海外移住したいと思ったとき、どのようなことを頭に入れておくと良いでしょうか。
文化や生活習慣が違う国で快適に生活するために、おさえておきたいポイントを知っておくと、現地でとても役に立ちます。
この記事では、イタリアに在住している筆者が現地での生活で心に留めておきたいことや注意点、持っておくと便利なアイテムなどを紹介!
海外移住を考えている人はぜひ、参考にしてくださいね。
1.イタリア移住で大切にすべきなのは人間関係
最初に、海外移住での人間関係の重要性について考えてみましょう。
イタリアでは特にそうですが、海外移住するにあたってまず大事なのは知り合いや友達を作ること、と言っても過言ではありません。
特に、イタリアは人間関係が重要です。
なぜなら、イタリア社会ではコネが物をいうことが多く、いかに人付き合いをするかが重要視されます。
そのためか、イタリア人はコミュニケーション力が高い人が多く、話好きです。
1-1.友達を作るのに語学力はあまり関係ない
長期滞在でも移住でも、イタリアで暮らし始めるときに重要なのが、友達や知り合いを作ることです。
人間関係を作る際に語学力はあまり関係なく、ジェスチャーや英語でもいいので現地の人と直接話すように心掛けましょう。
このときに重要なのは、どんな人に対してもSimpatico/a(主語が男性ならSimpatico シンパーティコ、女性ならSimpatica シンパーティカ、感じが良い人のこと)、感じ良く振る舞うことです。
イタリア語ができなくても、一度良い人だと思ってくれれば、イタリア人は打ち解けるのが早いです。
また、友達になった人からその人の友達を紹介してもらうというのが、イタリア人の社交術の一つでもあり、そこからさらに人間関係の輪を広げることができるのです。
イタリア語を正確に話すことより、視線があったとき笑顔になったり、一言「Ciao!(チャオ)」と挨拶したりすることが、人間関係を作るのに役立ちます。
1-2.海外で良い仕事を探すには人間関係が不可欠
現地で良い仕事を見つけたいという場合は、人間関係がモノを言います。
筆者が在住するイタリアの就業率は、EU圏でも最低水準。
就業率が低い最大の理由は、コネ社会であることです。
何かしらのツテがない場合は安定した収入を得られる仕事を見つけるのが難しいのです。
例えば、語学が流暢で何ヶ国語も話せるほどのスキルを持っていても、コネがないためブラック企業で働かざるを得なかったり、アルバイトで生活をつないだりする人がイタリアでは少なくありません。
友達がすぐできなくても、朝通うカフェのバリスタや常連さんに仕事を探していると相談するのも良いでしょう。
学校によっては、事務局で仕事を紹介してくれることもあるので、事務局の人と知り合いになっておくのもおすすめです。
2.イタリアで生活するために必要な手続き

イタリアへ移住するときは、いろいろな手続きが必要です。
ここからは、どのような手続きが必要なのか具体的に見ていきましょう。
2-1.取得義務があるPermessoと任意のResidenza
EU圏外からの移住もしくは長期間の滞在を目的にイタリアへ入国する人に取得義務があるのが、外国人向けのPermesso di Soggiorno(ペルメッソ・ディ・ソッジョルノ、滞在許可証)です。
一方、外国籍の居住者に取得義務はありませんが、イタリアに長期間住む場合にできるだけしておきたいのがResidenza(レジデンツァ、住民登録)です。
【ペルメッソとレジデンツァの違い一例】
| ペルメッソ | レジデンツァ | |
| 外国人の取得義務 | EU圏外からの移住者は必須 (入国後8日以内) |
任意 |
| イタリア移住前の事前登録 | 不可 | 不可 |
| 労働契約締結時の提示義務 | EU圏外からの移住者は必須 (在留資格が就労可能な場合のみ労働可) |
任意 |
| イタリア国内公共サービス利用可否 | 不可 | 可 |
ペルメッソは外国人としてのEU長期滞在を許可した公的書類という意味だけを持つものです。
したがって、ペルメッソ所持だけではイタリア国民健康保険利用やイタリア年金制度への加入など、公的な公共サービスを利用できません。
例えば保険証がない場合、ケガをしたら高額な治療費が全て自費だったり、行政手続きができなかったりすることがあるのです。
2-2.イタリアに長く住むならResidenzaを登録しよう
上記で述べたように、レジデンツァに取得義務ははありません。
しかし、被雇用者としてイタリア企業で働いたり、イタリア人と結婚してイタリアで暮らしたりなど長くイタリアに住むことが決まった場合、レジデンツァの登録がないと困ってしまう状況に陥ることがあります。
そのため、できるだけレジデンツァに登録をしておきましょう。
なお、レジデンツァ登録が完了すると下記の公的書類を申請できます。
・Carta d’identita(カルタ・ディデンティタ、イタリア身分証明書)
・CID(Carta Identità Digitale、カルタ・イデンディタ・ディジターレ、電子身分証明書)
・Tessera Sanitaria(テッセラ・サニタリア、国民健康保険証)
健康保険証だけは、最寄りの総合病院の窓口で申請・発行してもらう必要があります。
一方、身分証明書はComune(コムーネ、市役所)で申請できるので、住民登録のついでに行うのもおすすめです。
2-3.インターネットで利用できるCID
CIDは日本のマイナンバーカードアプリに似た、インターネット上で利用できるデジタル身分証明書で、近年利用され始めたサービスです。
身分証明書を取得すると自動的に、CIDのIDやパスワードが交付されます。
イタリア政府の専用ページでID・パスワードを登録しましょう。
登録が完了すると、パスポート申請や税務申告など、従来は警察や税理士事務所などで申請者本人による対面申請が必要だった手続きが、デジタルIDを使うことによってインターネットで行えるようになります。
ちなみに去年、筆者はデジタルIDを使って家族のパスポートを申請しました。
数年前までは対面申請のみで、パスポートを申請するために警察署で数時間も順番待ちをしなくてはなりませんでした。
一方、デジタルIDでインターネット申請をしたときは、自宅のPCで10分ほど申請作業を行うだけで済みました。
日本のマイナンバーカードは、初回も更新時も発行手数料が無料です。
一方イタリアのCarta d’identitaは、初回および更新時のいずれも、2025年11月現在で基本手数料16.79ユーロ(約3,036円)と、費用がかかります。
さらにこの金額はあくまでも基本手数料であるため、自治体によって事務手数料などが上乗せされ、20ユーロを超えることもめずらしくありません。
筆者が去年Carta d’identitaを更新したときは、事務手数料が上乗せされて24ユーロほどの支払いで済みましたが、筆者の前に手続きしていた男性は、更新期限が切れてからの手続きだったため「100ユーロの追徴金が上乗せされる」と窓口の人から説明されていました。
3.海外移住者こそ知っておきたい日本文化3つ

イタリアに移住すると、自分の価値観もイタリアナイズされていくのを感じます。
そうでないと生活が難しいことが理由ですが、一方で日本人であるというアイデンティティは持っておくべき、と痛感する機会も少なくありません。
その理由は、近年イタリアで続く日本文化ブームに由来するところが大きいです。
寿司・ラーメンなどの食文化やマンガ・アニメなどエンタメ文化に代表される日本由来のモノ・コトに対して、イタリア人はとても好奇心旺盛。
説明や頼み事を求められる機会に備えて、どんなことを知っておけばいいか見ていきましょう。
3-1.最も聞かれる機会が多い日本の食文化
イタリアに在住していると、日本の食文化について質問を受けることが多いです。
筆者も、実際に次のような質問をよく受けます。
【例】
・アニメ「ドラえもん」の名前に由来する和菓子とは何か、イタリアで食べられるのか
・ラーメンの具材「なると」とは何なのか
・寿司を自宅で作って失敗したのは何が原因なのか
寿司レストランが地方にもたくさんあり、スーパーや小売店で醤油やチューブ入りのわさびなどの日本食材が手に入る影響からか、日本の料理をもっと食べたい、知りたいというイタリア人はたくさんいます。
特に聞かれるのは、イタリアの家庭でもできる上手な寿司の作り方です。
筆者も何回となく、寿司飯や玉子、えびなど自作が必要な寿司ネタの作り方を友人や知人に説明しました。
自分の料理スキルに自信がない人は、本を購入したりインターネットの料理動画をブックマークしたりすることをおすすめします。
後で必ず役に立つでしょう。
3-2.大人も子供も大好きな日本のエンタメ文化
イタリアでは、日本発のエンタメ文化への関心が高いです。
特に漫画やアニメ、ゲームの人気は絶大。
ヨーロッパ最大の漫画・アニメの祭典とよばれ、毎年多くの人がつめかける「Lucca Comics」というイベントが毎年行われるほど、人気があります。
国営放送で宮崎駿監督作品のアニメが放映されたり、ポケモンやスーパーマリオが子供に大人気だったりと、日本のエンタメ文化がイタリアの人たちにも受け入れられているのです。
この人気ぶりを反映しているのか、筆者も日本のエンタメについて質問されることがあります。
【例】
・ある日本漫画の劇場版アニメ最新作はどういう内容か
・ニンテンドーのゲーム「スーパーマリオ」の主人公はなぜイタリア人の名前なのか
・歌舞伎とはどういうエンターテイメントなのか
筆者にとっては、今流行っているアニメなどの最新エンタメについて意見や解説を求められたときが、一番説明が難しいです。
ストーリーが頭に入っていなくてもいいので、インターネットなどでどんな作品が流行っているか少しリサーチしておくと、解説するのに役立つでしょう。
3-3.日常生活でできる日本の伝統文化
折り紙など簡単なものでいいので、日本の伝統文化を一つ覚えたり本を持って行ったりすると役に立ちます。
日本文化への関心が高まっているイタリアでは、折り紙や紙芝居、着物など日本の伝統的文化を紹介するテレビ番組や本を目にする機会が増え、質問されることがあるからです。
中でも1枚の紙がさまざまな形に変化する折り紙は広く知られており、学校やアフタースクールなどでの学習教材として紹介しているイタリアの団体もあるほどです。
受け継がれてきた伝統文化をとても大切にする、イタリア人の習慣に由来しているのかもしれません。
【例】
・誕生日のプレゼントに折り紙で作った鶴を添える
・浴衣や着物を着て外出する
・相手の名前を漢字もしくは日本語に訳し、紙に書く
朝夜で気温の差が激しい土地に住んでいる筆者は、夏の外出に浴衣を着ることがあります。ジャケットが欲しくなるほど夜に気温が下がる場合があり、長袖で体に巻きつけるようにして着る浴衣は気温の差をあまり感じずに済むからです。
また、着物はイタリアでも知られていて、浴衣や帯を見て「美しい」と話しかけてきてくれた人と知り合いになるなど、コミュニケーションのきっかけ作りにも役立ちます。
上記で紹介した以外にも、日本に関する知識が仕事のヒントやきっかけになることもあります。
筆者は飲食関連の資格を持っていたことが縁で、日本の食文化の知識が役にたつビジネスリサーチの仕事を手伝って欲しいと誘われたり、日本の自動車メーカーに関わる仕事の経験があるのを知ったイタリア人から、日本車の最新デザインや日本の消費者の傾向について調査しクライアントに説明するアルバイトを行ったりしました。
日本ブームがまだ熱い状況の中、どんな知識が仕事のチャンスに結びつくかわかりません。
イタリアのみならず海外移住を考えている人は、日本という国や文化について現地の人に説明できるよう、少しでも知見を得ておくことをおすすめします。
イタリアに移住してイタリア人同様に振る舞っていても、私の外見は日本人です。
そのためイタリアの人たちは、好奇心と親しみをこめて日本や日本の文化について意見や情報を聞きたがります。
彼らの気持ちに応えるためには、自分のアイデンティティの背景にある日本を理解している必要があります。
イタリアの人達も自身のアイデンティティをしっかり持っている人が多く、筆者がイタリアの食文化やファッションなどイタリアならではの文化などについて質問すると、とても嬉しそうに詳しく答えてくれます。
にも関わらず彼らの質問には答えられないとすれば、日本についてもっと深く知りたい、友人として良く接したいと心を開いてくれるイタリアの人たちを、がっかりさせることにつながるでしょう。
そうなると、人間関係を広めたり深めたりすることも難しくなりかねません。
イタリア移住を計画するなら、日本の文化や歴史など日本に関する知識を少しでも深めておくことをおすすめします。
4.海外移住するときに持っていると助かるアイテム9つ

ここからは、海外移住のときに揃えておくと重宝するアイテムを見ていきましょう。
日本から持っていくと良いものと現地で調達できるものに分けて紹介しますので、海外移住を予定している人は参考にしてくださいね。
4-1.日本から持っていくと良いアイテム5つ
和食にそれほど興味がないという人でも、海外生活が長くなればなるほど和食を食べたくなる機会は多くなります。
現地でも和食を作るなら、イタリアでは手に入りにくい以下のものを持っていくのがおすすめです。
4-1-1.いろいろな料理に応用できるオーブントースター

画像:筆者撮影 秋葉原の海外対応家電専門店で購入した日本製のオーブントースター
海外のトースターは、パンを差し込んでスイッチを入れたら、一定時間で焼けたパンが飛び出してくるタイプのポップアップ式のものが主流。
チーズを乗せたり卵を落としたりして日本的な食パンの味を楽しみたいというときは、フライパンで焼くかオーブンを使うしか方法がありません。
フライパンを使うとガスコンロの前につきっきりになる必要があり、オーブンは電気代がかなりかさむので使うのを避けていました。
そのため、筆者は日本でイタリア電圧対応タイプのオーブントースターを購入し、里帰りのときに預け入れ手荷物としてイタリアに持ち帰りました。
ヒーターが1300Wの高出力タイプなので、焼き魚やピッツァを作るときも重宝しています。
4-1-2.和食には欠かせない顆粒のだし
和食を作るときあると便利なのが、だしの素材です。
ちなみに、筆者が里帰りするとき必ずイタリアへ持ち帰るのは、顆粒のだしです。
アマゾンや楽天などで購入できる業務用の大容量タイプを購入し、小分けして少しずつ使うようにしています。
500gで2,500円ほどしますが2kg買うと1年間は持つので、里帰りのたびに大人買いするのが習慣です。
イタリアでも乾燥昆布がアジア食材店やBIOショップで手に入りますが、かなり高価だったり日本とは種類の異なる昆布で味が異なったりし、買うのに躊躇することも。
また、煮干しやかつおぶしなども同様です。
4-1-3.料理が好きな人におすすめの菜箸
料理をするのが好きな人は、海外移住するときに日本から菜箸を持っていきましょう。
一膳あると大活躍します。
寿司や餃子など、アジアの料理がイタリアでも人気を博しています。
スーパーに行けば、醤油やキムチなどアジア料理の食材や箸も売られているほど。
しかし、和食を作るときに欲しくなる日本でお馴染みの竹製菜箸は、見かけたことがありません。
筆者は一度、ステンレスでできた中国製の菜箸をイタリアで購入し、使ったことがあります。
しかしあまりにも重くて使いづらかったため、すぐに処分してしまいました。
4-1-4.安心して使える日本製筆記用具
留学や事務職など普段ペンを使う機会が多い、という人なら日本から筆記用具を持っていくことをおすすめします。
書き味の良さと高い機能性から、日本製の筆記用具はイタリアでとても人気があり、いろいろな種類のペンが輸入されています。
しかし、非常に高価で1本3ユーロ程度の値段がついていることがほとんどなため、現地で購入するのはハードルが高いです。
イタリアで主に使われている筆記用具というと、黒か青のボールペンです。
雑貨店やタバコ屋などへ行くと1本1ユーロ程度で手に入りますが、数回使っただけでインクが出なくなったりペンが細すぎて握りにくかったりなど、クオリティが高いとは言えないものが多いです。
ちなみに、消すことができるタイプのものなら主流は鉛筆か消せるペンで、シャープペンシルはあまり見かけないです。
4-1-5.意外と寒いイタリアで必須の防寒アイテム
長期間イタリアに滞在もしくは移住する、という人におすすめなのが防寒アイテム。
発熱素材など機能性を重視した防寒アイテムが欲しいなら、日本から持っていくのも良いでしょう。
イタリアにも同様のものはありますが、日本のものと比べると機能性に欠けたり数回の洗濯で生地がいたみ、使えなくなることも少なくないからです。
ちなみに日本を代表する企業の一つ、ユニクロがイタリアにも進出しています。
路面店があるのはミラノとローマだけですが、オンラインショッピングもできるので筆者は主にオンラインでユニクロの防寒着を購入しています。
日本で購入するより高いですがとてもあたたかく、周りのイタリア人からも共同購入を頼まれるほど人気です。
夏のバカンスシーズンになると海に出かけて、太陽を目一杯楽しむのがイタリア人の生活です。
その一方で冬の寒さは意外に厳しく、シチリアやプーリアなど最も南に位置する地域で雪が降るときもあるほどです。
特にマンションやアパートの部屋では、地下にある巨大ボイラーで全ての居住空間の暖房を稼働させる、セントラルヒーティングシステムが採用されていることが少なくありません。
決まった時間にしか暖房がつかずその上、自分で温度の調整をしたり早い時間に暖房をいれたりすることが不可能なので、冷え込むときは本当に苦労します。
しかも、古い建物だと部屋がなかなか温まらないので、体調を崩してしまうこともあります。
そのため、防寒グッズをあらかじめ用意しておくに越したことはありません。
なお、ウールやカシミアなど、自然素材のタイプが好みならイタリアで手に入れることをおすすめします。
日本と比べるとリーズナブルに手に入り、質が良くて暖かいものがたくさんあります。
イタリアでは、不動産屋を通して契約する賃貸物件の場合は、2DKや3LDKなど家族向けで大きな間取りの家が一般的です。
日本のようにワンルーム物件のMonolocare(モノロカーレ)もありますが、イタリアでは数が少なくかなり割高なため、不動産屋で探すのは至難の業。
したがって一人暮らしをする場合は、大家が個人的に借り手を募集しているルームシェアの部屋を探すのが、一番手っ取り早いでしょう。
間取り内にある個室の数だけ人が住み、リビングやバスルームなどは住人全員で共有、掃除も分担する、日本のルームシェアと同じ仕組みです。
個室の賃貸料とは別に、Spese(スペーゼ)という光熱費やインターネット料金などの雑費を住人の頭数で均等に負担します。
掃除やSpeseの分担額など細々としたことを全部住人まかせにしている大家も多く、シェアハウスの住人同士でトラブルが起こることも。
知り合いのツテでルームシェアの部屋を探すなら、トラブルが起こらなかったかどうかも念の為チェックしておくと良いでしょう。
4-2.イタリアで調達すると便利なアイテム4つ
ここからは、イタリアで生活するときに現地調達すると便利なアイテムをご紹介します。
10〜30ユーロ程度で購入できる手頃な値段のものを中心に解説しているので、もしスーパーや雑貨店で見かけたら購入しておきましょう。
4-2-1.ごはんを炊くときは必須の浄水器

画像:筆者撮影 10年以上使っている浄水器。一部こわれているがまだまだ現役
イタリアに住んでいて、日本食を食べたくなるというときがあるかもしれません。
もしご飯を炊くなら、炊く前に注意しておきたいのが炊飯に使う水です。
日本の水は軟水ですが、イタリアの水は蛇口がすぐ白くなるほどに水質が硬いのです。
イタリアの水で日本式の炊飯をすると、灰色になったまずいご飯しか炊けません。
また、日本の煎茶やほうじ茶を淹れると日本で飲むものとは似ても似つかない、微妙な味わいの飲料ができあがってしまいます。
大きなスーパーやアマゾンイタリアなどで浄水器を売っているので、見つけたら買っておきましょう。
筆者が使っているのはBritaというメーカーのもので、硬水の水道水を濾過して、軟水に変えてくれます。
日本式の炊飯ではお米が真っ白に炊き上がり、煎茶はきれいな緑色に淹れられます。
4-2-2.ガジェット類を使うとき必需品のコンセントタップ

画像:筆者撮影 写真上 / 備え付けのコンセント。左側が16A用右側が10A用、と2種類の穴がある 写真下 / 10A用の穴に差し込んで使うマルチタップ。10Aの穴しかない部屋でも、このタップがあれば電気ケトルや電子レンジなど出力が高い家電を使える
スマホ、タブレット、パソコンなどのガジェットを数種類使う予定がある、という人は、スーパーや電器店、アマゾンイタリアなどでコンセントタップを買っておきましょう。
一人暮らしで部屋を借りるとき、だいたい1部屋に2つ程度のコンセントがついています。
しかし家具の位置によっては1つしか使えないことがあり、一度に数種類のガジェットを充電するときは大変だからです。
また、イタリアのコンセントは10A、16Aの2種類あります。
10Aは出力2200Wまでの小型家電向けで、パソコンやスマホの充電や掃除機などの家電を使うことができます。
一方16Aは、冷蔵庫や電子レンジ、オーブンなど出力3500Wまでの大型家電を使う場合のコンセントで、10Aとは穴の形状が異なります。
借りる部屋によっては10Aか16Aのいずれかしか無い場合があるため、コンセントタップがあると困らなくて済むのです。
いろいろな種類がありますが、最も使いやすいのは10Aと16Aの両方に対応しているマルチタイプのタップです。
イタリア語でCiabatta multipresa(チャバッタ・ムルティプレーザ)と言います。
4-2-3.暑さをしのぐ扇風機
イタリアに住むなら、暑さをやわらげてくれる扇風機を買っておくのもおすすめです。
イタリアの夏は暑いですが日本と比べると湿度が低く、風があれば意外と涼しく過ごせるため、イタリアの住宅では日本ほどエアコンが普及していません。
各家庭で使われるのは、扇風機です。
ホームステイなどで大家と同じ家に住む場合、扇風機を貸してもらえる可能性は高いですが、通常の賃貸物件ならまず扇風機は備え付けられていません。
イタリアの賃貸物件は、家具と冷蔵庫、洗濯機の大型家電がついていることが主流で、扇風機のほかドライヤーやTVなどの小型家電はない場合が多いのです。
使う場合は自分で購入する必要がありますが、あまり高い値段ではありません。
20ユーロ程度でかなり大きなサイズのものが手に入ります。
4-2-4.部屋で過ごしやすい室内履き
ほとんどのスーパーで、スリッパや室内履きを10ユーロ程度で購入できます。
もし自分のサイズがあったら、一足買っておきましょう。
室内履きを使うと部屋の掃除が楽になり、夏場も過ごしやすくなります。
欧米の住宅というと日本の習慣とは逆で、家には土足のまま上がり靴を脱ぐときは眠る場合だけ、というイメージを持つ人がいるかもしれません。
しかし土足だとどうしても床が汚れるため、掃除が楽になるよう室内履きを使う家庭は少なくないです。
大家によっては室内履きを使うよう指示される場合もあるので、買っておくに越したことはありません。
ローマに留学していた当時は1ユーロ135円ほどの円高だったため、1年間で400万円ほどあれば十分と考え資金を用意しました。
おかげで留学中は、単発のアルバイトをする程度で生活費をやりくりできました。
近年は円安が続いているので、現地で仕事を見つけるほうが絶対に有利です。
とはいえ、仕事が見つかるまでのつなぎとして生活資金が必要なため、日本にいる間お金を貯めるに越したことはありません。
【月々の生活費内訳】
ローマ在住時:最低約660ユーロ(約89,100円、当時のレート1ユーロ135円で計算)
家賃(光熱費、インターネット代込み)500ユーロ、食費(自炊)150〜200ユーロ、SIM料金8ユーロ
フィレンツェ在住時:最低約380ユーロ(約53,200円、当時のレート1ユーロ140円で計算)
家賃(光熱費、インターネット代込み)250〜300ユーロ、食費(自炊)120〜150ユーロ、SIM料金12ユーロ
地方で暮らすか大都市で暮らすか、によっても月々の生活費が大きく変わります。
都市部ほど家賃や物価は高いため、家賃・食費・光熱費を合わせた最低ラインの生活費が2025年現在でひと月600〜700ユーロ程度(約108,304円〜126,354円、2025年12月のレートで計算)と考えて資金を貯めると、困らずに済むでしょう。
当然、家賃に最もお金がかかります。
語学学校などで紹介してもらえる部屋は、相場より家賃がかなり高いことがほとんどでおすすめしにくいですが、良い条件の部屋が見つかるまでの最初の1〜3ヶ月だけ、と時期を決めて利用するのも一つの手。
一番良いのは、現地で友達を作りそのツテで部屋を探すことです。
筆者もこの方法で、学校で斡旋している部屋の家賃の半額で安く借りることができました。
5.イタリアに移住するときの注意点4つ

文化も生活習慣も日本と異なるイタリアで、より良く生活するために気をつけたいことがいくつかあります。
ここからは、生活する上での注意点について見ていきましょう。
5-1.lavoro in nero(違法労働)にご用心
イタリアで働く場合、
・被雇用者
・フリーランス(自営業者)
・起業家
のいずれかの立場で仕事をすることになります。
このうち非EU圏から移住するフリーランスと起業家の場合、専用のビザ取得や税務署への自営業登録などが難しく、働くためのハードルは非常に高いです。
最も働きやすいのは被雇用者として働くことで、日本同様に雇用主と被雇用者が契約書をかわすContratto(コントラット、労働契約)を行ってから働くのが普通です。
一方で、そうではない仕事も存在します。
それは、lavoro in nero(ラボーロ・イン・ネロ、違法労働)と呼ばれる、労働契約なしの仕事のことです。
雇用主側には、コントラットを交わしてから関連省庁への従業員登録に伴う課税、労災や失業保険などの社会保障金拠出など、さまざまな経費の支払い義務が生じます。
この経費をおさえて労働力を確保するために行われるのが、ラボーロ・イン・ネロです。
支払いは現金で行われコネがなくても働きやすく、嫌になったら無通告で辞めることができます。
バイト感覚で働けるので、多くの人がラボーロ・ネロに従事していると言われているほどです。
しかし近年では、脱税対策の一環から警察の取り締まりが厳しくなっています。
当局に摘発されれば、雇用主だけでなく労働者本人も罰則の対象です。
さらに、ラボーロ・ネロの最中にケガや病気になっても、補償はおりません。
万一の場合は自己責任となってしまい、治療費などの経費は全額自分で負担することになるのです。
働くチャンスをつかんだら必ず、
「Si può fare il contratto del lavoro?(シ・プオ・ファーレ・イル・コントラット・デル・ラヴォーロ? 労働契約は結んでもらえますか?)」
と聞くことを忘れずに。
きちんとした回答がもらえなければ、別の仕事先を探すのが無難でしょう。
5-2.住民登録には2パターンある
住民登録には2つのパターンがあり、1つはイタリア人の家族を持つ場合と、もう1つは住んでいる家の持ち主に協力してもらう場合です。
結婚などでイタリア人の家族がいるなら、世帯の家族構成に自分を加えてもらう形で住民登録を行うのが最も簡単な方法です。
自治体にもよりますが、難しい手続きではありません。
市役所で申請書類を提出したあと、Residenza登録した住所を警察官が訪問します。
住民本人が本当に在住しているか確認後、手続き完了となります。
地方在住の筆者は、市役所で手続きをしてから警察官が登録住所にやってくるまで2ヶ月ほどかかりました。
一方、仕事などで移住する場合は、居住する家や部屋の大家に許可をとって住民登録をする必要があります。
この場合、大家に同意を渋られたり、手続きがあまり簡単ではなかったりなど住民登録を終えるまでにいろいろなハードルがあることを覚悟して臨みましょう。
なぜなら、住民登録が終わったあとは、居住するComune(コムーネ、自治体)へ住民税やTARI(ターリ、ごみ収集税)などの納税義務も発生するからです。
納税が遅れると、ペナルティとしてさらに追徴金が発生することがほとんどです。
住民登録に同意してくれた相手に迷惑がかからないよう、十分に話しあっておきましょう。
5-3.公共サービスを利用するならISEE申告を忘れずに
ISEE(Indicatore della Situazione Economica Equivalente)とは、個人や家庭の財務状況を申告する制度のことです。
個人や家庭の所得額や所有する不動産の評価額などが1年間にどれくらいあったのかを、所定の書類を提出して申告します。
この申告額に基づき、子供を学校に通わせるときの給食費や、病気のときにかかる医療費など公共サービスの利用額が算出される仕組みになっているため、イタリアに移住したときは毎年忘れないように申告しましょう。
申告方法は、以下の3種類です。
1.自分でオンライン申告
2.CAF(Centro di Assistenza Fiscale、チェントロ・ディ・アシステンツァ・フィスカーレ、税務協会)に依頼する
3.Commercialista(コンメルチャリスタ、税理士及び会計士)に依頼する
一番最後のCommercialistaに依頼すると有料ですが、オンライン申告やCAFに依頼する場合は無料です。
ちなみに、申告は任意です。
そのため、ISEEを行わない場合でも罰則の対象にはなりません。
その代わり、公共サービスの利用時には最大額が適用されたり、自治体や政府が支給する核家族補助金などが受けられなかったりなど、ISEEをしないことで失うものは意外と大きいです。
5-4.控除が受けられる730申告
イタリアの給与所得者や年金受給者が毎年行う、もう一つの申告が730(セッテトレンタ)です。
日本でいう年末調整に似た制度で、1年間にかかった医療費や教育費、家賃など所定の費用を申告すると、税金の還付を受けることができます。
730も、上記のISEE同様にオンライン申告かCAF、Commercialistaに依頼する3つの方法で申告できます。
このうち無料なのはオンライン申告のみで、CAFやCommercialistaに依頼する場合は70〜80ユーロほどかかります。
また、730はISEEと同じく任意申告です。
しかし申告しないことで還付金がもらえなかったり、住宅ローン減税など所定の税に対する優遇措置が受けられなかったりすることがあるので、毎年申告するに越したことはありません。
筆者が、人生で初めて行った海外旅行先はイタリアでした。
ヴァティカンのサン・ピエトロ大聖堂クーポラのてっぺんに、大聖堂入り口から徒歩で上り見下ろしたローマの街のパノラマに魅了され、「ここに通いたい」と思い始めたのが移住するきっかけです。
以降はイタリア語を習い毎年イタリアを訪れていましたが、一念発起して留学資金をため、会社をやめてローマに1年間語学留学。
留学後日本に帰国してからは、イタリアに移住することを目指して再び資金をため始め、2年後にフィレンツェで暮らし始めました。
フィレンツェ在住のときに夫と出会い、一緒に住むことを決めてから夫の地元へ移住し、結婚・出産を経て今に至ります。
まだ若くて体力があるうちに海外移住のチャンスをつかめて、本当に運が良かったと感じます。
食習慣、生活習慣が異なる海外で体力や気力を維持するのは意外と大変で、歳をとってからだと負担に感じることが増えるからです。
まとめ:海外移住時は現地で生活するための知識が欠かせない
海外に移住するとき、現地での生活に必要な知識をあらかじめ頭に入れているかどうかで、生活が左右されることがあります。
生活のための知識やプランもないまま勢いだけで移住してしまうと、必要なサービスをすぐ受けられなかったり意外な出費が発生したりなど、損をすることに繋がるからです。
また、海外移住では移住先の国を知りかつ、出身国である日本について学び直し現地の人に伝える機会に恵まれます。
時には煩わしく感じることもありますが、現地で生活し自己成長を促す良いチャンスととらえると、実りの多い海外移住を実現しやすくなるでしょう。
これから海外移住を考えている人はぜひ、この記事でご紹介した知識を活用してくださいね。










