取材記事

2023.03.14

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利用者のニーズを探求して生まれたWiFiBOX!成功の秘訣に迫る

株式会社テレコムスクエア 取締役CEO 田村正泰氏

数あるレンタルWi-Fiルーターの中でも、2022年4月にリリースしてすぐに注目を集めている「WiFiBOX」。
予約から受取、返却までが非対面・非接触ですばやく行える画期的なサービスで、
海外向け通信サービス機器を提供するテレコムスクエアが提供しています。
今回は、株式会社テレコムスクエアの取締役CEOを務める田村正泰氏に、コロナ禍という厳しい状況の中、
ユーザーニーズを第一に考えてWiFiBOXを開発した背景と、好調なスタートを切っている理由を伺います。

1.革命的なWi-Fiレンタルルーター「WiFiBOX」とは


―「WiFiBOX」とはどのようなサービスでしょうか?
WiFiBOXは、弊社テレコムスクエアが提供するモバイルWi-Fiレンタルサービスです。
世界130ヵ国・地域でデータ通信量を無制限で利用できます。また、Wi-Fiに加えてモバイルバッテリー機能も搭載しています。

最も大きな特徴は、予約、受取、そして返却までの一連の流れの中で、人と一切接触することなく利用できること。
WiFiBOXのサイトでアカウントを作っていただいたうえで予約し、
利用当日に空港や駅にあるWiFiBOX貸出機のQRコードをスマホで読み取ると、
貸出機のスロットから本体を取り出せる仕組みです。
返却時は、貸出機のスロットに差し込むだけなので、手軽に利用できます。

サービス利用のすべての工程を無人化、さらにコンパクト化を実現した、今までにない画期的なサービスなのです。
現在は成田や羽田をはじめとする国内の主要空港を中心に、
東京駅や新宿観光案内所など街中に順次設置を進め、サービスを提供しています。

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―新型コロナウイルスの影響で、非接触でのレンタルという方法を思いついたのでしょうか?
実は、WiFiBOXの構想はコロナ前からありました。
あるとき、モバイルバッテリーのレンタルと同じような仕組みを用いて
、Wi-Fiルーターを貸せるのではないかと思いつきました。
とはいえ、従来のポーチに入った付属品のあるWi-Fiレンタルルーターのスタイルが受け入れられていたため、
WiFiBOXの開発に至るタイミングがなかったのです。

開発を始めたのは、コロナ禍になってからです。コロナ禍の最中だからこそ、非接触が価値あるサービスだと考え、すぐに開発に踏み切りました。

―非接触のサービスに価値があると思ったきっかけを教えてください
コロナ禍で、空港のさまざまなシステムが自動化されているのを見たことがきっかけです。
例えば、出国手続きには、顔認証によるシステムが導入されました。
Wi-Fiレンタルルーターのカウンターも自動化に切り替えた方が、スピーディーに貸出できるため、
ユーザーに便利だと感じてもらえるのではないかとひらめいたのです。
感染症への不安を軽減するには、できるだけ人と人とが触れ合う機会を減らすことがポイントですから。

―サービスを自動化することで、どのようなメリットがあると思いますか?
ユーザーが快適に利用できることですね。
以前は、Wi-Fiルーターをお貸出しするカウンターの前に、長い行列ができていたことがよくありました。
出張の場合は、特に朝早いフライトを利用される方が多かったので、朝はカウンターが混みあっていましたね。
しかし、自動化することで貸出と返却に要する時間が大幅に削減され、お客様をお待たせすることが減りました。

また、1日あたりのデータ通信量が無制限で利用できる「無制限プラン(1日840円~)」をリーズナブルに提供しています。
コロナ禍では通信量が大きく増加しました。これからも、ネットワーク通信量が増えていくことを予想しています。
そのため、大きな通信量を安く利用できることは、ユーザーニーズに叶ったサービスだと確信しています。

―通信量が増えた理由は何でしょうか?
コロナ禍で生活様式が変わり、スマホやPCに触れる時間が長くなったためです。
動画を見る、ゲームをするといった機会が増えましたし、仕事ではオンラインミーティングが当たり前になりました。
オンラインミーティングやオンラインイベントなどは、インターネット環境さえあればどこからでも参加できて便利なので、
アフター・コロナでも続くと思います。今後、ユーザーの通信量が減ることはないでしょう。

2.予想を大きく上回ったWiFiBOXの反響

―WiFiBOXのサービスを開始してから、どのくらいの反響がありましたか?
嬉しいことに、私たちの予想以上に反響がありました。
WiFiBOXのサービスを開始した2022年4月は海外旅行が解禁になったばかりだったので、
利用者はそれほど多くはありませんでした。しかし、想定以上のスピードでWiFiBOXユーザーが増えて驚いています。

例えば、2022年12月1日からは、JR東京駅構内のコンビニ・NewDaysでサービス提供を始めました。
駅構内であったため、大がかりなプロモーションができず、
宣伝はお店の前にWiFiBOXのポスターを貼っただけでした。
それにも関わらず、たくさんの方々が利用してくださいました。

―東京駅ではどのような方がWiFiBOXを利用していますか?
年末の帰省のときには、東京駅の貸出機から1日100台ものルーターがレンタルされたこともあります。
「実家にはWi-Fi環境がないから借りる」という方が多かったです。
カフェで仕事をするけれど、お店のフリーWi-Fiはセキュリティの面で心配だから、
セキュアなWiFiBOXを1日だけ借りるという方もいらっしゃいました。
国内でも、安全に大容量の通信を使えるWi-Fiルーターの需要があるのだと、改めて感じました。

―東京駅でのサービスの成功の秘訣はなんだと思いますか?
やはり、スマホでもすぐに予約ができ、その場ですぐに借りられることではないでしょうか。
従来のレンタルルーターは郵送で貸し出ししていたため、1日~2日前の申し込みが必須だったのです。
また、NewDaysは早朝から夜遅くまで営業していますから、早朝でも深夜でも、貸出や返却ができます。
空港カウンターで貸し出す場合も、以前は人の手によって貸出していたため、時間帯によっては行列ができてしまいます。
しかし、WiFiBOXなら、貸出機のQRコードを読み取るだけですので、混みあうことは少ないでしょう。

―WiFiBOXの利用者からのコメントがあれば、教えてください。
「荷物が減った」「持ち運びしやすくなった」というコメントを多数いただいています。
スマホなどを充電できるバッテリー機能がついているため、スマホ充電器を持ち歩く必要がなくなったことがとても好評でした。
今までのWi-Fiルーターだと、スマホ充電器も一緒に持ち歩くのが億劫だと感じていた方が多かったようです。

中でも驚いたのが「付属のポーチがなくなってコンパクトになり、持ち運びしやすくなった」というコメントです。
以前は、Wi-Fiルーターとルーターの充電器、そして説明書などをポーチに入れてお渡ししていたので、少しかさばっていました。
利用したお客様に感想をお伺いしたところ、「実は、あのポーチが邪魔だなって思っていたんです」と言われたのです。
一見すると小さな違いかもしれませんが、お客様にとっては大事な違いだったという気付きをいただけたひと言でした。コンパクト化してよかったなと思います。

3.徹底的に品質にこだわるからこそ生み出せたWiFiBOX

―これだけ短期間で多くの方々に使っていただけたのは、なぜでしょうか。
テレコムスクエアが今まで積み重ねてきた実績があるからこそだと思います。

まず、空港会社様との関係構築ができていることです。創業30年を迎えた当社は、
2002年にモバイル通信サービス会社として始めて空港に出店しました。
空港にはさまざまな規制があり、出店までに多くの努力を要しましたが、
その分、空港会社様との関係が築けています。そのため、
空港内の中央にあるエスカレーター付近や到着ロビーの中央あたりなど、
アクセスしやすい場所にカウンターや貸出機を設置させていただけています。

【設置場所例1】成田空港第2ターミナル 3階 出発ロビー


画像出典:WiFiBOX公式サイト「WiFiBOX設置場所一覧」より

【設置場所例2】成田空港第2ターミナル 1階 到着ロビー


画像出典:WiFiBOX公式サイト「WiFiBOX設置場所一覧」より

もうひとつは、テレコムスクエアはサービス品質に徹底的にこだわり続けてきたこと。
長年、世界中の通信キャリアと関わりながら、「どういったものが良い品質なのだろう」と常に探り、追求してきました。

―品質向上のために行ったことがあれば、教えてください。

例えば以前南アフリカで行われた世界的なスポーツの大会では、現地の通信状況や環境を徹底的に調査しました。
メディアの方から現地で安全・快適な通信環境を確保したいという相談があったためです。
大会開催前にスタッフが南アフリカへ出向き、利用が想定される各地にて繋がりやすい通信キャリアを調べ、
最も安定した通信が可能なキャリアを利用できるよう手配しました。

そのときに、現地を調査してよかったことがあります。
それは電源プラグのタイプが、ホテルと地元ビルとでは異なると気づいたことです。
メディアは中継のために地元ビルを利用しますから、
メディアの方々が弊社サービスを安心して利用できるよう、南アフリカで大量の変換プラグを買い込んでおきました。

4.逆境でもチャンスを作るテレコムスクエア

―品質向上のほかにこだわってきたことはありますか?
出張や旅行に新たな価値を提供することです。
コロナ禍のように、会社の存続が脅かされるような状況にあっても、
その場しのぎの策ではなく、ユーザーにとって何が本当の価値になるかを模索し、サービスを考案し提供してきました。

―渡航が制限されていたコロナ禍では、どのようなサービスを提供していましたか?
80くらいの自治体と契約し、数万台のWi-Fiルーターを提供しました。
小中学校に一人1台のPCを与え、IT教育をする「GIGAスクール構想」
という文部科学省による施策があるのですが、コロナで学校へ行けなくなった状況で、
リモート授業が開始され、推進スピードが上がりました。

しかし、自宅にWi-Fi環境が整っていない家庭が少なくないことがわかり、
自治体が環境通信を整えようと呼びかけたことがきっかけとなりました。
現在も継続してWi-Fiルーターを提供しています。

―WiFiBOXのほかにどんなサービスを提供していますか?
ハワイ・ホノルルのシェアバイクサービス「Biki(ビキ)」の公式代理店として、
利用をサポートする「Bikiカード」を提供しています。

Bikiはハワイ・ホノルルで渋滞緩和や環境保全のために導入されているシェアバイクサービスです。
現地在住者向けのサービスですので、利用の際には英語が必須です。
そこで、英語が苦手な日本人の方でも簡単に、安心して使えるよう、
日本語サポートを完備した「Bikiカード」を販売しています。

5.時流の変化に合わせて手法を変えてもユーザー第一のモットーは変えない

―今後は、WiFiBOXをどのように展開していきたいと思いますか?
日本だけでなく、海外でも提供できるのではないかと考えています。
WiFiBOXは今までにない革命的なサービスだと自負していますので、世界へ広げられる可能性は十分あると感じています。
そのために、今までとは違うやり方をしていくかもしれませんね。

やり方は変えても、お客様に満足していただくことを第一に考えることは変えません。
今後も、ユーザーの潜在的なニーズをキャッチし、何がユーザーにとって価値あるものなのかを探り、品質を重視してサービス化していくつもりです。

―最後に、BTHacksの読者に向けて、コメントをいただけますか。
コロナ禍でリモート会議が普及したため、海外に行けるようになった今でも海外出張の回数は減ったかもしれません。
しかし、信頼関係を構築するには出張に行き、リアルに人と会うことは大切だと思っています。
そのような海外出張が成功するよう、私たちがサポートしていきたいですね。
お客様からのコメントを基に改善を重ねていきたいので、WiFiBOXを利用されましたら、ぜひコメントをお寄せください。

ユーザーからの声一つひとつを真摯に受け止め、さらに良いサービスとなるよう尽力し続けていくつもりです。

田村正泰さんプロフィール
2019年4月株式会社テレコムスクエア入社
2020年1月に取締役に就任し、営業及びマーケティングを監督
2022年4月よりCEO就任
長年に渡って、海外旅行及び海外ウェディングをプロデュースしてきた経歴を持つ。

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※画像は取材協力者提供とHPより

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