【一覧表付】「休む」とは何か? 世界のお休み事情を徹底検証

【一覧表付】「休む」とは何か? 世界のお休み事情を徹底検証

2019年4月1日から働き方改革関連法が施行されたのに伴い、今年のGWは比較的休みやすいムードで過ごした人が少なくないことでしょう。
しかし「仕事のオンオフ、切り替えがうまく行かない」「スケジュールの都合で結局休めなかった」という人は珍しくありません。
休みなのに休まない…という意識は、仕事に対する日本人の意識の高さの表れです。しかしそこから見えてくるのは、「終わりの見えない働き方に対する危機意識の低さ」とも考えられ、これは欧米から見るととても奇妙に映っています。
それでは、欧米の人々はどのように休みを取っているのでしょうか。
ここでは、欧米各国の「お休み事情」について、事例を交えながらご紹介します。

1.日本と世界の祝祭日数を一覧表で比較

会社や上司の許可がなくても堂々と休めるのが、国が定めている祝祭日です。宗教習慣や建国に関わる日を祝休日に定めていることは概ね世界で共通しています。それとは別に、大統領の誕生日までもが祝日になる国もあり、それぞれの国が持つ文化によって祝祭日への価値観は変わるものです。

それでは、日本と世界ではどのような違いがあるのでしょうか。

1-1.欧米では祝祭日も有休も「しっかり休む」日

下記の表は、祝祭日数、有休日数、有休消化日数を日本と欧米の各国別に挙げたものです。

国名 祝祭日数 平均有給日数
(長期休暇含む)
有給消化日数
日本 16 20 10
アメリカ 10 14 10
イギリス 8 26 25
フランス 11 30 30
ドイツ 9 30 30
イタリア 13 28 21

JETRO「世界の祝祭日」
https://www.jetro.go.jp/world/holiday.html
エクスペディア社「世界19カ国有給休暇・国際比較調査2019」
https://welove.expedia.co.jp/press/40915/
より作成

・仕事を休んでその日を祝う欧米
ヨーロッパでは日本と比較して祝祭日が少なめですが、有休日数と有休消化日数は日本を大きく上回っています。
仕事とプライベートの両立を図ろうとする意識が強いので、機会があるときは確実に休みを取る人が多いことが、ここからわかります。

逆にアメリカは、祝祭日数がヨーロッパと大差がないのに比べ、有休日数は日本を下回っています。
アメリカでは有休取得の権利が、ヨーロッパや日本のように法律によって保証されていません。そのため「自分が休むと仕事が回らなくなる=仕事を放棄したと見なされ解雇される」と考える人が多いからだと言われています。

ヨーロッパとアメリカでも有休日数にこれだけの違いがありながら、両者に共通するのは「国民の祝祭日ではほぼ国をあげて休む」傾向があるということです。観光客が集中する大都市の一部、特殊な業種の人々以外は「仕事を休んでその日を祝う」習慣が根強いです。

・全社で休業するケースもある
特にクリスマスとイースターの2つの時期が顕著で、前者では12月下旬のクリスマス12月25日を前後に挟んだ土日を含めて数日の有休を取り、1〜2週間の休暇とする習慣があります。
後者は3月もしくは4月に行われるイースターを前後に挟んだ土日を含め、1週間程度の休暇とする習慣です。
企業によっては、全社休業日と定めているところもあり、従業員個々で有休休暇を取る必要がない場合もあります。

このように、祝祭日は仕事を離れてプライベートを充実させようとする意識が総じて高いです。

これは、小売業やレストランなどのサービス業も例外ではありません。祝祭日に観光客が少ない地方へ行くと、どこもかしこも閑散としていたという話を耳にすることがあるかもしれませんが、特に珍しいことではないのです。

・バカンスの楽しみ方に集まる注目
有休を使って「休む」と言えば、筆頭に上がるのが夏のシーズンのバカンス(2〜3週間の連続休暇)です。
とは言え、昨今では夏の1ヶ月を丸々バカンスに当てる程の有休日数を付与する企業はそれほど多くありません。そのため、上記で挙げた国民の祝祭日にバカンスを当て「クリスマスバカンス」「イースターバカンス」など夏のシーズン以外でのバカンスを楽しむ人も増えています。

このような傾向から、同シーズンに出張の予定と休暇を取り、仕事先で休暇も楽しむ旅行スタイル「ブレジャー」が欧米のビジネスマンの間で広がりつつあります。

1-2.日本は「休みは休みではない」ことが日常化している

上記の表からわかるように、日本は「祝祭日数ナンバーワン、有休消化日数ワーストワン」です。
さらに、祝祭日数が多くても、日本では国をあげて休むということはほぼありません。
祝祭日に地方に行っても、営業している店は必ずと言っていいほど見ることができます。
つまり、日本では祝祭日にも仕事をする光景が「当たり前」とされている一面があると言えるのです。

このように日本は、地方レベルまでサービス業が発達し多種類に細分化されたことで、便利な生活を容易に維持できるようになった一方、人手不足によって労働者一人当たりが負担する仕事量が増える弊害が起こり、「休みは休みではない」現状が浮かび上がってくると言えるでしょう。
同時に、このことは「休みたいのに、休めない」という実態の裏返しと言っても過言ではないのかもしれません。

2.休むことに対する欧米人の意識

先述したエクスペディア社の調査によると、「有休の取得に罪悪感を抱く人の国別割合」が最も多かったのが日本です。
対照的に、アメリカは4位、フランスは8位、イタリアは10位、イギリス・ドイツは上位ランク外でした。

ここからわかるのは、休むことに対する意識が日本人とは異なるということです。
それでは、どのような違いがあるのでしょうか。

2-1.仕事に対して人を配置する

近年、日本の外食チェーンで起こった「ワンオペ」という働き方による事件の発生が社会問題化したように、日本人の働き方には「人に対して仕事を割り振る」習慣があります。

それとは逆に、欧米では働く人と雇用側の間で事前に契約書を交わし、業務内容を明確化します。契約書にない仕事は遂行義務がありません(違反して労働者を働かせた場合、国によっては雇用側に罰金が生じる場合もある)。
つまり、仕事に対して人が割り振られるため、誰かが休暇で休んでも全体の仕事が止まることはありません。そのため、罪悪感なく休むことができる環境が一般的です。

2-2.明日の仕事を今日やらない

「先のことまで考えて仕事をする」という言葉が日本では当たり前ですが、欧米では「先とはどこまでのことなのか?」と返されることでしょう。
欧米ではむしろ「目の前にある仕事を全力で片付ける」スタンスで働く人が大半です。

このようなスタンスのベースにあるのは、「その日に終えるべき仕事はその日にやる。明日の仕事は明日やる」という考え方。先が見えなくなるほど無理な働き方はせず、適宜に休みを取ってメリハリのある生活を優先させたい、という意識が浸透している所以と言えます。

3.欧米人の長期休暇、休日、休憩に対するスタンス

欧米では、仕事とプライベートを分けて考えることが普通です。そのため、どちらかに偏らないようワークライフバランスの質を重視する傾向にあります。

仕事中でもこの傾向は浸透していて、適当に休憩を入れる方が生産性や効率の向上に直結する、と考える人が多いです。

それでは、欧米の人々が持つ「休むこと」に対するスタンスとはどんなものでしょうか。

3-1.長期休暇(いわゆるバカンス)

外国映画でよくあるように「美しいビーチでひたすら本を読んで日光浴」しながら過ごす欧米人の姿は、ステレオタイプなバカンスのイメージとして定着しています。これはあながち誇張でもありません。

バカンスは「心身のリフレッシュのための日」と捉えられており、仕事と日常から完全に離れるため、人里離れた場所でのんびりくつろげる場所を求める人が多いのです。いわゆる「自分をリセット」するような過ごし方が好まれます。

3-2.休日

アメリカのホームドラマで頻繁に出てくる「休日に父親が自宅の庭を芝刈り機で手入れしている」シーンは、家族との関わりを大事にする欧米の文化の象徴とも言えます。ヨーロッパでも大体事情は同じで、家族と出かけたり家のことをしたりという人が多いです。

このように、休日は「自分がしたいことをするための日」として認識されています。

3-3.休憩

ヨーロッパを訪れたことがある人の中には、お店に客がいるにも関わらず「休憩時間で店を閉めるから」と追い出された経験がある方もいるのではないでしょうか。

拘束時間の中に含まれてはいますが「仕事から干渉されないフリータイム」として、仕事に集中するあまり自分が煮詰まらないようにきっちり休憩をとる人がほとんどです
「生産性を上げるために必要」と考えられているので、もし休憩を取れない労働者が職場にいた場合は、上司の管理能力を問われることになります。

4.休む習慣をまず「ブレジャー」から始めてみる

「日本人は働きすぎ」と言われて久しいですが、休みも取らず、疲れたコンディションで生み出されるものに大した成果は期待できません。

そのことに気づき、いち早く動き出した一部のビジネスマンや企業の間では、欧米から伝わった新しい休暇のスタイル「ブレジャー」が広がり始めています。出張に休暇をプラスし、出先で「休み」を楽しむスタイルならば、休みを取るのに後ろめたさを感じにくいもの。積極的にチャレンジしていきたいことの一つです。

休みを程よく取り入れて仕事に取り組むことこそ、仕事の質の向上ひいては人生の充実へ繋がるのではないでしょうか。

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