中国出張のとき、体調不良に備えて薬を持って行くか迷う人もいるでしょう。中国でも薬を買えますが、まずは出張前に準備しておくことをおすすめします。この記事では、なぜ事前に準備をしておくことが望ましいのかを説明。また、薬を忘れてしまい、やむを得ず滞在先で薬を購入する場合の注意点も紹介します。
1.中国出張の前に薬を準備してほしい2つの理由
中国への海外出張の際には、荷物が増えても薬を多めに持って行くことをおすすめします。もちろん中国でも薬を購入できるのですが、主に次の2つの懸念点があるためです。
1-1.中国で薬を買うには中国語が必須
日本では、ドラッグストアで気軽に薬が購入できますが、中国のドラッグストアでは薬を扱っていない場合がほとんどです。薬を買う場合は、漢方薬店や昔ながらの薬屋で店員に症状を伝え、市販薬を出してもらいます。
ただし、そういった店では日本語はもちろん英語さえ通じない場合が多いのが実情です。中国語を話せない人がスムーズに薬を購入するのは難しいでしょう。
1-2.日本よりも成分が強く副作用が心配
中国の薬は一般的に日本よりも成分の含有量が多く、効き目は強いと言われています。その分、身体への負担が大きく副作用が気になります。
また、現地の人の中には、医薬品の安全面が十分に考慮されていないのではという疑念を抱く人もいると言われています。薬を頼らないわけではないですが、不信感から自国の薬に抵抗を感じる人もいるようです。
現地の人が体調不良時は日本の薬を飲むケースが増えています。
日本のドラッグストアで、中国人観光客が大量に薬や医療品を購入している光景を見たことがある人もいるでしょう。これは、大都市の病院に行くには心理的にも経済的にも負担があるだけでなく、「日本の市販薬は高品質で安心」と思われているためでもあります。
中国では日本の薬が人気で、「日本の神薬12選」とSNS上で日本の医療品が紹介され、拡散されるほどです。
日本の神薬12選
・サンテボーティエ(目薬/参天製薬)
・熱さまシート(小林製薬)
・アンメルツヨコヨコ(小林製薬)
・サロンパス(久光製薬)
・ハイチオールC(エスエス製薬)
・サカムケア(小林製薬)
・ニノキュア(小林製薬)
・ビューラックA(皇漢堂製薬)
・口内炎パッチ大正A(大正製薬)
・命の母A(小林製薬)
・龍角散(龍角散)
・イブクイック(エスエス製薬)
2.薬が手元にないけど薬が必要なときの対処法と注意点
体調不良で仕事に支障が出るくらいなら、薬を飲みたい人もいるでしょう。手元に薬がないときに、我慢できないほどの痛みやトイレから出られないほどの下痢に襲われることもあるかもしれません。そのようなときのために、薬を買う際の注意点を押さえておきましょう。
2-1.中国が話せなくても薬を入手する方法
若い世代では英語を話せる人が増えてきていますが、まだまだ中国語以外の言語が通じない人がほとんど。そこで、薬を購入する場合は中国語で症状を書いて店員に見せると良いでしょう。
症状の後に「药(薬)」を付けると何の薬が欲しいかわかります。もし、中国語が話せる人がいれば同伴してもらうのも良いですね。
・頭痛:头痛「頭痛」でも通じます
・お腹が痛い:肚子痛
・胃が痛い:胃痛
・下痢:下痢で通じます。または、我拉肚子了(下痢をしています)
・生理痛:生理痛で通じます
・風邪:感冒
・痛み止め薬:止痛药、疼痛药
・薬:药(薬でも通じます)
2-2中国でも買えるメジャーな薬4選
中国では、次に紹介するような日本でも一般的な薬が購入可能です。
・コンタック(中国語名:康泰克)
日本でもメジャーな風邪薬で「康泰克」は鼻炎薬、「新康泰克」が総合かぜ薬。飲み薬以外にも、風邪による鼻づまりや鼻炎のときに鼻に噴射するタイプ(中国名称:克盐酸赛洛唑啉鼻用喷雾剂)、や鼻に貼って通りをよくするもの(通气鼻贴)もあります。
解熱剤の含有量が日本の倍以上含まれているので効果は高いのですが、副作用が心配です。
http://tskf.com.cn/zh-cn/brandproduct/brandxktk/
・白加黑
中国のコンタックと成分が似ているものに総合かぜ薬「白加黑」があります。中国ではメジャーな薬です。白と黒の錠剤が入っており、朝・昼に白い錠剤、夜に黒い錠剤を飲みます。
・正露丸
日本でもおなじみの「正露丸」は、アジア各国、アメリカやカナダへも展開。もちろん中国でも買う事ができます。「正露丸」と「正露丸糖衣A」があり、どちらも日本で見慣れた「ラッパのマーク」が目印です。
http://www.seirogan.co.jp/products/seirogan/various/global.html
・サリドン(中国語名:散列通)
歯痛、生理痛、頭痛などの痛みに効果が期待できる痛み止め。こちらも日本で販売されているサリドンとは成分が異なり、解熱・鎮痛効果のある成分やカフェインは日本のサリドンより多く含まれています。
中国出張中の生理による体調不良が心配なときはこちらも参考にしてください。
海外で突然生理になっても大丈夫! アジアの生理用品と生理痛対策とは
日本でも馴染みがあり名前を知っていると安心感があるかもしれませんが、実は、出張先で販売されている薬を飲むときには注意が必要です。
理由は、日本では未承認の成分が含まれていたり、有効成分の配合量が多かったりと身体へ負担がかかる可能性があるため。また、日本では法律を遵守した薬による副作用が生じた場合「薬品副作用被害救済制度」に基づいて補償を受けられます。しかし、海外流通の薬による副作用の場合はこの補償を受けることができません。
参考:厚生労働省「医薬品等を海外から輸入しようとされる方へ」、全日本民医連「くすりの話 海外の薬事情」
2-3.中国の伝統! メジャーな漢方薬3選
中国では漢方が根付いており、西洋医学の病院でも漢方薬が処方されることもあります。漢方薬は中国ならではの薬と言えるでしょう。
中国では、先に挙げた薬を「西药」、漢方薬を「中药」と呼び分けています。漢方薬は、植物などから作られているため「西药」よりも安全性が高いように思われますが、管理がずさんなこともあり、必ずしも安全とは言い切れません。中国から輸入された漢方薬を使用し続けた結果、肝臓や腎臓に障害が見られたというケースもあります。
次の3つの漢方薬は症状が出たときに一時的に服用する薬です。そのため、長期に渡り飲み続けるものではないので健康被害が出るとは考えにくいでしょう。しかし、安全面で不安材料があるということは念頭に置いておいてください。
・黄連素(下痢止め)
モッコウの根、シャクヤクの根などを配合した漢方薬。「黄連素」と紙に書くよりも「塩酸小檗塩片」と書いた方が通じることが多いと言われています。「正露丸を飲んでも下痢が治らないけれど、こちらを飲んだら治った」という声も上がっている薬です。
・维C银翘片(総合かぜ薬)
咳、のどの痛み、頭痛、熱などの風邪の幅広い症状に効果が期待できます。漢方の有効成分に加え、解熱・鎮痛薬のアセトアミノフェンとビタミンCが配合されています。
・蛇胆川貝枇杷膏(咳止めシロップ)
中国(主に南方)や香港、台湾では家庭の常備薬となっています。喉を潤したいとき、喉が痛いときや咳が出るときに飲むと良いでしょう。甘くてトロッとしたシロップで飲みやすいと評判です。
≪番外編≫ツボを刺激する貼り薬
中国では漢方薬以外にもツボを刺激して症状を和らげる薬があります。
漢方や鍼灸などの東洋医学を「中医」と呼び、医薬品や医療現場などに取り入れられています。
・暈車貼(酔い止め)
飲み薬ではなく、身体に貼るタイプの薬。耳の後ろにこのパッチを貼ると、ツボを刺激して乗り物酔いを予防してくれます。メンソール配合で、スーッと清涼感があります。
・飲む回数:~天~次
(例)1日2回:1天2次
「天」は日にちを示す「日」、「次」は回数を示す「回」の意味
・飲む時間
朝:早上/昼:中午/夜:晩上
食前~分以内:饭前、~分钟以内
食後~分以内:饭后、~分钟以内
3.薬は飲みたくないときに代わりになるもの
薬に頼りたくない、又は、症状が薬を飲むほどではない場合は、漢方を取り入れた食品や中国人愛用のオイルがおすすめ。薬に比べると効果は弱まりますが、副作用の心配がありません。コンビニ、スーパーなどで手に入るので薬よりも手軽に購入できます。
・清涼油(バーム)
中国のほとんどの家にあると言われている「清涼油」。樟脳、ミント油、ユーカリ油が主な成分。風邪で頭が痛いときや眠くて頭がボーッとするときに、こめかみに塗るとスッキリします。酔い止め、虫刺され、かゆみ止めとしても効果が期待できて、まさに万能。
・風油精(オイル)
こちらもほとんどの家庭に常備されています。同じくメントール、樟脳、ユーカリオイル、オイゲノールが主成分で、「清涼油」と効果はほぼ同じ。
「清涼油」がバーム状であるのに対し「風油精」はオイル状です。水で薄めてルームスプレーとして使用する人もいるそう。
・念慈菴(のど飴)
「念慈菴」は香港ののど飴ですが、中国全土で最も人気のあるのど飴です。スーパーやコンビニ、ドラッグストア、空港でも買えるのでお土産としても人気。漢方の成分が含まれており、喉が痛いときにスーッとラクになります。
・亀苓膏(ゼリー)
「亀苓膏」は中国在住の日本人の間では「亀ゼリー」と呼ばれています。
亀の腹甲が入っているゼリーで、解毒作用、解熱効果が期待できます。コラーゲンが入っているため美容効果が高いとか。暑いときにこのゼリーを食べると身体の熱を逃がしてくれます。
4.体調不良時に最も良い方法
海外出張中は慣れない環境下にあり、十分に身体が休まらないことも。滞在先で体調不良になったときは、自分の判断で現地の薬を購入して飲むよりも、できる限り病院へ行くことをおすすめします。
病院では適切な薬を処方してくれるので、最も安全な状態で回復できるでしょう。海外保険会社と提携している病院であれば、受診料を保険でカバーできる上、英語や日本語での対応が可能です。日本語対応は病院によって異なります。事前に確認をしてから行くようにしましょう。
海外出張のときの病気や病院に関する記事はこちらもおすすめです。
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5.やっぱり予防が一番!
中国の医療事情は日本に比べて良いとは言えません。そのため、出張中はもちろんですが出張前から注意を払って、できるだけ体調を崩さないようにすることが大切です。
風邪をひかないよう身体を温める、胃腸に良いお茶を飲む、身体を冷やす飲み物は避ける、生理痛のときはお腹を温めるなど、現地の中国人が日常的に行っている事も取り入れてみてください。
有意義な中国出張のために、仕事の準備だけではなく体調管理も万全にしておきましょう!
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