取材記事

2024.07.09

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【TOKYO XR・メタバース&コンテンツ ビジネスワールド】 クリエイティブステージ&クリエイティブ3部門のピッチイベントレポート

クリエイティブステージでは連日、クリエイターと声優がさまざまな企画でステージに登場。会場を明るい雰囲気に染め上げていた

様々なXR・メタバースの最新情報が披露された展示会「TOKYO XR・メタバース&コンテンツ ビジネスワールド」。
この記事では、XR・メタバースにおけるクリエイティブ部門での活用例を中心に、クリエイティブステージで披露された発表を集約し、分かりやすくまとめてご紹介。
また、コンテスト形式で企業・団体・個人の各部門でアイデアを競ったピッチイベント【音楽部門】、【アニメ・キャラクター部門】、【アバター部門】」の内容についてもお伝えする。

1.【バーチャルマーケットツアー】メタバース上に現れた新しい市場がすでに活況


個人のクリエイターによるブースも並んでいたのが今回の展示会の特色。多くの注目を集め、商談はじめコミュニケーションも活発におこなわれていた

開催初日のオープニングイベント後、すぐにクリエイティブステージで開催されたのが「メタバース初心者から玄人までが楽しめるVRワールドバーチャルマーケットツアー」と題したイベント。ここからは、その模様をお伝えする。


「バーチャルマーケットツアー」の1コマ。後ろの画面に映るのは遠隔から参加しているVチューバーのみなさん。こうやって簡単に時空を越えられるのがメタバースの面白いところ

1-1.バーチャルマーケットとは何か

「バーチャルマーケット」とは、XR・メタバース&ビジネスコンテンツワールドの出展者でもある株式会社ヒッキーが主催するバーチャル空間上でのイベントだ。

バーチャル空間上にある様々なコンセプトを持ったワールド(世界)を巡って、参加者の分身となる存在=アバターや、そのアバターが持つアイテム、衣服などを売り買いできるというメタバース上の市場と捉えれば良いだろう。
また、デジタルアイテムだけではなく実際に一般のデパートやショップなどで販売されているリアルな商品や、衣服や食料品なども売り買い可能だという。

このバーチャルマーケットには、日本のみならず全世界から120万人ほどの参加者がいる。
2024年夏にも「バーチャルマーケット2024 Summer」として、7月20日~8月4日の会期で12回目となるイベントが開催される予定。
世界中の都市をメタバース時代に合わせた形で実現する「パラリアルワールドプロジェクト」の第6弾として、「大阪」、「ドバイ」、「横浜」の3都市をパラリアル化し、企業出展VR会場として展開するとのことだ。
パラリアルとは「パラレルワールド(並行世界)」と「リアル(現実世界)」を合わせた同社の造語で、リアルとメタバースを融合させていくことを目指している。

1-2.バーチャルマーケットを通じてメタバースの世界を体感する

ここからは、実際のバーチャルマーケットについて詳しく見ていこう。
ステージに設けられた大画面には、5名のVRタレントが登場。ホテル雅叙園と称した、高級ホテルのようなバーチャルワールドに、VRゴーグルを着用したステージ上のメンバーが入る。そうすると、各メンバーのアバターがそのホテルの中を自由に歩き回れる仕組みだ。
ここから、集まった観衆に対し、経済圏としての仕組みやメタバース上で起こるものごとについて説明が行われた。

「時間がいくらあっても足りないよね」という、VRレポーターChumuNote氏のコメントからもわかるように、非常にクオリティが高い。違和感なく没入できるワールドでメタバースの世界を歩き回れるようになっている。

ワールドの中には、各出展者によるブースがある。洋服やヘッドフォンなど、アバターに身につけさせるアイテムを購入でき、その費用がクリエイターに還元される仕組みとなっている。
さらに、このバーチャルワールドでは各産業から企業が参加し、メタバース上で各社独自のブースを展開している。

例えば、大丸松坂屋百貨店のバーチャル店舗「バーチャル大丸・松坂屋」では、精密に作られた食品の3Dモデルを参加者が手に取るように見ることができ形や中身などを確認しながら本物の食品が購入できる場を提供。
商品知識が豊富な百貨店スタッフやVRに精通した大丸松坂屋アンバサダーによるアバター接客も実施することで、バーチャル空間上での販売に成功している。

また、アパレルやコスメ業界のブースでは、アイテムのリアルな商品と3Dモデル化された商品のどちらも販売。ブランドスタッフによるメタバース接客を実施することで、ブランドと商品の認知度向上に貢献している。

参加者はバーチャルワールドのお店に遊びに行くような感覚で訪れるので、広告宣伝を受けているという感覚がほぼない。
遊びの延長で接客などを受けられるため、自然とそのブランドや商品への好感度がアップするというところも利点だ。
その他の大手企業では、銀行やコンビニ、鉄道会社なども出店が行われているということだ。


Vケットウォークの説明もイベント内で行われた

1-3.アバターで街を歩けるVケットウォーク

また「Vケットウォーク」と呼ばれる、モニターとカメラを一体化した機器を使った試みが近年行われている。
「バーチャルマーケット」内のVRキャラクターが、そのままリアルに街中に飛び出してコミュニケーションできる、という仕組みが紹介された。
Vケットウォークの縦長画面上に登場しているVRキャラクターのもとに実際のカメラ映像と音声が届くため、アバターのままで街を歩く体験が出来るという仕掛けだ。

これにより、参加者はVRアバターの状態のまま一般の方と交流できるため、顔出しのリスクなくファンと交流したり話したりもできるので、より深いコミュニケーションが取れる。「あの距離感で話せるのはマジで新鮮(VRタレント・ツーちゃん)」といった感想もVRタレント側から飛び出していた。まさにリアルとバーチャルの垣根をさらに低くする試みと言えよう。

これらの取り組みにより、メタバース空間上に新たな生活圏・経済圏・文化圏を創造していくことで新しいビジネスのチャンスも生まれ、そして世界中の多くの人たちの生きる楽しみと喜びが生まれてくるのかもしれない。
こんな世界がメタバース上に広がっていることをこのステージで知った観衆にとっては、新鮮な驚きにあふれた内容だったことは間違いない。

2.【メタバースの探検:新しい世界の創造と体験】クリエイターの視点から見るメタバースの可能性


左から司会、さわえ氏、せきぐち氏、番匠氏。「メタバースの探検:新しい世界の創造と体験」に登壇した3人のトークも盛り上がった

続いて初日に催されたステージからもう1つ紹介する。
「メタバースの探検:新しい世界の創造と体験」と題されたトークセッションでは、メタバースの未来とその可能性をクリエイターたちがどう切り開いていくべきか、という視点で、熱気にあふれた議論が展開された。

「クリエイターだけでなく、ビジネス視点を持った皆さんにもぜひ聞いてほしい」とVRアーティストのせきぐちあいみ氏が力説したセッション。
メタバース世界でのクリエイティブな行為がいかに新しい経済圏を生み出せるか?という点についての示唆にあふれる内容や、メタバース世界のトップランナーたちが実際の経験に基づいて語ったトーク内容についてご紹介する。

2-1.メタバースを作るときの重要ポイントとは

セッションには、せきぐち氏と株式会社HIKKYの取締役COO/CQOさわえみかさん、バーチャル建築家/idiomorph主宰の番匠かんなさん、の3人が登壇。

番匠かんなさんは隈研吾建築事務所で8年にわたりリアルの建築設計に携わってきたが、「このメタバースにも建築空間がたくさんあるのではないか?」という気付きからメタバース内の3Dモデル建築等に携わり、現在は第1人者として活躍している。

まずは「メタバース体験を作るときに意識していること」というテーマで始まったディスカッション。
さわえ氏が「まず何を目的に作るのか、という点が一番大事。格好良いモノを作りたいと中身が空っぽのモノを作ってしまうのは良くなくて、『バーチャルマーケット』のワールドを作る際にも”クリエイターさんの作品をより良く見せたい”という目的をもってワクワクする空間、クリエーターさんの作品が映える世界を造りあげるようにしている」と話すと、番匠氏もそれに呼応した。

「目的は大事、との点については完全に同意。目的以外に構成要素はないといっても良い。リアルの建築だと法的な問題や耐震性の構造計算、さらにはトラックで運べる資材のサイズといった制約があるが、バーチャル空間はそれが自由な一方、ユニークな目的を作ることに先鋭化しないとモヤッとしたものになってしまう。
先鋭化して徹底的にそこを削り出して何をしたいのかを突き詰めることが必要です」
と目的意識の重要性について持論を展開した。

せきぐち氏は「バーチャル空間を造りあげる際に、ディテールにこだわって制作している。最後はSNS等で小さな画面に切り取られるからといって足元や天井などの部分をただのっぺりとした状態に置くのではなく、小石があったり植物なども少し枯れた葉を描いたりするなど、その枠外でみえていないだろう部分にも気を使う。
そうやって、VRやARなどそれぞれのアウトプットに合わせた試行錯誤を繰り返すうちに、自分の表現に対する深みや技量も上がって行くのでそれを意識している」
と制作過程での思考の一端を披露。

番匠氏も「CG等では『汚し』といいますが、バーチャルな空間にゴミなどがあったらそれはあえて作者が意思を持って作っているもの。そういうことが臨場感をより高めていくことに寄与していますね」
とせきぐち氏の意見を受け止めた。

「また、クリエイターさんがアウトプットをどれだけ継続しているかがとても重要」というさわえ氏の問いかけにはせきぐち氏、番匠氏もすぐに反応。
せきぐち氏からは「こうかな、ああかな、と試行錯誤している課程を発信してくれているクリエイターさんは『この仕事に人生を賭けている人だな』と感じて安心感がある。そういう方が仕事のパートナーとして信頼できる」という言葉も出て会場は非常に盛り上がった。

2-2.アバターコミュニケーションの進化が未来を創る

2つ目の議題「メタバースがもたらした新たな表現方法、文化」では、番匠氏が「何が一番衝撃的だったかといえばそれはやはりアバターコミュニケーションです。身振りと言葉がバーチャルに取り込まれたことで進化がより加速した。どんなサービスを作るにせよ、アバターコミュニケーションが面白いし、作りがいのあるものとなっている」と口火を切った。

さわえ氏も「普段チャット等で文字だけでコミュニケーションを取っている相手とも、バーチャルの世界でアバターを使い言葉と身振りで会話する、それが楽しくてここ(メタバース)にいるくらいだ。なので番匠氏の指摘はとてもよく分かる」と納得の表情。

せきぐち氏も「アバターがそこにいることで、自分の脳が『今その人と会っている』と思ってくれる。結局脳が思っていることがすべてなのでアバターコミュニケーションはもっと進化していく」と語った。

「私自身もアパレル、洋服屋さんの店員をバーチャル空間で体験させていただいたことがあります。
実際に店員をする前は『AIなども発展する中でそこに生身の人間が入って接客する必要はあるのかな?』と思っていたのですが、やはりそこで生まれる生身の人間同士のコミュニケーションがとても楽しいし重要だと実感できました。
多分バーチャルワールドのショップ店員でも、カリスマ店員さんみたいな存在が当たり前に生まれてくるのかなということも大いに感じました。行くたびに面白い発見があります」とせきぐち氏。

さわえ氏は「アバターというのは”その人が見せたい姿”を表現している存在で個性そのもの。今後はそのアバターという自分を表現できるバーチャルの姿のままでリアルの世界に飛び出して楽しめるようなイベントもどんどん生みだしていきたい」とまとめた。

実際に昨年秋葉原で4万人、原宿で5万人規模のリアルとバーチャルの融合したイベントが開催されており、バーチャルイベントが来たから街が盛り上がったという事例として、これをもっと色々な地方にも広げていきたい、とさわえ氏は語っていた。

最後の「メタバース自体のクリエイターに求められるものは」という議題でも、登壇した3人から非常に示唆のある言葉がおくられた。

番匠氏が「根本から物事を考えられる自由度があるのがメタバースという場。やろうと思えばとことん面白いものを作れる」とクリエイターに向けてどんどんトライアンドエラーを試みてほしいと呼びかけた。
そこへせきぐち氏も「『その体験って活きるの?』と他人に言われても本人にとってそれが好きだという部分はとても大事にしてほしい。リアルの体験を大事にして、その人ならではの世界をメタバースで表現することがこれからもっと重要になるのでは?」と熱弁。

さわえ氏も「前例はこうだから、とリミットをかけないほうが絶対にいい。クリエイターを育てたりお願いする側も、誰かがコレを面白いと思ってどんどん突き進むんだから、そのクリエイターの根っこにある情熱のマグマのような、面白いと突き進んでいる部分に向き合ってどうそれを伸ばしていくか、が重要な気がします」と語っていた。

こういった言葉からもメタバースはまだまだ発展する大きな余地があり、クリエイターが活躍する場も大きく広がっている未来を予感させるようなセッションだった。

3.【クリエイティブピッチイベント】3部門で競われたピッチイベントでは最先端のクリエイティブアイデアが続出


3部門に分かれて行われたクリエイティブのピッチイベント。審査員からも数多くの質問が飛ぶなど熱い想いがぶつかりあった

この「TOKYO XR・メタバース&ビジネスコンテンツワールド」ではコンテスト形式でアイデアを競うピッチイベントも行われた。クリエイティブ分野では、「音楽部門」、「アニメ・キャラクターデザイン部門」、「アバター部門」の合計3部門が競われ、それぞれでクリエイターたちの斬新なアイデアが披露された。
まずは簡単にその概略をご紹介する。

3-1.音楽部門

6人/グループによって争われた音楽部門では、4分間の持ち時間のうち最初の1分で楽曲や事業コンセプトなどを紹介。その後3分間で楽曲やPR動画などをステージ上で披露した。そして質問タイムとして審査員から6分間、出場者に様々な質問が寄せられるというフォーマットで競われた。

事前選考を勝ち残った6組の出場者はそれぞれ、

・メタバース上での路上ライブ
・社会問題化していく花粉症に対する問題提起の意を込めた楽曲
・メタバース上での即興ピアノによる演奏
・仏教のお経をサイバー音楽とリミックスする試み
・3D空間と音楽を掛け合わせメタバース上で音楽を即興で作って行くゲーミングレイブという概念
・なりたい姿になれるVR・SNSならではのアイドル楽曲

とXR・メタバースのイベントらしく非常にバラエティーに富んでおり、ステージ前に集まった観客もとても楽しんでいる様子がうかがえた。


音楽部門優勝、七草くりむ氏のプレゼンテーションの様子。楽曲自体の高い完成度も評価されていた

審査の結果、優勝は、なりたい姿になれるVR・SNSならではのアイドル楽曲
「MilCrista Re:Start!!」を発表した七草くりむ氏に決定。

優勝者には販売等奨励金として30万円。(2位15万円、3位5万円)と副賞が贈られた。

優勝した「MilCrista Re:Start!!」は、楽曲の高い完成度に加え、新しいメジャーアイドル誕生の可能性も感じられる斬新さや、VR・XRならではの発展ポテンシャルがある点が評価された。
七草氏は優勝に「本当に驚いています。一緒にグループで頑張ってくれたメンバーとこの喜びを分かち合いたいと思います」と喜びのコメントを寄せてくれた。

3-2.アニメ・キャラクター部門


アニメ・キャラクター部門の表彰式。モニターで微笑むVチューバーに審査員から賞が贈呈されるシーンはXR・メタバースならでは

アニメ・キャラクター部門は「NFTマーケットプレイスなど今後のコンテンツ、メタバースだったりコンテンツの組み合わせによってすごいシナジーが起きそうなところが楽しみ」と審査員からも期待の高かった部門だ。

アニメ・キャラクター部門は事前選考を勝ち残った5組による出場者で争われた。

・XR・メタバースを当初から意識して世界観を構築した特撮作品
・個人VTuberによる映画制作と劇場公開まで至った事例
・映画祭のマスコットキャラとして開発したキャラクター
・個人開発された「歴史上の偉人をキャラクター化した」ゲームでの偉人キャラクター
・メタバースのリアルな声を届ける情報バラエティー番組のキャスター的なキャラクター

と、こちらも個性豊かな発表が相次いだ。


優勝したAICライツの大村氏。特撮映像コンテンツ『ジサリス』内で登場するキャラクターにふんして、熱いプレゼンテーションをおこなった

審査の結果、アニメ・キャラクター部門の優勝は株式会社AICライツ。
「華衛士ジサリスF8ABA6」という、XR・メタバースを当初から意識して世界観を構築した特撮作品自体と、その主人公ジサリスのキャラクターデザインがおおいに評価された。

優勝者には販売等奨励金として30万円(2位15万円、3位5万円)と副賞が贈呈された。

優勝したAICライツの大村氏は壇上で「XR・メタバースは現実を越えて夢をかなえられる場所。アバターがあれば神にも悪魔にもなれるのが魅力だと思います。そして『ジサリス』ではヒーローにもなれる。色んな夢を叶えるために弊社はこれからも尽力します」との優勝コメントを披露し、今後のさらなる活躍を誓った。

3-3.アバター部門

そしてピッチイベントの最後を飾ったアバターデザイン部門には、事前審査を通過した3組が出場。

このアバターデザイン部門ではステージ上に生身の人間は一切登場せず、大型モニターにアバターが登場する形で審査が行われた。


アバターデザイン部門の表彰式はリアルとバーチャルが融合した形で行われた。中央が優勝した大丸・松坂屋アバター“瑚紅姫(ここひめ)”

ステージのモニター上には、このイベント用にオリジナルで作成されたワールドが映し出されている。これは、ファッションショーのランウェイを模したソーシャルVRアプリ「VRChat」内のワールドだ。
そのワールドに、VRゴーグルを装着した参加者がアバターとして入り込んで、ファッションショー形式で登場してくる。

ステージのモニターに映されたバーチャルなランウェイには、

・可動フィギュアとしてデザインされたCGデータを転用し可働するアバターに作り込んだ女の子
・どの文化圏の人が見ても圧倒的な美しさを感じるような生命の到達点をコンセプトにした大きな黒い羽を持つキャラクター
・百貨店のアバターブランドとして展開している珊瑚礁をモチーフとしたお姫様のキャラクター

が次々と登場。

審査員はそのキャラクターの特徴やデザインするときに気を付けたポイント、またキャラクターの構成要素などについて質問。クリエイターがどういう意図を持ってそのキャラクターを造りあげたかについて、出場者それぞれに興味深くたずねていた。

審査の結果、アバターデザイン部門では株式会社Vが手がけた、珊瑚礁をモチーフとしたお姫様のキャラクター、大丸・松坂屋アバター“瑚紅姫(ここひめ)”が優勝の栄誉に。
手の所作や足の動き、さらにはスカートの揺れる様子まで細かく表現され”珊瑚礁のお姫様”というイメージに合致した上品さがあること、また衣装のディテールについてもとても作り込まれていることなどが高い評価を受けた。
優勝者には販売等奨励金として30万円(2位15万円、3位5万円)と副賞が贈呈された。
受賞した株式会社Vを代表し、アバター姿で挨拶に立った藤原氏は「VRチャットをはじめとしたアバターやその衣装表現の可能性というのはますます広がっていると感じています。今後もそういったものを作って行きたい、頑張ります」と受賞の喜びに加えてさらなる制作への意欲も語ってくれた。


リアルで顔出しできる人もアバターで参加する人も、どちらも個性として認められるのがメタバースの世界。新しい価値観がこれからもここ「TOKYO」から生まれていく。

自由度の高いXR・メタバースならではともいえる柔軟なアイデアでバラエティーに飛んだ発表が相次いだピッチイベント。
その一方で、クリエイターが、ユーザーや受け手のことを第一に考えての創作を行っている、ということがとても印象的だ。

例えば、キャラクター部門では「羽根を広げると迫力のあるキャラクターが、メタバース上で他のキャラクターと横並びになると羽根でそのキャラを隠してしまうのでその時は1クリックで羽を消せる仕様にしています」という工夫がなされている。
音楽部門での「音楽を使って花粉症という社会問題を再定義してみよう」「心の平穏を多くの人に手に入れてもらうために、仏教とサイバー音楽を融合する」などの発想は、ユーザーファーストの創作であることが読み取れる。
相手を慮ることを良し、とする日本文化の影響がクリエイティブな分野からも感じとれ、非常に興味深かった。
こういった形で、日本発のXR・メタバースが“優しい世界”を形成していることは、これからも時代に即した大きな特長となっていくのではと感じる。

まとめ:リアルとバーチャルをつなぐメタバースが新しい世界を広げる

これ以外にも面白い展示がいっぱいのTOKYO XR・メタバース&コンテンツ ビジネスワールド。全てお伝えできないのが残念だ。

アバターを介したメタバースでのコミュニケーションは、今後さらなるブレイクスルーを生み出す。クリエイターたちの生み出す新しいアイデアが新しい世界を広げ、それにより経済圏も広がっていくだろう。
リアルとバーチャルの境目を壊し、新しい価値観が生まれる瞬間を垣間見られる展示会だけに、来年の開催もまた楽しみだ。

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