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2019.12.02

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パスポートの再発行が必要になったら?ケース別申請方法まとめ

海外に行くのに必要不可欠なパスポート。これがなければ、日本を出国することもできません。紛失、有効期限が過ぎた場合はもちろん、意外なポイントで再発行が必要になる場合もあります。国内だけでなく、海外での申請方法もまとめました。出張前にぜひご確認を!

1.パスポートを紛失した場合の申請方法

有効なパスポートを持っていても、盗難に遭ったりどこかに置き忘れたりしてしまったら…? 新しいパスポートを申請し、再発行が可能です。国内と海外それぞれの方法を見ていきましょう。

1-1.国内で紛失した場合の申請方法

何等かの理由でパスポートをなくしたら、まずは最寄りの警察署へ行き、紛失または盗難にあったことを証明する書類を発行してもらいます。
そこで、旅券窓口などで配布している「一般旅券発給申請書」と写真2通、の戸籍抄本、本人確認書類、そして警察で発行してもらった盗難・紛失証明書を持って旅券窓口かパスポートセンターで申請します。

パスポートを失くした場合は、手続きが二つ必要になります。一つ目が紛失したパスポートを失効させる手続き、その後パスポートを新しく発行してもらう手続きです。

≪必要な書類≫
・紛失一般旅券等届出書、一般旅券発給申請書
・写真2枚
・戸籍謄本
・本人確認書類
・盗難・紛失証明書

≪必要な費用≫
10年:16,000円(収入証紙2,000円、収入印紙14,000円)
5年:11,000円(収入証紙2,000円、収入印紙9,000円)

≪必要な日数≫
6営業日(土日祝日、年末年始を除いた6日間)

1-2.出張先の海外で紛失した場合

出張先の海外でパスポートを失くした場合は、現地の在外公館(日本大使館や領事館)で発行してもらいます。手続きは、日本で失くした場合と同様に、まずは警察へ行き、パスポートを紛失した証明書「ポリスレポート」を発行してもらい、在外公館へ向かいましょう。必要書類は日本で紛失した場合と同様です。

その後、紛失したパスポートを失効させ新たにパスポートを再発行してもらいますが、日数がかかります。パスポートを発行せずに「帰国のための渡航書」を作成してもらうことも可能で、こちらはそれほど日数を要しません。帰国日が迫っている場合は渡航書を発行してもらった方が良いでしょう。
ただし、渡航書発行の場合は、Eチケットなど帰国日を証明する書類が必要です。

≪必要な書類≫
・紛失一般旅券等届出書、一般旅券発給申請書
・写真2枚
・戸籍謄本
・本人確認書類
・盗難・紛失証明書
・航空券のEチケットまたは予約票(渡航書を発行する場合)

≪必要な費用≫
以下を現地通貨で支払う。
10年:16,000円(収入証紙2,000円、収入印紙14,000円)
5年:11,000円(収入証紙2,000円、収入印紙9,000円)

≪必要な日数≫
在外公館の状況によって異なる。
渡航書:最短で当日発行
パスポート:10日前後

2:手持ちのパスポートが有効期限切れの場合

たまにあるのが、気づかないうちに「パスポートの有効期限が切れていた!」ということ。また、長期出張の場合、出張先の海外で有効期限が切れてしまうこともあるかもしれません。
海外出張が決まったら、まずは有効期限を確認することが大切です。確認したら、有効期限が切れて失効してしまっていた場合はどうしたら良いのでしょう?

2-1.国内で有効期限が切れた場合

「一般旅券発給申請書」と写真、戸籍抄本、本人確認書類、失効したパスポートが必要です。失効したパスポートを提出し、新しいパスポートを発行してもらいましょう。古いパスポートには「VOID(無効)」のスタンプが押されて戻ってきます。このパスポートは記念にとっておいても良いですが、破棄する場合はシュレッダーやハサミで細断してから捨てましょう。旅券窓口に持って行って、破棄を依頼することも可能です。

≪必要書類≫
・一般旅券発給申請書
・写真1枚
・戸籍抄本
・本人確認書類
・失効したパスポート

≪必要な費用≫
10年:16,000円(収入証紙2,000円、収入印紙14,000円)
5年:11,000円(収入証紙2,000円、収入印紙9,000円)

≪必要な日数≫
6営業日(土日祝日、年末年始を除いた6日間)

2-2.海外でパスポートの有効期限が切れた場合

海外でパスポートの有効期限が切れた場合も、国内と同様の書類を持って在外公館へ出向きます。紛失した場合と同じようにパスポートの発行を待たずに渡航書で帰国することも可能です。その場合は、飛行機のEチケットや予約票を持参してください。

≪必要書類≫
・一般旅券発給申請書
・写真1枚
・戸籍抄本
・本人確認書類
・失効したパスポート
・航空券のEチケットまたは予約票(渡航書発行の場合)

≪必要な費用≫
以下を現地通貨で支払う。
10年:16,000円(収入証紙2,000円、収入印紙14,000円)
5年:11,000円(収入証紙2,000円、収入印紙9,000円)

≪必要な日数≫
在外公館の状況によって異なる。
渡航書:最短で当日発行
パスポート:10日前後

3.有効なパスポートの切り替え

パスポートの有効期限が切れていないから、大丈夫…ではない場合があります。有効残存期間が1年未満の場合は、注意が必要!パスポートの有効残存期間が少ないと入国できない、または日本を出国できない国があるためです。例えば、韓国の場合はパスポートの有効残存期間が3ヶ月以上残っていないと入国できません。

海外出張が決まった時点でパスポートの有効残存期間が1年未満の場合は、切り替える手続きをしておくことをおすすめします。

3-1.国内・海外での切り替え方法

必要書類・手続きは国内・海外ともに同様です。
今ある有効なパスポートを失効させ、新しいパスポートを発行してもらうため、一般旅券発給申請書と写真、手元にあるパスポートを持って行きましょう。有効なパスポートで本人確認が可能であるため、本人確認書類や戸籍抄本の提出は必要ありません。

≪必要書類≫
・一般旅券発給申請書
・写真1枚
・有効なパスポート
・滞在資格を確認できる書類(海外の場合。滞在国によって異なるため、在外公館へ問合せを)

≪必要な費用≫
10年:16,000円(収入証紙2,000円、収入印紙14,000円)
5年:11,000円(収入証紙2,000円、収入印紙9,000円)
※海外での切り替えの場合は、現地通貨での支払い

≪必要な日数≫
6営業日(土日祝日、年末年始を除いた6日間)
※海外の場合は、在外公館の状況による。目安として10日前後

4.その他再発行が必要な場合の申請方法

有効期限が残っていれば、どのようなパスポートでも有効というわけにはいきません。ここでは、有効期限が残っているけれど申請が必要なケースを紹介します。

4-1.パスポートを破損した場合

パスポートが破損していると、入国を拒否されてしまう場合があります。そのため、破損している場合は、有効期限が残っていても新しいパスポートに切り替えた方が良いでしょう。
必要な書類は「有効なパスポートの切り替え」と同様ですが、破損の程度によって異なります。

まず、パスポートのページが欠落していたり、カッターやハサミなどで切られていたりする「重度の破損」の場合は、なぜ破損したのか経緯を記載した「事情説明書」の提出が求められます。事情説明書は旅券窓口・パスポートセンターで配布されていますが、各自治体の公式サイトからダウンロードすることも可能です。
加えて、パスポートの身分事項のページや写真が破損・裁断されてしまっている場合は、戸籍抄本も必要です。

ただし、査証欄が一部切れていたりICシートが損傷していたりと、比較的破損が軽度である場合は、事情説明書と戸籍抄本の提出は不要です。

海外で破損してしまい帰国日が迫っている場合は、紛失・失効時と同様に渡航書を発行、帰国することも可能です。

≪必要書類≫
・一般旅券発給申請書
・写真1枚
・破損したパスポート
・事情説明書(重度の破損の場合)
・航空券のEチケットまたは予約票(渡航票発行の場合)
・滞在資格を確認できる書類(海外の場合。滞在国によって異なるため、在外公館へ問合せを)

≪必要な費用≫
10年:16,000円(収入証紙2,000円、収入印紙14,000円)
5年:11,000円(収入証紙2,000円、収入印紙9,000円)
※海外での切り替えの場合は、現地通貨での支払い

≪必要な日数≫
6営業日(土日祝日、年末年始を除いた6日間)
※海外の場合は、在外公館の状況による。目安として、渡航書発行は最短1日、パスポート発行は10日前後

4-2.結婚などで本籍や氏名が変更になる場合

引っ越しで住所が変更した場合は、パスポートの申請は必要ありません。しかし、結婚や離婚などで本籍・氏名に変更があった場合は申請が必要です。

方法は二通りあり、一つは新しいパスポートへ切り替える方法。「有効なパスポートへの切り替え」と同様の手続きになりますが、本籍・氏名変更後の戸籍抄本が必要です。
もう一つの方法は、「記載事項変更旅券」を発行すること。パスポート自体は新しくなりますが、切り替え前のパスポートの有効期限を引き継ぐこととなります。この場合も、本籍・氏名変更後の戸籍抄本が必要です。また、必要な料金が異なり、合計6,000円で発行してもらえます。

海外で申請する場合は、滞在資格を証明する書類が必要になる場合があるので、事前に在外公館へ問合せましょう。

≪必要書類≫
・一般旅券発給申請書
 もしくは一般旅券発給申請書(記載事項変更用)
・写真1枚
・有効なパスポート
・本籍氏名変更後の戸籍抄本
・滞在資格を確認できる書類(海外の場合。滞在国によって異なるため、在外公館へ問合せを)

≪必要な費用≫
10年:16,000円(収入証紙2,000円、収入印紙14,000円)
5年:11,000円(収入証紙2,000円、収入印紙9,000円)
記載事項変更旅券の場合は、6,000円(収入証紙2,000円、収入印紙4,000円)
※海外での切り替えの場合は、現地通貨での支払い

≪必要な日数≫
6営業日(土日祝日、年末年始を除いた6日間)
※海外の場合は、在外公館の状況による。目安として10日前後

5.パスポートで必要な書類を揃えよう

パスポートの申請には、事前に書類の準備が必要です。申請時に慌てないよう、事前に用意をしておきましょう。

5-1.すべての申請で共通して必要な書類

・一般旅券発給申請書(1通)
届出書はパスポート発行窓口に、海外の場合は、日本大使館・領事館で手に入ります。ダウンロードすることも可能で、事前に記入して持って行くことができ、便利でおすすめ。申請書は、機械で読み取るため、折り曲げたり汚したりしないようにしてください。

※一般旅券発給申請書ダウンロード:
外務省HP:https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/passport/download/top.html

・写真(1点。パスポートを紛失し、新たに発行する場合は2点)
提出日より6か月以内に撮影されている写真を、申請書などに貼らずにそのまま持って窓口へ提出します。
カラーでも白黒でも可能ですが、撮影環境やサイズには注意しましょう。背景がないものであることが条件で、この背景には影も含みます。頭髪の色と背景の輪郭の見分けが付きにくい場合は、撮影し直す必要があるので、背景の色も考慮してください。また、撮影した顔のサイズも定められています。

このように、細部にわたって規定が定められているため、スマホなどで自撮りをせずに、写真店で撮影してもらうか専用の撮影機を利用することをおすすめします。

≪パスポート写真の規格≫

写真のサイズ:、縦45mm横35mm
顔のサイズ頭頂から顎の先まで:32mm~36mm
余白(頭頂より上):2mm~6mm
顎の位置:15mm~19mm(写真の中央)


画像出典:東京都生活文化局「パスポート写真の規格と見本」http://www.seikatubunka.metro.tokyo.jp/passport/documents/0000000418.html

以下のような写真は不適当とされ、撮影し直す必要があります。
・髪が顔にかかっているもの
・顔が左右に傾いていたり、横をむいていたりするもの
・笑顔など平常時の容貌と異なるもの
・背景に影があるもの、背景の色が濃いもの、人物と背景の輪郭が不明確なもの。
・カラーコンタクトを装着している、またはフラッシュなどの光で瞳が赤く写っているもの
・顔や背景に影があるもの
・顔のパーツやほくろの修正、美白処理をしていないもの
・ピンぼけ、インクのにじみがあるもの

撮影時には以下の衣類、装飾品は避けましょう。
・帽子、幅の広いヘアバンド
・顔が隠れる衣類(タートルネックなど)
・医療上必要とされていない場合の眼鏡・サングラス着用
(色付きレンズや太いフレームの眼鏡・サングラスは不可。また、照明が眼鏡に反射している場合も許可されません。)

5-2.申請別に必要となる書類

申請する内容によっては、他に書類が必要になります。

5-2-1.戸籍抄本または戸籍謄本(1通)
盗難・紛失、パスポートの失効、本籍・氏名が変更した場合、重度の破損の場合に必要です。申請日より6ヶ月前までに発行されたものを用意しましょう。

自分ひとり分のパスポートの申請は抄本、家族のパスポートも一緒に申請する場合は謄本を一通提出します。コピーではなく、原本を提出することが必須。海外にいる場合は、家族に戸籍抄本を郵送してもらう必要があり、手間も時間もかかります。出張には戸籍抄本を保険として持って行くと良いでしょう。

5-2-2.本人確認書類
パスポートを紛失した場合と有効期限が切れた場合は、本人を確認できる書類が必要です。
有効なパスポートを持っている場合は、パスポートが本人確認書類となるため、これらは
必要ありません。

「運転免許証や健康保険証は海外へ持って行かない」という人もいますが、海外でパスポートの盗難・紛失に備えて、パスポート以外の本人確認書類を持って行くと良いでしょう。
書類によっては、1点で良い場合と2点提示が必要な場合があります。

1点で良いもの(例)
・運転免許証(仮運転免許証、国内で発行された国外運転免許証を含む)
・個人番号カード(マイナンバーカード)
・写真付き住民基本台帳カード
・写真付き身体障碍者手帳(写真張替え防止がなされているもの)

2点必要なもの(例)
Aの中から2点またはAとBの中から1点ずつ提出します。

Aの確認書類
・健康保険被保険者証
・国民健康保険被保険者証
・共済組合員証
・印鑑登録証明書と実印

Bの確認書類
・会社等の身分証明書(写真付きのもの)
・公の機関が発行した資格証明書(写真付きのもの)
・母子手帳

5-2-3.紛失・盗難を証明する書類
紛失または盗難に遭った場合は、パスポートの申請前に警察署へ行きましょう。そこで、紛失・盗難にあったことを証明する書類を作成し、それを提出する必要があります。
海外で警察署へ行く場合は、現地の言葉がわかる人に同行してもらうと良いでしょう。

※火事や震災などで焼失してしまった場合は、消防署へ行き「罹災証明書」を発行してもらいます。
※書類が何らかの理由で提出できない場合は、一般旅券等届出書に警察への届け出番号を記入します。

5-2-4.住民票の写し
住基ネット(住民基本台帳ネットワークシステム)を利用したくない場合や登録していない都道府県で申請する場合(居所での申請)のみ、申請日より6か月以内に発行された住民票が必要です。例えば、国内の単身赴任先や長期出張先でパスポートを失くしてしまい、その地域で申請する場合は住民票が必要となります。

5-2-5.失効または有効なパスポート
パスポートの期限が切れた場合は失効したパスポートを、有効であるが何等かの理由で新しく発行する場合は有効なパスポートを提出します。失効した場合はもう必要ないからと破棄せずに、保管しておきましょう。

※有効なパスポートの提出が必要なケース:残存期間が少ない、本籍・氏名が変わった場合のパスポート切り替え、破損。

5-2-6.帰国日が確認できる書類(Eチケットまたは航空券予約表)
海外でパスポートを失くしたたり、失効したりした場合でパスポートの再発行をせずに「渡航書」を発行して帰国する場合に必要です。海外出張中は、Eチケット等をプリントアウトまたはストレージサービスアプリに保存しておくと便利。
書類には、搭乗者名・帰国日・便名の記載があることが必要です。

5-2-7.滞在資格を確認できる書類
海外出張中に有効なパスポートを切り替える時に、この書類が必要になる場合があります。
例えば、アメリカの場合はESTA番号が必要。
必要かどうかは滞在している国によって異なるので、申請先在外公館へ問合せましょう。

海外出張の持ち物にパスポート申請必要書類を加えよう

海外出張で最も大切な持ち物はパスポート。しっかり管理することが大切ですが、万が一のケースを想定してパスポート申請用の写真、戸籍謄本、運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類を海外出張に持って行きましょう。海外でパスポートのトラブルがあっても、さくっと対応でき、不安も軽減されるはず!

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