取材記事

2025.07.14

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明日からできる!外国人留学生が教える挫折しない言語習得の秘訣

日本に足を踏み入れた瞬間、言語、文化、日々の習慣、そして人々の思考様式に至るまで、私の故郷とは全く異なる世界が広がっていることを実感しました。
私は、大学院留学に向けてIELTSなどの英語試験対策に多くの時間を費やし、グローバルなコミュニケーションスキルを磨いてきました。
しかし、日本に来てすぐに気づきました。日常生活で英語がほとんど使われないこの国では、その準備だけでは全く足りないと。
新しい言語を学ぶことは、私にとって大きな挑戦でしたが、同時に人として大きく成長できる貴重な機会でもありました。
この記事では、外国人留学生として日本で英語と日本語を学びながら私が得た重要な教訓と、これから日本で学ぶ方々への実践的なアドバイスを共有します。
 

1. 目的を明確に!

私が早期に学んだ最も重要な教訓の一つは、言語学習において明確な目的を持つことの重要性です。
目的、すなわち「なぜ学ぶのか」という理由は、学習意欲の源泉となり、継続的な努力を支える原動力となります。
例えば、私は当初、インドネシアの大学入学や奨学金申請に必要な英語力を得るために学習を始めました。
その後、日本に移住してからは、友人や同僚との円滑なコミュニケーションや、日々の買い物、旅行などを楽しむために日本語の学習に力を注ぎました。
学習意欲が低下してしまう時もありますが、明確な目標を持つことで、集中力とモチベーションを維持することができます。
今一度、ご自身に問いかけてみてください。「なぜ言語を習得しようとしているのか?」と。
何を成し遂げたいのでしょうか?キャリアアップのためでしょうか?より豊かな人間関係を築くためでしょうか?
それとも、原語で映画、音楽、書籍を堪能するためでしょうか?
自身の「なぜ」を深く理解することで、学習における困難や疲労を乗り越えやすくなります。
目的を、あなたの進むべき方向を指し示すコンパスとして活用しましょう。
 

2. 言語に囲まれて、常にアンテナを張る

私にとってシンプルかつ効果的だった戦略は、日常の環境を通じて言語に浸ることでした。
まず、スマートフォン、ノートパソコン、ソーシャルメディアの言語設定を英語に変更しました。
当初は戸惑うことも多く、意味の分からない単語やメニュー項目に直面しましたが、継続することで日常的な語彙や表現を自然と吸収できるようになりました。
デバイスの設定変更に加え、英語を話すYouTuberの動画を積極的に視聴し、コメント欄にも目を通すことで、人々が日常的に使う自然な表現方法を学びました。
教科書ではなかなか触れることのできないスラングやニュアンス、言い回しのヒントを得ることができたのは大きな収穫でした。
さらに、電車の中、会話のやり取り、食品のパッケージなど、日常生活の中で知らない単語に出会うと、すぐに意味を調べるように心がけています。
メモアプリを活用して新しい表現を蓄積し、定期的に見返すことで、学習への関心を維持し、語彙力の増強につなげています。
 

3. 共闘するパートナー

日本語を向上させた最も意味のある方法の一つは、友人たちと一緒学ぶことでした。
彼らはインドネシア語や英語に興味があり、私は日本語の練習を熱望していたため、自然と互いに協力するようになりました。
一緒に料理をしたり、ランチ中に話したり、授業に行く途中など、何気ない日常の瞬間が貴重な学習機会になりました。
研究室での会話はほぼ日本語で行われていたため、毎日、そこで耳にした新しい単語やフレーズを記録し、後で意味を調べ、実際に使うことを習慣にしました。
当初は間違いを恐れていましたが、誤りこそが改善への第一歩であると気づきました。
積極的に文章を共有し、友人、教師、言語パートナーから建設的なフィードバックを得ることも重要です。
また、オンラインコミュニティに文章を投稿するのも良いでしょう。
建設的な批判は、同じ間違いを繰り返さないために不可欠です。
学習パートナー(友人、クラスメート、同僚など)がいると、学習プロセスが単調にならず、より楽しくなります。
互いに支え合い、進捗状況を共有し、間違いを恐れることなく練習できる安心できる環境を構築することが大切です。
 

図1. インドネシア料理「ソト」を日本の友人に紹介
 

4. 文化を学ぶ

言語と文化は深く結びついています。
日本の文化を探求することは、私の言語スキルを向上させる最も効果的な方法の一つでした。
例えば、七夕祭りの際には、美しく飾られた笹飾りや伝統的な物語に触れるだけでなく、願い事、星、季節の風習などに関連する語彙を習得しました。
短冊(願い事を書く小さな紙片)に日本語で願い事を書き込むことで、この経験はより意義深いものとなりました。
また、地元の料理教室に参加し、お好み焼きや餃子の作り方を学びました。
これらの体験は単に楽しいだけでなく、料理名や食材に関する実践的なフレーズ、
そして「いただきます」「ごちそうさまでした」といった日本語の丁寧な言い回しを学ぶ絶好の機会となりました。
まさに実践的な言語学習であり、記憶に残る体験となりました。
もう一つ忘れられない文化的体験は、大学のスポーツフェスティバルです。
フィリピン、モンゴル、ベトナム、ベナン、そして日本など、多様な国籍の人々と出会い、
共にゲームに参加し、応援する中で、笑いと興奮に満ち溢れた活気ある雰囲気が生まれました。
 

図2. 山形での運動会
 

5.楽しく学ぶ

学習は楽しいものであるほど、効果が上がります。ぜひ、ご自身の好きなメディアを活用しましょう。
最初は字幕付きで映画やドラマを視聴し、慣れてきたら字幕なしで挑戦してみるのがおすすめです。
また、学習したい言語のポッドキャストや音楽を聴くことで、リスニング力と語彙力を同時に向上させることができます。
例えば、私は英語に関しては少し勉強していたため、ハリーポッターを字幕なしで観て英語の理解を深めました。
一方で日本語は初めて学習する言語だったため、日本語吹き替え版をインドネシア語の字幕付きで視聴して、日本語への理解を深めました。
また日本のアニメからも多くの日本語を学びました。
「スパイ×ファミリー」、「ハイキュー」、「鬼滅の刃」などの人気アニメを観ており、これらの作品から、
「ganbaru – 頑張る」、「daijoubu – 大丈夫」、「sugoi – すごい」、「arigatou – ありがとう」といった役立つ単語を学びました。
これらの単語は、感情的なシーンや記憶に残るシーンで繰り返し聞くことができたので、覚えやすかったです。
時間はかかりましたが、字幕なしでもよく使われるフレーズなら理解できるようになり、
特に日常生活で頻繁に使われるフレーズは、より理解できるようになりました。
そしてアニメを通じて、日本の文化についても学ぶことができました。
例えば、『鬼滅の刃』では、日本の社会において尊敬と規律を反映する伝統的な座り方「正座(せいざ)」という概念を知りました。
私の経験を少し紹介しましたが、このように教科書だけに頼らず、多様な学習リソースを活用することをお勧めします。
ご自身が興味を持つ分野の論文、動画、ポッドキャスト、オンラインフォーラムなどを積極的に探索してみましょう。
様々な文体や表現に触れることで、言語に対する適応力が向上します。
何よりも、あなた自身が心から楽しめるコンテンツを選ぶことが大切です。
習得したフレーズを繰り返し練習し、ネイティブスピーカーの発音を真似ることで、より自然な会話の流暢さを身につけることができます。
学習プロセスを楽しみながら進めることで、言語学習は苦痛な修行ではなく、喜びにあふれた体験へと変わるでしょう。
 

6. ジャーナリング

毎日数行でも構いません。定期的に文章を書くことは、言語能力を飛躍的に向上させる効果があります。
完璧さを求めすぎず、間違いを恐れることなく、自分の考えを率直に表現することに集中しましょう。
後から辞書や文法ツールを活用して誤りを修正し、過去に書いた文章を見返して確認することも重要です。
短い文章でも、読んだ内容を要約したり、自分の考えを振り返ったりすることで、文法や文構造の理解を深めることができます。
地道な努力が必要ですが、ジャーナリングは着実に文章力と自信を育んでくれます。
 

7. 情熱を原動力に

言語学習のモチベーションを維持する上で最も効果的な方法の一つは、自身の情熱と結びつけることです。
私の場合、大学院で唐辛子の形状に影響を与える遺伝子について研究しているため、
英語の科学雑誌を読むことは、専門用語を学びながら学術的な興味を満たし、同時に言語学習にも繋がる一石二鳥の取り組みとなっています。
言語学習は長期にわたる努力が必要です。
小さな成果を一つひとつ celebration(祝福)しながら、忍耐強く、粘り強く前進し続けましょう。
 

図3. 科学論文を読む際の私のメモ
 

8.最後に

異文化環境での生活と学習は、確かに挑戦的ですが、それ以上にかけがえのない貴重な経験です。
言語学習とは、単に単語や文法を暗記するだけでなく、人々との繋がりを深め、
異文化への理解を促し、そして何よりも自己を成長させる手段となるのです。
好奇心を忘れず、定期的な練習を怠らず、そして間違いを恐れないこと。
これらこそが、実り多い言語習得への鍵となります。
英語であれ、日本語であれ、あるいは他のいかなる言語であれ、最も大切なことは、その学習プロセスそのものを楽しみ、そして何よりも継続することです。
本記事をお読みいただき、誠にありがとうございます。
私がここで共有した経験が、皆様の言語学習の旅の一助となり、新たな刺激となることを心より願っております。
最後に、この言葉を贈りたいと思います。
「小さな努力の積み重ねが大切であり、間違いは前進するための貴重な一歩となるのです」

ライタープロフィール
ジェニファー ゴーン(Jennifer Goen)
インドネシア出身。京都大学農学研究科の修士課程に在籍。野菜と観賞用園芸植物に着目しており、研究テーマは唐辛子の果実の発達に関する遺伝的メカニズムの解析。学術研究と並行して、文化交流イベント、料理教室、地元の祭りに積極的に参加し、勉強しながらアルバイトも実施。研究、食、文化に情熱を注ぎ、映画鑑賞や新しい体験の探求にも積極的に参画している。

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