ビジネス基礎知識

2026.04.22

Lock Icon 会員限定

XのSNS広報活用術!少人数広報でもできる対話型情報発信のコツ

広報活動において、X(旧Twitter)をはじめとしたInstagramやLINEなどのSNSは欠かせなくなっている媒体の一つです。
なかでもテキストで発信することがメインのX(旧Twitter)は、リアルタイム性と拡散力が魅力のSNSと言える存在となっています。
一方で、SNSを使った広報は炎上リスクや投稿の正解がわからないと悩む方や、運用に時間が割けないと悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、SNS広報の基本となるXにフォーカスを当てて、Xの特徴やどんな広報に向いているのか、少人数で運用する際のコツについてご紹介しましょう。

目次

1.SNS広報でXが存在感を増している理由

SNSを活用した広報として、比較的使われてきた歴史が長いのがX(旧Twitter)です。
InstagramやTikTokなどが台頭する前から使われてきたSNSで、2025年5月時点での日本国内におけるマンスリーアクティブユーザー数は6,800万人と発表されています。
これは、Instagramの6,700万人とほぼ同規模です。
そんなXが広報活動においてどうして注目のSNSなのか、紐解いてみましょう。

1-1.消費者の情報取得は「検索」よりも「タイムライン」に

Twitter時代からの利用者も多いXは、企業の最新ニュースやイベント情報をチェックする手段としてすでに定着しています。
ハッシュタグ検索や、トレンドの発信源がSNSになるなかで、Xは特にリアルタイム情報を得るSNSとして捉えているユーザーも少なくありません。

こうした「即時性」という特徴を持つことからXでは、各個人がテレビ番組やニュース、商品などについて感動や感想をすぐに共有できる場所となっています。
たとえば同じスポーツの試合でユーザー同士が盛り上がったり、趣味や推し活について情報交換しあったりする場所として使われているのです。

加えて、広報担当者にとってもXは自社の評判や話題になっている様子をチェックするマーケティングの場所でもあります。

消費者のみならず、私たちが日々情報を知る手段は、時代とともに大きく変化しています。
ここからわかるのは、企業広報のあり方を改めて見直し、Xを始めとするSNSでの広報戦略を練る必要があるということ。
だからこそ、消費者の行動に合わせた情報発信をXなどのSNSを活用して始めてみましょう。

1-2.企業のXアカウントは広報メディアとして機能

企業やブランドの公式Xアカウントでの発信は、ユーザーにとって最新の商品情報などを受け取るメディアとしても機能しています。
毎回の発信が全てユーザーの目に留まっているわけではありませんが、
何かのきっかけで商品やブランドに注目が集まったとき、企業が継続して発信していれば、ユーザーが最新情報を得る場所として活用してもらえるのです。

また、他のSNSと違って、動画や画像だけでなく短文のテキストコンテンツがメインのコンテンツとなるX。
コンパクトな文章を通じて、企業の考え方や姿勢、キャラクターを伝える場所としても使いやすいと言えるでしょう。
なかには、企業担当者の人柄や個性を出したアカウントであれば、商品やブランドについてはよく知らないけれど「そのアカウントのファン」としてフォローされているという事例もあります。

1-3.Xでの広報はバズるよりも信頼の積み重ねにメリット大

SNSを広報に活用すると考えたとき。
Xの運用でついつい成果を求める上で参考にしがちなのが「バズるかどうか」という視点かもしれません。

たしかに、XはSNSのなかでも、他の媒体と比べて拡散性が高いためバズることを期待したくなるのは当たり前のことです。
実際に、X上でバズることで一時的に閲覧数フォロワーが増えるなどの効果は期待できますが、それが自社の顧客につながるかどうかは「バズった理由」次第。
一過性のバズりを起こすことも大切ですが、継続的に自社のビジネスに貢献させるには、注目された後にアカウントからの過去の発信を通じて「これからもフォローしてみたい」「この会社の商品やサービスは面白そう」と思ってもらえるかどうかが勝負どころに。
いわば、バズり後の出口戦略が大切なのです。

加えて、バズるかどうかは投稿を「数打てば当たる」要素も強く、運任せの部分も否めないのが実情です。
だからこそ大切なのは、バズるよりも、企業のサイトに訪問したり購買につながるなどの「エンゲージメント」です。

閲覧数やユーザー数、リポストの数などで評価しがちですが、XなどのSNS広報は「信頼を積み重ねる」という視点で運用することを意識してみましょう。

2.SNS広報におけるXの位置付けと特徴

実際にこれからXを活用した企業広報をするなら、どんなポイントを押さえておくべきなのでしょうか。
SNSによって、ユーザーの特性や拡散力、強いメディアスタイルなどが異なるため、広報活動においてはSNSがどんな特徴を持っているかを理解して運用することが大切です。
ここでは、忘れてはならない、Xの4つの特徴や他のSNSとの違いを整理してみましょう。

2-1.SNS広報で活用するなら知っておきたいXの4つの特徴

まず、Xを広報に活用する上で知っておきたいのが、リアルタイム発信に強いことやポストを引用する文化がある点です。
一つひとつ一緒に見ていきましょう。

2-1-1.リアルタイム発信に強いSNS

XがどんなSNSかを正しく認識するために、まずはあなた自身がXの画面を開くのはどんなときか思い出してみましょう。

改めて振り返ってみると、「地震速報」や「オリンピックの現地の情報」「リアルタイムで放送されているドラマの感想」などを知りたいという目的で、タイムラインを開いた経験がある方が多いのではないでしょうか?
また、足を運んだライブの帰りにX上でその感想やライブの様子を撮影した動画、ライブのセットリストなどが投稿されていないかチェックしたことがある方も多いことでしょう。

私たちが無意識にこうした使い方をしているように、Xは、タイムラインから最新の情報を得るツールとして活用されているケースが多々あります。

つまり、Xはリアルタイム性が圧倒的に強いSNSとも言えるのです。
もし企業の広報として活用するなら、イベント実況などとの相性が良いツールと言えるでしょう。
また、新製品の発表やイベント後、消費者からの反応を探るマーケティングにも活用できます。

2-1-2.拡散力と引用文化があるSNS

他のアカウントがポストした内容を引用して、自分自身のコメントとともに投稿する「リポスト文化」があるのもXの特徴です。
引用ポストによって、議論が活発化したり、議論の流れを可視化してまとめたりすることもあるのは、Xならでは。

また、企業アカウントの投稿に対して、個人ユーザーが引用リポストとともに感想を寄せることもあります。
こうした仕組みや特徴はキャンペーン活用や、話題作りにも活かせるポイントに。

たとえば、マルシンハンバーグで有名な食品メーカー「マルシンフーズ」では、公式X (@marushin_foods https://x.com/marushin_foods )上で、マルシンハンバーグを食べているユーザーに呼びかける投稿をポスト。
実際に昼食に消費者が、同社のマルシンハンバーグをどう食べているかをリポストする流れを作ることで、商品のPRだけでなく様々な食べ方を伝えたり、同社の製品のファンを可視化して話題作りに活用しています。

画像出典:https://x.com/marushin_foods/status/2024681111448867268

2-1-3.テキスト中心のSNS発信だからアカウントの人格設計と言葉を重視

写真や動画だけでメッセージを伝えることも多いInstagramは「ヴィジュアルが大切なSNS」だとしたら、Xはテキスト中心なことから言葉の力が問われるSNSとも言えます。
そのため、投稿のトーンは「フレンドリーな広報担当が呟くスタイルにするのか」「企業の公式見解としてなのか」などのように、人格設計がアカウントのブランドに直結します。

もちろん、企業の公式発表や商品のリコール情報などを投稿する際には、上記のスタイルを踏襲する必要はありませんが、普段の投稿がアカウントの個性となることは意識しておきたいところです。

さらに、企業の「中の人」が発信するのであれば、その中の人が世の中の視点を斜めから切り取るご意見番のような立ち位置で発信するのか、少し天然キャラとして発信するのかなどによって、与える印象は大きく変わってきます。
また、コピーライティング的な視点も大切になってくるでしょう。

「中の人」の個性が光るシャープ株式会社の公式Xアカウント

公式Xアカウントながら、「中の人」の人柄や個性が話題となっているのが、大手家電メーカーシャープ株式会社のアカウント(@SHARP_JP https://x.com/SHARP_JP )です。

X上では新商品情報やキャンペーンなどのお知らせだけでなく、広報担当者がユーザーの声も拾いながら、家電メーカーに勤める友人からのアドバイスのような身近なコメントもポスト。

ときには、次のようなユーモア溢れるテキストと合わせて、自社の商品を使った暮らしを促しています。

2-1-4.一次情報発信の場として機能している

Xはその即時性の高さから、メディアも企業が発信する情報をいち早く得る場所として活用しています。
テレビ、雑誌問わず、各メディアの記者や編集者が、Xを一次情報の取得先として使っているため、プレスリリースに加えてXでの情報発信をすることはとても有効です。

今までプレスリリースだけだとなんとなく反応が薄いなと感じているなら、Xを通じたSNS発信も活用してみるといいかもしれません。

2-2.ほかのSNSとの違い

Xは、SNSの中でも情報や思想をスピード感を持って伝えられるツールです。
だからこそ、フォロワーとの接点を持つ最初の場所(きっかけ)として活用することを意識していくのが良いでしょう。

また、何かのきっかけで目に留まったときにユーザーが遡ってポストを見られるようにするために、コツコツと投稿を続けておくことは大切です。
この部分は、定期的な発信でInstagramのようにファンを育てるツールとしての使い方とも同じです。

<XとInstagram・TikTok・LINEとの違い>

Xの大きな特徴は会話と拡散に強いことです。
毎回の投稿は流れていってしまいますが、リポストや引用ポストなども活用しながら、他のユーザーとの会話を生むことでつながりが生まれ、より目に留まりやすくなります。

ここで、他のSNSとXとの役割の違いを整理してみましょう。

X=社会とつながる場、話題に参加する場所、関係を広げる場所
Instagram=ブランドを育てる場
TikTok=話題を作る場
LINE=クローズドで関係を深める場

Xが自社を知ってもらい関係を深める場所として機能させるとすれば、インスタグラムはビジュアルを中心に企業のイメージを視覚的に伝えてブランドとして育てる場所になります。
また、TikTokは短尺動画が中心となることから、話題作りには最適ですがコンバージョン(問い合わせや購買)に繋げるためには、バズった後の出口戦略を別途考えなければいけません。

もう一つ、ユーザー数の多いLINEですが、こちらは顧客との1対1のコミュニケーションツールとして活用してみましょう。
LINEは他のSNSと比べて開封率が高く「目にされることが多い」というメリットがありますが、あまり頻繁だったりユーザーから「もういいや」と思われたらブロックされてしまうという懸念もあります。
友達登録後のキャンペーンや情報の発信などで活用する際には、ブロックされない絶妙な距離感も意識することが大切です。

3.Xと相性がいい広報

Xは、広報活動において大企業だけでなく、むしろ知名度がまだ低い中小企業やベンチャー、地域に根ざした企業にこそ活用しやすいSNSです。
ここでは、Xとの相性が特に良いビジネスモデルや広報シーンを4つご紹介しましょう。

3-1.知名度がなくても専門性で戦えるビジネス

フォロワー数が少なくても、投稿の内容次第で情報が広がりやすいのがXの特徴の一つです。
業界の豆知識や専門家ならではの視点からのコメント、現場のリアルな課題感など、ほかでは知りにくい一次情報を発信し続けることで、「この分野といえばこのアカウント」という業界の解説者的なポジションを獲得できます。

例えばセキュリティ分野やニッチな素材開発など、ビジュアル的に地味な商材やサービスを扱う企業でも、テキスト中心のXなら情報の価値そのもので勝負できる点は、中小企業やベンチャーにとって大きな魅力です。

さらにX上で専門性のあるポジションを築くことには、広報面で大きなメリットがあります。
その一つが、信頼の蓄積が営業資産になることです。
専門的な発信を積み重ねることで、広告を出さなくても「この会社に相談してみたい」という指名での問い合わせが自然に増える可能性が高まるのです。
こうした特徴は、特にコンサルティングや士業、BtoB企業など、無形のサービスを提供している企業との相性が良いと言えるでしょう。

また、コストをかけず採用活動に活かすこともできるでしょう。
Xを通じて 「業界のことをよくわかっている会社」ということが印象づけられれば、求職者にも届きます。
専門性のある発信を続けることが、会社の価値観や姿勢を伝えることにもつながるため、採用広報とも相乗効果が生まれやすくなります。

3-2.地域密着型企業

地域のイベント情報やローカルなコミュニティとの親和性も、Xの強みの一つです。
たとえば地域のお祭りや、桜の開花情報などの話題をリアルタイムで投稿したり、地元メディアや他の地域企業とつながる場としても活用できます。

また、地域の課題にコメントするなど、地域への貢献姿勢を見せることで、フォロワーが少なくても顧客や地域住民との自然な会話が生まれやすくなるでしょう。
自治体の広報アカウントが地域の情報をXで発信し、住民との接点を作っている事例も参考になるでしょう。

3-3.スピード感を武器としたい中小企業

中小企業の強みは、大企業に比べて意思決定が早いことにありますが、この特性と、リアルタイム発信に強いXとはとても相性がいいと言えます。

たとえば新商品開発の裏側をタイムリーに投稿したり、トラブルや問い合わせが増えた際の一時対応として情報発信するなど、「今」を伝えることで企業への信頼感にもつながります。
大企業であれば複数の承認プロセスが必要な場面でも、中小企業なら即座に動けるという強みを、最大限活かしてみると良いでしょう。

3-4.採用広報

多くの中小企業が悩む「採用」においても、Xは有効なツールです。

毎朝の朝礼の様子やランチタイムなど社員の日常はもちろんのこと、社長の考え方、社内のエピソードなどを投稿することで、求人票だけでは伝えられない会社のリアルな雰囲気や価値観を候補者に届けられます。

特に、会社の方針や文化、働き方に対する考えを継続的に発信しておくことで、自社の価値観に共感してくれる人材の応募に繋げやすくなります。
また、採用コストの削減という観点からも、Xを使った採用広報は中小企業にとって取り組む価値の高い施策と言えるでしょう。

4.目的別に使い分けてみよう!XのSNS投稿スタイル

Xには、通常のポスト以外にもスレッド投稿や固定ポストなど、いろいろな投稿スタイルがあります。
こうした投稿スタイルによって、情報の届け方や向いているコンテンツが異なるため、目的に合わせて使い分けることが運用効率を上げるコツです。
ここでは、広報担当者が押さえておきたい3つの投稿スタイルを紹介します。

4-1.Xの通常ポストは速報や日常発信の場に

通常のポストは、タイムラインに流れていく「日常の声」として活用するのがおすすめです。
だからこそ、Xに投稿する文章は完璧な文章でなくても大丈夫。
リアルタイムに近い感覚で投稿できることがXの強みなので、気軽に発信できる場として大いに活用してみましょう。

通常ポストと相性がいいのは、商品リリースの告知や、日々の活動報告など。

特に新商品や新サービスの情報をいち早く届ける場として活用する際には、プレスリリースと連動させることで、メディア関係者の目にも届きやすくなります。
また、展示会への参加や取材対応、社内イベントなど、企業の日常をそのまま投稿することで、アカウントに人間味が生まれます。

通常ポストでは毎回気合いを入れた投稿でなくても、何気ないつぶやきを積み重ねていくことでフォロワーとの距離を縮めてくれるものだ、と考えると投稿のハードルも低くなるのではないでしょうか?

また、ネタに困ったら社会的に話題になっていることへのコメントもおすすめです。
業界に関連したニュースやトレンドに対して、自社の視点からコメントすることで専門性のアピールにも繋げられるでしょう。

引用投稿・リポストはユーザーとの関係作りにもおすすめ

自社商品を使っているユーザーの投稿にコメントしたりリポストすることで、顧客との自然な繋がりが生まれます。

たとえば、神奈川県三浦半島にある農業法人岩崎ファームの公式Xアカウントでは、日々簡単に作れる野菜のレシピを発信しています。
ユーザーが実際に作ってみた投稿をリポストするなどして「作ってみたい!」というユーザーの輪を広げ、同社の商品でもある野菜の魅力発信に繋げています。

画像出典:https://x.com/iwasakifarm

このように一方的な情報発信ではなく、双方向のやりとりを意識することがXらしい活用法と言えるでしょう。

4-2.X上でのスレッド投稿はストーリー設計に最適

スレッド投稿とは、複数のポストをひとつの流れとしてつなげて投稿できる機能です。
1回のポストでは収まりきらない情報を、読み進めてもらう形で届けられるため、少し長めのコンテンツとの相性が抜群です。

企業アカウントで活用するなら、例えばサービスや商品の解説に活用したり、ビジネス事例の紹介、企業のメッセージや想いを伝える場所として投稿することで、よりストーリー性のある発信へと繋げられます。

例えば、商品の紹介をポストしてその次のポストで詳細のHPリンクへと誘導するスタイルは、多くの企業が商品紹介に活用しているスタイルです。

画像出典:江崎グリコ公式Xアカウント

また、会社の方針や代表の考えをスレッドで発信することは、採用広報にも効果的。
求職者が「この会社の考え方に共感できるかどうか」を判断する材料として活用されやすいコンテンツでもあります。

4-3.最初に目に入る固定ポストやプロフィールは名刺がわりに

Xのアカウントを開いたとき、最初に目に入るのがプロフィールと固定ポストです。
ユーザーがアカウントを見てフォローするかどうかの判断は、この数秒で決まると言っても過言ではありません。
新規フォロワーの獲得や、メディア関係者・採用候補者への第一印象として、しっかり整えておきたい場所です。

固定ポストには
・キャンペーン告知
・企業紹介
・採用情報
など、今一番届けたい情報を置いておくのがおすすめです。

また、定期的に見直して情報が古くなっていないかを確認することも大切です。
たとえば、帝人株式会社では2026年3月時点で固定ポストに社員の仕事や行動目標を紹介するポストを固定しています。
採用時期、新商品の発売など時期に合わせて色々な活用方法をするのがおすすめです。

画像出典:帝人株式会社公式Xアカウント

5.少人数広報担当者が知っておくべきX活用の5原則

Xの運用は、始めること自体はそれほど難しくありません。
ですが継続して成果につなげるとなると、マンパワーが限られる中での運用設計が重要になってきます
この章では、1〜2名でSNS広報を担当しているケースでも無理なく続けるための、X運用の5つの原則をご紹介します。

5-1.運用前にアカウントの「人格」を設計しよう

Xはテキスト中心のSNSであることから、投稿のトーンや言葉選びがそのままアカウントの印象に繋がります。
投稿するたびにトーンがブレてしまうと、フォロワーに「このアカウントは何を発信しているのかわからない」という印象を与えてしまいます。

実際に運用を始める前に、アカウントの「人格」をあらかじめ設計しておくことで、こうしたブレを防ぐことができます。
アカウントの人格設計をする上では、大まかに分けて、次のような軸のどれを選ぶかで考えてみるとよいでしょう。

<公式トーン型>
企業の公式見解として、正確さと信頼感を重視した発信スタイル。
お知らせやリリース情報が多い企業に向いています。

応用版として、企業のマスコットやキャラクターの公式アカウントとする場合。
キャラクターの言葉遣いや性格などを設定して、キャラクターが話す言葉として発信するのも一つの手法です。

<親しみやすい広報担当型>
いわゆる「中の人」による発信スタイル。
担当者の人柄が感じられる、フレンドリーな発信という印象をつけられます。
日常の投稿や顧客とのコミュニケーションを重視したい企業に向いています。

<専門家ポジション型>
業界の知見や専門情報を発信することで、信頼性と権威性を打ち出すスタイルです。
BtoBや士業、コンサルティング系の企業、個人のキャラクターを前面に出したい場合に向いています。

5-2.投稿頻度は継続できる無理のない設計で

SNSの運用では毎日投稿しなければいけないとついつい思いがちですが、繁忙期は減らしたり、展示会の期間だけ増やすなど時期によって調整してもOKです。

SNS運用というと「毎日投稿しなければいけない」というプレッシャーを感じる方も多いかもしれません。

しかし少人数で広報を担当している場合、無理な頻度設定は長続きしないだけでなく、投稿の質を下げることにもつながってしまいます。

大切なのは毎日投稿することよりも、継続した発信でアカウントとしての信頼を蓄積することです。
たとえば、普段は週3回の投稿を目標としつつ、展示会や新商品リリースの時期は投稿頻度を上げる、繁忙期は週1回に減らすなど、時期によって柔軟に調整する設計が現実的です。

また、投稿ネタに困ったときのために、あらかじめ「ネタのストック」を作っておくのもおすすめです。
業界ニュースへのコメント、よくある質問への回答、社内の出来事など、日常の中で気づいたことをメモしておく習慣をつけると、いざというときに役立ちます。

<投稿ネタのアイデア例>
・商品やサービスに対する口コミ投稿のリポスト・コメント
・季節のネタ(オリンピックや入学・入社式シーズンなどに合わせたポスト)

また、定期的に発信できるように食品会社ならレシピを定番の投稿とするなど、定番ネタを作っておくのもおすすめです。

5-3.リリース発信は「複数回に分けて」みよう

プレスリリースをXで投稿するのは、拡散性だけでなくメディア担当者の目にも留まりやすくなることから、より注目を集めやすくなります。

ですが、プレスリリースのリンクと一緒に一言コメントを入れるだけの投稿を1度して終わりにしてしまうのは、とてももったいない使い方です。

1つのリリースであっても、切り口を変えることで複数回の投稿コンテンツとして活用してみましょう。

<新商品リリースの投稿活用例>
1.リリース当日
商品の概要と発売日をお知らせ

2.リリースから翌日以降
開発の背景や担当者の想いをスレッドで紹介

3.リリースから1週間後
ユーザーの反応やレビューをリポスト・紹介

4.リリースから1ヶ月後
導入事例や活用シーンを紹介

このように時間軸で投稿を設計することで、1つのリリースからブランドのストーリーが生まれ、フォロワーとの接点も増やすことができます。
また、タイミングをずらして投稿することで、最初の投稿を見逃したフォロワーにも情報が届きやすくなるメリットもあります。

5-4.トレンドは関連づける程度に

オリンピックなどのビッグイベントや、話題になっているニュースなどのトレンドワードを活用した投稿は、普段よりも多くのユーザーの目に触れやすくなるというメリットがあります。
ただし、自社との関連性が薄いトレンドに無理に便乗することは、フォロワーが違和感をおぼえたり、最悪の場合炎上したりといったリスクにもつながります。

トレンドを活用する際は、「自社の文脈に沿っているかどうか」を判断軸にしましょう。

たとえば、食品メーカーが「今日は〇〇の日」というトレンドに合わせて自社商品を紹介するのは自然なつながりと言えますが、全く関係のない社会的な出来事に強引に絡めた投稿は、ブランドイメージを損なうリスクがあります。

トレンドはあくまで「追い風として使う」程度の意識で、無理に乗らないことが少人数運用では特に大切です。

5-5.炎上リスク対策は事前に基本方針を決めておこう

SNSを活用した広報において、炎上リスクは企業広報をする上で、必ず備えるべき項目です。
特に少人数で運用している場合、万一炎上が起きたときに迅速に対応できる体制を事前に整えておくことが重要です。
炎上した際の対応として、最低限次の3つの方針は決めておくといいでしょう。

<炎上した際の対応方針>
1.削除基準
どのような投稿・コメントを削除するのか、基準をあらかじめ決めておくことで、いざというときに迷わず動けます。
「誹謗中傷を含むもの」「誤った情報を含むもの」など、具体的な基準を設けておきましょう。

2.最終判断者
炎上時に「誰が最終判断をするか」が曖昧だと、対応が後手に回ってしまいます。
広報担当者だけで判断するのか、上長や法務の確認が必要なのかを事前に決めておくことが大切です。

3.問い合わせ窓口
炎上時には、SNS上だけでなく電話やメールでの問い合わせが増えることもあります。
対応窓口をあらかじめ決めておき、プロフィールやウェブサイトに明示しておくと、誠実な対応姿勢がユーザーにも伝わります。

また、炎上対策と同様に意識しておきたいのが、ユーザーの投稿への反応スピードです。
コメントや問い合わせへの返信が遅れると、「無視された」という印象を与えてしまうことも。
SNS運用は投稿するだけでなく、反応への対応も含めた作業工数が発生することを念頭に置いた上で、迅速に対応するための運用体制を整えましょう。

また、事前に「中の人がお休みの土日と夜間は返信できません」と明記しておくのも有効でしょう。

6.Xの広報運用で使えるおすすめツール

少人数で広報を担当していると、投稿のネタ出しから文章作成、分析まで一人でこなさなければならない場面も少なくありません。
そんなときは、うまく便利なツールを活用することで、作業の効率を上げながら投稿の質も維持することができます。
最後に、X広報の運用をサポートするおすすめのツールを、コンテンツ作成や投稿管理・分析などの用途別にご紹介します。

6-1.コンテンツ制作

Xで発信する文章や内容を考える上で活用したいのが、Xの公式が提供しているGrokや、生成AIです。
うまく使いこなすことでトレンドや時勢にあったコンテンツを作ったり、投稿時の言葉遣いや校正などをする時間を節約できます。

6-1-1.Grok

Grokは、XのリアルタイムデータをAIが取り込んで返答してくれる点が最大の特徴です。
たとえば「今話題のニュースを教えて」や「X上で注目されている〜〜について教えて」などの質問に、最新のトレンドを踏まえた返答が返ってくるのが他の生成AIとの大きな違いです。

広報で活用する際にはトレンドリサーチや自社の評判チェック、投稿文の作成サポートなどで使ってみましょう。
なかでも、トレンドリサーチではプレスリリースを作成する際にとても役に立ちます。
たとえば、生活者の視点からどの点をどのように表現すると注目されやすいか、をGrokに聞いてみるのもおすすめの使いかたです。
さらに、作った投稿テキストをGrokにチェックしてもらったりするプロセスを入れることで、配信後の拡散促進にもつなげられます。

6-1-2.Chat GPTやGeminiなどの生成AI

投稿文の下書きや校正、アイデア出しのサポートとして活用できます。
たとえば「新商品のリリースをXで告知する文章を3パターン作って」といった指示を出せば、ベースとなる文章をすぐに生成してくれます。

ただし、生成AIが作った文章はどこか無機質になりがちです。
企業のアカウントの人格設計に合ったトーンに整えるなど、最終的には人の目で調整することを忘れずに。
あくまでも補助ツールとして活用しましょう。

6-2.投稿管理や分析

SNS広報において欠かせないのが、ただ投稿するだけでなく投稿した内容や反応を確認し、より良い運用に繋げていくことです。
また、少人数広報の場合、SNSの投稿時間を反応率の良い時間にしようと思うと業務時間外の投稿になってしまうことも。
こうした場合、予約投稿などのツールを使うととても便利です。
ここからは、投稿管理や分析で役立つツールをご紹介しましょう。

6-2-1.X Media Studio

X公式の管理ツールで、投稿・配信・分析・素材管理を1つのダッシュボードで完結できます。
また、投稿する動画・画像・GIFなどのメディア素材を一元的に管理でき、1社で採用と一般ユーザー向けのアカウントを使い分けているような複数のXアカウントを運用している際にもチームで素材共有が可能に。
チームでの運用をスムーズにする上でもとても便利です。

・おすすめの機能
「予約投稿」
日時を指定して投稿を自動公開できるため、イベント当日など慌ただしい時期でもスムーズに情報発信ができます。

「メディアライブラリ」
過去にアップロードした動画・画像・GIFを一箇所にまとめて管理でき、サムネイルの設定や字幕の追加、コールトゥアクションの設置なども可能です。

「インサイト機能」
視聴者がXを最も利用している時間帯などをヒートマップで可視化でき、投稿の最適タイミングを把握して予約投稿のスケジュール設計に活かせます。

なお、Media StudioへのアクセスはXのサブスクリプションユーザーのみとなっていますので、利用の際はプランを確認しておきましょう。

【インフォメーション】
X Media Studio
公式サイト:https://help.x.com/ja/using-x/media-studio
利用料金:月額3ドル〜(XのサブスクリプションプランとなるXプレミアムの料金)

6-2-2.Statusbrew

予約投稿だけでなく、複数のSNSへの同時配信もできるツールです。
また、XだけでなくInstagramやFacebookなども一元管理できるため、複数のSNSを並行して運用している企業に向いています。
投稿内容の分析機能も備わっているので、効果測定にも活用できます。

【インフォメーション】
Statusbrew
公式サイト:https://statusbrew.co.jp/
利用料金:月額6,400円〜

6-2-3.SocialDog

予約投稿に加えて、ハッシュタグ検索や分析まで幅広い機能が使える国内ツールです。
有料ですが国内での利用実績が多く、日本語サポートが充実している点は少人数運用の現場では安心と言えるでしょう。

【インフォメーション】
SocialDog
公式サイト:https://statusbrew.co.jp/
利用料金:月額1,480円〜

6-2-4.SINIS for X

無料から始められるX特化の分析ツールです。
まずは無料版でインプレッション数やエンゲージメント率などの基本指標を確認してみて、「もっと詳しく分析したい」と感じた段階で有料版への移行を検討するのがおすすめです。
また、こちらのツールでも予約投稿が可能。
加えて、Xの運用で頭を悩ませる方が多い炎上リスクに備えて「炎上アラート機能」があるのも嬉しいポイントです。

【インフォメーション】
SINIS for X
公式サイト:https://sinis-x.tetemarche.co.jp/
利用料金:無料〜

明日から早速Xで広報活動を加速させてみよう!

Xを使ったSNS広報は、人員や予算が少ない中小企業の広報担当者でも、気軽に使い始められるのが魅力の一つ。
たとえフォロワーが少なくても、大企業でなくても、発信の内容と継続性次第で十分に戦えるのがXです。
完璧な投稿を目指す必要はありません。
まずは、無理のない頻度で発信を続けることから始めてみましょう。
きっとその積み重ねが、メディアの目に留まったり、採用候補者の共感を生んだり、顧客との信頼関係につながっていくはずです。
少人数だからこそ、小回りの利く発信ができるのも中小企業の強みです。
ぜひ自社らしいXの使い方を見つけてみてくださいね!

Lock Icon

この記事は会員限定です

会員登録すると続きをお読みいただけます。

働く親のリアル・トークVol.2(前編)



働く親のリアル・トークVol.2(前編)
ー完璧主義を手放す勇気ー


仕事も育児も全力でがんばりたい。
でも、すべてを完璧にこなそうとすると、息が詰まってしまう ——。
今回のBTHacks座談会は、そんな“がんばりすぎる自分”と戦ってきた、働く親たちのリアルな声をお届けします。
第2回のテーマは――「完璧主義を手放す勇気」。
日々の仕事、家庭、そして自分自身と向き合う中で、
どのように「ほどよい諦め」や「ゆるめる勇気」を持てるようになったのか。
にこちゃん編集長と、3人のゲストが本音で語り合いました。