海外出張先には、日本にはないユニークな交通手段があります。特に東南アジア圏にはフットワークが軽快な乗り物があり、タクシーよりも気軽に利用できます。ですが現地特有の習慣もあるので、乗車する前に把握しておいた方がよい注意点もあります。そこで、アジア圏のユニークな交通手段の特徴や注意点をご紹介します。
細い路地もおまかせ! インドネシアで便利な「バジャイ」と「ベチャ」
インドネシアの交通手段にはタクシーやバスがありますが、それら以上に小回りが利く三輪自動車の「バジャイ」と自転車を利用した「べチャ」もお馴染みです。重宝する利用方法をご紹介します。
インドから入ってきたバジャイ
バジャイはインドネシアのオート三輪タクシーです。元々はインドでライセンス生産していたイタリアの「PIAGGIO社」の三輪自動車が、インドネシアにも流入して定着した経緯があります。近距離移動には便利な交通手段です。
エイピースターコンサルティング「アジアおもしろクルマ事情 インドネシア編 第5回 バジャイ、アンコット、ベチャ モビリティの民主主義の担い手(シンガポール情報誌 アジアX4月号投稿)」
livedoorNEWS「ジャカルタにはバジャイ(BAJAJ)という三輪車が走っています【インドネシア自動車事情】」
雨の日や近距離の移動に便利
当初は庶民の足として普及しましたが、現在ではほとんどが観光用の交通手段として利用されているようです。
車内はとても狭く窮屈ですが、車体がコンパクトなぶんだけ狭い路地もスムーズに走行できるので、目的地に早く着けると評判です。
窮屈な点ではタクシーのような快適さはあまり期待できず、荷物が多いときは不便かもしれません。ですが雨の日にはタクシーの利用者も増えるので、捕まえるのが比較的大変なこともあります。そうした場合や近距離移動の場合であれば、バジャイは便利に利用できます。
なお、悪質なドライバーだと法外な料金を要求するボッタクリもあるようなので、利用する際には事前にしっかり交渉するようにしましょう。
ベチャと呼ばれる自転車タクシーも
インドネシアにはバジャイのほかにも、ベチャと呼ばれる自転車タクシーがあります。自転車の先方に二輪で組んだ幌付き台座を設置した乗り物で、雨の日には雨除けのビニールが付きます。ただし人力で走行するので、バジャイやタクシーのように何kmも走れません。1~2kmの近距離移動であれば利用しやすいです。
ベチャも料金は交渉によって決まります。概ね1km以内で15,000~20,000ルピア(約116~155円※2018年11月現在)が相場のようです。
ベチャも乗る前に、行き先を伝え値段交渉をするようにしましょう。英語が通じないことが多いので、簡単なインドネシア語で会話ができると円滑です。
じゃかナビ「インドネシアの自転車タクシー ベチャの乗り方」
荷物だけ運ぶこともできるタイの三輪自動車「トゥクトゥク」
「トゥクトゥク」は三輪自動車で、バンコクのシンボル的存在の乗り物です。トゥクトゥクと響く特徴的なエンジン音から、乗り物にもそう名付けられたそうです。現在でも人気が高く、バンコクなどの主要交通手段の一つとなっています。
ここでは、メリットや注意点をご紹介します。
近距離や荷物だけを運ぶのもOK
バンコクなどでの主要スポットで利用できます。タクシーもありますが、近距離移動の場合は乗車を拒否するタクシードライバーもいます。タクシーがなかなか捕まらず行き先が近い場所であれば、トゥクトゥクに乗ったほうが手軽です。
ショッピングをし過ぎて荷物が多くなり、買い物をした場所からホテルまで徒歩では帰れなくなったときなどにも便利です。
荷物と一緒にトゥクトゥクに乗ることもできますが、デパートのタクシーサービスでトランクに入りきらなかった荷物だけを、トゥクトゥクで運ぶこともできます。
トゥクトゥクは、観光地やホテル、デパート付近では特によく見られます。便利に利用できるので、あらかじめ乗車方法を知っておくといいでしょう。
利用する際の7つの注意点
トゥクトゥクに乗車するときの注意点をご紹介します。
2.目的地は「休み」と案内されることがあるので、騙されないように自分で調べておく。
3.思わぬ盗難があるので貴重品はしっかり保管する。
4.金額をごまかされて過剰請求されないように、乗車前に料金交渉はしっかり行う。
5.危険なトラブルも想定されるので、できるだけ女性一人での乗車は控える。
6.外が暗くなってからの乗車は、周辺が分かりづらくなり道に迷う恐れもあるので、男女とも一人での利用は控える。
7.乗降の際は事故防止のため後方から走って来る車やバイクに気を付ける。
トゥクトゥクはとても便利な乗り物ですが、中には強引で悪質なドライバーもいるので要注意です。できるだけ1人では乗らないようにしてください。事前の交渉をした結果、料金や対応が希望とは異なるので利用を断りたいときは、明確に「ノー」と言いましょう。
バンコクナビ「トゥクトゥクに乗ってみよう!」
天気や道を選ばない! フィリピンのバイクタクシー「トライシクル」
「トライシクル」は、バイクの片輪に人用の荷台としてサイドカーを付けた三輪車です。近距離移動に最適で、暑くて体力を消耗しそうなときや急な雨のとき、また、歩行者用の路面整備が行き届いていない道路などでとても使い勝手が良いので、フィリピンではお馴染みの交通手段です。
それでは、乗り方や、注意点をご紹介しましょう。
運行エリアと運賃は要確認
トライシクルは運行エリアが決まっており、行き先が車体のフロントに書かれているので、まずはそこをチェックしてください。走っている場合は、日本のタクシーと同様に片手を上げれば来てくれますし、ドライバーには声をかければ対応してくれます。
次にドライバーに降車場所を伝えます。
注意すべきことは、乗る前に必ず運賃を確認するということです。タクシーと違いメーターがないので、事前の運賃確認は支払いトラブル防止のためにも大切です。
フィリピンの雨季(6~11月)は毎日のように大量の雨が降ります。トライシクルには雨除けカバーが付いているので、スコールのような激しい雨にも濡れる心配がありません。そのため、大量の激しい雨が降っているときにはトライシクルが便利です。
フィリピンプライマー「フィリピンでのトライシクルの乗り方」
運転が荒っぽいときはすぐ下車を
トライシクルの乗り方は、日本のタクシーのように手軽です。1人で乗るときでも最大積載人員の3、4人分を払わないといけませんが、およそ20ペソ(約40円)で乗れます。
ただ、中には荒っぽい運転のドライバーもいます。トライシクル側が保険に入っていない場合もあるので、危険な運転を感じたときは勇気を出して「降ろしてください」と言うことをおすすめします。
注意点を押さえて便利に活用
アジア圏のユニークな交通手段の特徴や注意点をご紹介しました。どの交通手段も近くへのショッピングや近距離移動に丁度良く、暑い日や雨の時にも役立つので、海外出張では便利な乗り物といえるでしょう。しかしドライバーによっては、ボッタクリや目的地とは違う場所へ行こうとするケースもあるようなので、乗車する前にしっかり交渉することがトラブル防止になります。英語が通じないこともあるようなので、出張の際には簡単な現地語の会話を覚えておくといいでしょう。