web会議などオンラインでのコミュニケーションが増えた昨今。オフラインでは当たり前にできていたコミュニケーションの仕方が変わり、仕事の進め方や使うツールが変わったという方や、オンラインならではのコミュニケーションにやりにくさを感じ戸惑っている方も多いかもしれません。
そこで、今回はビジネスにおける、オンラインとオフラインの使い分け方などを解説。また、オンラインコミュニケーションのメリットや円滑に仕事を進めていくコツも整理し、役立つノウハウをご紹介します。
1.オンライン・オフラインコミュニケーションを使い分けよう
web経由で連絡を取り合うオンラインコミュニケーションの便利さを実感している一方で、仕事をする上で、対面で話をするオフラインコミュニケーションの重要性を感じている人は多いかもしれません。
Webミーティングなどが普及した今、これからは、オンライン・オフラインそれぞれの特性を理解して、うまく使いこなしていく働き方が求めらます。そこで大切なのは、仕事やプロジェクトの目的やチームの環境に合わせて、最適な方法でコミュニケーションを取る体制づくりです。
まずは、それぞれのコミュニケーションの特性を図を交えながら整理し、どんなシーンで向いているのかを解説します。
1-1.オンライン・オフラインそれぞれの特性
(1)場所にとらわれないオンラインコミュニケーション
オンラインコミュニケーションと聞くと、web会議をついついイメージしがちですが、広義に捉えれば、チャットやメール、LINEなどもオンラインコミュニケーションツールの一部です。
イメージしやすいよう、どんなツールがオンラインコミュニケーションなのか、また特徴を図にまとめました。
画像:筆者作成
<オンラインコミュニケーションの利点>
・雑談が生まれにくい環境のため、業務の効率化を図れる
・場所を移動せずにコミュニケーションに参加できるため、遠方にいても仕事ができる
・会議資料の印刷準備などが不要になり、ペーパーレスに
<頭に留めておきたいオンラインコミュニケーションのデメリット>
・チャットやメールを自宅でも受け取れる環境は、仕事のオンオフが切り替えにくいというストレス要因に
・会議するほどではない些細な連絡はメールやチャットとなり、テキストコミュニケーションの頻度も増える
・雑談などちょっとしたコミュニケーションも、パソコンやスマホ操作を解する必要があるため、心理的ハードルが高くなる
・即時対応が必要な緊急性の高いトラブル時にはあまり向いていない
・メンバーの些細な表情の変化などに気づきにくいため、チームメンバーのメンタル管理には工夫が必要
(2)細やかな対応がしやすいオフラインコミュニケーション
対面でのミーティングなどオフラインコミュニケーションは、相手の話に対するうなづきなどの反応、相手との距離、視線、握手などを通じて相手と意思疎通を図れるのが利点です。
先ほどと同じように、オフラインコミュニケーションの特徴を整理してみましょう。
画像:筆者作成
<オフラインコミュニケーションの利点>
・雑談などでちょっとしたコミュニケーションが取りやすいため、人間関係構築がしやすい
・表情や声のトーンなどを通じて相手の気持ちやモチベーションをキャッチしやすい
・仕事への温度感やモチベーションが共有しやすい
・同じ場所にいることですぐに情報共有ができるため、緊急のトラブル対応時にも有利
<頭に留めておきたいオフラインコミュニケーションのデメリット>
・オフィスでの雑談や会議前後の立ち話などが生じ、とコミュニケーションに想像以上に時間がかかることがある
・相手がいる場所へ移動する必要があり、移動コストや時間がかかる
1-2.オンライン・オフラインコミュニケーションが向いているシーン
オンライン・オフラインのメリットと課題をきちんと理解していれば、目的に合わせて上手に使い分けられます。オンライン・オフラインそれぞれに向いているシーンは、たとえば次のような場合です。
<こんなときにオンラインコミュニケーションが向いている!>
地理的に離れた場所にいる人とも、効率よく資料共有や話ができるオンラインコミュニケーションは、移動の必要がないことから次のようなシーンで向いています。
・セミナーのような一方通行型のコミュニケーション
・プロジェクトの進捗確認など情報共有
・遠方にいるメンバー間での会議や情報共有
・短い時間でのブリーフィング
<こんなときにオフラインコミュニケーションが向いている!>
相手の表情や声のトーンなど機微を感じながら、対応を変えられる対面でのコミュニケーションは、次のようなシーンでこそ活用してみましょう。
・交渉が必要なシーン
・まだあまり親しくない人とのコミュニケーション
・クライアントとの初回挨拶など、相手と仲良くなることが目的のコミュニケーション
2.オンライン・オフラインはフェーズごとに使い分けてみよう
オンライン・オフラインの特性を活かして、案件のフェーズごとにオンライン・オフラインを使い分けてみるのも1つの方法です。
例えば、オンラインコミュニケーションは、離れた場所にいるメンバーとも仕事ができます。また、メールやチャットでタイムリーな情報共有をしやすいため、すでにプロジェクトや仕事が走り出した後に、情報共有や進捗確認をするようなシーンに適しています。
一方、オフラインコミュニケーションは相手の感情の機微や出方を慎重に受け止め、検討しなければならないシーンに向けです。そのため、仕事の中でもクライアントやプロジェクトメンバーとの関係構築が必要なシーンに適していると言えるでしょう。
2-1.プロジェクトフェーズごとのコミュニケーション方法使い分け例
具体的に、あるプロジェクト発足からの各フェーズをもとに、オンライン・オフラインの使い分け例を考えてみると、次の図ような流れが考えられます。
画像:筆者作成
プロジェクトの発足からプロジェクト進行、クロージングと反省・振り返りまで、それぞれのフェーズでのコミュニケーション方法の使い分け方法を上記の図にあてはめて考えてみましょう。
【01.立ち上げフェーズ】
キックオフ会やメンバー間の顔合わせなどを行う立ち上げフェーズでは、オフラインコミュニケーションで実施。初顔合わせのメンバー間でも円滑に仕事が進められるよう、関係を醸成します。
【02.計画・設計フェーズ】
企画内容のブレストや方針を決定する「計画・設計フェーズ」では、オフラインとオンラインともに使いながら進めると良いでしょう。
【03.調達・調整フェーズ】
大まかな方針が確定し、各自のタスクを遂行する「調達・調整フェーズ」「実行フェーズ」では、オンラインでのコミュニケーションに集約。ただし、トラブル発生時などには、臨機応変にオフラインコミュニケーションを取り入れることも有効です。
【05.クローズフェーズ】
最後のクロージングフェーズは、プロジェクトの内容や社風にもよって、オンラインとオフラインどちらにすれば良いかを判断するとよいでしょう。
3.よくあるオンラインコミュニケーションの悩み
プロジェクトフェーズやシーンに応じてコミュニケーション方法を使い分けるとしても、オフラインコミュニケーションにおいて課題があるのも事実。
ここからは、Web会議を例にオンラインコミュニケーションでよくある悩みや課題例としてご紹介します。具体的な解決方法も合わせて提案していますので、明日からの仕事に生かしてみてくださいね。
3-1.オンラインで生じがちなコミュニケーション課題いろいろ
株式会社ビズヒッツが実施した『WEB会議の悩みに関する意識調査』(※)では、Web会議において困っていることとして、以下の課題が で浮き彫りになりました。
画像引用:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000014.000041309.html
特に、オンラインツールを使うことで生じる課題として多いのが次のようなものです。
音声が拾えないなど機器の不具合、ミュート機能や画面共有の仕方がわからないといった、web会議ツールの操作スキルの必要性、インターネット環境が整っていないことによる通信の遅れ(映像のタイムラグ)などが大きな課題となっていることがわかります。
基本的なIT・PCスキルがないと、オンラインコミュニケーションのハードルが上がるという点は、オンラインコミュニケーションを仕事に取り入れる際に、留意しておきたいポイントです。
※PRタイムス『WEB会議と対面会議どっちがいい?男女527人にアンケート調査WEB会議の悩みに関する意識調査』(2020年10月7日)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000014.000041309.html
3-2.実際にあったトラブル・課題例
ここで、もう少し具体的に、オンラインコミュニケーションで悩みを抱えるビジネスパーソンの事例を紹介いたします。
(1)事例1:自宅でのweb会議中、家族の声が入ってしまうと悩むAさんの場合
コロナ禍と、産休明けというタイミングが重なり在宅ワークが増えた建築関係会社の広報として働く、30代Aさん。
会社支給のノートPCを使って作業しているものの、画面が小さいので、資料を見ながら話をするのが難しいと感じています。また、時間帯によっては、自宅に子どももいるため、web会議中に家族の声が入ってしまうのが気になっています。
また、web会議中に宅配業者が来訪し、チャイムが鳴るなど会議に集中できないことも悩み。
web会議以外のコミュニケーションはチャットワークがメインですが、22時を過ぎても連絡が入ることがあり、常に気が休まらないと感じている。
(2)営業クライアントとの関係作りの仕方に悩むOさんの場合
既存クライアント先をルート営業で回るのが主な仕事のOさん。
付き合いが長いクライアントは、訪問営業の代わりにオンライン打ち合わせをすることも増えました。しかし、次のような点で、コミュニケーションの難しさを感じています。
・会話の相槌の打ち方変なタイミングで相槌を打つと、会話を遮ってしまう)
・目線(表情が読み取りにくいため、相手の反応がわかりにくく、不安になる)
・雑談しにくいため、打ち解けた場を作りにくい(クライアントとの心理的距離を縮めるのに苦労)
4.web会議をうまく進めるコツ5つ
慣れない中での課題ややりにくさもあるオンラインコミュニケーション。3章で出てきた悩みも、ちょっとしたコツで解決することもあります。
業務の効率化や、会議を脱線させずに進められるなど、メリットも多いオンラインコミュニケーション。うまく進めるコツをつかんで、仕事に活かしてみましょう。
最後に、オンラインの中でも使い方やコミュニケーションの取り方に慣れていない方もまだまだ多い、web会議をうまく進めるコツをご紹介します。
4-1.相手との距離を縮めるミニトークを取り入れる
オンラインコミュニケーションだけでは、プロジェクトメンバーとの仲を深められないとと悩んでいるなら、web会議の最初に5分と時間を決めて、雑談する時間をあえて設けてみるのもおすすめです。
例えば、「今日のお昼」「在宅ワークでの悩み」「最近見つけた美味しいお取り寄せグルメ」などテーマを決めてみると、会話も進みやすく、お互いのことを知るきっかけにもなります。
4-2.身振り手振りは大きくする
web会議では、相手の反応が見えにくいのと同じくらい、自分の反応や相槌も相手に伝わりにくくなっていることもしばしば。
まずは自分から身振りや手振りを大きく、反応するようにすると画面越しに相手も相槌を大きく返してくれるようになることも。
4-3.話はじめは、一呼吸置いてから話す
画面の向こうの相手に続いて何か発言する際には、相手の話に被せないよう、一呼吸置いてから話し始めるように意識しましょう。同時に話すと音が拾えなくなり、相手の言っていることが聞こえないこともあります。
また、日本語は、結論を語尾に持ってくる言語なので、最後まで聞くことで、相手の意図を正しく理解できますよ。
4-4.事前準備と事前の資料共有を忘れずに用意する
web会議で使う資料などは、前日までに相手に送付するなど、早めにに共有しておきましょう。
印刷して手元に置きたい人、画面に表示させてみる人、どちらのスタイルでも資料が事前に共有されていれば準備がしやすいでしょう。
オンラインコミュニケーションだからこそ、資料をも直前にチャットやメールで送付してしまいがちですが、会議前に送ることを習慣にしておくと仕事もスムーズに進みます。
web会議をする前には、スムーズに進められるように準備をすることが大切です。そこで、事前に環境を整えるためのポイントをまとめました。
(1)回線状況
大事なオンライン会議の前は、画面が固まったり音声が途切れたりすることなく通信できるか、テストしてみると良い。自宅の通信環境が悪い場合は、シェアオフィスなどの利用も検討してみましょう。
(2)音声(必要ならマイクもあると便利)
初めて使うweb会議ツールやチャットツールの場合は、自分の音声が拾える設定になっているか確認を。また、パソコンの音量設定もチェックしておくと良いですよ。
(3)画面共有やチャットツールの動作確認
会議の進行を妨げないよう、画面共有などの操作方法はあらかじめ確認しておきましょう。
(4)資料を画面共有する際はスムーズに出せるか確認
パソコン画面を共有する際には、間違って違う画面を共有させないように慎重に。また、資料もすぐに出せるよう、ファイルを開くなど準備を忘れずに。
4-5.会議後のフォローも忘れずに入れる
会議が終わった後は、メールなどでもフォローすると良いでしょう。
オンラインコミュニケーションは、web会議だけではありません。メールやチャットなどのテキストコミュニケーションの重要性が、オフラインコミュニケーションがメインの頃よりも格段に高まっています。
対面でのコミュニケーションができない分、メールなら「◯さんの〜な意見にハッとしました」など、一言でいいので、自分の相手への印象を伝える言葉を添えてあげると、ぐっと親密度が増すのでおすすめです。
立ち話などちょっとしたコミュニケーションが取りにくいと感じている方や、相手との距離感が掴みにくいと感じている方こそ、心がけてみましょう。
シーンに合わせたコミュニケーションでより仕事をスムーズに
コロナ禍などにより、自然と使う機会も増えてきたweb会議などオンラインでのコミュニケーション。これまでの対面での仕事の仕方との違いや、使い分け方に悩んでいる方も増えています。しかし、オンラインコミュニケーションを上手に使えれば、日々の仕事の効率を高め、より良いパフォーマンスを出すことにもつながります。
また、今まで使われてきたオフラインコミュニケーションも、細やかな気持ちのやり取りができるなど、対面だからこその良さがあるのも事実です。
オンラインとオフラインそれぞれの良さや特性を正しく理解した上で、プロジェクトの段階や目的、チームの環境に合ったコミュニケーション方法を使いこなしてくださいね。
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