中国への出張や、他国へのトランジットに北京首都国際空港を利用したことがある人もいるでしょう。
その際、喫煙者から「喫煙所が見つからない」といった嘆きにも似た声が聞こえてくることがあります。
今回は、北京首都国際空港ならびに北京市内の喫煙事情を紹介していきます。
知っておきたい!北京市の喫煙管理条例
まず、北京市では、2015年6月以降、屋内での喫煙は全面禁止になっています。
この条例は、正式名称「北京市喫煙管理条例」といいます。
具体的な内容としては、空港や駅をはじめとする公共の場所ならびにオフィス、飲食店といった「屋根のある場所」で喫煙することを完全に禁止し、屋外であっても指定された場所以外での喫煙はできないというものです。
この条例が施行された背景には、当時北京市が2022年の冬季五輪の開催地に立候補しており、「喫煙大国」という世界からのイメージを払拭し、招致に良い影響を与えたいという思惑があったとされています。
この条例には、「密告制度」も内包されています。
北京紙「新京報」によると、その「監視人」に10万人が任命され、2017年の1年間だけで、摘発された企業は653社、個人は3292人で罰金総額200万元(3500万円)を徴収したとされています。
ボランティアなので監視人に密告への報酬はありませんが、それでもこれだけの成果を挙げています。
その理由のひとつは、北京市へ出稼ぎしに来る人々が、この条例を知らずに禁止区域で喫煙してしまうからということです。
また、北京市民の喫煙人口自体は、施行されてからの約2年半で20万人ほど減っています。
しかし、全体では未だに400万人以上の喫煙者がいて、レストランやゲームセンター、オフィスなどで特に違反されるケースが多いのも摘発の数が多くなる理由です。
トランジットでは喫煙が難しい
さて、北京市喫煙管理条例は、当然ながら北京首都国際空港にも適用されています。
それにより、空港内には喫煙所が1カ所もありません。
北京市が目的地であれば、まだそこまで不便ではないでしょうが、トランジットの場合は一旦出国しなければ喫煙することができません。
その出国についても、トランジットの待ち時間が1~2時間ほどの短時間の場合は、出入国に時間がかかることが多いため、最悪の場合時間に遅れてトランジットできないことも有り得ます。
さらに、北京首都国際空港は液体や金属類の持ち込みを非常に厳しく制限しており、そのためライターも持ち込むことができません。
マッチも、火器類への制限も厳しいため没収されてしまいます。
探すなら出入り口付近
空港内の喫煙所がすべて閉鎖されていることを受けて、喫煙所は、基本的に空港の出入り口に設置されています。
国際線が多く離発着するターミナル3であれば、出入り口に7カ所あり、出発階の6号と8号出入り口などに設置されています。
トランジットの合間をぬって、ようやく辿り着くことになる屋外の喫煙所ですが、ここで問題となるのは、ライターを持ち込めないことから喫煙具がなく喫煙できないという状態に陥る可能性があることです。
しかし、喫煙所に入ると大抵の場合灰皿の周囲に大量のライターが置いてあることが多いです。
その理由は、空港内の保安検査の厳しさから、ライター1本でも所持していれば、係員に質問責めされてしまうことがあり時間を取られてしまうからだと想定されています。
その前に、喫煙所に置いていってしまう人が多いのでしょう。
その他、中国語が話せる人であれば、喫煙している人から喫煙具を借りるのもひとつの方法です。
屋外でも喫煙できるのは指定喫煙所のみ
北京市喫煙管理条例では、屋内は喫煙が完全禁止で、屋外では指定された場所以外での喫煙は禁止と定められています。
このことから、空港外での喫煙はもとより、北京市内でも喫煙所を逐一探す必要があります。
特に、北京市民以外の人はこの条例を知らず、屋外であれば適当な場所で喫煙してしまうことがあり、監視人のターゲットにされやすい傾向があります。
北京市内を訪れる前にはしっかりと念頭に置いておくべき条例といえるでしょう。
空港の内も外も喫煙者には厳しい
2018年の時点では、日本の空港においては喫煙が空港内で禁止されていることはありません。
しかし、世界では北京首都国際空港のように、空港内での喫煙を禁止している空港も徐々に増えてきています。
理由はさまざまですが、世界的な健康増進による喫煙への風当たりの強さが根底にあるといえます。
その中でも、この北京首都国際空港は、条例の厳しさはもとより、出入国の時間のかかり具合や保安検査の厳しさに起因する喫煙具の持ち込みへの制限も相成って、非常に喫煙者にとって辛い環境であるといえるでしょう。
それを理解したうえで、北京首都国際空港を利用することになった際には、事前にタバコを我慢できる方法を探しておくのが現実的な対策になるかもしれません。
たとえば、ニコチンガムを噛んだり、嗅ぎタバコを服用したりするといった方法です。
これらであれば、従来の紙巻きタバコと異なり、火も煙も出ないため、空港内や北京市内であっても喫煙所を探すことなく使うことができます。
長いフライトやトランジットの待ち時間で吸いたくなることは避けられないでしょうから、北京首都国際空港を利用する前に自分に合った対策を練っておきましょう。