開発ブースより、最新のテクノロジーを駆使したeスポーツゲームの開発状況と技術のすばらしさ、クリエイターのすごさを伝えます。
また、東京と海外の学生によって行われた交流会にみる“国内外におけるゲーム熱”やストリーマーの「スタンミじゃぱん」によるトークショーの熱量をレポートします。
2026年1月9日(金)から3日間にわたり、東京ビッグサイトで開催された「TOKYO eスポーツフェスタ2026」。
eスポーツ産業の裾野拡大を目指す本イベントでは、最新テクノロジーを駆使した開発企業の展示や、トップストリーマーによるトークセッションが多数行われました。
この記事では、会場で注目を集めた「フィジカル×デジタル」の技術開発最前線と、サウジアラビアとの「国際交流」、そしてアンバサダー・スタンミじゃぱんさんのトークショーから見える「コミュニティの熱量」についてレポートします。
ハード(技術)とソフト(人・熱量)、両面から進化を続けるeスポーツ界隈の現在地とはーー。
最新テクノロジーが拡張する「eスポーツ」の定義
展示エリアでは、従来の「モニターに向かってコントローラーを操作する」というスタイルを超えた、新しいeスポーツの形を提案する企業が軒を連ね、たくさんの来場者を楽しませていました。
パラスポーツ×DX「サイバーボッチャ」
小さな子どもから大人まで賑わいを見せていたのが、株式会社ワントゥーテンの「サイバーボッチャ」です。

「ボッチャ」は、ジャックボール(目標球)にどれだけ自分のボールを近づけられるかを競うパラスポーツです。これをテクノロジーの力でアップデートしたのが「サイバーボッチャ」。
「ボッチャ」と「サイバーボッチャ」の特徴的な違いのひとつに、審判(人)の有無があります。
たとえば、審判がジャックボール(目標球)と自分のボールの距離を手動で計測するのが従来の「ボッチャ」です。一方、「サイバーボッチャ」では、天井に設置された高精度センサーがボールの位置を自動で計測します。
これにより、審判がいなくても瞬時に「どちらが何センチ近いか」を判定し、さらに地面(コート)へのプロジェクションマッピングで戦況を視覚的に表示します。
結果が瞬時に目で見てわかることで、ルールに詳しくない人や、はじめてボッチャを体験する人でも直感的に試合を楽しめているようでした。
DX化によって、パラスポーツのエンターテインメント性が大きく向上していると見受けられます。
全身で挑むフィジカルeスポーツ「Cyber Cubic」
株式会社ラディックスのブースでは、身体全体を動かして操作するソリューションが注目を集めていました。
「Cyber Cubic アリスと謎の地下迷宮」では、キューブ状の空間に入り、プロジェクションマッピングの中でプレイするシステムです。

キューブ状の空間に入ったプレイヤーをモニターで見る観客たち。
4名のプレイヤーは、「左右で同じ絵を二枚ともタッチしてね」という文字をたよりに、仲間たちとの声かけを楽しみながら体を動かしていきます。
特徴的なのは、プレイ空間を5面のスクリーンで囲むことによって、VRゴーグルを装着せずとも、まるでVRのような没入感を実現しているところです。
「複数人で空間を共有できる」という点が、孤独になりがちなVR体験の課題を解決していました。
MR技術が実現する次世代シューティングゲーム「銃皇」
異彩を放っていたのが、MR技術の粋を集めたシューティングゲーム「銃皇(ジュウオウ)」。
IXPASS(株式会社フアモサライフ)のブースでは、MRゴーグルをつけたプレイヤーが実際にある障害物(テーブルや壁)を使いながら立ったりしゃがんだりしている姿がありました。

MRゴーグルを着用したプレイヤーは、銃を模した専用デバイスを持ち、現実のフィールドを走り回りながら、空間上に現れるデジタルの敵を撃っていきます。
MRは、現実世界をベースに仮想オブジェクトを融合・操作する技術です。プレイヤーとオーディエンスが同空間に存在できるため、安全に動き回れるのが利点であるほか、大型スクリーンにプレイ動画を映しだせば、臨場感あふれるリアルタイムショーにもなります。
日本語では「仮想現実」と翻訳されます。 VRゴーグルを装着して見る世界は、あくまで仮想世界に限られます。
AR:「Augmented Reality(オーグメンテッド・リアリティ)」
日本語では「拡張現実」と翻訳されます。現実世界の映像に仮想の映像、情報を重ねて表示させます。例えば、スマホゲーム「ポケモンGO」では、現実の風景に3Dのポケモンを重ねて表示し、まるでそこにポケモンがいるかのように捕獲・撮影ができます。
MR:「Mixed Reality(ミックスド・リアリティ)」
日本語では「複合現実」と翻訳されます。 現実世界にデジタル情報を映し出す点はARと同様ですが、ARはあくまで現実世界がメインです。一方、MRは現実世界と仮想世界を融合させることに重きを置いています。
「サバイバルゲームの身体性」と「デジタルの演出」を融合させた本作は、次世代のロケーションベース・エンターテインメント(LBE)として高いポテンシャルを感じさせました。
国境を超えるゲーム熱 ~東京×サウジアラビア~
本フェスタのグローバル展開を象徴するのが、サウジアラビアeスポーツ連盟(以下、SEF)との連携による「海外交流企画」です。
『TEKKEN8』が繋ぐ学生たちの国際交流戦
サウジアラビアは国家戦略としてeスポーツに注力しており、今回はファイサル・ビン・バンダル王子(およびSEFの会長。以下、ファイサル会長)も来日。
日本の学生選抜チームとサウジアラビアの選手たちによる、人気格闘ゲーム『TEKKEN8』の国際交流戦が行われました。
交流試合では、サウジアラビアチームが 3-0 で東京チームに勝利を納めました。言語も文化も異なる学生同士ですが、画面の中の攻防を通じて互いの実力を認め合い、試合後には笑顔で握手を交わす姿が印象的でした。
ファイサル会長もその熱戦を見守り、「ゲームは世界共通言語である」という事実を強調するとともに、「今回の交流はサウジアラビアと日本の長期的関係の新たな一歩」と語りました。

「eスポーツは学生や次世代のためのもので、チームワークや戦略的思考などの重要スキルを育成できる」としたうえで、「勝敗よりも努力、学習、相互尊重が重要」と語るファイサル会長
eスポーツが外交や国際交流の架け橋として機能している面が顕在化した瞬間でした。

イベント主催者の一人、『東京都』からは、小池百合子東京都知事が視察に訪れる姿も。招待したファイサル会長と一緒に、ブースや大会の様子を見て回りました。
ストリーマー・スタンミじゃぱんが語る「ゲームと人生」
本フェスタのハイライトの一つが、アンバサダーを務めた人気ストリーマー・スタンミじゃぱんさん(以下、スタンミさん)によるトークショーです。

ファンの熱気に包まれた会場で、リスナーから募集した「ゲーム好きで一番良かったこと」というテーマに対し、リアクションするスタンミさん
YouTube上で配信されている「マシュマロ(匿名メッセージサービス)」に寄せられたリスナーの投稿をテーマに、eスポーツが個人の人生にもたらす影響について語り尽くしました。
英検5級でも通じ合う、国境なき友情
「ゲーム好きで一番良かったこと」というテーマに対し、「マルチプレイで国境を超えた興奮を味わえる」という投稿が寄せられました。
これに対しスタンミさんは、サバイバルゲーム『DayZ』での強烈なエピソードを披露。
「僕は英検5級で、英語は全くわかりません。でもゲーム内で出会った海外の強いプレイヤーが、僕を『キッズ英語』のような簡単な言葉で誘導して助けてくれたことがありました」
言語の壁があっても、目的を共有するゲームの中では友情が芽生えることもあるーー。
マルチプレイゲームが持つ、本質的なコミュニケーションの価値を熱弁しました。
「孤独」を知るからこそ、コミュニティの尊さがわかる
トークショーで会場の共感を呼んだのは、スタンミさん自身の「孤独」に関するエピソードです。
「去年は一人で仕事をしすぎて、年末年始にLINEがピクリともしませんでした。人をダメにするソファで一人、映画を見て静かに年を越しました」と笑いを誘いつつも、その孤独感があったからこそ、繋がりを求めていると語ります。
その文脈で、メタバース空間『VRChat』での交流について触れ、「ゴーグルをつけないと分からない尊さがあります。年齢や性別を超えて、そこにいる存在を愛しく思える場所です」と表現しました。
ゲームやメタバースは、単なる暇つぶしではなく、現代人の孤独を癒やし、精神的な「耐性」を育むセーフティーネットとしての役割も担っていることを実感させられました。


トークショーの後は、スタンミさんとのチェキ会が開催され、多くのファンがスタンミさんとの交流を楽しんでいました。
『モンスターハンターNow』公式オフライン交流会レポート
コミュニティの熱量は、デジタル空間だけにとどまりません。
同会場で開催された『モンスターハンターNow』の「公式オフライン交流会」もまた、リアルな熱気に満ちていました。

星9・星10の高難易度モンスターを持ち込むプレイヤー多数。和気あいあいとした雰囲気の中、ペイントボール会(マーキングしたモンスターを持ち寄って マルチプレイで狩りをするオフ会)やモンスターハンターNowに関する知識を問うクイズ企画などで盛り上がっていました。
普段は個々人でスマホを持って街を歩くハンターたちが、この日は同じテーブルを囲み、即席のパーティーを結成。「一狩り行こうぜ!」の合言葉のもと、顔を突き合わせて連携し、強大なモンスターの討伐に挑む姿は、eスポーツが持つ「人を繋げる力」を証明していました。
まとめ:技術と熱狂がeスポーツを「文化」へと押し上げる
今回の展示とセッションから見えてきたのは、eスポーツが「単なるビデオゲーム」の枠を大きく超えようとしている姿でした。
開発者たちは、MRやセンサー技術を駆使し、身体性とデジタルを融合させた「新しい遊び」を創造しています。
一方で、スタンミじゃぱんさんが語ったように、ゲームは国境や言語の壁を超え、人々の孤独を癒やし、人生を変えるきっかけとなる「居場所」としての役割も持ち合わせています。
技術(ハード)の進化と、コミュニティ(ソフト)の熱量。
この両輪が噛み合うことで、eスポーツは一過性のブームではなく、社会に根差した「文化」へと成熟していっている印象を覚えました。







