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2025.12.10

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円安でも充実の海外旅行へ!航空券や両替などお得な旅の裏技を紹介

円安の昨今、海外旅行をしたいと思っても、費用の高さが悩みだという人は少なくないでしょう。
ヨーロッパなどでは物価高の影響もあって費用はかさみやすいですが、工夫すれば出費のコントロールは可能です。
スペイン在住の筆者にとっても、円安円高は生活に関わる問題であり、手頃な航空券を見つけるコツなどについて、常にアンテナを張っています。
本記事では、これまでの経験を踏まえ、航空券購入をはじめ、両替やネット環境など、円安でも海外旅行の費用を抑える方法を探ります。
ビジネスで海外に滞在する人にも役立つので、ぜひ参考にしてください。

目次

1.海外旅行時もチェック!円安の意味と円相場の動向

まず最初に、円安とはどのような意味を指すのか整理するとともに、海外旅行にどのような影響があるのかを考えてみましょう。
海外旅行の前にできるだけ有利な状況で換金するには、どんなことを頭に入れておくべきでしょうか。

1-1.円安とは?

円安とは、ドルやユーロなどの外国の通貨に対して、円の価値が下がることを指します。
円を外貨に換える需要が高く、円が多く売られて外貨が買われると円安となり、その逆の状態になると、円高が進行します。

欧州統一通貨であるユーロから日本円への為替レートを見ると、2020年頃は現在より円高で1ユーロ120円前後でしたが、最近では1ユーロ170円を超え円安の状況が続いています。

海外旅行の例で考えると、1泊200ユーロのホテル代の場合、次のような差が生じます。

1ユーロ120円の場合:ホテル代 24,000円
1ユーロ170円の場合:ホテル代 34,000円

1泊で約10,000円の差が出ると思うと、円相場は海外旅行に大きな影響を与えることがわかるでしょう。

なお、為替レートとは、外国為替市場で通貨が売買される際の交換比率のこと。
海外旅行などの際に外貨へ両替するときには、為替レートに、金融機関や外貨両替所など業者によって異なる手数料が上乗せされます。
両替時になるべく手数料の少ない業者を選んで、円安の影響を最小限に抑えましょう。

海外旅行時に通貨を簡単に円換算するには?

海外旅行先の飲食店などで「円でいくらなのか感覚がつかめないまま、クレジットカードで払った」という経験はないでしょうか。
クレジットカードの請求額を見て後悔しないように、海外でも日本国内同様に支払額を自分で把握できるようにしておきましょう。

以下の参考サイトのような円と外貨の計算機を使うか、自分で「1ドルは約150円」「1ユーロは約200円」など計算しやすい数字で覚えておくと、支払い時に計算しやすくなります。

参考サイト:https://fukuno.jig.jp/app/calc/exchgeuro.html

1-2. 円安が海外旅行に及ぼす影響は?

円安のデメリットは、今回紹介するように、海外旅行の費用が円高時より高くなることが挙げられます。
輸入品の価格が高騰し、エネルギーや食品など、私たちの生活のあらゆる物価が上昇する可能性があることも重視すべき点です。

円安の日本経済へのメリットといえば、インバウンド客の増加です。
円が強かった時代には、スペイン人などには「日本は物価が高い」と敬遠されていました。
今では、気軽に日本を訪れる人が増加しています。

輸出する際に、日本円で同じ値段でも輸出先の通貨で安く売れ、輸出企業の競争力が高まることなどもメリットといえるでしょう。

1-3.傾向的に円安はどのくらい続きそう?

円安は、しばらく続くという見方が濃厚ですが、先のことは不透明です。

円安円高の傾向を知るには、さまざまな国・地域の経済や政策、政治不安の影響を受けるため、日本と海外の金融政策のほか、世界的な政治経済について注視してみましょう。
ユーロの場合、日本とユーロ圏の金利格差といった金融政策や財政政策のほか、米国経済の先行き懸念などから、ドルよりもユーロが強くなっており、ユーロがほかの主要通貨よりも高い傾向になっています。

銀行などでは、為替レートを知らせるサービスをメールやアプリで提供していることもあります。
海外旅行前に円高になるタイミングを逃さないように、これらの通知サービスを利用するといいでしょう。

高市首相就任で加速する円安

日本の円安関連ニュースで注目されているのは、高市氏首相就任後の金融市場の動向です。
高市政権発足以降、財政支出拡大と金融緩和を掲げる経済政策「サナエノミクス」で低金利に踏み切る、という予想から円安が加速しています。

以前の政権での円安は日米の金利差が拡大したことで起こり、政府による為替介入が行われるなど警戒感の高いものでした。
外部の圧力が、市場の危機感を強め円安を引き起こしたのです。

一方で現在の円安は、高市総理が掲げる「サナエノミクス」での国内政策に対する期待がもたらしたものです。
ここから、日銀の利上げ観測が後退し、株高を伴う「リスクオン」の円売り加速に繋がりました。
市場の期待感が高まりつつある中での円安は、前者とは大きな違いがあります。

円相場は今後の政権運営や金利次第で大きく変化する可能性があるため、政治の動きに目が離せない状況です。

2. 円安でも大丈夫!リーズナブルに楽しめる海外旅行先

円安でもコストを抑えて海外旅行をする一つの方法として、航空券や現地の物価が安い場所を探すことがあります。
次に、アジア、アメリカ、ヨーロッパに分けて、リーズナブルに旅行しやすい国・地域を紹介します。

2-1. 【アジア】韓国・台湾・インドネシア・ベトナムなど

アジアへの旅行には、LCCの活用や物価の安い国を選ぶことでリーズナブルな旅が実現可能です。
韓国や台湾など、日本から近い国は飛行機の便数が多いうえ、日本国内の出発地が複数あるため、直前でもLCCなどで片道約5,000円など、お得なチケットが見つかることがあります。

インドネシアやベトナムなどの東南アジアでは、経由便を選べば、片道10,000円台など、安価なチケットを見つけやすいです。
これらの国は物価が安く、四つ星ホテルでも大人2名1室で1泊10,000円前後など、円安をあまり気にせずに旅行できるのも魅力です。

2-2. 【アメリカ】グアムなど

米国本土やハワイは物価が上がり、円安を痛感することが多いようですが、日本から約3時間半で行けるグアムは、宿泊代などが本土よりリーズナブルだと言われます。
グアムには消費税がなく、輸入品に関税がかかりません。
それが物価に反映されて、本土やハワイより多少物価が安くなっています。

時期やセールを見極めれば、グアムへの直行便で往復30,000円以下、宿泊費は1泊10,000円程度で見つかります。
ハワイの宿泊費は1泊あたりグアムの2倍〜2.5倍になるとも言われるので、その差は大きいでしょう。

グアムは、円安でもアメリカの雰囲気を味わいたい、日本から近い場所でビーチリゾートを楽しみたいという人におすすめです。

2-3. 【西アジア・ヨーロッパ】トルコ・アルバニアなど

アジアとヨーロッパの境にあるトルコは直行便があり、世界遺産などの見どころが多い国です。
物価は上昇中だと言われるものの、トルコリラと円の相場では、2005年は1トルコリラ約82円だったものが現在は1トルコリラ約4円(2025年11月現在)と円高傾向のため、ほかの通貨のように円安の影響があまりなく、費用を切り詰めなくても旅行しやすい国です。

また、円安の影響が大きいヨーロッパでも、東欧はユーロ通貨未導入国が多く、旧社会主義体制のなごりから比較的物価が安いのが特徴です。
なかでもアルバニアは、宿泊費は10,000円以下、食事は1日5,000円以下で見つかり、穴場として人気が高まっています。 

西欧のなかでは、ポルトガルをはじめとした南に位置する国々が物価の安さで有名です。
参考値として紹介すると、筆者は6月末から7月上旬に北西アフリカ沖のスペイン領カナリア諸島へ旅行したところ、直前に計画して、航空券はマドリードから往復約20,000円、宿は民泊で1泊2名10,000円以下となりました。
前もって価格重視で探せば、航空券は往復約10,000円以下で見つかるでしょう。

しかし、これらの国でも以前と比べて物価が上がっており、旅行中に円安を実感する機会は多いかもしれません。

3. 円安時もお得に!海外旅行時の航空券購入サイト活用法

まとまった休みが取れる繁忙期しか海外旅行の計画ができない、というビジネスパーソンは多いでしょう。
しかし、航空券の代金が上昇する繁忙期(オンシーズン)でも、比較サイトなどを活用して、少しでも安いチケットを探すことは可能です。
次に、安い航空券探しの一例を紹介します。

3-1. 比較サイトで航空券代金の傾向を探る

円安時でも少しでもリーズナブルに海外旅行をしたいと思ったら、最初に比較サイトでチェックすると、日程や航空会社などをある程度絞りやすくなります。
目的地や時期が決まっていないときでも、比較サイトではリーズナブルな航空券の提案をしてくれるので、休暇日程に合わせて、安い航空券が取れる行き先を目的地にするのもいいでしょう。
比較サイトを利用する際は、2サイト以上チェックすると、より多くの情報をキャッチできて、値段の傾向をつかみやすくなります。

次に、3つの比較サイトを紹介します。
これら3つのサイトは、主に航空券の値段を比較するためのサイトであり、購入は航空会社の公式サイトや旅行代理店のサイトで行うようになっています。

3-1-1. 【Google フライト】Googleアカウント利用者は利用しやすい


画像出典:https://www.google.com/travel/flights

「Google フライト」は、Googleが提供する航空券の検索ツールであり、航空会社や旅行サイトを比較して、目的に合わせたフライトを探せます。
Googleの旅行のツールから検索できるため、Googleを使い慣れている人は、初めてでも気軽に使えるでしょう。

Google フライト
公式サイト:https://www.google.com/travel/flights

3-1-2. 【スカイスキャナー】海外のLCC情報が手に入りやすい


画像出典:https://www.skyscanner.jp/

「スカイスキャナー」は、1200社以上の航空会社・旅行代理店と提携し、航空券・ホテル・レンタカーの情報を比較できるサイトです。
欧州のLCCなど、海外の航空券情報を入手しやすいのが特徴と言われます。

スカイスキャナー
公式サイト:https://www.skyscanner.jp/

3-1-3. 【Kayak】リーズナブルな日程を探しやすい


画像出典:https://www.kayak.co.jp/

「Kayak」は、飛行機やホテル、レンタカーといった旅行の料金の比較ができるサイト。
出発日を指定日の前後3日間で検索すると、カレンダーでわかりやすく行きと帰りの値段の組み合わせを表示してくれます。
そのため、日程をある程度柔軟に変えられる場合、最安値のチケット探しに重宝するでしょう。

Kayak
公式サイト:https://www.kayak.co.jp/

ヨーロッパ旅行のオフシーズンとオンシーズン

ヨーロッパ行きのお得なチケットが見つかるオフシーズンは、主に1月中旬〜2月中旬、5月連休明け〜6月中旬、9月、11月〜12月上旬など。
日本出発便はゴールデンウィーク中の5月5日など繁忙期が終わる頃、ヨーロッパ出発便はクリスマスの12月24〜25日も狙い目です。
ビジネスの旅行者が週初めと週末に集中するため、旅行者の多いオンシーズンでも火曜日や水曜日などに出発・到着する日程を探すと、安価なチケットが見つかりやすいです。

反対に、多くの人が休暇を取る夏休みや年末年始、週末のチケットは非常に高くなります。
日本の大学生が春休みに入る2月下旬、ヨーロッパの学校が休みに入る6月下旬頃も高くなる傾向にあるので要注意。
ヨーロッパでは、3〜4月頃のイースターの時期もチケット代が上がります。
イースターは毎年日程が変わるので、その時期に旅行を計画する場合は、事前に確認しておきましょう。

3-2. 航空会社の公式サイトで購入する

比較サイトで条件の合う航空券が見つかったら、次は航空会社の公式サイトで値段をチェックすることをおすすめします。
比較サイトを見ると、航空会社より旅行代理店のほうが安い料金が表示されることが多いですが、購入の段階になって手数料が上乗せされることがあるので注意しましょう。
筆者は、代理店のサイトで購入した際に苦い経験をして以来、航空会社の公式サイトで購入するようにしています。

公式サイトで購入するにしても、同じ航空アライアンスなど、提携する航空会社のサイトを数社比較してみましょう。
同じ便でもリーズナブルなチケットが見つかることがあるので、手間でも比較する価値はあります。

LCCの場合は、行きと帰りをそれぞれ片道切符で購入すると、往復よりも安くなる可能性があるようです。
ホテルや旅行保険とセットで購入する、航空会社のSNSや公式アプリ、メルマガからセール情報を入手する、クレジットカード会社の割引をチェックするなど、付随サービスの利用によって最安料金を見つける方法もあります。

円安対策にマイレージを貯めるならどこ?各航空アライアンスの特徴

航空券探しの際に円安対策として役立つのが、航空会社のマイレージプログラムに登録して、提携会社の航空アライアンスを利用することです。
アライアンスを一つに絞ってマイルを貯めると席のグレードアップや提携航空会社の特典航空券を獲得しやすいですが、どのアライアンスが良いかは目的地や条件によって異なるため、加入前によく検討することも大切です。

ここでは、主な航空アライアンスの特徴をまとめました。

【スターアライアンス】
・加盟航空会社は25社と世界最大であり、50以上の世界のハブ空港にネットワークがある
・日本からは全日空(ANA)が加盟しているため、ANAの利用頻度が高い人はお得感が高い
・アジア、ヨーロッパ方面への路線が充実しているが、中東方面はカタール航空を擁するワンワールドと比較して選択肢が少ない

【スカイチーム】
・加盟航空会社は18社
・日本の航空会社は2025年時点で未加盟だが、日本に就航する便が多い大韓航空や中国東方航空、エールフランス、KLMオランダ航空などが加盟している
・多くの航空会社にはマイルの使用期限があるが、スカイチーム加盟のデルタ航空のマイルには有効期限がなく、頻繁に海外旅行に行かない人でもマイルを貯めやすい

【ワンワールド】
・加盟航空会社は15社
・三つのなかでは小規模だが、日本航空(JAL)が加盟しているため、JALを多用する人はマイレージの特典を得やすい
・JALのほかにも、キャセイパシフィック航空、カンタス航空、ブリティッシュ・エアウェイズ、カタール航空など、広いネットワークを持つ航空会社が目立つ

近年はLCC間の航空アライアンスもあるので、アライアンス選びの参考にしてみましょう。

4. 円安時には忘れずに!海外旅行の航空券を選ぶときの注意点

円安の影響を極力抑えるため、航空券の値段ばかりに注意が向きがちなことがあるかもしれません。
しかし購入時に、発着時間や料金に含まれる荷物の条件などのチェックを怠ると、結果的に高くつくことがあります。
たくさんの中から希望の条件が全て一致した航空券を選ぶのは至難の業ですが、航空会社や出発時刻、直行便、経由地の待ち時間など、サイトにあるオプションにチェックを入れておくと、希望の航空券を選びやすくなります。

次の注意点を参考にして、条件に合った航空券を探してみましょう。

4-1. 直行便と乗り継ぎ便は諸経費込みの金額でチェック

海外への直行便は高めですが、時期や航空会社によっては円安時でも安く買える場合があります。
一方、乗り継ぎ便は選択肢が豊富で値段が安い傾向にありますが、乗り継ぎ時間次第で宿泊費など別に経費がかかり、結果的に直行便を利用するよりお金も時間もかかることがあります。
また、経由地で到着と乗り換えの空港が異なると、空港間を自分で移動しなければいけないことがあるので、経由地の空港のチェックも忘れないようにしましょう。
乗り継ぎだけでも渡航認証許可取得が必要な国(米国やカナダなど)が増えているため、旅行前に乗り継ぎ地の渡航条件を確認することをおすすめします。

航空券検索時は、発着地を成田空港と羽田空港といった空港名ではなく、「東京」などの都市名で探すと、どちらの空港も出てくるので、最安値を探しやすいです。

4-2. 発着の時間に留意

空港と目的地の間の交通手段を考えると、気をつけておきたいのが発着時間です。
特に早朝便や深夜便は、空港への移動方法が限られることがあるので要注意。
地方都市などに滞在し、早朝や深夜の移動手段がタクシーしかないときは費用がかさみ、結果的に、昼間の便の航空券料金と大差なくなることがあります。
円安が加速すると、空港からの交通代金が上がることも予想して、慎重に航空券を選びましょう。

日本からの深夜便は、仕事終わりに出発できて、目的地によっては当日中に到着できるため、長い滞在時間を楽しめます。

4-3. キャンセルと日程の変更可能性を考慮

海外旅行の出発日を変える必要がある場合、手数料やチケットの差額を支払うだけで別のフライトに振り替えられます。
しかし、キャンセル・変更不可のチケットより購入時の値段は高い傾向にあるため、変更する可能性の高さと値段の兼ね合いでチケットを選びましょう。
海外の航空会社の場合、円安が進むとキャンセルや日程変更の手数料が上がる可能性も考慮して、キャンセル保険の加入を検討してもいいでしょう。

4-4. 荷物のサイズや重量を把握

荷物のサイズや重量を超過すると、超過料金が高額になる可能性が高いため、自分の必要な荷物の個数やサイズ、重量などに合ったチケットを選びましょう。
安いチケットには、預け入れ荷物に別料金が発生することがあるので、注意が必要です。

繁忙期や混み合う便、LCCでは、チェックイン時や搭乗時に機内手荷物の重量やサイズを確認されることがあります。
規定をオーバーしていると、預け入れ荷物に入れるよう指示されるか、超過料金を徴収されることがあるので注意してください。
円安時の海外旅行なら、超過料金は痛い出費になりかねません。

国際線航空券購入に最適なタイミング

国際線の場合、多くの航空会社は約11ヶ月前からチケットを購入できますが、お得な値段になると言われるのは出発の約2〜5ヶ月前が目安です。
購入に最適なタイミングは出発時期によっても異なり、繁忙期は6ヶ月以上前から予約が埋まっていく可能性が高く、閑散期であれば出発の約1ヶ月前でもお得なチケットが見つかることがある。
旅行の日程をずらせなければ、約6ヶ月前からサイトをチェックして、タイミングを見極めると良いでしょう。

航空券を購入する曜日によっても航空券の代金が変動する可能性があることもお忘れなく。
傾向として、週末に検索すると値段が上がり、火曜日から水曜日の間に検索するとお値打ちのチケットを見つけやすいと言われています。

安くて条件が良いと思うチケットが見つかったら、できるだけ早めに購入しましょう。

5. 工夫次第でお得に!両替時の対策3つ

円安時であっても、両替方法を工夫すれば、海外旅行の費用をより抑えられます。
ここからは、現地の通貨への換金方法やクレジットカードで支払うときの注意点などを紹介します。

5-1. 現金への外貨両替の必要性と両替場所

世界的にキャッシュレス化が進んできましたが、それでも端末機がカードを読まずに使えないといったときに、現地の通貨で現金を持っておくと安心です。

例えば、スペインでは、スーパーマーケットやチェーンの飲食店などでは1ユーロ以下の支払いでもクレジットカードの利用が可能。
一方、個人商店では「カード支払いは7ユーロから」「ヨーロッパ発行のカードのみ使用可能」などと書かれていることがあるため、完全なカード社会とは言えません。
クレジットカード利用状況は国・地域によって差があるので、旅行前に状況をチェックしておきましょう。

外貨に両替できるのは銀行、空港、外貨両替所のほか、日本では外貨宅配サービスや金券ショップで両替できると手数料が抑えられることがあるようです。
対円相場で円のほうが強い国に行く場合は、現地で両替するほうが円のレートが良いことが多いですが、ユーロやドルなど、流通量の多い通貨や円が弱い国へ行く場合は、日本で海外通貨に両替した方が得だと言われます。
ただし、大量の現金を持ち歩くことに不安を感じる人は、現地の治安次第では現地で両替する方が安心でしょう。

現地の外貨両替所では「手数料無料」などと書かれていても交換比率がよくないことが多いので、注意してください。
両替前にGoogleなどネットでレートを確かめ、お金を受け取るときには、店員の前で紙幣の枚数など金額を確認することも忘れないようにしましょう。

クレジットカードやデビットカードでも、現地のATMを利用して現金を引き出せますが、事務処理手数料やATM使用手数料などの手数料が上乗せされるため、交換比率が良いとは限りません。
海外のATMでは、カードを入れてもカードが戻ってこない、盗難に遭うといったトラブルが多いので、路上ではなく、銀行内にあるATMなど、トラブルが発生してもすぐに相談できる場所での利用をおすすめします。

路上換金は危険!現地では公式の両替所を利用しよう

アフリカや南米など一部のエリアでは、市場レートより交換比率の高い路上換金が存在します。
マネーロンダリング目的のほか、偽札をつかませる、紙幣の枚数をごまかすなど、詐欺の可能性が高いです。
路上換金の場合、両替を持ちかける人だけでなく、それに応じた旅行者も処罰される国・地域があることに注意しましょう。
被害に遭った場合、補償はゼロ。
犯罪に巻き込まれるリスクをよく考え、路上換金は極力避け、銀行、ホテル、正規の両替所などの公式の両替所を利用しましょう。

5-2. クレジットカード支払い時の支払い通貨

日本で外貨に両替する時間的余裕がないビジネスパーソンなどにとって、世界各国で利用できるクレジットカードは非常に便利なツールです。

クレジットカードを使う際に、クレジット端末機の支払い通貨に注意しておくと、少しでも手数料が抑えられることがあります。
クレジット端末機で、支払い通貨を日本円か現地通貨のどちらにするか選べるときには、現地通貨を選ぶほうがレートが良いと言われます。
実際、筆者が何度か試したところ、現地通貨を選んだ方が為替レートが良かったため、その後は現地通貨を選んでいます。

これは、日本円を選ぶと、店舗が独自に定めるレートで換算することが多く、割高になる傾向にあるからだと言われます。
しかし、カード会社やレートによって条件は異なるため、どちらが手数料が安いか、両方試してみるといいでしょう。

5-3. 外貨両替の手数料が低い金融サービス

海外旅行時に簡単に利用できる両替方法の一つに、手数料を抑えて両替できる金融サービスがあります。
金額や両替の時間帯などで異なりますが、銀行やクレジットカードなどと比較すると、手数料が低く設定されているため、10万円の両替で数千円も差額が出る場合があるのです。

金融サービスでは、主に以下のようなサービスを利用できます。

・デビッドカードやデジタルカードを利用した外貨両替や海外送金
・デビッドカードを利用した現地のATMでの現金の引き出し

少額でも両替できるので、プライベートの海外旅行はもちろん、海外出張や駐在先で円を外貨に替えたい時にも利用すると便利です。

次に、有名な2つのサービスの特徴を見ていきましょう。

5-3-1.両替以外の機能も充実しているRevolt


画像出典:https://www.revolut.com/ja-JP/

アプリで現地通貨決済、通貨保有、eSIMの購入などが可能な英国発のデジタル金融サービス。
独自に定めるレートにのっとり、最大1.5%の為替手数料で両替できます。
月額手数料無料のスタンダード会員の場合、為替市場営業時間内かつ月75万円までは追加の両替手数料なし。
スタンダードプランのほかに、キャッシュバックなどの特典が付随する有料プランがあります。

Revolt
公式サイト:https://www.revolut.com/ja-JP/

5-3-2.対応通貨の数が多いWise


画像出典:https://wise.com/jp/

海外送金で知られる金融サービスWiseは、デビットカードで約50種類の通貨の両替が可能。
両替時は為替手数料のない為替レートで計算されます。
両替手数料は通貨によって異なりますが、日本円から米ドル・ユーロ・英ポンドに両替する場合は、約0.5%となっています。

Wise
公式サイト:https://wise.com/jp/

6. 海外旅行中も快適に!円安でも楽しく過ごすための対策3つ

円安対策では、航空券購入や両替時だけでなく、宿やレストラン、ネット環境も意識して選ぶと、海外旅行の出費を減らせます。
例えば、朝食はカフェのコーヒーとトーストのセットで4ユーロ以内と決めた場合、セットメニューにしない場合と比較すると、1週間で五千円程度の節約になる可能性があります。
効率よく街を回りたいときには、フリーツアーを利用してもいいでしょう。

節約したお金を現地で興味あることにあてる!と決めて、「宿は四つ星ホテル以上にこだわって食費を抑える」「宿は滞在型の民泊にして一日一食贅沢にレストランで食べる」など、お金の使い方にメリハリをつけるのもおすすめです。

6-1. 現地のリズムに合わせて過ごす

海外旅行先では、宿の予約や食事など、円安を痛感する機会が少なくないでしょう。
ヨーロッパの観光客向けのレストランなどでは、サラダだけで千円以上もかかることがあります。
しかし、現地の人に人気のレストランに行くと、コスパが高いものを食べられる可能性が高いです。

次に、宿泊費・食費・お土産代をリーズナブルに抑える方法を提案します。

6-1-1.【宿泊】ホテルだけでなく民泊やホステルも選択肢に入れる

海外旅行先の宿探しでは、ホテルだけでなく、民泊や民宿のようなホステルも選択肢に入れると、リーズナブルにクオリティの高い部屋に泊まれる可能性が高まります。
数日滞在をするときには、民泊は割引率が高い傾向にあるので、特におすすめです。
キッチン付きの宿を選ぶと、調理できて食費を節約しやすいうえ、現地で生活している気分になれるかもしれません。

サッカーの重要な試合など、目的地で大きなイベントがあるときは宿泊費が高騰するため、可能であれば、ルートを変えてほかの町に宿をとると良いでしょう。

宿泊予約サイトで特定の宿に目星をつけたら、宿の公式サイトなど、複数のサイトで値段や条件をチェックし、最安値のページから予約しておきましょう。

6-1-2.【飲食】地元の人が行くお店を探す

現地の人が昼食と夕食のどちらをメインに食べるかチェックして、彼らの飲食方法に合わせると、円安時でも節約しやすくなります。
ランチがメインの場合、ボリュームが多くリーズナブルな日替わりメニューを食べると、夜は軽食で済み、リーズナブルに抑えられるでしょう。
地元の人におすすめの飲食店を尋ねると、思いがけない場所で美味しいお店を教えてくれるかもしれません。

水やおやつなど旅行中に必要な買い物をするときも、スーパーや小売店で買うように心がけましょう。
ヨーロッパの場合、ミネラルウォーターの値段は330mlなどの小さいボトルでも土産物店やカフェでは数ユーロかかります。
一方、現地の人向けのスーパーでは5リットルを1ユーロ以下で買えることがあります。

円安でもマドリードでお得に名物料理を楽しむコツ

マドリードでお得に名物料理を食べるなら、地元の人が多いレストランの平日日替わりランチメニュー「Menú del día(メヌ・デル・ディア)」が狙い目です。

基本的な日替わりランチメニューには、料理二皿、パン、ドリンク、デザートかコーヒー(紅茶、ハーブティなど)がセットになっています。
2025年11月時点で約15ユーロ(約2,700円)と、円安のために高く感じられるかもしれませんが、大衆的な食堂では料理の量が多め。
一皿目にガスパチョやパエリア、二皿目に魚のフライや肉の煮込みなどを頼めば、夕食はバルなどで軽く済ませられます。
食べきれなければ、多くのレストランでは残りを使い捨て容器に入れてくれるので、宿泊施設に持ち帰って夕食にしてもいいでしょう。

円安を考慮して少しでも食費を抑えたいときには、生ハム、スペインオムレツ、ミートボールといった惣菜を買えるスーパーマーケットやテイクアウト店が手軽です。
「Mercadona(メルカドーナ)」や「Carrefour(カレフール)」などのスーパーマーケットでは、電子レンジや椅子が置かれた店舗が増えており、店内で買った商品を温めて食べられます。

マドリードの水道水はやや硬水ですが基本的に飲用可能で、飲食店で「コップ一杯」を頼めば、無料でもらえます。
ミネラルウォーターを探すときには、「muy débil(ムイ・デビル)」(ミネラル分がとても弱い軟水の意味)と書かれたものを探すと、飲みやすいです。

6-1-3.【お土産】免税店で買う前に街の店で値段をチェックする

お土産は、イビザ塩、ワインなどの食品・飲料であれば空港の免税店よりスーパーマーケットや街の専門店の方がリーズナブルであることが多いです。
「エル・コルテ・イングレス」などの大型店舗であれば、免税制度を利用できる可能性もあります。

海外ブランドのアイテムは、円安の影響で、日本より安いとは限りません。
日本国内で入手できない限定品は現地空港の免税店で、日本で売られているものであれば、日本の価格と比べてから購入すると、失敗が少ないでしょう。
ちなみにタバコは各国で値上げが進んでおり、免税店でも日本より高い場合があるので、値段を確認してから買うようにしましょう。

6-2. ネット環境を整える

円安でも海外旅行費用を抑えるときに、事前に確認しておきたいのがネット環境です。
ヨーロッパでは、交通機関、宿、ショッピングセンター、カフェなど、無料でWi-Fiが使える場所が比較的簡単に見つかります。
しかし、道に迷ったときやお店探し、観光名所の予約などに日本と同じ感覚でスマートフォンをネットにつなげると、国際(海外)ローミングで高額の請求が届く可能性があります。

国際(海外)ローミングとは、国内で契約する携帯電話の通信事業者のサービスを海外でも利用できる機能。
楽天などではプラン料金の支払いのみで海外でも利用可能な機能がありますが、事業者によっては高額な通信料を請求されることがあるので、事前に料金を把握しておきましょう。

国際(海外)ローミング以外でスマホのネット環境を整えるには、海外用のeSIMや、現地でSIMを調達する方法などがあります。
次に、海外用のeSIMと現地のSIMを比較してみましょう。

6-2-1.【海外用eSIM】海外旅行先に着いてすぐ利用可能

eSIMとは、スマートフォンに内蔵されたSIMのことです。
海外旅行前に国内でネット購入できます。

<メリット>
・国際ローミングなどより安い
・手続きがオンラインで完結し、海外旅行先ですぐ使えるので、時間の節約になる
・物理的なSIMがないため、SIMの入れ替えなどの煩わしさがなく、壊す、盗まれる、紛失するといった心配がない

<デメリット>
・古いモデルなど、一部の機種では利用できず、物理SIMのように別のモバイルに差し替えて使えない
・データ通信プランが大半であり、電話を使うには追加料金を支払うことが多い
・一定容量や利用額を超えた場合、低速になったり、追加料金が発生したりする場合がある

従来のSIMのように使用後廃棄する手間もなく、手軽に使えます。

6-2-2.【海外のプリペイドSIM】EU圏内同条件で利用できる可能性大

海外旅行先で現地のプリペイドSIMを買うという方法があります。
日本のプリペイドSIMより安価で購入できることが多いので、円安であっても利用価値は高いです。

<メリット>
・28日間10ユーロなど、eSIMよりリーズナブルに入手できる可能性がある
・電話会社や渡航先によって条件が異なる可能性はあるが、EU圏内でSIMを購入した場合、同じEU圏内であれば購入した国と同じ条件で利用できることがある
・現地の大手キャリアを利用すれば、高速で安定した通信が期待できる
・現地で電話を利用できるプランがある

<デメリット>
・現地に到着して、ショップで購入、手続きなど、利用までに時間がかかる
・英語や現地の言語がわからないと手続きまでに困難を伴う
・SIMを入れ替える必要がある

ほかに、モバイルWIFIルーターのレンタルといった方法もあります。
モバイルWIFIルーターは、荷物が増えるといったデメリットはありますが、PCとスマートフォンなど複数の端末で使いたい、複数人で利用したいというときに便利です。

6-3. フリーツアーに参加する

「フリーツアー」とは、参加費無料で、ツアーの最後にガイドへ好きな金額のチップを渡す方式の有料ツアーのこと。
ネットを通じて予約するので、旅行会社の手数料などが抑えられる分、リーズナブルに利用できます。

フリーツアーは欧米を中心に広まっており、英語を中心に欧米の言語で行われるツアーが多いです。
外国語が話せないとガイドの説明を理解するのは難しいですが、全て理解できなくても、効率的に街のスポットを見て回りたいときなどに便利です。

次に二つのフリーツアーを紹介します。
二つのサイトを見比べて、行きたい場所、時間にツアーがあるか確認して決めると良いでしょう。

6-3-1.【FREETOUR】参加費有料の飲食付きツアーも探せる


画像出典:https://www.freetour.com/

140ヶ国以上で展開するツアーのプラットフォーム。
プラットフォームではフリーツアーだけでなく、飲食付き有料ツアー、主要言語以外で行われるツアーなども探せます。

FREETOUR
公式サイト:https://www.freetour.com/

6-3-2.【GuruWalk】豊富なフリーツアーから選べる


画像出典:https://www.guruwalk.com/

100ヶ国以上、800ヶ所のツアーが見つかるプラットフォーム。
都市やテーマによりますが、全体的にFREETOURよりもフリーツアーの数が多めです。

GuruWalk
公式サイト:https://www.guruwalk.com/

円安でも満足度の高い海外旅行を実現しよう!

円安だから海外旅行に行きにくい、と考える必要はありません。
航空券探しや両替など、工夫次第でリーズナブルに旅行を楽しめる方法はたくさんあります。
事前に計画を立て、早めに航空券や宿を探して出費を抑えたり、現地では地元の人が行くお店を利用したりするのも、節約術の一つです。

お金をかけたいポイントと節約したいポイントを決めてメリハリをつけると、円安でも旅行の楽しみが広がるでしょう。
次の海外旅行で満喫できるよう、この記事で紹介した方法を活用してみてください。

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【ANA×BTHacks共同企画!】

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【ANA×BTHacks共同企画!】
ANA企画担当者に聞く!新ビジネスクラスシート「THE Room」の裏側



ANAの新ビジネスクラス「THE Room」は、その革新的なシートが生み出す最上級のくつろぎ空間が注目を集めています。
BTHacks編集部では、シートなどの機内プロダクトの開発担当している
ANA CX推進室 商品企画部 機内商品企画チームの牧克亘さんと
客室乗務員 天本 恵梨香さんに取材
シートの魅力はもちろん、気になる開発の舞台裏についても詳しくお聞きしました。