出張中や病院に行く時間がないときに役立つオンライン診療は、忙しいビジネスパーソンにとって頼れる存在。
今回は、オンライン診療をこれから利用してみたいという方向けに診療の流れやできること、注意点などをまとめました。
海外出張中にも使えるオンライン診療サービスもご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
1.オンライン診療を利用するときに知っておきたい基礎知識
ここ数年で急速に広がっているオンライン診療。
出張中に体調を崩したときなどに頼れるサービスとして、心強い存在になりつつあります。
普及が広がっている背景はインターネット環境の普及に加えて、
新型コロナ感染症の流行やこのあと解説する法制度の改正などのさまざまな事情があります。
まずはオンライン診療が広がり始めた理由や、どんな診療サービスが受けられるのかをご紹介します。
1-1.保険適用でオンライン診療ができるようになった経緯
オンライン診療が普及し始めるきっかけとなったのは、2018年の診療報酬改定です。
健康保険が適用されるオンライン診療は、以前は遠隔地診療などに限定されていましたが、
初診以外の患者に対して2018年から保険適用で実施できるようになりました。
さらに、私たちにとってオンライン診療が身近になったのが2020年の新型コロナ感染症の流行です。
病院に診察にきた患者から感染が拡大するリスクを最小限にするために
、厚労省は2020年4月10日付で「時限的・特例的な対応」として、初診でもオンラインや電話での診療を保険適用にしました。
診療報酬上のこの特例対応は「コロナ特例」とも呼ばれ、コロナが収束するまでとされていました。
しかし、コロナ収束後にもオンライン診療の広がりは続いています。
2022年には「オンライン診療の適切な実施に関する指針」改定を行い、
初診からオンラインでの保険適用診療が正式に認められるようになっています。
コロナ禍がきっかけに、出張中にも気軽にオンライン診療が利用できるようになったのは嬉しいところですよね。
出張中や仕事が忙しくて病院に行けない時などのお守りとして、オンライン診療サービスを使いこなせるようになっておきましょう!
1-2.出張中にも便利なオンライン診療のサービス内容
画像:筆者作成
オンライン診療は、スマホやタブレット、パソコンなどから医師による診察を受け、薬の処方を受けられるサービスです。
病院の予約や支払いもオンラインで済ませられるので、直接病院に行けなくても使えるのが魅力。
ただし、病院によっては「初診だけは対面診療で」と限定している病院もありますので、
希望する病院がある場合には、オンライン診療に対する方針を事前に聞いておくと安心です。
1-3.出張中にオンライン診療する場合の流れ
オンライン診療は、ネット上で受診予約をし、診察を受けるのが基本の流れです。
出張中にオンライン診療を利用するシーンを例に、実際にどんな流れで受診するのかを見てみましょう。
(1)予約
まずはオンライン診療を実施している病院の診察予約をします。
出張中でかかりつけの病院から離れていても、
かかりつけ病院がオンライン診療を受け付けていれば予約・診察が受けられます。
病院によってはHPや電話で受け付けているところもありますし、
オンラインで受診できる病院を探すなら、アプリやオンライン診療可能な病院の検索サイトを利用するのも良いでしょう。
また、保険診療を受ける場合には、予約時やアプリ登録時に健康保険証を写真をメールやアプリシステムにアップロードします。
(2)問診票の入力
オンライン等で問診票に事前に症状や気になること、既往歴などを入力します。
(3)診察
予約時間になったら、スマートフォンやタブレット、パソコンなどからオンライン診察を受けます。
アプリの場合はシステム上に「診察室」がありますので入室して診察を受けることとなります。
また病院によっては、zoomやスカイプ、電話などで対応しているクリニックもあります。
(4)処方
診察によって薬の処方が必要になった場合、医師から処方箋を書いてもらいます。
(5)薬の受け取り
処方された薬の受け取りは、薬局に直接取りに行くか配送の2つの選択肢があります。
どちらに対応しているかは、病院やオンライン診療サービスによってまちまち。
出張中なら、服薬指導もオンラインサービスを利用するのがおすすめ。
オンライン診療のポータルサイトなどでは、服薬指導もセットになって提供しているものがたくさんあります。
処方箋を所定の薬局に病院から送ってもらい、薬局に取りに行くのが一番スムーズでしょう。
女性に嬉しいオンライン診療にも注目!
出張は月経期間とかぶってしまうと「生理痛で辛いのに出張も……」とストレスに。
そのため、出張時にはピルなどで月経周期を調整している方も多いかもしれません。
生理痛対策としても活用する女性が多いピルの処方など、
女性ならではの悩みに寄り添ったオンライン診療サービスもありますので、
出張中に生理期間が被る場合や、生理痛が重い方などは相談してみるのもおすすめです。
尚、月経管理アプリを作っている「ルナルナ」では、オンライン診療専用アプリサービスも提供しています。
「ルナルナ オンライン診療」
公式HP:https://lp.telemedicine.lnln.jp/
2.海外出張中にも使える!オンライン診療対応可能な病院の探し方
海外出張や国内出張中に体調を崩してしまったとき、すぐに診察してもらえる病院をどう探せば良いのでしょうか?
特に海外出張中は現地の病院では言葉が思うように通じなかったりするケースもあります。
ぜひ出張中の体調管理の一環として、オンライン診療を受け付けている病院の探し方を知っておきましょう。
2-1.厚労省が発表しているオンライン診療対応病院リスト
オンライン診療を実施している病院は、厚生労働省が取りまとめている
「情報通信機器を用いた診療に係る施設基準を届け出た医療機関一覧」から確認できます。
病院やクリニックがオンライン診療を実施する場合、国が定めた「オンライン診療の施設基準」を満たす必要があり、
これらを満たしていると届け出た医療機関が一覧に記載されています。
※参考:厚生労働省「情報通信機器を用いた診療に係る施設基準を届け出た医療機関一覧」
ただし、この届け出は義務ではありませんので、
医療機関一覧に掲載されていないクリニックや病院でもオンライン診療を実施している可能性があります。
検索サイトなどで「地名+オンライン診療」で探してみると、
地域でオンライン診療を実施している医療機関を見つけられるので、使いやすい方を活用してみましょう。
2-2.出張中に便利なのオンライン診療アプリ5つ
オンライン診療に対応する病院の多くが、オンライン診療を提供するアプリなどのサービスを利用しています。
特定の病院にこだわらないのであれば、アプリを使って探す方が便利です。
特に出張中は、「初診にも対応可能」「夜間や休日・祝日も診てもらえる」など
条件を絞り込んで検索できた方が何かと使い勝手がいいものです。
ここでご紹介する診療アプリは全てダウンロードが無料。
オンライン診療を実施しなければ診察料や利用料の費用は発生しませんので、
あらかじめアプリをスマホにダウンロードし、出張時にもすぐに探せるように準備しておくと安心です。
次からは、出張中に使えるおすすめのオンライン診療アプリをご紹介します。
2-2-1.事前の問診などで受診がスムーズな「オンライン診療・服薬指導アプリCLINICS」(クリニクス)
画像出典:「オンライン診療・服薬指導アプリCLINICS」アプリサイト
オンライン診療だけでなく、服薬指導もオンラインで受けられるアプリです。
アプリ内でお薬手帳を管理したり、処方箋を薬局に送ったりできるので、薬の受け取りまでがスムーズ。
アカウントを登録する際に保険証情報を登録しておけば、いざというときにもすぐに使えます。
また、他のアプリでは診察料に加えて、別途アプリ側に利用料を払う必要がありますが、
「CLINICS」は無料なのも嬉しいポイントです。
2-2-2.都市部では薬のバイク便配達サービスもある「SOKUYAKU」(ソクヤク)
画像出典:「SOKUYAKU」アプリサイト
先ほどご紹介したアプリ「CLINICS」同様に、オンライン診療から服薬指導まで受けられる「SOKUYAKU」は、
東京や札幌・大阪・広島・福岡などの一部エリアで薬のバイク便配達サービスを実施しています。
出張中なら最寄りの薬局で受け取ることもできるので、心強い存在ですよ。
2-2-3.全国6,000以上の医療機関が登録している「オンライン診療クロン」
画像出典:「クロン」アプリサイト
全国6,000以上の医療機関が登録している「オンライン診療クロン」も
スマートフォンなどから直接予約〜服薬指導まで受けられるサービスです。
薬の受け取りだけ、という利用もでき、その場合は、処方箋をスマホで撮影してアプリからアップロード。
全国の薬局の中から希望の薬局に送信して、薬を受け取ります。
これなら出張先で「薬だけ受け取りたい」という場合にも、移動中に薬局に処方箋を送っておけるので時短になります。
2-2-4.欲しい薬ごとにドクターを検索できる「LINEドクター」
画像出典:「LINEドクター」公式サイト
LINEのビデオ通話システムを使ってオンライン診療を受けられるのが「LINEドクター」の特徴です。
LINEのアプリ上で使えるので、新たにアプリに登録する必要がありません。
また、他のオンライン診療アプリと違うのが欲しい薬ごとに、ドクターをマッチングしてくれるところ。
出張先でいつも使っている皮膚科の薬や頭痛薬、胃腸炎の薬を処方してもらいたいときに活用してみるといいでしょう。
2-2-5.出張中の地域の病院も見つけやすい「KAITOS」(カイトス)
画像出典:「KAITOS」アプリサイト
10万件以上の医療機関が登録されている「病院なび」と連携している「KAITOS」。
病院を検索して、すぐにそのままオンライン診療を申し込めます。
出張先で病院を探して、場合によっては対面での診療も検討しているという方は、
出張中の地域の病院を見つけやすいので便利です。
2-2.海外出張時にも使えるオンライン医療相談サービス
海外出張が多い人なら、ぜひチェックしておきたいのが海外からも利用できる「オンライン医療相談サービス」です。
日本の健康保険が適用され、保険診療として受けられる国内のオンライン診療サービスは、海外からの利用がサポート外となります。
また、仮に医療相談をするとしても、日本時間の日中しか受けられないクリニックが多かったりと使い勝手があまり良くありません。
加えて、海外から保険診療や治療・薬の処方や受け取りはできませんので、できることは限られてしまいます。
そこで活用してみたいのが、海外出張先で使えるオンライン医療相談サービスです。
時差のある海外からでも24時間つながり、日本人ドクターに直接相談できるサービスをご紹介しましょう。
2-2-1.海外出張のお守りに登録しておきたい「ヨクミル医療相談」
画像出典:「ヨクミル医療相談」公式サイト
時差のある海外からでも24時間365日利用できる「ヨクミル医療相談」は、
20以上の相談科から症状や悩みに合わせて医師に相談できる医療相談サービスです。
海外の病院の医療サービスに不安を感じていたり、
微妙な症状のニュアンスを日本語で伝えたかったりするときに便利です。
「現地で薬を購入するなら、どんな薬を買えばいいのか」「急を要さないけれど、体の不調について詳しい医師に相談したい」
というときに便利です。
医療相談の内容は、アプリ上に相談履歴として記録されるので、帰国後に病院を受診する際にも役立てられます。
1回あたりの医療相談に応じて料金が発生するので、海外出張のお守りとして登録しておくのもおすすめです。
2-2-2.英文の紹介状の作成も可能な「Medifellow」
画像出典:「Medifellow」公式HP
海外旅行時には1日単位で渡航前に加入できる海外オンライン医療相談サービス「Medifellow」。
出張期間に合わせて加入できる点や、海外滞在中にありがちな不安や悩みをカバーしてくれる便利なサービスです。
オンラインで申し込みをすれば24時間365日比較的すぐに日本人医師にオンラインで医療相談できます。
現地の病院を受診するべきかどうかを相談できるだけでなく、
現地の病院の受診が必要となった場合には英語での紹介状を作成してもらえます。
ちなみに、現地で手術や処置、薬の処方が必要になった場合には、
現地で治療を受けて保険を利用する場合には、海外旅行保険などを使うこととなる点は注意が必要です。
個人の海外在住者向けサービスは2023年12月時点で一時登録受付をストップしていますが、
法人加入であれば海外在住者向けサービスも提供しています。
2-2-3.匿名で医師に相談できる「アスクドクターズ」
画像出典:「アスクドクターズ」公式HP
海外出張先で体調を崩してしまったけれど、仕事ができないほどではないという場合、
「病院で診察してもらうまでかわからないけれど、
体調について医師に相談したい」と思う方も多いかもしれません。
そんなときに、匿名でオンライン上から直接医師に相談できるのが「アスクドクターズ」です。
夜間でも質問を送れて医師が回答してくれるので、
診察を受けるべきかどうかを判断したいというときも役立ちます。
海外出張者や海外在住者向けに特化したサービスではないので、
日本にいるときにも気軽に使ってみてはいかがでしょうか?
3.オンライン診療のメリットと出張中に利用する際の注意点
オンライン診療は、出張中に限らずいつでもどこでも利用できるのが魅力です。
最後にオンライン診療を利用するメリットと、実際にオンライン診療サービスを利用する際の注意点をまとめました。
3-1.出張中にオンライン診療を受けるメリット
オンライン診療を利用するメリットは、なんといっても出張中などで病院に行けないときにも診察が受けられる点です。
出張先でもかかりつけ医がオンライン診療をしてくれれば、自分の持病や既往歴などに応じたより正確な診察をしてもらえます。
また出張中に病院に行く時間や待ち時間がかからないのも忙しいビジネスパーソンにとっては助かるところです。
会計や薬の処方もオンラインで完結できますので、移動中の隙間時間に気軽に診察が受けられます。
海外出張先からとなると、薬の処方や受け取り、健康保険の適用となる診察は受けられませんが、
日本語のわかる医師に相談できる安心感が大きなメリットとなるでしょう。
3-2.オンライン診療利用時の注意点
オンライン診療はメリットも大きく、手軽に医師に相談できるのが魅力ですが、
利用時にはオンライン診療が万能ではないことも知っておく必要があります。
例えば、触診や聴診、CT・MRIによる画像診断などの詳しい検査は受けられません。
よって、オンライン診療では診察できない病気もあります。
また、病院によってはオンライン診療に対応していない場合もあるので、
かかりつけ医や希望する病院を受診できるかどうかは、病院次第。
あくまでも、簡易的な位置付けとして便利に活用してみるのがいいでしょう。
出張先となると通信環境が安定しているかどうかも気をつけたいところです。
オンライン診療中に通信が不安定で途切れてしまうことがないように、
通信機器や通信環境が整った場所で診療を受けるようにしましょう。
まとめ:出張中のお守りにオンライン診療を活用しよう
出張中の心強いお守りになるオンライン診療サービス。
万能ではないとはいえ心身の不調は早めの治療や対処が何よりも大切です。
国内であれば薬の処方や受け取りまでできる点は、とてもありがたいものがありますよね。
また、海外出張中もオンライン医療相談の存在を知っているだけで安心して仕事に打ち込めます。
ビジネスパーソンにとって、出張中や日々の仕事のなかで、
より良いパフォーマンスを出すためにもぜひ体調管理のサポートにオンライン診療を使ってみましょう。
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