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2020.03.27

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出張手当の相場って? 今さら聞けない出張手当の基礎知識

出張後、給与に上乗せという形で支給されることの多い出張手当。会社によって出張手当の規定が異なるため、「うちの会社で支給される出張手当の額は多いのか?それとも少ないのか?」と感じたことがある人もいるのではないでしょうか。
今記事では、海外出張にこれから出かける方や、出張に関する社内制度を整えようとしている方向けに「出張手当」の相場や、どんなときに出張手当が出るのかなど、基本的な知識をご紹介します。

1.出張手当とは

いつもの職場で仕事をするときとは違い、出張先や移動中での食事代・雑費など余分な支出が予想される出張。従業員の出張に関する負担をなくすため、そして主張する社員をねぎらうために支給するのが出張手当です。
しかし、労働法で規定されているものではなく、「出張手当を出すかどうか」「いくらに設定するかどうか」などは各企業の裁量に委ねられています。出張にあたり、自分の会社の規定がどうなっているのか心配な方は、出張前に確認しておくと良いでしょう。

2.出張手当の相場

産労総合研究所の調査によると、出張手当のある企業の割合は全体の90%以上。基本的に「出張に関する費用は会社負担」という考え方が一般的です。では、実際に出張手当の支給額はいくらくらいが相場なのでしょうか。海外出張、国内出張別に相場を見てみましょう。

2-1.海外出張手当の平均額

産労総合研究所が行った調査『2017年度 国内・海外出張旅費に関する調査』によれば、出張手当の相場は一般社員であれば、4,600〜5,200円程度となっています。また、エリア別にみてみると、ヨーロッパや北欧、ロシアが比較的高い傾向にあります。

【エリア・役職別 海外出張手当平均額

取締役以上 部長 課長 係長 一般社員
韓国・台湾 6,896円〜 5,664円 5,303円 4,881円 4,649円
中国 6,927円〜 5,604円 5,261円 4,844円 4,603円
東南アジア 7,026円〜 5,710円 5,352円 4,929円 4,677円
インド 7,221円〜 5,874円 5,493円 5,055円 4,811円
中東 7,410円〜 6,034円 5,640円 5,204円 4,934円
ヨーロッパ 7,608円〜 6,227円 5,833円 5,383円 5,121円
北米 7,546円〜 6,189円 5,779円 5,347円 5,080円
ロシア 7,738円〜 6,337円 5,938円 5,493円 5,247円

出典:産労総合研究所HP 『2017年度 国内・海外出張旅費に関する調査』より
https://www.e-sanro.net/research/research_jinji/shanaiseido/shuccho/pr1710.html

また、一般社員と社長の出張手当が同額、ということにはなりにくいもの。職能に応じて支給額が異なる企業がほとんど、という結果となっています。

2-2.国内出張手当の平均額

前述の調査によると、国内出張手当の平均的な額は、出張手当の相場は一般社員で2,000円前後、部長クラスだと2,800円前後が相場ということになるでしょう。
日帰り出張時に出張手当を支給している企業は86.8%、宿泊出張時に出張手当を支給する企業は91.4%です。

【役職別 国内出張手当の平均額】

取締役以上 部長 課長 係長 一般社員
日帰り出張 3,079円〜 2,491円 2,309円 2,076円 1,954円
宿泊出張 3,518円〜 2,809円 2,593円 2,337円 2,222円

出典:産労総合研究所HP 『2017年度 国内・海外出張旅費に関する調査』より
https://www.e-sanro.net/research/research_jinji/shanaiseido/shuccho/pr1710.html

3.日数別の出張手当支給額

出張期間が長期間になる場合、通常の出張よりも多めに出張手当が支給される場合があります。
ただし、出張日数が20〜30日を超える場合、現地での生活に慣れたころから出張手当を減額する企業もあります。これは、「たとえ出張であっても現地生活に慣れてくると滞在中にかかる雑費が少なくなっていくだろう」という考え方に基づいたもののようです。

もしも1ヶ月以上の長期出張が決まったら出張規定に「滞在**日以上からは減額する」と定められているか、事前にチェックしておきましょう。出張が始まったころと同様の生活水準を続けて、「思ったよりお金を使っていることに気がついた…」ということにならないよう、ご注意を!

4.出張手当が出ないケース

財務省が行なった『民間企業の旅費に関する調査』※によると、平均113.7km以上離れた場所へ出向いて仕事をする場合に出張扱いとなり、出張手当を支払う企業が多いという結果が出ました。
会社によって出張を定める規定は異なりますが、調査の結果から考えられる出張の条件は、次の通りです。

<出張とみなされる一般的な条件>
・普段の勤務地とは異なる場所へ出向く場合
・1日以上、普段の勤務地から違う場所へ出向く場合
・勤務地から片道**km以上離れた場所へ出向く場合

例えば「普段は新宿で勤務している人が、横浜に出向いて仕事をした場合」など、勤務地から1、2時間離れる程度の移動では“外出”扱いとなり出張手当が出ません。どの程度の距離から出張扱いになるのか、出張前に社内規定を確認しておきましょう。

※ 財務省HP『民間企業の旅費に関する実態調査(平成25年度実施)』より
https://www.mof.go.jp/about_mof/mof_budget/release/itaku/seikabutsu/2013gaikokushukuhaku.htm

5.出張手当のメリット

出張の多い人にとっては、出張手当があれば出先で疲れをリフレッシュするためにお金を使えます。それだけではなく、場合によっては出張の多かった月に手取りが増える…ということも。そういう意味では、出張手当はありがたいものですよね。

もちろん出張手当は、きちんと規定に定めれば会社側にもメリットが。
出張旅費規定で出張手当に「交通費・宿泊費」も含まれている場合は、税制上経費扱いとなり課税対象になりません。会社の経費処理でも、その都度実費を精算しなくていいので、業務の簡略化につなげやすくなります。

また、給与は所得税の対象ですが、出張手当が経費扱いになれば非課税に。つまり年間10万円の出張手当がある人は、所得税分を引かれることなく、支給額10万円が丸々もらえることもあります。

このように、出張手当の制度は会社にとっても、社員にとってもメリットは多め。活用しない手はありません。

参考:国税庁HP「タックスアンサーNo.6459 出張旅費、宿泊費、日当、通勤手当などの取扱い」
https://www.nta.go.jp/m/taxanswer/6459.htm

まとめ

会社によって支給額や支給方法は異なりますが、出張手当は従業員に対する労いや、出張に伴う余分な出費の負担を減らすためのものです。
これまで「なんとなく出張手当をもらっていた……」という方は、今からでも規定を確認してみてはいかがでしょうか。
人事や経理担当の方も、この機会に出張手当に関する規定を見直してみてもいいかもしれません。

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