ビジネス基礎知識

2022.05.25

Lock Icon 会員限定

チームワークを高めるってどういうこと?チーム力を作る方法

テレワークが普及し、同じオフィスで顔を合わせて会議などをしなくても、チームでプロジェクトを進めることが増えている今。
「対面での細かいコミュニケーションや状況把握ができない」などの理由で、これまで以上にチームワークの大切さを感じている方も多いかもしれません。より良いパフォーマンスや結果を作るためにチームワークを高めるには、一体どんなことをしたらいいのでしょうか。
プロジェクトリーダーや管理職の方だけでなく、チームの一員として働く人も知っておきたいチームワークを高める方法をご紹介します。
そもそもチーム力やチームワークとはどういう状態が理想なのかもこの機会に、記事を通じて考えてみませんか?

1.そもそもチームワークとは?

単に「チームワークが大切だから高めよう!」と思っても、そもそもチームワークとは何かがわからなければ、適切な対応はできません。
まずは、組織においてチーム力が高い状態はどんなものなのか、どうしてチームワークを高めると良いのかを考えてみましょう。

1-1.共通の目標を達成するために仕事をすることがチームワーク

チームとは、1人では達成できない目標をチームメンバーの力を合わせることで実現するための組織です。そして、チームワークとはチームに属するメンバーが共通の目標を達成するために仕事をしていくことを指します。

例えば、1人で商品を開発・販売しようと思っても、開発から市場調査・販売戦略の策定・営業・出荷業務まで担うのは難しいですよね。この場合、チームで仕事を進めれば、役割分担ができ、より着実かつ1人でプロジェクトを進めるよりもずっと早く目標を達成できます。

1-2.チーム力の高い組織とはどんなものか

では、チームワークがうまくいっている組織、つまりチーム力が高い組織とは一体どんな形でしょうか。
いろいろな答えがあるかもしれませんが、確実に言えるのはチームが円滑に仕事を遂行するために、各部門の担当者が仕事を確実にこなすこと。そして単に仕事をこなすだけでなく1人1人が主体的に考え、判断し、行動できることと言えます。

なぜなら、チームになることで「誰かがやるだろう」と人任せになった結果、決断が遅くなってしまったり、パフォーマンスが落ちてしまったりしては本末転倒だからです。

ではどうやってチームワークを高めるべきなのかについては、記事の後半で触れていくことにしましょう。

2.チームワークがある組織のメリット

具体的にチームワークを高めるための組織作りのコツや方法を考える前に、チームワークがある組織のメリットを考えてみましょう。
チーム力の高い組織は、ただ単に仕事が円滑に進むだけでなく、働く人にとってモチベーション向上、組織にとって経営戦略面での大きなベネフィットをもたらします。「社内でチーム力向上のための取り組みがなかなか理解されない」という場合にも、次のようなメリットを伝えれば、チームワークを高める施策を取りやすくなるかもしれません。

2-1.決定がスピーディーになる

チームワークがうまく機能している組織は、一人一人が自分のアクション(仕事)に対して責任と主体性を持っています。そのため、何か問題が起きたとき判断を上司に毎回仰ぎながら決定するのではなく、ある程度決定権を持って進めることが可能になります。

社会の変化が早くなり、今まで以上に未来の予想が難しくなっているVUCA(Volatility・Uncertainty・Complexity・Ambiguity)の時代。決断が1日遅くなるだけで、ビジネスが失敗するか成功するか、結果が大きく変わることも。だからこそ、チームワークを高めることで決定がスピーディーになる組織にするメリットは大きいのです。

2-2.より高い目標を達成できるようになる

チーム力を向上させることは、組織がより高い目標を達成するためには欠かせないステップです。

例えば、封筒を作るために、紙を切って、折り、糊付けする作業をチームで進めるとします。

紙を切る・折る・糊付けする作業をメンバーそれぞれが進めるグループをチームA。
それぞれの工程を分担し、流れ作業で封筒を作るグループをチームBとした場合。
同じ時間で作れる封筒はどちらの方が多いでしょうか?「チームB」と考えた方の方が多いのではないでしょうか?

これは、役割分担をして、それぞれの作業効率を個々人が高めることでより生産性を高められた結果。あくまでも単純な例ではありますが、このようにチームワークを高めると、より多くの成果を生み出せるのです。

2-3.チームメンバー1人1人のモチベーションが高まる

チームワークが高いと、その組織で働く人のモチベーションも高まります。
その要因はいくつかありますが、まず挙げられるのが「自分はより良い結果をもたらすチームに所属できている」という誇りです。
結果を出せるチームに所属していることで、周囲からの評価や視線も変わります。「自分もメンバーの一員として、貢献できている」という意識が、自分の仕事に自信を持たせ、ひいては誇りにつながるのです。

さらに達成感を感じられるようになれば、仕事はますます楽しくなります。チームワークがあるからこそ達成できる結果、そしてそこから得られる達成感や仕事の楽しさは、何ものにも変え難いものに。

また、1人では心が折れてしまう困難に直面したときも、チームで目標に向かって仕事をしていれば、お互い声を掛け合い励まし合うことも可能になります。

3.チームワークを高めるために不可欠な要素

ここからは、具体的にどのようにチームワークを高めていけばいいのかを考えていきましょう。チームワークを高めるために必要不可欠なのは、チームが目指す目標やビジョンの共有と、チームがうまく機能するための環境づくりです。
それぞれ、どんなものなのか見ていきましょう。

3-1.ビジョンの共有と浸透がチーム力には欠かせない

チームの力を高めるためには、メンバーみんなが同じ方向を向いて走ることが何よりも大切です。
目標がどこにあるのかが共有されていなければ、どこまで頑張ればいいのかがわからなくなってしまいます。
加えて、何か判断を迫られたとき。指針となる共通の考え方(企業理念や企業のビジョン)があれば、チームのメンバー個々がその場で決断できます。主体的にメンバーが働くためにも、そしてチームとしての意思決定をスピーディーにするためにも、自分達は何を大切にしてプロジェクトを進めるのかを共有しましょう。

例えば、何かプロジェクトに大きな問題が生じたとき。
チームとして大切にすることは「納期なのか、品質なのか、それとも……」という判断基準があれば、それぞれのメンバーが主体的に考えられます。

テクノロジーの発達やコロナ禍などにより、かつてのように、顔を突き合わせて会議を重ねるという働き方は少なくなってきています。
会議やミーティングをたくさん行わなくてもチームとしてのパフォーマンスを出すためには、メンバーの行動指針となるビジョンをまず設定しましょう。

3-2.主体的に働きやすい環境がよりチームワークを高める

チームワークを高めるために、何度も会議やミーティングを開いたり、決起集会と称して飲み会(飲みニュケーション)を開催したりする方法はもはや前時代的と言えます。
もちろんこうした方法の良さはありますが、リモートワークが当たり前になっている今。
チームワークを高める環境づくりを、対面コミュニケーションに依存しない方法で作っていく必要があります。
チームワークを高めるためには、具体的にどんな環境が必要なのでしょうか。
何よりも重視すべきは、チームメンバーが主体的に考え、働ける環境を作ること。その一例を挙げてみましょう。

<主体的に仕事ができる環境の一例>
・発言しやすい人間関係と発言の場がある組織
・些細なコミュニケーションも取りやすい環境
・明確にメンバーの役割が決まっていて、かつ自分の担当以外の部署と連携しやすい環境

例えば、自分の意見や考えをチーム内で発言できる環境があれば、より良い仕事をするために活発にメンバーが意見交換をするようになります。その結果、目標をより確実に達成するためにポジティブな仕事をチーム全体ができるようになります。

とは言え、誰もが「自分はこう思う!」と主張できるとは限りません。自分で主張できる人は自分で主張しつつ、発言することが苦手な人の意見もチームに反映していくためにはちょっとしたコミュニケーションの時間も欠かせません。「チームメンバーみんなの前では言えないけれど、この人/このリーダーになら言える」という状況があれば、メンバーの小さな意見もチームの考えとして共有できます。

こうした環境が整えば、メンバーの役割分担が明確でも、自分の担当を超えて別の担当の人の仕事にも気を配れるようになります。

4.チーム力を強化する具体的な施策例3つ

最後の章では、具体的にチーム力を高めるための施策を講じている組織や企業の具体な事例をもとに、チームワークを強化するための対策をご紹介していきましょう。

4-1.ビジョン共有で魅力的な雑誌をつくる『apartament』

メンバーがそれぞれ何を役割として担うのかを明確にすること、そして主体的に判断・決断できる裁量権を持つことがチームとしてうまく機能させるためには肝心です。
その結果、よりスピーディーかつ理想的な形でチームの目的を達成できるようになります。

例えば、バルセロナ・ニューヨーク・ベルリン・ミラノに拠点を置き、オンラインでやりとりしながら雑誌『apartament』を制作しているチームを例にみてみましょう。

『apartament』は世界中のアーティストたちの家を訪問。その生活や考え方・価値観を写真と共に紹介する雑誌です。雑誌のコンセプトは“honest interiors magazine.(正直なインテリアマガジン)”。そこに住む人の生活感を誌面に反映することで、雑誌用に整えられた写真が並ぶインテリア雑誌とは一線を画しています。

※参考
Apartamento Magazine

この『apartament』を作るチームは、取材の調整をするメンバーとデザイン組やページづくりをするメンバーが異なる国に住んでいます。さらに、取材チームのカメラマンには「こういう絵を撮ってほしい」と事前に制限することはせず、自由にその場で感じた空気感を写真に切り取ってもらっているそうです。
制作チームが国境をまたいで1つの雑誌を作るという作業は、一見とても難しいことのように思えます。けれど、雑誌『apartament』では、雑誌のコンセプトとなるビジョンを明確化させた上で、メンバーそれぞれの役割を明確化することで、軸がブレることなく、世界中にファンのいる雑誌を作り出しています。

このように、ビジョンをあらかじめ共有しておけば、チームメンバーが離れた場所で仕事をしていても、生産性の高い仕事をすることは可能です。また、あらかじめビジョンの共有ができているからこそ、再撮影などの手間も無くなり、結果的に1つの雑誌を作り出すまでの労力と時間を節約できます。

※参考
「洒落た完璧な部屋は嫌い」著名クリエイターたちの”生活感”と”らしさ”、本当の部屋。ひねくれインテリア雑誌『Apartamento』 | HEAPS

4-2.主体的なチームを情報共有でつくる星野リゾート

長野県で100年以上前に最初の旅館を開業した星野リゾートは、今では誰もが知る魅力的な旅館を作り続けている会社です。
星野リゾートが魅力的な旅館を作り続けている理由は数限りなくありますが、1つは社員が主体的に考え、行動できる企業風土が養われていることが挙げられます。

主体的に考え、行動するために星野リゾートが大切にしているのが情報共有です。
同社独自の算出方法で、毎月「星野リゾート社の倒産確率」を社員に対して開示。会社の経営内容がいいときも悪いときも、正直に社員に対して知らせています。

この施策は、星野リゾートを作るのは、社員一人一人だという会社の姿勢をチームに浸透させることに一役買っています。
結果的に「今、会社はこういう状況だから、自分達は何ができるのか」と社員が主体的に考え、行動できるようになるのです。

※参考
【星野リゾートに学ぶ】「社員が自ら会社を守る時代」

4-3.コミュニケーション促進でモチベーションを高めるスターバックス

チームワークが高いことで知られるスターバックス。誰が正社員かわからないくらい、店舗で働くメンバーはサービスの質が高いというその評価は、スターバックスを利用したことがある方なら「そうそう!」と共感できることかもしれません。

そんなスターバックスでは、チームワークを高め、質の高いサービスを提供するための仕組みとして、従業員同士のコミュニケーションを促すある取り組みをしています。
それが、従業員同士でサンクスカード(グリーンエプロンカード)を贈り合う仕組みです。

サンクスカードではお互いの仕事の良かったこと、フォローしてもらって助かったこと、などを書くそうです。カードを受け取った人は自分が頑張ったことを「認めてもらえている」という心理的安全性を作り出します。

単純なことですが、自分のことを認めてくれている人に対しては、気軽に相談や話をしやすくなりますよね。それが結果的にチームワークを高めることにつながるのです。

※参考
離職率の低いスターバックスが従業員に徹底している5つのポイント | リクナビNEXTジャーナル

チームワークを高めれば仕事が楽しくなる!

チームワークを高めることのメリットは、組織としてより高い目標を達成するだけではありません。
働いている人自身が、よりパフォーマンスの高い仕事ができるようになり、一人では実現できない結果を作り出せるようになります。また、自分自身の成長にもつながり、これからさまざまなフィールドで活躍できるキャリアや経験も作れます。
また、一緒に働く仲間が楽しく、そしてイキイキと働ける環境を作ることにもつながっているのです。

明日からの仕事をもっと楽しく、そしてスムーズに進めるためにも。今回ご紹介した考え方や施策を、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。

こちらの記事もチェック!
ワーケーション導入事例で見えた!地方との交流で活性化するビジネス
ユニークな福利厚生をご紹介!仕事のモチベを高める驚きの内容とは?
オンライン・オフラインコミュニケーションの使い分けを徹底解説!

Lock Icon

この記事は会員限定です

会員登録すると続きをお読みいただけます。