近年は多様な働き方を認め、従業員の働きやすさや快適性、創造性を高めることを目的とし、ビジネスカジュアルを導入する企業が増えてきました。
ビジネスカジュアルは、従来のスーツで出勤するよりも動きやすく快適なうえ、自分の個性を表現できる一方で、「どのような服装をしたらよいかわからない」と悩む人もいるのではないでしょうか。
そこでビジネスカジュアルについて解説するとともに、アイテムの選び方やスタイリング例も紹介します。
ビジネスカジュアルでお悩みの方は、参考になるでしょう。
1.メンズのビジネスカジュアルの服装とは
ビジネスカジュアルとは、どのような服装か明確に定義されていません。
メンズ・ウィメンズともに「きちんとした雰囲気にカジュアルな要素を取り入れたスタイル」と、やや抽象的です。
もう少し具体的にいうと、メンズであれば、一般的にはスーツほどフォーマルではないものの、ビジネスの場に適した服装のこと。
カジュアルとはいえ、取引先訪問や来客に対応できる服装と覚えておくと良いでしょう。
1-1.オフィスカジュアルの意義とは
オフィスカジュアルの意義は人によって異なりますが、多くの人は自分の好きな服を着て個性を表現できることにメリットを感じるのではないでしょうか。
例えばファッションに興味がある人なら着たい服を身につけて出勤すれば、気持ちが高揚し、仕事へのモチベーションが向上するというメリットが期待できます。
また、オフィスカジュアルはスーツよりもリラックスして仕事ができる効果も。
社内で皆がスーツを着用していると、会話をするときに身構えてしまう人でも、オフィスカジュアルなら自然体で会話ができそうです。
そうなれば、チームや部署のコミュニケーションが活性化し、仕事に良い影響が出るかもしれません。
1-2.オフィスカジュアルを取り入れる際の注意点
「カジュアル」と名がつくとはいえ、ビジネスの場にふさわしい清潔感があり、きちんとした印象の服装を心がけたいもの。
自分の個性を出すにしても、ほかの従業員や取引先、顧客などに不快感を与えないよう注意が必要です。
たとえば、さまざまな顧客と会う機会があり、相手に良い印象を与える必要があるのに、派手な色や奇抜な柄の服を身に着けていると、相手を驚かせてしまうかもしれません。
最悪の場合「このような服装で商談に出席するとは、この仕事にやる気があるのだろうか?失礼な人だ」と思われ、取引先に悪印象を与え、取引先との関係性が悪化してしまうことも。
また、ラフすぎる服装だと緊張感がなくなり、ミスを犯してしまうなど悪影響を及ぼすリスクもあるでしょう。
ビジネスカジュアルで出社する際は、取引先など社外の人と会っても失礼にあたらない服装かどうかを基準にすると、間違いありません。
1-3.オフィスカジュアルとは
ビジネスカジュアルと似たスタイルとして、オフィスカジュアルがあります。
オフィスカジュアルのほうがカジュアル感が強く、取引先訪問や来客対応には不向き。
ビジネスカジュアルは社外訪問でも問題ないとされますが、オフィスカジュアルは社内勤務に限った服装です。
例えば襟なしのシャツやジャケットなどは、ビジネスカジュアルでは不可とされますが、オフィスカジュアルでは許容されます。
また、企業や業界によってはジーンズも許されます。
かつては、オフィスではスーツ着用が一般的でした。
しかし近年は、オフィスカジュアルでの出社を認める企業が増えてきています。
ビジネスウェアがカジュアル化したのは、1960年代にハワイのアロハシャツメーカーが「アロハ・フライデー」と称し、金曜日はアロハシャツを着用して出勤する取り組みを開始したことがきっかけ。
その後1980年代ころには、カリフォルニアの企業で、金曜日にはカジュアルな服装で勤務しようという流れが生まれました。
目的は、自由な働き方を提唱し、社員の満足度を向上させることといわれています。
日本においては、1990年代半ばに大手企業が、金曜日の退勤後に遊びに行きやすくするためカジュアル・フライデーを導入し始めましたが、定着しませんでした。
理由はさまざまですが、多くの人がスーツ以外で何を着て会社にいけば良いか、わからなかったことが大きいと言われています。
2000年代に入ってから地球温暖化対策として「クール・ビズ」が定着したことから、ビジネスウェアのカジュアル化が一般的となりました。
その後、新型コロナウイルス感染症によって、在宅勤務やWeb会議が普及したことにより、カジュアルでありながらビジネス感のある服装をする人が増加。
また、2000年以降に社会人となったミレニアム世代もビジネスウェアのカジュアル化を推し進めています。
彼らのワークライフバランス重視や、多様な働き方に対する価値観が影響していると言えるでしょう。
2.メンズのビジネスカジュアル・基本スタイル2つ
ここからは、ビジネスカジュアルを取り入れたい人向けに、どのような服装をしたら良いか、解説します。
メンズの場合、大きく分けて2つのスタイルがあり、一つがビジネスカジュアル初心者でも着やすい「セットアップ」で、もうひとつが自由なスタイリングを楽しめる「ジャケパン」です。
次からはそれぞれのスタイルを詳しく見てみましょう。
2-1.セットアップ
セットアップとは、同じ生地や色、デザインが統一されたジャケットとパンツを上下で着用するスタイルのことです。
スーツよりカジュアルですが、インナーに襟付きのシャツを選べばフォーマルな印象になるので、ビジネスカジュアルにはぴったりのスタイルと言えるでしょう。
セットアップのジャケットは、スーツに使われている肩パットや裏地などがなく、きちんとした雰囲気でありながら、程よく肩の力が抜けたようなデザインです。
肩パットや裏地がない分、軽量なので、疲れにくいというメリットもあります。
またセットアップはスーツと違って別売りなので「ジャケットはLサイズでパンツはMサイズを着る」といったように、自分の体型に合ったアイテムを選べる点もポイントです。
2-2.ジャケパン
ジャケパンとは「ジャケット」と「パンツ」のことで、スーツと私服の中間に位置するスタイルです。
スーツのようにジャケットとパンツが一揃になっているのではなく、上下で異なる素材や色のアイテムを組み合わせます。
例えば「ダークグレイと白のピンストライプのジャケットに、ブラックの無地のパンツを合わせる」のがジャケパンです。
コーディネートの幅が広く自由度が高いスタイルなので、個性を表現したい、会社でもおしゃれを楽しみたいという人にはうってつけのスタイルです。
その一方で、自由度が高い分、選ぶアイテムによってはカジュアルになりすぎてしまうリスクがあります。
不安な人はネイビーのジャケットとグレーのパンツを選ぶと良いでしょう。
清潔感があり、安心です。
3.ビジネスカジュアルのアイテムごとの選び方
セットアップでもジャケパンでも、カジュアルかつフォーマルな印象を出すには、アイテム選びが重要です。
アイテム選びを間違ってしまうと、だらしなく見えてしまったり、奇抜な印象を与えたりしかねません。
そこで、アイテムを選ぶ際には次のポイントをおさえましょう。
・ジャストサイズである
・清潔感がある
・落ち着いた色である
上記を踏まえて、ジャケットとシャツ、パンツ、シューズの選び方を解説します。
3-1.ジャケット
メンズのビジネスカジュアルにおいてマストアイテムなのが、ジャケットです。
近年は、ゆったりしたシルエットの服装が人気ですが、ビジネスカジュアルではすっきりとしたジャストサイズのものを選ぶことが重要です。
ゆったりしたものやタイトすぎるものを選ぶと、カジュアルに見えてしまい、ビジネスシーンでは相応しくありません。
サイズを選ぶときに確認すべき点は、次の通りです。
・肩幅があっているか
・着丈が短すぎないか
スーツの場合、着丈はお尻が隠れるくらいか、お尻から1〜2cmほど短い長さが一般的です。
ビジネスカジュアルの場合は、もう1〜2cm短くしても許容されるでしょう。
なお、ジャケットの色はダークネイビーやチャコールグレーなどダークな色合いのジャケットが着回しやすいだけでなく、清潔感があるのでおすすめです。
3-2.シャツ
ビジネスカジュアルにおいてジャケットの下には衿付きのシャツを着用しましょう。
フォーマルな場では着用不可とされているポロシャツやボタンダウンシャツも、ビジネスカジュアルなら許容される場合がほとんどです。
定番の白のほか、水色や淡いピンク、ラベンダー、アイボリーなど薄い色味のものが、清潔感を演出しやすいでしょう。
中には、襟がないシャツの着用でも構わないという職場もあります。
その場合は、コットンや麻、ウールなど上質な素材で縫製のしっかりしたものを選ぶとラフになりすぎません。
3-3.パンツ
ビジネスカジュアルの定番パンツは、センターラインが入ったスラックス。
スラックスは、ジャケットの色の明るさと反対になるよう合わせるとおしゃれに見えます。
例えば、ダークな色合いのジャケットを着用するなら、スラックスは明るい色を選びましょう。
逆に、明るいジャケットを着るときは、暗い色合いのスラックスを履くと良いです。
よりカジュアルな雰囲気にするなら、チノパンを選ぶのもおすすめ。
黒やネイビーのチノパンを選べば、カジュアルすぎることなく安心です。
3-4.靴
靴は濃い色の革靴を選ぶと、全体が引き締まり、フォーマルな雰囲気を出せます。
ビジネスシーンにおいては光沢のあるレザーのビジネスシューズが一般的ですが、ビジネスカジュアルでは次のような靴を履いても良いでしょう。
・ローファー
ビジネスシューズよりもカジュアルな印象です。
洗練された雰囲気を保ちつつ、程よくカジュアルに見せてくれます。
・スリッポン
着脱がラクなスリッポンはカジュアルすぎると感じるかもしれません。
しかし、シンプルなデザインで、スウェードやレザー素材のものを選べば、ビジネスシーンにもマッチします。
・レザースニーカー
多くの場合、ビジネスシーンでスニーカーは不可とされるでしょう。
しかし、レザー素材のスニーカーは上品な印象なため、シンプルなデザインのものなら許容される場合があります。
歩きやすいので、外回りが多い人にぴったりです。
きちんとした印象を出すには、黒や茶色、ネイビーなどの濃い色のものを選ぶと良いでしょう。
ビジネスカジュアルにおいては、ジーンズは基本的に許容されないでしょう。
なぜなら、ビジネスカジュアルは取引先訪問などにも対応できるスタイルであると考えられているためです。
社内でジーンズ着用が許されていても、取引先との商談などにジーンズを履いていくと、取引先の相手に失礼な人だと思われるリスクがあります。
しかし、社内での業務のみ、または外部の人と合わないといった場合なら、ジーンズを許容している企業もあります。
職場にジーンズを履いていくなら、ワンウォッシュなど著しく色落ちしていないジーンズを選び、ジャケットを合わせるとかっちりした雰囲気が出せ、社内で浮いてしまうこともありません。
4.ビジネスカジュアルのスタイリング例4選
最後にビジネスカジュアルのスタイリング例を4つみてみましょう。
取り入れやすいスタイリングから紹介しますので、ビジネスカジュアルに不慣れという方は最初からご覧くださいね。
4-1.セットアップ1
画像出典:https://store.nanouniverse.jp/products/6684218202
ビジネスカジュアルが初めてなら、まずはダークネイビーのセットアップを購入すると便利です。
シンプルなデザインで落ち着いた色合いのものを選べば、着回しやスタイリングしやすいでしょう。
写真のようにオーソドックスなシャツとセンターラインが入ったパンツ、ビジネスシューズを合わせればフォーマルな印象になり、取引先の訪問にも着用できます。
4-2.セットアップ2
https://store.nanouniverse.jp/products/6684218206
ビジネスシーンでブラウンのジャケットやパンツを選ぶ人は多くないかもしれません。
しかし写真のようなダークブラウンのセットアップなら、ラフだけれど上品でもあるため、ビジネスシーンでも活躍するはず。
インナーに黒のシャツを着れば、引き締まった印象になります。
一方、白やアイボリーなどのシャツを選ぶと、優しげな雰囲気を醸し出せるでしょう。
内勤の日やラフな装いが許容されている職場なら、画像のように無地のTシャツやレザースニーカーを合わせてカジュアルダウンしても良いでしょう。
適度な緊張感を保ちつつも、リラックスして仕事ができそうです。
4-1.ジャケパン1
https://www.shipsltd.co.jp/g/g117000230/?select_color=26
個性を表現したいときには、柄物のジャケットに挑戦してみましょう。
チェックなどトラディショナルなものがビジネスシーンにぴったりです。
画像のように大柄のジャケットを着るときは、シャツやパンツなどは落ち着いた色で柄がないシンプルなものを身につけると、すっきりします。
さらに、足元は黒などの濃い色のシューズを選ぶことで、全体が締まってまとまりが良く見えます。
4-2.ジャケパン2
画像出典:https://www.beams.co.jp/item/beamsheart/jacket/41160089375/?color=79
膨張色である白のアイテムは、人によっては太って見えてしまい、少し難易度が高いかもしれません。
しかし、うまくスタイリングをすれば清潔感を醸し出せます。
また、他の人と服装で差をつけられ、周囲の人に自分を印象づけやすくなるというメリットも。
白いアイテムを選ぶなら、画像のように白のパンツを履いてみてはいかがでしょうか。
センターラインが入ったものなら、ラフになりません。
シャツやジャケットはシャープに見える寒色のものを選ぶことで、上品にまとまります。
パンツを白にすると、下半身がぼんやりとした印象になるリスクがあるので、濃い色の靴を履くと良いでしょう。
まとめ:メンズのビジネスカジュアルはポイントをおさえれば簡単!
メンズのビジネスカジュアルは、人によっては「何を着たら良いかわからない」と難易度が高いと感じるかもしれません。
しかし、ビジネスカジュアルは2つのスタイルとアイテム選びの基準を把握しておけば、上手に着こなせます。
ビジネスカジュアルは快適に仕事ができ、生産性が上がるというメリットもありますから、勤務先が服装のカジュアル化を許容しているなら、積極的に取り入れたいもの。
ビジネスカジュアルで出勤する際には、ぜひこの記事を参考にしてくださいね。