ビジネス基礎知識

2022.11.17

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SDGs実現に向けたホテルのアメニティに関する取り組み具体例9選

2030年までに世界が取り組むべき問題として掲げられているSDGs(持続可能な開発目標)。ビジネスの世界でもSDGs達成に向けた取り組みが求められるシーンが増えているのではないでしょうか。
SDGs達成に向けた活動は、皆さんが出張やビジネスで利用されるホテルでも行われています。既に、出張先の宿泊ホテルで提供されるアメニティに変化を感じている方も多いかもしれません。今回は、SDGs実現を目指して、アメニティに工夫やユニークなアイディアを取り入れたホテルをピックアップしました。滞在するだけで環境に配慮できたり、社会貢献に繋がったり。自社でのSDGs活動や普段のビジネスに活用できるヒントが見つかるかもしれません。ぜひ参考にしてみてくださいね。

1.プラスチック製アメニティグッズの取り扱いを変更したホテル3つ


2022月4月に施行された「プラスチック資源循環法」を受け、各ホテルではプラスチック製アメニティの歯ブラシ、ヘアブラシ、カミソリなどを中心に使用量の削減や代替素材への転換が行われています。使い捨て製アメニティをやめて普段使い慣れたアイテムを持参する、サステナブルな旅を利用客に提案するホテルも増えているようです。
宿泊するビジネスパーソンにとっては、こうした取り組みをするホテルを選ぶことでプラスチックゴミ量を減少し、地球温暖化防止や生物多様性保全など環境保護の一助にもなります。具体的な事例を見ていきましょう。

1-1.竹製アメニティを使う「東京エディション虎ノ門」


画像出典:楽天トラベル公式HPより

『東京エディション虎ノ門』のホテル客室は自然素材が随所に使われた木の温もりを感じるやさしい雰囲気。アメニティのヘアブラシやコーム、歯ブラシなどは、全てが竹製。しっかりとした作りなので、自宅へ持ち帰って何度でも使えそうです。プラスチックフリーのこだわりは、客室カードキーにも。竹材で作られたオリジナルデザインで見た目がスマート。尚且つ、触れると心がホッと温まるナチュラルな質感も魅力です。 心地よい木の温もりは、明日からの活力になりそうですね。
バスアメニティには動物実験を行わずに商品開発をするクルエルティフリーのフレグランスブランド『LE LABO(ルラボ)』による植物由来のアイテムが採用されています。ボトルタイプなので、小分け容器と比較すると、ゴミの量が抑えられるのもGOOD。
飲料水のパッケージは天然資源の紙パックで、ペットボトル廃棄量の削減にも貢献します。

『東京エディション虎ノ門』
住所:東京都港区虎ノ門4丁目1-1
アクセス:東京メトロ 銀座線 虎ノ門駅 2番出口から徒歩8分、東京メトロ 南北線 六本木一丁目駅 泉ガーデン出口から徒歩8分
TEL:03-5422-1600
公式サイト:https://www.marriott.co.jp/hotels/travel/tyoet-the-tokyo-edition-toranomon/

1-2.アメニティを通じてラグジュアリーな価値を創造「メズム東京」

画像出典:メズム東京公式HPより

アメニティのシャンプーやコンディショナー、ハンドソープは、メンズスキンケアブランド『BULKHOMME(バルクオム)』が、『メズム東京』のために手掛けたというオリジナル。個包装から詰め替え用ボトルに切り替えて、プラスチックゴミ量の削減に貢献します。香りは性別を問わず受け入れられるジェンダーレスブレンドであるという点も、SDGsを意識した今の時代らしいアイディアです。
客室は、使い捨てスリッパのほかに、雪駄を用意。。冷蔵庫のドリンクは、サステナブルパッケージの一つとして再注目されているリターナブル瓶で提供されるなど、あらゆるシーンでゴミ削減につながる工夫を取り入れています。
さらに、吸水速乾性の高いバスタオルや、薄くて軽いニット素材のバスローブ兼パジャマの活用で、クリーニングで使われる水やエネルギー消費量の削減に貢献。新聞や雑誌、ホテルインフォメーション、客室内の空調や照明コントローラーまで、1台のタブレットに機能を集約し、可能な限りペーパーレス化の実現を図っています。
上質な時間を提供するというベースのもと、SDGs実現に向け細部にこだわったさまざまな仕掛けは、クリエイターやスタートアップで働く人たちの感性も刺激してくれそうです。

『メムズ東京』
住所:東京都港区海岸1丁目10-30
アクセス:JR山手線・京浜東北線、モノレール「浜松町」駅 北口より徒歩6分
TEL:03-5777-1111
公式サイト:https://www.mesm.jp/collaboration/bulk_homme.html

1-3.1本の歯ブラシが学ぶ機会の実現に「SORANO HOTEL」

画像出典:SORANO HOTEL公式HPより

アメニティとして備えていた歯ブラシの提供を取り止めた『SORANO HOTEL』。ホテル宿泊時に普段使い慣れた歯ブラシを持参すれば、使い捨てゴミ削減の貢献に繋がります。
歯ブラシを忘れた際には、南米の教育格差をなくす活動を推進する『KMLAB JAPAN』の竹製歯ブラシJust Smileが購入できます。こちらは、1本の購入につき、鉛筆1本が南米の子どもたちに寄付されるという仕組み。何気ない行動によって、子どもたちが平等に教育を受けられる機会をサポートできるのです。
歯ブラシのハンドル部分はオーガニック孟宗竹、ブラシ部分には、BPAを含まない植物性由来繊維素材が使用されており、環境にも体にもやさしいアメニティグッズといえますね。
アメニティに歯ブラシを常備しない代わりに、用意するアイテムには、とことんこだわるのも、このホテルの特徴です。バスアメニティには、環境にやさしいオーガニックで高品質なヘアー・ボディシャンプー、コンディショナーがボトルタイプで用意されており、満足度の高い癒し時間が過ごせます。

『SORANO HOTEL』
住所:東京都立川市緑町3丁目1-W1
アクセス:JR立川駅北口から徒歩8分、多摩モノレール立川北駅から徒歩5分
TEL:042-540-7777
公式サイト:https://soranohotel.com/

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2.アメニティバイキングを導入するホテル3つ


ホテルでSDGs実現に向けて取り入れられているものの一つが、アメニティバイキング。プラスチック資源循環法の施行以降、導入するホテルが増えています。
アメニティバイキングとは、これまでホテル客室に用意されていた歯ブラシやヘアブラシ、バスタオルといったアメニティを、必要なものを必要な数だけ取ればいいスタイル。無駄がなくなり、環境保全やごみ削減に繋がります。
インスタントドリンクや入浴剤、ケアコスメなどは、数種類の中から選べるようなものもあり、「セレクトする」という新たな楽しみも生まれそう。必要な分だけ、好きな種類を気軽に手に取れて、尚且つ、特に意識することなくエコな取り組みに参加できるのがうれしいですね。

2-1.バイオマスアメニティなども充実「オリエンタルホテル 沖縄リゾート&スパ」

画像出典:オリエンタルホテル 沖縄リゾート&スパ公式HP

ホテルロビーに、セルフ方式のアメニティベース「Arin Krin(アリン クリン)」を設置し、ゴミ廃棄量の削減に取り組む『オリエンタルホテル 沖縄リゾート&スパ』。プラスチックアメニティの代表格ともいえる使い捨て歯ブラシ、ヘアブラシ、カミソリといったアイテムは、廃棄米などを配合したバイオマスアメニティに切り替えています。
沖縄を代表するハーブ「月桃」と沖縄だけで採取される海泥「クレイ(クチャ)」で作られた石鹸などは、必要な分だけ小袋に入れて客室に持ち帰れます。必要な量だけ、無駄なく使えるのは良いアイディアですね。

画像出典:オリエンタルホテル 沖縄リゾート&スパ公式HP

アメニティには、5種のヘアオイルや4種の入浴剤など、約40種の多彩なラインナップ。好みの香りを必要な分だけ選べるから、出張や旅の移動で疲れた身体も喜びそうです。

画像出典:オリエンタルホテル 沖縄リゾート&スパ公式HP

同ホテルでは、マドラーには木製マドラー、ストローも紙製ストローを採用し、プラスチック使用量の削減を効果的に実施。サンゴ礁保護活動の一環として収益の一部を寄付する缶のミネラルウォーター『WATER FROM OKINAWA』を客室に用意するなど、環境に配慮した取り組みも積極的です。
SDGsへの取り組みを目の当たりにしながら、沖縄の海と空を眺めれば、これからも美しい自然を守らなければ!と改めて考える良い機会になりますね。

『オリエンタルホテル 沖縄リゾート&スパ 』
住所:沖縄県名護市喜瀬1490-1
アクセス:那覇空港より沖縄自動車道利用で約70分
TEL:0980-51-1000
公式サイト:https://www.okinawa.oriental-hotels.com/?gclid=Cj0KCQjwmdGYBhDRARIsABmSEePV-dQp8V7RAmKm8KF30x2SL4W1Rav3hK0UWk7hMpLwhBKNLG9TXXsaAk87EALw_wcB

2-2.タンブラー購入でコーヒー無料サービス「sequence MIYASHITA PARK」


画像出典:equence MIYASHITA PARK公式HP

公園一体型ライフスタイルホテルの『sequence MIYASHITA PARK(シークエンス・ミヤシタパーク』。ショッピングやグルメなどあらゆる機能を備えた複合商業施設『MIYASHITA PARK』に直結しています。
アメニティは必要な分だけをピックアップできるボックスをチェックインカウンターに設置。室内のゴミ袋なども含め、再利用素材や脱プラスチック備品を積極的に採用しています。
4Fエントランスフロアにはおしゃれなカフェ『VALLEY PARK STAND(ヴァリー・パーク・スタンド)』があり、オリジナルグッズも展開中。タンブラー(1,200円、宿泊客は660円)を購入すると、宿泊客は宿泊中何杯でも無料でコーヒーまたは紅茶が楽しめます。タンブラーを持ち帰り、旅の思い出としてだけでなくマイボトルとして使えば、普段からごみ削減に繋がりますね。
テントの端材を再利用したトートバッグ(3,520円)はお土産にもおすすめです。カフェの椅子は、旧宮下公園に生えていた木をアップサイクルするなど、環境に配慮したデザインも要チェック。ホテルのおいしいコーヒーを味わいながらホッと一息、資源リサイクルについて考えるきっかけにもなりそうです。

『sequence MIYASHITA PARK』
住所:東京都渋谷区神宮前6丁目20−10 MIYASHITA PARK North
アクセス:東京メトロ「渋谷」駅B1出口から徒歩3分、JR「渋谷」駅ハチ公口から徒歩7分
TEL:03-5468-6131
公式サイト:https://www.sequencehotels.com/miyashita-park/

『VALLEY PARK STAND』
営業時間:8:00-22:00 (L/O 21:00)
公式サイト:https://www.sequencehotels.com/miyashita-park/restaurant/cafe/

2-3. 30種以上のおもてなしアメニティ「ホテルシルク・トゥリー名古屋」


画像出典:ホテルシルク・トゥリー名古屋公式HP

名古屋で宿泊先を探すならチェックしたいのが『ホテル シルク・トゥリー名古屋』。ホテルフロント前の特設コーナーには、おしゃれなアメニティバイキングのブースが設けられています。ホテルに入った瞬間にテンションが上がります。
アメニティは常時30種以上揃っているので、選ぶ楽しみも味わえますよ。シャンプー&コンディショナーはミニ容器に入れて部屋に持ち帰れます。数種類の香りがセットされていて、好みの香りや洗いあがりに合わせて選べるのも高ポイント。

画像出典:ホテルシルク・トゥリー名古屋公式HP

髭剃り用フォームやクレンジング、化粧は小分けで用意されています。歯ブラシは、ふつうの硬さとやわらかめ、お茶は緑茶とほうじ茶。さらに、コットン、綿棒、眼鏡クリーナー、マウスウォッシュまで。まさに、かゆい所に手が届くバラエティに富んだラインナップがうれしいですね。スナック菓子コーナーもあるので、小腹が空いたとき用に選んでおけば安心です。

画像出典:ホテルシルク・トゥリー名古屋公式HP

『ホテルシルク・トゥリー名古屋』
住所: 愛知県名古屋市中区錦2丁目20-5
アクセス:地下鉄東山線栄駅から徒歩約5分、地下鉄東山線伏見駅から徒歩約4分
TEL:052-222-1113
公式サイト:https://silk-tree.jp/

3.アメニティ以外でもユニークなアイディアでSDGに取り組むホテル3つ


SDGsに取り組むホテルには、アメニティ以外にもユニークなアイディアを取り入れて環境や地域に貢献するところも多くあります。新しい視点でSDGsと向き合う手がかりがあるかもしれません。ユニークな視点で人や地球、社会に配慮した取り組みに挑戦するホテルを見ていきましょう。

3-1.緑豊かな日本的自然景観も体感「The Okura Tokyo」


画像出典:楽天トラベル公式HP

『The Okura Tokyo』の広大な敷地のおよそ半分は庭園で、緑化の推進による地球温暖化や気候変動対策にも積極的です。省エネによるCO2削減やプラスチック製ビニール袋の廃止など、あらゆるアプローチから環境問題に取り組む姿勢は、さすが日本を代表する国際ホテル。


画像出典:楽天トラベル公式HP

ホテルのスキンケアアメニティには、ナチュラルコスメブランド『THREE(スリー)』が採用されています。天然由来成分や国産原料にこだわった上質なプロダクトだから自然と体に馴染んで、一日の仕事で少し荒れた心や肌にも潤いが蘇ってきそうです。製造開発に動物実験が行われていないクルエルティフリーのブランドなので、アニマルウェルフェア(動物福祉)や生態系の保護について真剣に考えるきっかけになりますね。

『The Okura Tokyo』
住所:東京都港区虎ノ門2丁目10-4
アクセス:東京メトロ日比谷線虎ノ門ヒルズ駅出口A1/出口A2から徒歩5分、東京メトロ銀座線虎ノ門駅出口3から徒歩10分
TEL:03-3582-0111
公式サイト:https://theokuratokyo.jp/

3-2.地域文化の継承にも貢献「ノーガホテル 上野 東京」


画像出典:ノーガホテル 上野 東京公式HP

バスアメニティはゴミを削減できるボトルタイプ、省エネ・二酸化炭素削減に効果的なファシリティなど、洗練された客室の中にもエシカルな工夫が目白押しの『ノーガホテル 上野 東京』。落ち着いた雰囲気を楽しみながら、自然と環境保全にも貢献できます。


画像出典:ノーガホテル 上野 東京公式HP

室内のあらゆる空間に、ホテルのある上野ゆかりのクリエイターによるアイテムが配置され、この地の文化や伝統を存分に体感できるのも魅力です。たとえば、『SyuRo(シュロ)』のアメニティボックスや洋服ブラシ、DD(Do not disturb)カード、さらに、『TOMOKO SAITO aromatique(トモコ サイトウ アロマティーク)』のオリジナルルームスプレーなど。 ホテルに滞在すれば、SDGs実現に向けたヒントだけでなく、クリエイティブな発想も沸き上がってきそうです。


画像出典:ノーガホテル 上野 東京公式HP

『ノーガホテル 上野 東京』
住所:東京都台東区東上野2丁目21−10
アクセス: 東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅から徒歩3分、JR上野駅から徒歩5分
TEL:03-5816-0213
公式サイト:https://nohgahotel.com/ueno/

3-3.アートで好奇心を刺激「パークホテル東京」


画像出典:楽天トラベル公式HP

SDGs実現に向けて、館内照明のLED化をはじめ積極的な取り組みを行う『パークホテル東京』。バスアメニティやハンドウォッシュは、タイ発ナチュラルスキンケアブランド『THANN(タン)』のプロダクトです。95%以上が植物・ミネラル由来成分で作られているので、人にも地球にもやさしいのがうれしいですね。
備え付けのミネラルウォーターのパッケージは、100%リサイクル可能な紙パックを使用。プラスチックごみを削減するだけでなく、1本につき1円が世界自然保護基金(WWF)に寄付されるので、世界の環境保全や野生動物保護の取り組みにも寄与できます。客室のトイレやシャワーヘッドなどの設備は節水タイプで、限られた水資源を大切に使えるよう配慮されているのもうれしいポイント。


画像出典:楽天トラベル公式HP

SDGsに関係するユニークな取り組みの一つに、アートを通じた新しい社会的価値を創造するのも同ホテルの特徴です。館内には400点以上のアート作品を展示。季節ごとに作品展などが開催され、ロビーや廊下、客室内など館内のさまざまな場所で気軽にアートに触れることができます。館内美術館を訪れた気分で、ゆったりと館内を巡れば感性が磨かれそうです。


画像出典:楽天トラベル公式HP

『パークホテル東京』
住所:東京都港区東新橋1丁目7-1 汐留メディアタワー(フロント25F)
アクセス:JR、東京メトロ・都営地下鉄新橋駅から徒歩約7分
TEL:03-6252-1111
公式サイト:https://parkhoteltokyo.com/ja/sdgs/

ホテルのアメニティ事例を参考にSDGsに取り組もう

ホテルアメニティには、SDGs実現に向けた企業の取り組みとともにビジネスに活かせるヒントが溢れています。出張でホテルを利用するなら、滞在を通して新たな発見に出会い、学びや刺激が得られるところを選んでみても良いですね。宿泊の際にはホテルが実践するSDGsに目を向けながら、サステナブルステイを体感すれば、よりよい旅になるはずです。ホテルが取り組むSDGsのアイディアをご自身の仕事でも取り入れながら、ぜひ、ビジネスチャンスに繋げてください。

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