取材記事

2025.12.01

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多胎妊娠・育児の“情報格差”を解決!2人が立ち上げたアプリ「moms」とは

株式会社pono 代表取締役 牛島智絵氏/取締役 古島夏美氏
※写真:古島さん(左)牛島さん(右)

双子や三つ子などの多胎妊娠・育児に特化したアプリ「moms(マムズ)」が、株式会社ponoより今年2025年3月5日(ふたごの年のみつごの日)にリリースされました。
多胎育児は情報が少ないゆえ、多胎妊娠・育児に関する悩みは社会から見過ごされがちという課題があります。
なぜ、お二人は「多胎」に特化したのか、そして、このような課題をアプリという「事業」へと具現化させた背景には何があったのでしょうか。
その経緯を、株式会社ponoの経営者であり双子の母でもある牛島智絵さんと古島夏美さんに伺いました。
多胎妊娠・育児に関する課題を解決したいという強い思いから事業として立ち上げたプロセスは、多くの人の仕事やキャリア形成におけるヒントになりそうです。
 

1.「どうしたら良いかわからない」から産まれた多胎アプリ『moms』


画像引用:https://moms-app.com/tataiapp/
こうした悩みや情報不足で不安でいっぱいの妊産婦を助けるプラットフォームとして開発した「moms」。

近年は世のニーズに応えるべく、さまざまなアプリが開発されています。
新たな事業として、アプリ開発や提供を検討したことがある人も多いでしょう。
そのときに特に気になるのは、どのようなアプリを作るのか、そしてどうやって資金調達したのかという点ではないでしょうか。
最初に、momsの特徴と多胎妊娠・育児に特化した理由、そして作られた経緯を伺います。

Q.momsとはどのようなアプリでしょうか。
ーー牛島さん
momsとは、双子や三つ子などの多胎妊娠・育児支援のアプリで、多胎妊娠や育児中の人たちに「情報・つながり・居場所」を届けることを目的としています。
多胎妊娠・育児に関する情報は圧倒的に少なく、それだけに不安を感じる親は少なくありませんし、さまざまなリスクがあるうえ、過酷です。
また、私が妊娠したときに既存の妊娠育児アプリを使い始めたのですが、単胎妊娠を前提としたアプリで提供される情報と目の前に広がる状況とが違いすぎたんです。
こういった経験があり、オンラインでつながれていつでも相談できる多胎妊娠・育児向けの場所を作りたいという思いが強まり、このアプリを開発しようと決めました。

「moms」機能紹介

momsは「多胎ママが多胎ママのために、多胎ママと一緒に作る」ことをテーマとしたアプリで、多胎妊娠や育児中のニーズに応える次のような機能が備わっています。


画像引用:https://moms-app.com/tataiapp/
多胎アプリ「moms」。ユーザーからは「お風呂、発達、ねんね、授乳など、項目ごとに相談できる」「このアプリを開けば、リアルな多胎児家族の生の声がいつでも聴ける」と高評価。

・多胎sos
地域の支援団体や保健師などに直接相談できる機能。

・コミュニティ機能(SNS機能)
多胎育児中の親同士が情報交換できる場。

・ショップ機能
多胎ママおすすめの多胎育児に役立つアイテムを購入可能。

・今後の展開予定
育児記録、多胎MAP、AIサポートなど。
公式サイト:https://moms-app.com/

Q.2人がタッグを組み、アプリ開発に至った経緯を教えてください
ーー古島さん
私は2020年に双子を出産後、Instagramで双子育児について発信を始めました。
でも「自分の情報だけでは足りない。みんなの情報をシェアできる場が必要」と感じ、2023年2月5日の「双子の日」にオンラインコミュニティを立ち上げ、多胎妊娠・育児中の親が交流する場を作ったんです。

ーー牛島さん
私は2021年に双子を出産し、多胎妊娠・育児の過酷さと、情報がないことによる「社会の壁」に直面していました。
2024年4月に一般社団法人tatamamaを設立して活動を始めたあと、「多胎妊娠・育児中の親により広く支援を届けるためにアプリを作ろう」と決意しました。
妊娠中から古島さんの発信に支えられてきて、この人と一緒に活動したい」と強く思い、資金調達の目途が立ったタイミングで、声をかけたんです。

Q.古島さんは、具体的にどのような活動をしていましたか?
ーー古島さん
オンラインで双子育児の悩み相談や情報交換ができるコミュニティを運営していました。

私は2020年に双子を出産し、その際、双子妊娠や育児の情報がとても少ないと感じたことから、情報を発信し始めました。
双子を産み育てている経験を活かした自分の発信が、誰かの役に立ち、悩みを解決できたら嬉しいと考えたためです。
そこで、子育て中の人たちみんなが情報をシェアしあえるような場があれば良いなと感じ、コミュニケーションツールのDiscordでコミュニティを立ち上げたところ、600人もの人が集まってくれたんです。
その際に、牛島も参加してくれたんですよ。

Q.「moms」はどのように開発したのでしょうか?
ーー牛島さん
資金を調達するだけではなく、多胎妊娠・育児に特化したアプリの必要性を多くの人に知ってもらうために、さまざまなビジネスコンテストに応募しました。

そのようななか、私が住む福岡市で、社会課題の解決に取り組む起業家を支援する「ソーシャルスタートアップ成長支援事業」の募集が始まり、そこに応募したところ私たちのプロジェクトが採択されました。
この事業に採択されると、ふるさと納税で集まった寄付金が、ソーシャルスタートアップへの補助金として交付される仕組みです。
2024年のふるさと納税で約300万円もの資金が集まり、アプリ開発会社と相談しながらmomsを開発することができました。

Q.アプリ開発中に困ったことはありましたか。
ーー牛島さん
欲しい機能をすべて実装するためには、予算が足りなかったことです。
しかし、出会ったアプリ開発会社の方が「最初から搭載したい機能すべてを備えようとするのではなく、まずは必要最低限の機能でリリースし、ユーザーの反応を見ながらブラッシュアップすれば良い」と背中を押してくださいました。

低予算でアプリを開発できるようになった理由
かつては、アプリ開発には多額の資金が必要でした。
しかし近年は、プログラミング知識がなくてもアプリを作れるノーコードツールが登場し、少ない工数や人員でアプリ開発が可能となったため、コストを削減できるようになりました。
また、開発業務を人件費の安い国に委託する「オフショア開発」を行えば、プログラマーの人件費を削減でき、アプリ開発のコストをおさえられます。

ーー古島さん
momsを作ろうと決めたのが、2024年の秋ごろ。
momsリリースを2025年3月5日の「ふたごの年のみつごの日」と決めていたので、それに間に合うように活動していた時期が本当に大変でした!

Q.多胎妊娠・育児に特化したアプリを手掛けた理由を教えてください。
ーー牛島さん
多胎妊娠・育児の当事者として、関連する情報がとにかく少なすぎると思ったからです。
多胎育児を経験してみて、情報の少なさから私と同じように孤立し、困っている人をサポートする必要性を感じ、2023年7月に一般社団法人tatamamaを設立しました。

するとやはり、双子や三つ子を持つ親たちが多くの悩みを抱えていることを痛感し、現在の状況を改善したいと強く思いました。

多胎育児中の親たちと交流するイベントを開催したところ、多くの人たちが悩みを抱えつつも、どこに相談したらよいかわからないといった状態だったんです。
単胎育児の子育て情報はあっても、多胎育児の悩みを解決できそうな情報がなかなかみつからないんです。

そこで、解決の糸口を探るために、まずは子育て支援や保健センターなどに相談に行きました。
ですが各窓口や担当者からは、「これでいくら儲けているんですか?」「何のためにこんなことをしているんですか?」と心無い言葉をかけられてしまいました。

多胎育児に対する理解が少ないことに悲しさや悔しさを感じましたが、その経験が、諦めずにmomsを作ろうと挑戦し続けた大きな原動力になっています。

ーー古島さん
私が目指していた「みんなで情報をシェアする場」の構想と、牛島の「より社会的な支援を目指す」という思いが重なったことで、多胎妊娠・育児の課題を本気で解決するアプリができました。

「双子の日」「三つ子の日」記念日には諸説あり

何月何日が「双子の日」「三つ子の日」とされるかには諸説あり、「moms」がリリースされた2025年3月5日とは別に、主に次の日付があげられます。

・双子の日:2月5日、11月25日、12月13日
・三つ子の日:3月25日

こうした複数の記念日をうまく利用して、サービス告知やプロモーションに役立てるのもいいでしょう。

2.一般的な情報ではカバーしきれない多胎妊娠・育児


古島さんは、双子育児が大変で自由に外出ができず「ほかの人と違うんだな」という孤独感を抱えていたこともあったという。

双子や三つ子の出産・育児は「年子の育児と変わらないのではないか」「出産や世話をする人数が単に増えただけだろう」と思われがちですが、単胎育児の大変さとはまるで質が違うといわれています。
当事者でないと多胎に関する情報の重要性は理解しにくいですが、双子を出産し育児をしている牛島さんと古島さんのお話を聞くと、多胎出産と育児の大変さが理解でき、momsの重要性がわかります。

Q.多胎出産は単胎の場合とどのように異なるのでしょうか?
ーー牛島さん
双子や三つ子を妊娠した時点でハイリスク妊娠と判断され、出産時には次のようにさまざまなリスクがあります。

【多胎出産のリスク例】
・早産
多胎妊娠は早産リスクが高い傾向にあり、多胎児の5割が37週未満で産まれる。
一般的に子どもは、妊娠37週0日から41週6日の間に産まれ、37週未満で産まれる場合は早産とみなされる。

・低出生体重
多胎児の7割が2500g未満の低出生体重児。
新生児集中治療室(NICU)に入院する可能性が高くなる。
在宅酸素が必要な「医療的ケア児」と呼ばれる赤ちゃんも少なくない。
長期的にも神経発達や成長に影響を及ぼす可能性があるともいわれている。

参考:https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000520465.pdf

ーー牛島さん
このように、多胎出産はさまざまなリスクがあり、母体や赤ちゃんへの負担が大きいんです。
ですから、出産できる病院は大学病院や総合病院などに限られてしまいます。

ーー古島さん
「病院食が美味しくて、ホテルみたいな内装のこの病院で産みたい」と願っていても、希望する病院では多胎出産を受け入れていない場合があります。
そのため、その願いが叶わない可能性が高いんですよ。
私もその一人でした。

Q.多胎育児も単胎の場合とは異なりますか?
ーー牛島さん
異なると思います。
育児書に書いてある方法は、ほとんどが単胎育児向けなので参考になりませんでした。

例えば、一般的な育児書には「抱っこしながら授乳し、赤ちゃんの目をみつめる」と記載されています。
しかし、双子や三つ子の場合は、この方法では授乳できません。
出回っている育児に関する情報のほとんどが単胎育児向けなので、多胎育児の場合はどうしたら良いのかと途方にくれることは多々あります。

・生活面での負担
2010年にNPO法人いしかわ多胎ネットが実施した多胎育児に関するアンケート調査によると、「子どもをもって負担に思うことは何か」という説いに対して、単胎育児家庭では約8割、多胎育児過程では約9割が何らかの負担を感じており、なかでも肉体的負担と経済的負担が大きいと回答する割合が多い。

・肉体的負担
多胎育児は、親が十分に睡眠や休息を取れていない傾向にある。
5歳6ヶ月以下の双子や三つ子を育児中の母親で、「身体の疲れが大きい」と回答したのは半数を超え、特に6ヶ月と1歳6ヶ月の子どものケースでは母親の約8割が疲労を感じているという結果となった。
一方、単胎育児で疲労を強く感じていると回答した人の割合は5割以下だった。

・経済的負担
多胎育児は経済的な負担も大きい。
2人以上の子どもを同時に育てるため、単胎育児家庭と比べて約2倍の出費が生じる。
アンケート調査では、子どもが6ヶ月のときは多胎育児家庭の出費が単胎育家庭よりもやや上回る程度だが、1歳6ヶ月を超えると、多胎育児家庭の出費は単胎育児家庭の約2倍となっている。

多胎育児のストレスが要因で、多胎育児は単胎育児よりも虐待率が高いといわれている。
同調査で「子どもを虐待しているのではないかと思うことがあるか」という質問に対して、3〜4割の多胎育児家庭の親が「叩く」「感情的な言葉を浴びせる」など、虐待しているかもしれないと回答した。
この数字は、単胎育児家庭の親の約2倍である。
とはいえ、何が虐待に該当するかは人によって捉え方が異なるため、必ずしも多胎育児家庭は虐待率が高いとは言い切れない。

参考:https://jamba.or.jp/wp-renewal/wp-content/uploads/2020/12/JAMBA.HPquestionnaire.pdf

Q.育児の仕方がわからないとき、どうしているのでしょうか?
ーー古島さん
何が正解なのかがわからないまま、育児をし続けるしかないんです。
子どもたちが赤ちゃんだった頃を振り返ると、どうやって育てたのか覚えていません。
わからないけれど、とにかく「育てなければ!」と必死だったので。

例えるなら多胎妊娠・育児は、基本的な問題の解き方すらわからないのに、センター試験の難解な問題を解いているようなものなんです。
赤ちゃんが産まれたばかりのときは、育児が本当に大変で「赤ちゃんのお世話の記憶がない」という人が多いんですよ。
でも、私は育児をした記憶をできるだけ残したいと思いました。
実は、多胎を妊娠する確率はたったの1%。
なかなか経験できない奇跡でもあります。多胎育児は大変だけれど、多胎だからといって諦めるばかりではなく、もっと楽しみたいという気持ちで、育児の様子をInstagramにアップしていました。

3.双子育児やmoms開発を通じて助け合える関係性が生まれた


起業家の牛島さんは、自身の事業が困難に直面しても「気合と根性」で乗り越えてきた。しかし、双子育児は気合と根性では乗り越えられないことを痛感したという。

出産や育児は多胎・単胎に限らず、親への負担は大きいものですが、お二人は育児中の困難ななかでも得たものは大きいといいます。
お二人の経験から得た「課題解決力」や「新しい仕組みを作る力」は、新たな事業を生み出すヒントになるでしょう。

Q.多胎育児は大変だったと思いますが、その一方で良かった点はありますか。
ーー古島さん
もちろんあります!
双子の親というだけで、多くの人と助け合える関係が構築でき、それは私の財産になっています。

双子を育てるなかで、自分には限界があることを知りました。
体力や精神の限界を迎えて、自分が壊れてしまうのではないかと感じたことがあります。

私が壊れてしまったら、誰がこの子たちを育てるのだろうかと考えると、子どもたちを育て続けるためには、勇気を出して助けを求めなければならないと学びました。
助けを求めれば、助けてくれる人がいるんですよ。

ーー牛島さん
私は、多胎育児を通じて今日一日を精一杯がんばっている育児中の人たちの支えになるという着地点を作れたことが良かったですね。
momsの開発に導くために、私のもとに双子が産まれてくれたのではないかと、強く思っています。
20代、30代とまったく違う仕事をしてきましたが、双子が産まれたことで、過去に経験したことがすべて一つに繋がりました。

Q.momsの開発には苦労した点もあったと思います。どのように乗り越えましたか?
ーー古島さん
苦労したというより「失敗したらどうしよう」という不安がありました。
もともと私は新しいことをすることは好きなのですが、今まで世の中にないものを作るということにはプレッシャーを感じていたんです。
そのときに、牛島が「失敗しても大丈夫だから、やりたいことをやろう」といってくれ、その言葉が支えとなりmoms開発中のプレッシャーを乗り越えられました。

ーー牛島さん
私も古島に助けられました。
moms開発のために法人化をしようとした際に、古島から「ちえちゃんの究極の右腕になる自信がある」と言ってもらえた言葉の力は大きいです。
多くの人と一緒に仕事をしてきましたが、ここまで言い切ってもらえたことはありませんでした。
とても安心しましたね。
それから、一緒に事業をしている人や家族に助けを求められるようになったことも大きいです。

Q.以前は、ほかの方に助けを求めることは少なかったのでしょうか?
ーー牛島さん
誰かに助けを求めることは、少なかったと思います。
私は、気合と根性さえあれば、自分で何でも乗り越えられると思っていたんです。
でも、双子育児を通じて気合と根性では解決できないことがあることを知りました。
また、あるお世話になった人が、過去にこう言ってくれたんです。

「心のなかで『助けて』と思っていても、言葉にしなければ誰も助けてくれない。
でも、私は、本当に助けを求めて、手を伸ばしている人の手は絶対に離さない」

この言葉をいただけたことも、大きいです。
事業でも育児でも、助けを求めれば手を差し伸べてくれる人がいるんだとわかってから、「助けて」といえるようになりました。

多くのものを得られる多胎育児ー1%の奇跡と絆ー
 
双子を妊娠する確率は約1%。
この貴重な経験を共有する多胎ファミリーには、特別な絆が生まれるといわれている。

今回の取材でも牛島さん・古島さんどちらも「初めて会った人でも、双子または三つ子の親であるというだけで、仲間意識が芽生える」と話していた。
多胎育児は大変ではあるが、多胎育児の当事者同士で助け合ったり、困難を乗り越えることで視野が広がったりするのかもしれない。

参考:https://jamba.or.jp/wp-renewal/wp-content/uploads/2020/12/JAMBA.HPquestionnaire.pdf

4.ユーザーみんなでmomsを育てていく


互いを「なっちゃん(古島さん、画像左)」「ちえちゃん(牛島さん、画像のモニター画面)」と呼び合っている。インタビュー中も2人は互いを信頼していることがうかがえた。

リリースが決まった時点で多胎妊娠・育児中の方々から多くの期待や喜びの声が寄せられたmoms。
今後は新たな機能が実装予定で、多くの多胎家庭を支えるプラットフォームになりそうです。
最後にmomsの未来の姿について、伺いました。

Q.今後、momsをどのように展開していきたいと考えていますか?
ーー古島さん
もっとmomsを広めたいと考えています。
ですが、当事者の私たちだけでmomsを広めていくには限界がありますから、momsをサポートしてくれる人を増やしたいですね。
そのためには、多くの人に多胎妊娠・育児を理解してもらう必要があります。

多胎妊娠・育児をしている人同士だけで助け合うのではなく、単胎、多胎に限らず育児中の人が助け合える社会になると良いと思っています。

また、育児や家庭のことだけでなく、仕事も含めて、すべてを良いバランスで行えるようサポートしたいんです。
momsの運営会社の社名は「pono(ポノ)」で、ハワイ語で「調和、バランス」を表します。
産後に自分を取り戻せなくて気持ちが不安定になっている親たちが、自分にとってちょうどよいバランスで生き続けられるよう、願いを込めてこの名を付けました。

ーー古島さん
ユーザーには「momsは古島と牛島が作ったもので2人のmomsだ」と考えてほしくないんです。
「みんなのmoms」だと認識してもらえるようにmomsを広めたいですし、そう思ってもらえるよう、誰もがmomsの活動に参加できる居場所作りをしようとしています。

ーー牛島さん
みんなが、「多胎育児の情報を一人でも多くの親に届けたい」
「momsでの自分の発信が誰かのヒントになってほしい」といった思いがあり、携わっている人やユーザーみんなで一緒にmomsを育てています。
携わってくださっているみなさんには感謝しかありません。

まとめ:抱えていたもどかしさをビジネスへと具現化したmoms

「momsは2人が作ったものではなく、みんなのmomsでありたい」 そう語る古島さんと牛島さん。
多胎妊娠・育児の当事者だけでなく、単胎育児中の人や支援者も巻き込みながら、 社会課題をみんなで解決していくプラットフォームを目指しています。

momsを開発する前のお2人は、多胎妊娠・育児に関する情報量が少ないことから「社会に理解してもらえないもどかしさ」を抱えていました。
それは、多胎妊娠・育児の情報を得られず悩んでいる親がいるにも関わらず、社会で問題視されずに見過ごされているという事実です。
それに気づき行動に変え、多胎妊娠・育児の課題をビジネスとして解決しようとする姿勢は、ビジネスのアイディアを探している人や起業を志す人にとっても大きなヒントになるのではないでしょうか。

牛島智絵
株式会社pono代表取締役/一般社団法人tatamama代表理事
2021年に双子を出産。
育児中に多胎育児の過酷さと孤独を体験し、その原体験から多胎家庭専用アプリ「moms」を開発し、【情報・つながり・居場所】を国内外14ヶ国に届ける循環型プラットフォームを構築。
現在も自治体・企業・大学と連携し、多胎家庭のウェルビーイングを高める活動を推進している。

moms:https://moms-app.com/

古島夏美
株式会社pono取締役
1990年生まれ。
新卒で株式会社ベネッセコーポレーションに入社し、 小学生向け教材制作の教科責任者やデジタル教材開発に携わる。
2020年に双子を出産。
出産を機にInstagramでの発信を開始し、オンラインの多胎コミュニティを立ち上げるなどの活動を経て、2025年2月より株式会社pono取締役に就任。
現在は、多胎家庭向け妊娠育児アプリ「moms」の開発・運営や、他事業の推進などを行っている。

Instagram:https://www.instagram.com/furushimake

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