台湾は日本と同じアジア圏の島国です。文化圏や地理環境に日本と通じるところがあるので、ビジネスマナーも日本の習慣とさほど変わらないだろうと思っていませんか? 台湾は日本と似ている部分もありますが、実は異なる部分も非常に多いです。海外出張で台湾に行くときには、ビジネスマナーに気をつけて、取引先の相手と良好な関係を築きましょう。
挨拶はお辞儀ではなく握手をする
台湾人は、お辞儀ではなく握手で挨拶をします。
台湾は親日家の人が多く、また近年では日系企業も増えているので、挨拶としてのお辞儀が通じないわけではありません。日本と同じアジア圏の国なので、ビジネスのミーティングではついお辞儀をしそうになるかもしれませんが、台湾では握手をすることが一般的です。
けっしてお辞儀が失礼にあたるわけではなく、また日本人の挨拶=お辞儀と理解している台湾人もいます。ただ、挨拶も大切なビジネスマナーの1つなので、出張先の国のマナーに合わせたほうが良いでしょう。
アポ取りは台湾のビジネスアワーを意識して
日本では、昼休みは12:00をまたぐ約1時間という企業が一般的です。電話や会社訪問はこの時間を避けて行うのが日本のビジネスマナーと言えます。しかし台湾の昼休みは時間帯が少し異なり、12:30~14:00の間に1時間~1時間30分の休憩をとるのが一般的です。
そのためアポイントを取るときは、12:30~14:00の時間帯を除いたほうが無難でしょう。あらかじめ、取引先のビジネスアワーを確認しておくとベターです。
遅刻もビジネスマナーの1つ! 会議は遅れるのが台湾流
台湾人は、事前にアポイントを取ったミーティングや待ち合わせでも、よく遅刻をします。なぜなら、台湾人にとっては、遅刻もビジネスマナーの1つだからです。
台湾人は「約束の時間ちょうどに着くと相手を慌てさせたりプレッシャーを与えたりしてしまう」「遅刻をすることで相手に十分な時間の余裕を提供できる」と考えています。つまり遅刻をすることは、相手に対しての一種の気遣いなのです。
日本では遅刻はマナー違反であり、相手に対して失礼なことですが、日本の価値観で台湾人をルーズだと決めつけるのは禁物です。
ちなみに、こちらが台湾の取引先を訪問するときは、5~10分ほど遅刻したほうがいいのかというと、それは場合によります。先ほども述べたように、台湾には親日家が多く、日本文化や習慣を理解している人も多いです。日本人が時間通りに行動する習慣があるのを知っており、時間通りにミーティングの準備をしていることも考えられます。そのため、台湾企業を訪問するときは、念のため時間ちょうどに訪問するといいでしょう。
名刺交換では英語名にも気遣いを
日本と同じく、台湾でも名刺交換はとても大切なビジネスマナーです。名刺は、ミーティングの場に忘れないように持参しましょう。基本的には、その場にいる人全員と名刺交換を行うので、余裕を持って多めに名刺を用意してください。途中で名刺の枚数が足りなくなるのは、相手を軽んじていると思われかねず、失礼にあたります。
日本との違いは、台湾人は、中国語の名前のほかに「ダニエル」や「ジョージ」などビジネス用の英語名を持っていることがあるということです。これは中国式の発音が外国人にとっては難しく、名前を覚えてもらいにくいからです。台湾人特有の、外国人のための配慮といっても良いでしょう。
差し出された名刺の裏面に相手の英語名が記載されているときは、しっかりと綴りを確認し、発音もあわせて聞いておくと好印象になります。
謙遜は台湾でも美徳
日本では謙遜が美徳とされています。人から何かを褒められたときには、それを肯定するのではなく、否定するのが良しとされる場合も多いです。
また何かの得意分野がある場合でも、普段それを自らアピールすることはあまりありません。自ら特技をアピールするのは、入試や就職試験など人生の岐路に立ったときくらいではないでしょうか。集団の和を大切にする日本では、得意分野を常に全面に押し出して自己をアピールすることは、傲慢と思われかねないからです。
台湾でも、日本と同じように謙遜が美徳とされています。台湾人の取引先からお世辞を言われたり、褒められたりした場合は、打ち消すようにしましょう。褒められたことに対してどうしてもお礼を言いたい場合は、打ち消した後に言うようにしてください。控えめな態度で謙遜をすることが、台湾出張の成功の秘訣です。
事前に確認して良好な関係を
海外出張で台湾に行くときに役立つビジネスマナーをご紹介しました。同じアジア圏で生活し容貌や体系は日本人と似ていますが、習慣やマナーには異なる部分もあります。とくに遅刻に関してのマナーは正反対なので、相手に失礼のないように台湾流のマナーを意識することが大切です。
台湾には日系企業も多いので、日本人がビジネスで訪れる機会も多いでしょう。急な出張があっても慌てないように、事前にしっかりビジネスマナーをチェックしておくと良いですね。