取材記事

2024.01.25

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CAからJAL中部支社長に転身した崎原氏に聞く仕事の極意!社会の課題を解決する挑戦

日本航空株式会社 中部支社長
崎原淳子氏

近年、自社が持つサービスや知見を生かし、顧客や社会の課題を解決するソリューション事業に注目が集まっています。
そのようななか、日本航空株式会社で中部支社長としてソリューション事業に積極的に取り組むのは、崎原淳子さんです。
2022年4月に客室乗務員から、全く未経験だった営業部門の支社長に就いた崎原さんは、
支社メンバーと共に、航空営業に加え、地域に密着したソリューション事業に試行錯誤しながら取り組み奮闘しています。
地域密着・現場発信の事業運営を信念に活躍する崎原さんに、
異なるフィールドからの挑戦をする楽しさや難しさ、組織作りをする上でのリーダーとしての価値観などを伺いました。

1.客室乗務員からJAL中部支社長という新たなフィールドへ

崎原さんのキャリアで注目したいのが、客室乗務員から経営者へ転身した、ユニークな経歴です。
いったいどのような経験をこれまで積んできたのか、そして新しいフィールドに飛び込み、
活躍するためにどのような努力を重ねてきたのかを伺いました。

1-1.崎原さんのこれまでの経歴

ー崎原支社長のご経歴について、簡単に教えてください

私はもともと日本航空(以下、JAL)に入社以来、35年間客室乗務員として働いていました。
お客さまにサービスを提供する最前線での仕事から、中部支社支社長に就任したのは2022年の4月です。

JAL中部支社は東海3県(愛知・三重・岐阜)と、北陸3県(富山・石川・福井)、さらに長野・静岡を加えたトータル8県を管轄しています。
30名程度の小さな所帯ですが、北陸にもある支店と連携しながら事業活動を行っています。
その中で私は、支社長として支社全体の統括業務を行っています。

ー客室乗務員というフィールドからの現職ですが、これまで経営について学んだことは?

特別なことは全くしていません。
強いて言うなら、客室の中でいろいろなマネジメント業務や人財教育などをやっていたくらいです。

また、2020年から株式会社ジャルパックというJALグループの旅行会社で非常勤の取締役として会社の意思決定の現場を知る機会はありました。
ただ当時も、客室の知見を活かして参画する意味合いが強く、経営にしっかり
と関わるというよりは、現場経験を生かして何かできることがあれば、という立ち位置でした。

ーほぼ未経験、というラインからのスタートだったのですね!

そうですね、今の仕事はまったく違う会社に入って新しい仕事をしているような感覚です。
その中で支社を統括していく訳ですから自己研鑽も必要ですし、
当然ながら支社長という仕事は「習うより慣れよ」というだけで通用する仕事ではありません。
周りのスタッフにもだいぶサポートしてもらいながらやっているという状況です。

1-2.客室乗務員時代に培った対応力があるから今がある

ーこれまでの経験が経営に活きていると感じる部分はありますか?

客室乗務員は人と接する仕事です。
現場で接するお客さまだけでなく、客室乗務員を育成する仕事もしてきましたので、本当に多くの方とこれまで接してきたと自負しています。
この経験は、今に活きていると感じています。

たとえば、1回のフライトだけでたくさんのお客さまが搭乗されます。
いろいろな価値観をお持ちの方がいて、年齢・性別も様々ですから、日々たくさんのご指導をいただいてきました。
自分に至らないところがあったり、ちゃんと仕事に集中できていなかったりすればお叱りに直結します。
反対に、心を込めて本当にお客さま視点で仕事ができれば、褒めていただけることもありました。

自分がお客さまのことを考えられているかどうかがダイレクトに評価される環境だったわけです。
だからこそ、客室乗務員の仕事は、コミュニケーション力が培われます。
まさにこのコミュニケーション力は、経営においても必要なスキル。今に活きていると感じています。

ー経営は、日々決断の連続だと思います。こうしたシーンでも生かされている部分はありますか?

客室乗務員時代に鍛えられた臨機応変な対応力は、今の私を支えてくれています。

飛行機の中ではいろんなことが起きます。
飛行機は、一度お客さまにお乗りいただいてドアが閉まった瞬間から着陸するまで、全て自分たちでなんとかしないといけない世界です。
もちろん、無線で指示を仰いだりサポートいただいたりすることもできますが、こうした外からの援助には限りがあります。

そういう意味では、客室乗務という仕事は究極の自立型。
今ある状況を的確に判断して、チームのみんなと一緒にベストなパフォーマンスを臨機応変に選択していくという世界です。

こうした対応力はまさに必要なスキルだなと痛感しています。

ーコロナ禍をきっかけに、リスクを乗り切る力もより求められるようになりましたが、
こうしたシーンでも臨機応変な対応力が役立っている部分もありますか?

臨機応変さはもちろんのこと、リスクにいかに向き合うかは現場でかなり鍛えられてきました。
危機管理能力は、経営においても必要なスキルです。

航空は安全運航が何よりも求められる世界です。
先手、先手で安全を脅かす要素をなくしていくことは徹底して叩き込まれていた部分かもしれません。
経営リスクが発生する前から予測して対処していくことの大切さは、乗務時の考え方と同じだと感じています。

1-3.どんな仕事も1人ではできないからこそ!前向き思考と感謝を忘れずに

ーこれまでのご経験から活かせる部分があったとはいえ、経営を担うという新たな挑戦。当初は不安な気持ちもありましたか?

支社長の仕事は全く初めてのこと。不安も大きかったです。
ずっと営業畑で活躍してきた方と比べれば、知識もまだまだです。

とはいえ、ないことばかりに目を向けていては何も変わりませんから、
自分が持っているコミュニケーション力、対応力、そして肝っ玉が座っている点を信じてやっていくしかないな、と。

ー崎原さんの表情からとてもポジティブなパワーを感じます。不安を前向きな力に変える秘訣を教えてください。

それは嬉しいですね!どうせやるなら仕事は楽しくやっていきたいなと思っています。
仕事をしていると、様々なピンチに直面します。
困難な状況に立たされたときこそ、「何かしらチャンスはあるはずだ」という意識を大切にしています。

ーまさにピンチはチャンスということでしょうか。

その通りです。
何をやるにしても、何か良いデータやトピックスを自分で見つけ、前向きな意義を見出していくようにしています。
厳しい状況でも楽しみながら仕事をするというのは、私のモットーですね。
あとは「何とかなる」と思って行動する。
これが行き詰まらない秘訣ではないでしょうか。

ー今回お会いして崎原さんを囲むJAL中部支社の皆さんの表情も明るいのが印象的です。

そうなんです。
中部支社のメンバーは「ありがとう」という気持ちを持ちながら仕事ができる人ばかり。
こんな素晴らしい仲間と一緒に仕事ができているということ、支えていただいているということに、日々感謝をしています。

私は営業畑の出身ではありませんから、会議などで出てくる営業専門用語一つとっても、いまだにわからないことがあります。
そんなときは「今の言葉はどういう意味?」と恥ずかしがらずに聞くようにしています。
そうすると、みんな嫌がらずにちゃんと教えてくれるんです。とてもありがたいことです。

ーチームとしての信頼関係が醸成されているのですね。
私は、支社のメンバーをとても信頼しています。
自分が経営や事業運営の専門家として着任したわけではありませんから、そもそも1人で何でもできるわけがありません。

仕事はどんな些細なことでも、きっと誰かが見えないところでサポートしてくれている。
仕事というのはそんなふうに回っています。
何をするにも、最終的な責任は自分にありますが、チームでお互い支え合いながら仕事をしていくことは非常に大事なことです。

2.地域の時代だからこそ「現場発信」の事業運営を

明るい人柄と、ポジティブな姿勢が印象的な崎原さん。
現在、崎原さんが率いるJAL中部支社が取り組むのが、現場発信のソリューション事業です。
どのような価値観のもと事業運営を行っているのかを伺いました。

ーJAL中部支社の事業内容について教えてください。

簡単に申し上げると、中部地域のJALの窓口としての機能を持つ組織です。
航空営業はもちろん、非航空分野では地域活性や教育をはじめ、地域の人流・商流・物流の拡大を目指して様々な活動をしています。
具体的には地元企業さんとのコラボ事業など JALとして何か関わりを持つことができるとしたら、
支社が全て窓口となって取り組ませていただいています。

ー本社からのトップダウンではなく、地域発信で事業運営を?

地域特性に合わせて事業運営することで、収支を最大化させることが支社の役割です。
JALはエアラインですので、基本的には航空営業が軸ですが、
中部支社を含めた全国5つの支社それぞれが独立して地域に合わせた事業運営をしています。

もちろんJALという企業としての共通ビジョンをもとに、みんなで同じ方向を向いて仕事をしていますし連携もしていますが、
やはり地域には地域の特性があります。
そこは東京の本社にはなかなかわかりにくいところです。
地元の皆さまとお話をしながら、地域に密着して、地域に根ざした運営をしていくというところが支社の一番大きな役割です。

今は地域の時代です。常に我々が主役だという自負を持って仕事をしています。

ー航空営業以外にも事業の幅が広がっているということでしょうか?

これまでは基本的には航空営業中心でしたが、コロナ禍を経て、航空以外の事業にも力を入れ始めています。

具体的には、自治体や地元企業のみなさまとお話をしながら、地域の課題や、
企業さまが抱えている課題を一緒に解決していけるようなソリューション営業ですね。
JALがエアラインとして培ってきたアセット、ノウハウを活かしながら柔軟な発想で事業を展開できるよう、試行錯誤しながら取り組んでいます。

3.JAL中部支社が見据える地域の課題を解決するソリューション事業とは


https://www.jal.co.jp/solution/

インタビュー中、崎原さんが何度も口にしていたのが「ソリューション事業」という言葉です。
JAL中部支社がなぜソリューション事業を大切にしているのか、どのような取り組みをしているのか詳しく聞きました。

3-1.コロナ禍をきっかけにソリューション事業への取り組みが加速

ーソリューション事業について、具体的にはどのような取り組みを?

例えば、地域の特産品をPRするために自治体や地元企業と連携して商品開発をしているのもその一つ。
また、交通不便の解消に取り組んでいる企業と共に、
ご年配の方の外出を促進する出かける理由づくりなど、枠にとらわれない事業活動を意識しています。

ーなぜ、地域課題を解決するソリューション事業に力を入れているのでしょうか?

日本航空が持っているアセットを活用して、地域や地元企業が抱えている課題解決に繋がる取り組みを一緒に進めることで、
人流・商流・物流を拡大させ新しい価値を生むと考えているからです。
いろいろな企業のソリューション事業を拝見していると、どの企業や業界の皆さまも、
自社が今までやってきた業態だけではなくて、社会の仕組みや課題解決に目を向けています。
JALにはエアラインとして培ってきた安全管理、人財育成をはじめとしたアセットがあります。
そこを生かしながら、JALらしいソリューション事業に繋げていきたいと思っています。

ー特にコロナ禍で変わったこと、変化した価値観はありますか?

JALの一丁目一番地の使命は、社会インフラである航空交通の分野で「安全運航」を行うことです。

飛行機を安全に飛ばすという最大の使命をしっかりとやりつつ、どのような価値を生んで社会とともに生きていく企業であるのか、
を改めて考えなければいけないのではないでしょうか。
壮大な話になるかもしれませんが、社会における企業のあり方は今後ますます問われていくはずです。

[関連記事]
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ーソリューション事業に取り組むことは、まさに時代の必然ということでしょうか。

そういった側面はあるかもしれません。
企業活動は、利益を上げるだけでなくSDGsの達成抜きには語れない世界に入ってきました。
自社だけでなく、社会にとってもサステナブルであること、きちんと持続性のある事業を行っていくことが大切です。

私たちとしては、安全安心とサステナブルという2つの視点で企業としての役割を果たしていきたいと考えています。

ーコロナ禍を経て、旅行事業者との付き合い方も少しずつ変わってきていますか?
また、今後どのような形になっていくとお考えですか?

旅行会社とのお付き合いはこれからも変わらず大切なものだと考えています。
先ほどから話題に出ていますソリューションという観点でも、更に連携する機会が多くなるかもしれません。
地域密着で事業活動されている旅行会社も多いですし、
ビジネスパートナーとしてさまざまな協業の形があるのではと期待をしています。

3-2.地域特産品・ふるさと納税商品の企画から人財育成まで

ーぜひ、ソリューション事業として取り組まれている活動について、いくつか教えて教えてください。

例えば、うなぎパイで有名な静岡県の製菓メーカー『春華堂』様との商品開発もその一つです。

画像出典:https://jalplaza-airport.jalux.com/product/detail/9200907241159.html

「大地のパイ 紅はるか」「山むすび だしゆのこ」などの商品を共同開発し、JALの国際線臨時便の機内食としても採用されました。
これはコロナ禍に中部支社が「今できること」として始めたものですので、いわば支社のソリューション第一号と言えるのかもしれません。
また、JALふるさとプロジェクトの一環として取り組んでいるのが、愛知県の杉本食肉産業株式会社様とのプロジェクトです。
愛知県産ブランド和牛「みかわ牛」を使ったローストビーフやハンバーグを開発。

JALモールなどでも販売しています。

画像出典:https://furusato.jal.co.jp/goods/detail/fc10df89ce01b483ea2fe61aaeb89174

他にも、ふるさと納税をすると返礼品だけでなくJALのマイルがもらえる『JALふるさと納税』で
三重県明和町の名産である擬革紙(ぎかくし)の名刺入れと御糸織(みいとおり)のサコッシュのセットなどもお取り扱いしています。

まだ構想段階ではありますが、
バスの運行本数が減ってしまっている地域の交通不便の解消に向けて何かお手伝いができたらという話も出ています。
インバウンドに関しても観光だけでなく医療ツーリズムなどの視点でできることがありそうです。

4.挑戦するうえで大切なのは「お役に立ちたい」という想い


https://ec.jal.co.jp/shop/g/g0002-9520A/キャプション:JALふるさとプロジェクトで商品開発に携わるメンバー(2022年10月当時)

ー航空事業からソリューション事業への広がり。当初は社内でも戸惑いの声もあったのではないでしょうか。
取り組みを浸透させるために工夫されたことはありますか?

確かに「ソリューションとは何か」というところからスタートしましたので、最初はみんな雲をつかむような感じでした。
「ソリューション営業は、こういうふうに進めていくものです」
という明確なマニュアルや手順があるわけではありませんし、手探りの状態であることは確かです。

ただ、どんな取り組みをするにしても、あくまでも主体はお客さま。
自分たちが何かを売りに行くという姿勢ではなく、まずはお客さまである企業や自治体の方々からお話を伺い、
そこから何か自分たちがお役に立てることはないかを考え、ご提案していこうと徹底しています。

ーコロナ禍もひと段落した今。今後のビジョンを教えてください

「コロナ禍前と同じ状態に戻す」ということではなく、今までにない発想で新しい道を切り開いていきたいと思っています。

今取り組んでいるソリューション事業も、人流・物流・商流を作り、
地域の活性化やいろいろなつながりを広げ、新たな価値を作ることができる可能性を秘めています。
とはいえ、まだまだ道半ば。試行錯誤しながらという部分も多いですから、
もっと果敢に・積極的に、そして柔軟な発想で取り組んでいこうと話をしています。

5.失敗を恐れない組織づくりはリーダー自らの姿勢から

ー挑戦を続ける組織の風土を作る上で、崎原さんが意識していることはありますか?

私達はクリエイターなんだということを共通認識として持つようにしています。
また、失敗を恐れない空気感の醸成は欠かせません。

何かに挑戦すれば、いろいろなことが起こります。
予測困難なことも当然あるからこそ「失敗したとしてもそこから学べることはとても大きな価値がある。結果として失敗ではなくなる。」と
常に社内のメンバーにも言っています。

JAL中部支社では、みんなで議論しあったり、失敗も含めてお互いを認め合ったりする風土が定着しています。

ー経営者やリーダーという立場になると、失敗を恐れがちです。
そんななかで、「失敗してもいい」という言葉を崎原さんがリーダーとして発することで、勇気づけられる部分も多そうですね

そうなっていると嬉しいですね。
「失敗を怖がらないでやろう」と言っても、やはり慎重になってしまうのが当たり前です。
だからこそ管理職には、
「まずはリーダーが、失敗から学べるんだという意識を持ってほかのメンバーと関わっていこう」と常に話をしています。

私だけが「失敗を怖がらなくていいよ」と言うのでは意味がありません。
本当に彼ら自身が日々の小さな失敗も含めて
「この経験には意味があるんだ」
「いいじゃないか、次に生かそうよ」
とチーム全体で前を向いていける雰囲気があるかどうか。
そこを常に意識しています。

ー何かそのためにやっていることはありますか?

褒める文化を醸成する仕組みづくりはしています。
「Aさんは、こんなに素晴らしいことに挑戦した」と、なんでもいいので仲間を褒める機会を毎月設けています。
こうした取り組みは少しずつ効いてきているのではないでしょうか。

今まで航空セールスとして飛行機の座席しか売ってこなかった私たちが、
ソリューション事業という全く異なる視点で挑戦をする上では、大胆に発想を変えていかなければなりません。
いきなり大きいことはできないかもしれませんが、小さな挑戦を積み重ね、
小さな挑戦をしたことをチームで認め合っていくことで組織も成長していくはずです。

猫から学ぶのはリーダーに必要な自責思考

精力的に活躍されている崎原さん。
その日々を支えているのは、家族として迎えた愛猫の存在です。
慣れない環境での仕事や忙しい日々が続くときに大切なことは、
いかに気持ちをリセットするか。
日々精力的に活躍する崎原さんがとても大切だと話すのは、愛猫との時間です。

「嫌なことや落ち込むようなことがあった日も、猫を抱いているだけで心がほっと安らぎます。
ルーティンというほどではありませんが、この時間が気持ちをリセットして明日も頑張る活力源になっています」

猫との時間で得られるのは心の癒しだけではありません。
崎原さんは、経営者にとって大切な姿勢を猫から学ぶこともあるそうです。

「猫は可愛いだけでなく、自責で物事を見ることを私に教えてくれました。
大事な書類に限ってかじったり、物を落としたり。
飼い主の思い通りにはならない猫と暮らしていると、モノを落とされても
『そこに置いていた私が悪かったんだ』と自責思考で物事を捉えられるようになります(笑)。
この自責思考は経営でも役立っていますよ」

他責思考ではなく、「自分は何ができるのか」という姿勢で仕事をすることが、日々の仕事に役立つヒントに。
崎原さんの愛猫から学ぶリーダーの姿勢は、読者にとっても参考になるでしょう。

6.BTHacks読者に仕事をアシストするメッセージ

ー最後に、BTHacks読者に向けて、仕事をアシストするメッセージをお願いします。

私自身未経験の分野で、今の仕事をしています。
だからこそ「失敗を恐れない」ことの価値や面白さをぜひ読者の方にもメッセージとしてお伝えしたいですね。
「失敗を恐れない」というと覚悟が必要なように感じるかもしれません。
「まずはやってみる」というところからぜひ、一歩踏み出してみてください。
その踏み出した一歩から、新たな価値の発見や自分の成長が生まれるはずです。

自分の可能性というものを信じてチャレンジをすること。
たとえうまくいかなかったとしても前向きに結果を捉え、学んでいく。これを積み重ねていけば、きっと開ける道があるはずです。

ー挑戦することで広がる世界がある、勇気づけられるメッセージです。

「未経験でもいい」「失敗してもいい」、そう思ってみることがまず第一歩です。

客室乗務員時代もそうでしたが、経験やキャリアを積むと、組織から任される役割や責任は増えてきます。
役割がどんどん広がっていくと、「自分は向いていない」「私は二番手やサブ的な役回りの方が向いている」と抵抗しがち。私もそうでした。
けれど、いざ飛び込んでみると、フィールドが広がり、自分でも知らなかった「私ができること」に気づかされます。

ーリーダーだからといって、完璧である必要もないというメッセージにも聞こえます。

もちろんです。組織が成長していく上で、組織を引っ張るリーダーや責任者も成長を止めていいというわけではありません。
どんな年齢・役職・立場になったとしても、自分の可能性を「ここまでだ」と上限を決めず成長を続けなければいけません。

そういう意味では、今が完璧であるはずがないんです。
「自分にもできるんだ」とか、「自分には可能性があるんだ」ということをぜひ信じて前に進んでください!

崎原淳子さんプロフィール

1964年生まれ。
1987年に日本航空株式会社に入社。
1988年から国際線客室乗務員となり、
2002年には客室乗員訓練を行う教官として人財育成に携わる。
2020年には第4客室乗員部部長と、株式会社JALパック非常勤取締役を兼務。
「2025年までに女性管理職の割合30%」の目標を掲げるJALで女性管理職として活躍。
2022年よりJAL中部支社支社長に着任。

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