慌ててしまうことがないようにフライトが欠航・遅延した場合の対応策は常に頭に入れておきたいところ。そこで今回は、海外出張時にもしも飛行機が飛ばなかったとき、知っておきたい対処法や必要な手続きについてご紹介します。
1.飛行機が欠航になるのはどんなとき?
フライトが欠航・遅延する理由は様々ですが、欠航される際の基準は定められています。何らかの原因で「乗客を安全に目的地まで運べない」と判断されるときに欠航になるというのが原則。具体的にどんなときに欠航になる可能性が高いのかを知っておけば欠航のリスクを予想でき、スケジュール変更をしたり、違う交通手段を確保したりするなどの対策をとりやすいでしょう。
1-1.不可抗力による欠航
台風や大雨などの天候悪化は不可抗力による欠航の代表的な例です。特に強風時は離着陸時の安全性を確保するのが難しいという飛行機の特性上、欠航リスクは高まります。また、濃い霧が発生した場合は視界不良によって、雪が降れば滑走路の除雪が必要になる為に欠航することもあるでしょう。
ここで注意しておきたいのが、天候による欠航の基準は航空会社やフライトする飛行機の機種によって異なるという点です。例えばボーイング767とボーイング777では離着陸できる横風の強さが異なります。その為、航空会社が異なったり、同じ路線でも飛ぶ機種が違ったりすれば「A社は運行しているのに、B社は欠航」というケースは十分にあり得るのです。
また、天候以外にもエンジンに鳥が衝突してしまうバードストライクや災害、搭乗地の治安・情勢なども不可抗力な欠航の理由です。また、空港のシステム障害や航空会社のシステム障害も可能性として挙げられます。
天候による欠航であれば事前に天気予報などでリスクは把握できますので、ぜひフライト前には天気予報などを見るクセをつけておきましょう。
1-2.航空会社側の都合による欠航
航空会社のミスによって、機材の故障やシステムの障害、整備不良などが発生すると、飛行機を飛ばすことができなくなり欠航になります。
LCCなどでたまに発生しているのが「パイロットが体調不良で代理パイロットの確保ができなかった」という理由による欠航。人件費を削減し、バックアップ要員を減らすなどして運賃を下げているLCCの事情もあると言えるでしょう。
もちろん、航空会社の都合以外にも、飛ぶ予定だった機材が天候の関係で欠航し、離陸予定地に到着していない、というケースも十分あり得ます。
2.欠航情報の確認方法
乗る予定のフライトが「欠航するかも……」というときは、少しでも早く運行情報を入手したいところです。フライトの運行情報を確認する方法について見ていきましょう。
2-1.空港での確認方法
すでに空港に到着しているなら、空港にある各航空会社のカウンターで、欠航情報が聞けます。また、空港ターミナル内のフライト案内モニタからも運行情報がチェックできます。各航空会社のカウンターで欠航かどうかを確認したい場合、すでに多くの人がカウンターに訪れている可能性もあるため、混雑していて情報を得るまでに時間がかかってしまうかもしれませんのでご注意を。
2-2.空港に行く前に確認するには?
航空会社のHPや空港のHPでは、リアルタイムで欠航情報が掲載されています。悪天候の場合はもちろんですが、機材トラブルなど航空会社都合の欠航が出る場合もあるため、空港に行く前にチェックしておくことをおすすめします。
空港に行く前に情報を得ておくと、宿泊予約や他の交通機関の予約など、余裕をもって準備できるでしょう。 参考までに、主要な国内空港が発表しているフライト情報が確認できるページをご紹介しておきましょう。
羽田空港 国際線旅客ターミナル フライト情報
http://www.haneda-airport.jp/inter/flight/
成田国際空港 フライト情報
https://www.narita-airport.jp/jp/flight/
関西国際空港 フライト情報
https://www.kansai-airport.or.jp/flight/kix_search
3.欠航とわかったら早めにやっておきたいこと
乗る予定だった飛行機が欠航するとなったら、やるべきことはたくさんあります。振替便に乗る場合も、フライトをキャンセルする場合も、スケジュール調整は必須です。
予定変更に伴う関係者との調整や出張先であれば宿泊先の確保、代替移動手段の手配など、状況に応じて優先順位を考えながら1つ1つこなしていきましょう。
3-1.宿泊予約をとる
フライト欠航後、他のフライト振替できなければ最悪の場合、フライトが再開するまで現地に足止めされてしまいます。そうなれば、空港で一夜を明かすという手段を取らない限り、宿泊先の確保は必須。航空会社の都合で欠航した場合でも、宿泊先を用意してもらえない場合も。
特に、多くの便が欠航になった場合は、空港近くのホテルがいっぱいになってしまう可能性大。いざ「現地で宿泊しかない」となったときに、ホテルが見つからず宿無しになってしまわないよう、欠航・当日のフライト再開が難しいと判断したら、すぐに宿泊できる場所を探しましょう。
3-2.会社/取引先に一報を入れるのも忘れずに
海外出張中では、フライトが欠航になってしまえばその後の予定調整は必須。
クライアントとのアポイントメント日時変更や連絡、その後の移動スケジュールや宿泊先変更など、スケジュールが変わってしまえばやらなければならないことはたくさん。
今後の連絡をスムーズにするためにも、また相手に迷惑をかけないためにも、まずは欠航によりスケジュール変更が必要な旨を、会社や取引先に伝えましょう。
現地でスケジュール調整を一人でするのが難しい場合は、日本のオフィスに応援を頼むこともできるでしょう。
3-3.代替の移動手段を検討する
フライト再開のめどがどのくらいで立つかによりますが、場合によっては代替の移動手段の確保も検討しましょう。飛行機欠航時には振替便の利用以外にも、陸路や海路での移動、フライト経路の変更なども視野に入れて、次の行動を考えましょう。
4.欠航時、航空会社の対応は?
欠航が決まると、航空会社側では運賃の「返金」と「振替便の手配」などの対応をしてくれます。ただし欠航の理由や航空会社によって対応が異なるため、どのように取り扱ってもらえるかを知っておきましょう。
4-1.振替
航空会社の都合によって発生した欠航は、振替便が案内される場合が多いです。振替便は自社便に限らず、他社便も利用できるケースがありますが、必ずしも思うようにいかないのが実情。当日の便で振替できればいいのですが、欠航したフライトに搭乗予定だった全員が同じ便に振替できるわけではないため、翌日の便になってしまう可能性もあるでしょう。
振替便に乗るためには、空港会社の受付カウンターに足を運び「整理券」を受け取るのが第一歩。航空会社側では会員ランクや座席ランクごとに振替手配をしていくため、必ずしも整理券をもらった順番に振替便を案内してもらえるとは限りませんが、少しでも早く空席待ち整理券をもらっておけば、より早く振替便に乗れる可能性が高まります。
欠航の理由が悪天候など、航空会社側の責任でないケースでは、振替可能なのは基本的に航空会社の自社便のみ。一方、欠航理由が機材故障などの場合には、他社便含めて振替が可能になるのが一般的です。
ただしLCC(格安航空会社)は、そもそも振替対応をしていないもしくは、振替できても自社便のみというケースが多いのでご注意を。振替対応がされていない場合、基本的には欠航便の料金は返金対応となります。
4-2.返金
振替便を利用せず、フライトをキャンセルする場合には、チケット代を返金してもらえます。欠航便は返金時の、払い戻し手数料や取り消し手数料などは必要ありません。
わざわざ返金のために空港に出向く必要はなく、期限内に各航空会社のホームページから、返金手続きをするだけでOKです。返金期限まで、おおよそ1ヶ月ほど猶予があるものの、期限過ぎてしまうと返金対応してもらえないため、早めに返金手続きをしておきましょう。
5.欠航時の振替・返金手続きの方法
いざ飛行機が欠航することになったら、振替もしくはキャンセルして返金手続きをするわけですが、それぞれの対応方法を知っておくと安心です。空港で「どうしたらいいの!? 」と慌てないように、フライト欠航時の振替・返金手続きの方法を具体的にご紹介します。
5-1.振替は空港カウンターでの手続きがおすすめ
欠航時、フライトの振替希望する場合には「空き便の予約」もしくは「空席待ち」どちらかを選択する必要があります。ケースバイケースではありますが、少しでも早く出発したいなら「空席待ち」を選択するのが一般的。空席待ち整理券を空港カウンターで発券してもらい、空港で待機しましょう。また、急ぎで移動したいときは、経由便や他社便を探してもらえることもありますので、航空会社カウンターで相談してみると良いでしょう。
もし、日程的に余裕があるなら、後日出発予定で空席があるフライトの予約も視野に入れましょう。振替便の予約は電話でも可能です。
「空席待ち」と別の「空き便の予約」どちらがいいか判断に迷う場合は、同時に手配しておくのがオススメ。別便に振替予約しているケースでも、空席があれば繰り上げ搭乗できるという航空会社もあります。対応は会社によって異なるので、どの手段がベストかは、航空会社に問い合わせてみるのが確実です。
ここで注意したいのが、振替時に航空会社側が用意できる振替便の数には限りがあるということ。
当然ながら「空き便の予約」を希望する人が多い場合、利用しやすい便からどんどん埋まっていってしまいます。できるだけ早く振替希望を伝えることが肝心です。
手続きはインターネットや電話、空港カウンターで可能ですが、一番早くて確実なのは、空港カウンター。インターネットや電話は、同じように振替を希望する人達の影響でつながりにくくなっています。空港のカウンターに並んで手続きをしたほうが早いでしょう。
5-2.返金は落ち着いてからでOK
フライトをキャンセルした場合に受けられる返金手続きはそれほど急ぐ必要はありません。
欠航日当日は、振替を希望する人たちが多く集まるため空港カウンターの混雑が予想されます。
返金手続きは後日できますので、まずは宿泊先などを確保して落ち着いてから、返金手続きを行いましょう。払い戻し手続きは、出発予定日からだいたい10日〜40日以内が手続き期限。航空会社ごと、もしくは欠航理由によって期限が異なりますので注意しましょう。
手続きをすると、銀行振り込みもしくはクレジットカードで返金されます。
また、代理店を通じてチケットを購入した場合は、航空会社ではなく、代理店経由での返金となります。代理店に問い合わせてみましょう。
6.海外旅行保険があれば安心!
海外出張中に飛行機が飛ばなくなってしまった場合、頼りになるのが「海外旅行保険」です。万が一に備えて、海外出張時は必ず加入しておきましょう。海外旅行保険について、詳しく紹介します。
6-1.海外旅行保険とは?
欠航によって、思わぬ費用がかかってしまう場合があります。その費用を賄ってくれるのが、海外旅行保険です。保険の種類はいくつかありますが「航空機遅延費用」の保障が受けられる保険に加入していると、遅延や欠航をしたことで発生した宿泊費や食事代などに対して、保険が適用されます。
保険によって多少の違いはあるものの、条件はおおむね同じです。6時間以上、代替機が用意されずに出発できなかった場合は、対象となります。
6-2.会社で加入しているか確認しよう
海外出張は、会社の指示で発生する業務です。会社に加入する義務はないものの、社員にもしものことがあったときのことを考え、会社で海外旅行保険に加入している場合も多いです。
会社が加入しているかどうかを事前に確認しておきましょう。
6-3.自分で加入する方法
会社が海外旅行保険に加入していない場合は、自分で加入することもできます。カード付帯の保険もありますので、事前にカード付帯の保険内容も確認しておくと良いでしょう。
参考
「海外出張の保険はクレジットカードで十分!?クレカ保険の実力を検証」
https://www.bthacks.com/2044/
欠航がわかったら素早く対処しよう
天候の影響などを受けやすく、安全に飛べないと判断したときは欠航してしまうリスクのある飛行機。他の交通機関よりも遅延や欠航が発生しやすいと意識して、もしもの時に備えて対策を万全にしておきましょう。
欠航になるかどうかの情報を早く得られれば、宿泊をするのか、それとも違う交通機関を使うのか…など欠航に伴う手続き時にも、心に余裕が生まれます。海外出張をスムーズにこなすために、ぜひ参考にしてみてください。
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