海外渡航をする際に、避けては通れない悩みの一つ「時差ボケ」。
オーストラリアや東アジア周辺など、時差1~3時間程度の近隣諸国ならさほど問題ありません。
しかし、昼と夜が逆転してしまう欧米、南米、アフリカ方面となると話は別です。
最低限の対策を考えておかないと、ほぼ間違いなく体調に支障をきたすでしょう。
ましてや、それが出張であれば体調管理も仕事のうち。
時差ボケが原因で商談に失敗! という事態だけは避けねばなりません。
そのためには、出発までに腰を据えた対策が必要です!
そもそも時差ボケとは?
まずは、時差ボケとは具体的にどういう状態なのか、しっかりと把握しましょう。
人間の体内器官は、一定の生活習慣に基づいて、規則正しいサイクルで機能しています。
多少つらくても、朝は決まった時間に目が覚めて、一定時間ごとにおなかが空いて食事をとり、決まった時間に眠くなる。
これは、正しいリズムで体が動いている証です。
ところが、海外に行く場合には時差があります。
そのため、本来食事をすべき時間から大幅に食事がずれてしまったり、寝るべき時間に寝られないことにより、体のリズムが崩れます。
そして、単なる寝不足以上の疲労や体調不良を引き起こすのです。
これが時差ボケの大まかなメカニズムです。
疲れを残したまま出張先で仕事を重ねれば、そのダメージはさらに悪化します。
「せっかくの海外出張、仕事の後は余暇を楽しみたい!」そんな思惑も、たちまち吹っ飛んでしまうでしょう。
行き先ごとに異なる時差ボケの傾向
時差ボケの境目
時差ボケの症状が出やすくなる“ズレ”は、おおむね4?5時間あたりからだと言われています。
例えば、日本とインドの時差が3時間30分、パキスタンとの時差が4時間ですので、このあたりが時差ボケの境目。
これより時差のある国へ向かう場合には、注意が必要です。
「西回り」より「東回り」がつらい?
日本からヨーロッパ方面へ向かう「西回り」の移動よりも、アメリカ大陸へ飛ぶ「東回り」のほうが時差ボケの調整は難しいと言われています。
まず、「西回り」では、沈んでいく太陽を追いかけるので、時間が長くなります。
夜に現地に到着して、そのまま宿泊先で朝まで寝れば、体内時計の調整にある程度の時間が確保できます。
おおむね、短時間で体が順応できるでしょう。
一方、「東回り」では、太陽から離れていくので、時間が短くなります。
なお、フライト中に日付変更線をまたぐ場合、日付は1日戻りますが、ここでは時差ボケの影響ということで、時間のみで考えます。
例えば、東京を19時に出発して、ロサンゼルスへ向かう場合はどうでしょう?
東京からロサンゼルスまでのフライト時間は、およそ10時間20分。
そのため、ロサンゼルス到着は、日本時間の翌朝5時20分。
現地時刻は日本よりも7時間進んでいるので、12時20分(冬時間の場合)です。
仮に機内でぐっすり眠れたとしても、時間は日本からいきなり7時間も進んでいます。
体内時計も調整できないまま、いきなり朝5時から通常モードで仕事をこなさなければならない。
そう考えると、「東回り」に体が追いつくのが容易ではないことが想像できます。
いずれにせよ、体がきちんと対応する間もなく、急激な時差の中で日常生活を強いられます。
普段、日本で過ごしている状態とは明らかに異なる状況なのです。
出発前からの周到な準備を
とにかく、海外出張を命じられたその日から、やれることはなるべくやっておく。
それが時差ボケ対策の基本です。
まずは、出発するまでの間に、なるべく旅行先の時間に合わせた生活を心がけるようにしましょう。
例えば、ヨーロッパや中東へ行く「西回り」コースなら、寝る時間を少しずつ遅くする。
反対にアメリカやカナダなど「東回り」のコースなら、寝る時間を少しずつ早くするといった具合です。
出発までの細かい時間調整については、睡眠スケジュールを管理できるウェブサイトもあります。
こうしたツールを試してみるのも一考です。
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次に、出発までに余計な疲れを残さないことも大切。
仕事の合間の昼休みなども効果的に使い、なるべく昼寝をとるなど、こまめに休息を入れると良いでしょう。
さらに、海外出張であれば、目的地によって事情も変わりますが、到着時間も大切です。
もし可能であれば、現地時間の夕方から夜に到着する飛行機を選ぶことをおススメします。
そして、宿泊先で少しでも体内時計を調整する時間を確保できれば、翌日からの商談なども安心でしょう。
時差ボケ対策の食事法
食事のとり方にも、時差ボケを和らげる方法があります。
それは、米イリノイ州アルゴンヌ国立研究所の生物学者が提唱した「アルゴンヌ・ジェットラグ・ダイエット」と呼ばれるものです。
これは、段階的に食事内容や量を変えながら、体内時計に働きかける食事法です。
やり方はとてもシンプル。
まず、出張先での最初の朝食時間を決めます。
そして、その朝食の3日前から次の食事法に切り替えます。
・2日前:軽めの食事(フルーツやスープ、サラダや脂質の少ないパンなど)
・1日前:3日前と同じように食べる
・出発当日:軽めの食事
なお、この食事法では、コーヒーやお茶、チョコレートは体内時計を混乱させると考えられているので、極力摂取を避けます。
また、アルコール類は、眠気を促す一方で深い眠りを妨げる弊害も生じさせ、時差ボケを悪化させるとの指摘もあります。
現地に到着するまでは、アルコールも避けることが推奨されています。
行きの機内での過ごし方
さて、いよいよ出発当日。
搭乗手続きを済ませて機内に乗り込んだら、まず、忘れないうちに腕時計やスマートフォンの時刻表示を到着先の時間に合わせてしまいましょう。
座席で寝るにせよ、機内食を食べるにせよ、時計にチラチラ目線を移しているだけでも、じつは効果があります。
次第に現地時間を意識するようになり、その意識が体へと伝わります。
徐々に、体が現地モードに調整されるのです。
また、機内ではなるべく体を休めておくことが大事です。
なかなか寝付けない場合には、視界を暗くするアイマスクや眠気を誘うアロマ、旅行用枕などを活用すると良いでしょう。
何よりも、自然な眠りを促すことが大切です。
安易に睡眠導入剤などに頼ると、飛行機から降りて地上に立った際に、頭がボーっとしてしまうことが多いようです。
快眠をうたう旅行用枕は数多く出回っていますので、そのうちのいくつを紹介します。
海外出張には、かさばらない空気注入タイプがオススメです。
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到着直後の対処法
ついに現地に到着。
先に述べたとおり、目的地や到着時刻よって対策は違ってきます。
ここでは、状況別にいくつかの効果的な方法を紹介しましょう
昼間に到着した場合
宿泊先にチェックインした途端に昼寝! というのは、かえって逆効果。
これから現地の時間に体を順応させる必要があるのに、変な時間に睡眠をとることになります。
事前に準備した体内時計の調整も、これでは水の泡。
到着直後から商談という強行スケジュールでもない限り、まずは宿泊先の周辺を散策するなど、軽く体を動かすほうが良いでしょう。
適度な運動により眠気も解消され、体内時計も順応しやすくなるでしょう。
ちなみに、到着直後に限らず、海外出張の空き時間にはなるべく体を動かすことも大切です。
海外出張では、現場の近くに宿泊先を予約することも多く、なにかと運動不足になりがち。
慣れない海外を快適に乗り切るための必須事項といえます。
しかし、どうしても昼間に眠いという場合は、思い切って寝るのも手です。
ただし、タイマーをセットして2時間ほどの仮眠で済ませましょう。
夜間に到着した場合
あくまでも現地の時間に合わせて、長く寝すぎないよう心がけましょう。
時差ボケ対策のサプリメントとして、夜寝る前に体内時計のリセット効果があるメラトニンを摂取する事例が最近多く紹介されています。
しかし、このサプリメントは日本国内では入手しづらく、摂取量を誤ると副作用を起こすことも指摘されています。
使う際は十分に注意しましょう。
できれば、機内での睡眠時と同じように、アイマスクや快眠枕を活用しながら自然な入眠方法で対処したいものです。
到着の翌朝
ここで寝坊してしまっては、これまでの時差ボケ対策が台無しです。
たとえ時差があっても、普段の生活と同じ時間に起床し、しっかり準備を整えましょう。
体内時計にその日の始まりを言い聞かせるつもりで、朝食をしっかり食べて、仕事に備えましょう。
これまで我慢してきたコーヒーやお茶も、このタイミングで飲むことはオススメ。
眠気を抑え、時差ボケ対策にも効果的です。
まとめ
時差ボケ対策とはすなわち、海外滞在に出発する前からの健康管理術なのです。
気合いや裏ワザで乗り切れるものではありません。
もしあなたが、とりわけ海外出張の多い部署に配属されたのであれば、日頃から暴飲暴食をせず、早寝早起きを心がけましょう。
突然の出張命令にも柔軟に対応するたにも、普段から規則正しい生活を送ることが、時差ボケを最小限にとどめる一番の近道と言えるでしょう。