初めて海外に旅行や出張に行くとなると、普段と違った環境に不安や緊張を覚える人が多いのではないでしょうか。また、出張で海外に行く場合は、仕事に集中するあまり安全対策がおろそかになってしまうこともあります。
さらに、国によっては治安がかなり悪いケースもあります。今回は、アメリカの治安について解説します。比較的安全だと言われているアメリカでも、日本と違って犯罪対策は必須。よくある犯罪のケースや治安を確認しておきましょう。
1.アメリカの治安
ビジネスだけでなく観光でも、日本から多くの人が訪れるアメリカ。身近な存在だからこそ、ついつい忘れがちですが、やはり日本とは治安が異なります。
大切なビジネス出張中に犯罪に巻き込まれてしまえば、あなただけでなく会社にも大きな影響を及ぼしてしまいます。現地で犯罪に巻き込まれないように、まずはアメリカで巻き込まれがちな犯罪のケースをチェックしてみましょう。
1.1 実際に巻き込まれやすい犯罪とは?
アメリカでは、実際にどのような犯罪が起こっているのでしょうか。参考として、アメリカの中でも、特に観光客も多い都市であるニューヨークの犯罪発生状況を、在ニューヨーク日本国総領事館の発表資料より見てみましょう。
1位 重要窃盗 43,150件
2位 重要傷害 20,052件
3位 強盗 13,956件
4位 侵入窃盗 12,083件
5位 自動車盗 5,676件
6位 強姦 1,449件
7位 殺人 292件
※出典:ニューヨーク市の治安について(在ニューヨーク日本国総領事館公式HP)
https://www.ny.us.emb-japan.go.jp/jp/j5/01.html
アメリカの中でも比較的安全な場所と言われているニューヨークですらこれだけ多くの犯罪が発生しています。
なかでも一番多いのがひったくりやスリなどの「重要窃盗」です。ビジネス出張時に、一番巻き込まれやすい犯罪のひとつと言えるでしょう。
また、注意すべきは「殺人」の発生件数。主要犯罪の中では殺人の件数が一番少ないものの、同年の東京で発生した殺人事件の件数が99件であることを考えると、3倍近い件数であることが分かります。
観光客が多い都会だと「大丈夫だろう」とついつい気が緩みがちですが、やはり日本とは治安が違うのだということを頭において行動しましょう。
1.2 慣れてない人が巻き込まれがちな犯罪やトラブル
アメリカに来たばかりの人や、そもそも海外に慣れていない人が巻き込まれがちな犯罪といえば、やはりスリや引ったくり、窃盗です。
先ほどご紹介したニューヨークの犯罪発生件数でも分かるとおり、一番発生件数の多い犯罪です。
スリや窃盗に注意するとなると、バッグを前で抱えたり、不審な動きをしている人を警戒したりするという対策が浮かぶのではないでしょうか。
しかし、それだけでは不十分なことも。複数人に囲まれてしまえば、荷物の持ち方などだけでは通用しません。高価な品物は持ち歩かない。持ち歩いたとしても、人通りの多い道を歩くのは避け、夜間は1人で出歩かないなどの対策を心がけましょう。
ニューヨークのホテルに宿泊。ホテルに行くまでの道で、たむろしていたグループに取り囲まれ、まくしたてられた。手に持っていた紙袋には数万円するブランドものが入っていて、英語も分からない恐怖もあり、手渡してしまった。
2.事故・事件にもご注意を
アメリカに行った際、気を付けるべきは犯罪だけではありません。例えば自動車事故や事件などは、どんなに対策をしていても巻き込まれてしまうことがあるトラブルかもしれません。対策や警戒を怠らないようにするとともに、もしも巻き込まれてしまった場合の対処法も頭に入れておきましょう。
2.1 交通事故は他人事じゃない!?
アメリカと日本、場所は違ってもやはり気をつけたいのは交通事故です。自分が被害者になるケースはもちろんのこと、運転中に起こした事故で加害者側になってしまうこともあり得ます。
実際にニューヨークを訪れた日本人女性が自動車を運転していたところ、パトカーに接触、そのパトカーが民家に突っ込み、警察と民家の双方から莫大な損害賠償を請求されたというケースも。
もちろん日本と同じく交通ルーツを守ることは大切ですが、万が一事故を起こした際に少しでも補償が受けられるように、保険の加入は忘れないようにしましょう。
日本語が堪能なスタッフが現場で交渉をしてくれる保険会社もあるので、語学力に自信が無い場合はおすすめです。
参考:アメリカで車を運転するならこちらの記事もおすすめ
出張前に準備しておくと便利! 海外レンタカーの基礎知識〜アメリカ編〜
https://www.bthacks.com/2420/
2.2 治安情報もこまめにチェックを
政治的な問題や災害、伝染病などが原因で治安が悪化してしまう可能性も十分にあります。
アメリカに限った話ではありませんが、出張前に自分が行く地域の治安情報をチェックしておくことは大切です。また、現地に到着してからも、できる限りニュースなどをチェックして、情報は小まめに確認を。
Twitterやニュースサイトなど、自分にとって一番確認しやすい情報源や、外務省情報などはすぐに見られるようにしておくと良いでしょう。
参考:外務省 海外安全ホームページ(アメリカ合衆国)
https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcinfectionspothazardinfo_221.html#ad-image-0
3. 出張時の防犯対策あれこれ
アメリカと日本では治安が大幅に違います。「絶対に安全」と言い切れる対策はありません。
しかし、事前に準備や気をつけたいポイントを確認しておくことで、少しでも安心できるアメリカ出張に。ここでは、持っていきたい防犯グッズやいざという時の対応などに付いて解説します。
3.1 おすすめ防犯グッズをご紹介
アメリカで一番巻き込まれやすい事件といえばスリや窃盗などの犯罪です。そのような犯罪をよぼうするとともに、巻き込まれても被害を最小限にくいとめるための防犯グッズをご紹介します。
・ワイヤーロック
出典:「サンワサプライ」公式サイト
https://www.sanwa.co.jp/product/syohin.asp?code=SLE-11LN
ワイヤーロックは、伸び縮みするワイヤーで荷物を固定できるもので、ベンチやポールなどに荷物をくくりつけられます。
基本的にアメリカでは荷物から目を離さないようにしたいものですが、どうしてもその場を離れないといけない場合などにおすすめです。
<参考>
サンワサプライ「eセキュリティ(ワイヤーリール式ダイヤル錠) SLE-11LN」
標準価格:2,020円(税抜)
https://www.amazon.co.jp/dp/B0154054DI/ref=dp_cerb_1
・南京錠
こちらは数個持っていくことをおすすめします。財布やカバンなど、貴重品が入ったものに取り付けましょう。
もちろんこれだけでスリに遭わないというわけではありませんが「何かしらの対策をしている」という点で、ある程度の抑止力にも繋がります。100円ショップでも購入できますし、空港の旅行グッズ売り場には必ずといっていいほど置いてあるアイテムです。
・スキミング防止ケース/シール
クレジットカードなどの磁気データを盗み取る「スキミング」。スキミング防止ケースにクレジットカードやICカードなどを入れることで、カード情報を保護できます。コンパクト財布にスキミング防止機能が付いたものなら便利です。最近では、カードそのものに貼れるタイプもあるので、使う頻度に合わせて選んでみましょう。
サンワサプライ「スキミング防止カード(貼って剥がせるタイプ)」
定価:1,000円(税抜)
https://www.sanwa.co.jp/product/syohin.asp?code=LB-SL3SB
・置き忘れ防止タグ
出典:「MAMORIO」公式サイト
https://store.mamorio.jp/?pid=141606402
GPS機能が付いたタグをカバンや財布などに付けておくことで、盗まれてしまったり置き忘れたりしてしまった貴重品の場所を特定できるアイテムです。手元から離れると、スマートフォンに通知してくれるため、気づかないうちに盗難・紛失……というリスクも減らせます。お財布に入れておけるくらいの小さいサイズのものも多く出ています。
GPSの通信範囲に限界があるため、どこまででも追跡できるというわけではありません。しかし、タグから音を鳴らす機能もあるため、被害に遭った直後にはかなり有効なグッズでしょう。
今回ご紹介した防犯グッズはそれ自体が犯罪を予防するだけでなく「ここまでの対策を練っている」と周囲にわかるようにするいうこと自体が抑止力に繋がります。少しでも自分の持ち物を守るために、防犯グッズを活用しましょう。
3.2 その他、気をつけておきたいこと
アメリカと日本では、文化や治安面での常識が大きく異なります。日本では何気なくしている行動でも、アメリカでは大変な問題になることもあり得ますから、注意しましょう。
・ジェスチャーやサインに注意
例えば「中指を立てる」サインは、日本でもあまり褒められたものではありませんが、アメリカではより相手を侮辱する意味合いにもなりかねません。日本人同士の冗談であったとしても、中指を立てるジェスチャーは控えましょう。
また、何気なくしてしまいがちな「手招き」のジェスチャーにも注意。日本では「こちらに来てください」というような意味を持つジェスチャーですが、アメリカでは「あっちに行け」という意味合いを持つことも。
相手の誤解を生んでトラブルにならないように、手招きのジェスチャーには気をつけましょう。
・銃を向けられたら
万が一、銃を向けられた際にはどのように行動すればいいのでしょうか。アメリカでは、護身用として一般家庭で銃を持っているケースも多いです。
テロや無差別の銃乱射のような場合だけでなく、不審者と間違えられた結果、銃で撃たれてしまうということも。過去にアメリカに留学していた日本人が「フリーズ(動くな)」と「プリーズ(お願いします)」を聞き間違えた結果、射殺されてしまうという事件もありました。
人から銃を向けられたり、警戒されたりしている場合は、両手を挙げて「武器を持っていない・抵抗する気はない」という意思を示しましょう。
まとめ:十分な対策とリサーチで安全な海外出張を!
いかがだったでしょうか。せっかくアメリカに来たのに、貴重品を奪われてしまったり、襲われたりと犯罪に巻き込まれるという被害に遭うのは避けたいですよね。
少しでも出張中のリスクを減らせるように、事前の対策や治安に関するリサーチは欠かさないようにしましょう。
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