海外出張中に仕事を終えてホテルの部屋に戻ったとき、肌に吹き出物やカサつきを見つけ「あーあ…」とため息をついたことはありませんか?
環境が変わる海外にいると、身体のリズムは変わりがち。体調不良のサインは、風邪や胃腸のトラブルだけにとどまらず、肌荒れやニキビとして出ることもあります。
この記事では、海外出張での肌荒れ対策についてご紹介。肌のコンディションをよりよく保つためのお手入れ方法や対策で、海外出張を快適に過ごしてくださいね!
1. 海外出張中に起こる肌荒れの原因
海外出張では、普段の生活と環境が変わります。そのため、いつもの肌のお手入れができなかったり、生活リズムが乱れたりということが起こりやすくなります。出張中、肌荒れで悩まずに済むよう、過ごし方やケア方法などに気をつけたいものです。
まずはこの章で、海外出張中に起こる肌荒れの原因3つをご紹介しましょう。
1-1. 紫外線
日光に含まれる紫外線は、皮膚の保護膜にダメージを与えることが広く知られています。紫外線を受けた肌はトラブルが起こりやすく、肌荒れやシミ・日焼けなどを経験した方もいることでしょう。
紫外線で肌の表面にある細胞が傷つき、肌のバリア機能が低下するため、少しの刺激で肌荒れが起こったり、乾燥やしわの原因になったりすることがあります。健やかな肌や美白のためにも、紫外線対策に気を配ってみてはいかがでしょうか。
特に赤道周辺の国々は、紫外線が強くなります。シンガポールやオーストラリアなどへ海外出張し、現地で肌の調子が悪くなる場合は、紫外線対策を見直すのも一つの手です。
*紫外線が強い国一例
地域 | 国 |
---|---|
アジア・オセアニア | オーストラリア、シンガポール、スリランカ、タイ、ベトナム |
アフリカ | ケニア、マダガスカル、モザンビーク、南アフリカ共和国 |
ヨーロッパ | スペイン、ギリシャ |
北米・南米 | アルゼンチン、ブラジル、キューバ、パナマ |
参考:
環境省 「紫外線環境保健マニュアル 2008」
WHO 「Radiation: The ultraviolet(UV) index」
ロート製薬 「こわいのはどっち!?紫外線A波(UVA)と紫外線B波(UVB)」
1-2.乾燥
海外出張では、飛行機の中や宿泊先の部屋など、空気が乾燥している場所で長時間過ごすことが多くなります。乾いた空気に長時間肌がさらされた結果、手荒れがひどくなったり頰がカサついて痛みを感じたりするのは、肌が乾燥しているサインかもしれません。
日本より湿度の低いヨーロッパや中近東などへ出張するときは、充分な対策が必要です。ホテルやオフィスなど、さらに湿度が下がる場所で長時間過ごすことになりそうなときは、保湿対策をしっかりしておきましょう。
*乾燥対策が必要な地域一例
地域 | 国 |
---|---|
アジア・オセアニア | インド(高原地域)、ラオス・タイ・ベトナム(内陸部)、ゴビ・タクラマカンなど砂漠地帯周辺、中国(華北・華南)、アラビア半島諸国、オーストラリア(北部・南部・内陸部)、カリブ海沿岸 |
アフリカ | サハラ砂漠周辺国、南アフリカ共和国南部 |
ヨーロッパ | スペイン・フランス南部・イタリア・ギリシャなど地中海沿岸周辺、ウクライナ |
北米・南米 | アメリカ(西部、カリフォルニア、グレートプレーンズ地域)、アルゼンチン(パンパ西部)、チリ中部 |
参考:
サワイ健康推進課「ただの肌荒れではありません 乾燥性皮膚炎」
meteoblue社 「Weather maps World」
第一学習社 「最新地理図表GEOサポートBOX 学習のまとめ ケッペンの気候区分」
1-3.疲労や体調不良
慣れない環境の中で仕事をするときは、疲労やストレスが溜まりやすくなります。また、食生活の急激な変化で胃腸が疲れると、便秘気味になったり下痢を繰り返したりすることがあります。
このような心身のマイナートラブルは、肌荒れにつながることが多いもの。場合によってはじんましんやアレルギーなどを引き起こすリスクもあります。
1-4. 硬水と軟水の違い
日本の水は、ミネラル分が少ない軟水です。一方、海外ではその逆で、硬水の地域が多くなっています。
硬水で身体を洗うと、ミネラル分と洗浄成分が結合しやすいことから、石けんやシャンプーの泡立ちが悪くなってしまいます。さらに石けんカスになって毛穴につまり、肌荒れを引き起こすと言われています。
海外出張中、宿泊先でシャワーを済ませてさっぱりしたのに、髪や肌がごわつく……というときは、水に原因があるのかもしれません。
*硬水の国・軟水の国リスト一例
地域 | 硬水 | 軟水 |
---|---|---|
アジア・オセアニア | インド、バングラデシュ、ベトナム、中国 | ネパール、ミャンマー、タイ |
中近東 | カタール、オマーン、UAE、サウジアラビア、トルコ | バーレーン |
アフリカ | モロッコ、エジプト、タンザニア | ガーナ、ナイジェリア、コートジボワール、エチオピア、ケニア |
ヨーロッパ | イギリス、フランス、ドイツ、スイス、スペイン、イタリア、ベルギー、ロシア、ルーマニア、ハンガリー、チェコ、ポーランド、ブルガリア | |
北米・南米 | カナダ、アメリカ、メキシコ | グアテマラ、パナマ、プエルトリコ |
参考:
サントリー 「水大事典 くらしと水」
Kilala Water 「そのまま水を飲める国は何%? 海外の飲料水事情とは」
日本ワーキングホリデー協会東京オフィス 「海外で気をつけたい、『硬水』『軟水』の違い」
一般財団法人 海外邦人医療基金「途上国の水事情」
2.海外出張時にできる現地での肌荒れ対策
海外出張中は慌ただしく過ごすことが多いもの。じっくりスキンケアをする時間をとるのはなかなか難しいですが、そんな場合でもできることはあります。
ここでは、現地でも手軽に実践できる対策をご紹介!肌荒れ予防としてはもちろん、肌荒れしてしまったときのケアとして試してみてはいかがでしょうか。
2-1. 顔と身体をやさしく洗う
ダブルクレンジングや長風呂など肌に負担がかかりやすい方法で、入浴や洗顔をしていませんか?
硬水を利用している場所に出張する場合は、水の影響で肌がカサついたり吹き出物が出やすくなったりすることがあります。そんなときはいつものスキンケアをいったん休み、なるべくこすらない、洗い過ぎないようにしてみましょう。肌の角質層に負担がかかりにくく、肌荒れが和らいできます。
2-2. 油分をしっかり補給する
海外出張中は忙しさと疲れから、面倒くささが先に立ち、肌のケアを怠ってしまうことも。
「シャワーが終わったら体をふいて、さっと化粧水をつけて終わり」という方や、「朝起きて、ひげ剃り後、歯を磨いて終わり」という方は、肌が乾燥し過ぎてトラブルを招きやすい状態になっているかもしません。
簡単でいいので、油分の補給は忘れずに!
疲れて何もしたくないときは、洗顔やシャワーの後にクリームや乳液をつけるだけでもOKです。クリームや乳液の油分が肌を守ってくれます。
2-3. なるべく軟水を飲む
海外出張で食生活が変わると、胃腸の調子に影響することがあります。
胃腸の不調は、肌に現れることが多いもの。「お通じが悪くなったとたん肌荒れに悩んだ……」ということもあるでしょう。
睡眠や食事に気をつけることはもちろん、飲み水にも注意しましょう。硬水は胃腸への負担が大きくなることがあるので、飲み水を買うときは成分表もチェック!
ラベルを見て、Ca(カルシウム)とMg(マグネシウム)の量が少ないものを選びましょう。WHOの基準によると、1リットルあたり60mg未満の水が軟水とされています。目安にしてみてはいかがでしょうか。
参考:
ドイツニュースダイジェスト 「日本との水の違い-ドイツの硬水」
Danon Japan 「evian ミネラル量と水の硬度、硬水と軟水の違い」
3. 現地で買える!肌荒れのレスキューアイテム6選
海外出張中、環境や生活の変化に気をつけているにも関わらず、ちょっとした刺激で肌荒れが起こることもあります。手持ちのアイテムだけでは物足りないときや、念入りにケアしたいときに、現地で手に入るものがあれば心強いもの!
ここでは、肌荒れしたときに現地で買えるオススメのアイテムを6つ紹介します。
※日本で見るものと同じ商品に見えても、日本で発売されているものと現地で手に入るものに成分や仕様の違いがある場合、使用感が異なることもあります。日本から持っていくときは気をつけましょう。
3-1. 紫外線と肌荒れを防いでくれる日焼け止め
画像出典:La Roche Posay
「ANTHELIOS XL SPF 50+ GEL CREMA TOCCO SECCO ANTI-LUCIDITA」
海外の日焼け止めは香りがキツく、ベタベタしたものが多い傾向にあります。なぜなら、肌が乾燥しすぎるのを防ぐため、保湿成分が多めでこってりとした使用感の日焼け止めに人気があるからです。
しかし、La Roche Posay社が出している日焼け止め「ANTHELIOS XL SPF 50+ GEL CREMA」は、保湿もさることながら無香料でべたつかない仕様で、サラッとした感触。敏感肌やアレルギーがある人でも使えるように処方された成分で作られています。
3-2. 硬水による肌荒れを予防する石けん
画像出典:Dove 「Dove Beauty Bar」
「日本から持ってきた石けんが、滞在先で泡立たず使い心地がよくない……」というときは、海外の硬水と相性が悪いのかもしれません。硬水に含まれるミネラル分が石けんの洗浄成分と結びつき、石けんカスになって肌表面に残ってしまうことがあるからです。
そんなときに、現地で気軽に購入できるのがDoveの石けんです。世界35カ国以上で展開されており、日本でも売られています。
普通の石けんはアルカリ性ですが、こちらは中性。マイルドな洗い心地で、肌の油分を取りすぎることがありません。
3-3. 乾燥から肌を守るクレンジング
画像出典:NIVEA ITALIA 「Acqua Micellare Extra-Delicata 3in1」
乾燥する季節や地域のみならず、飛行機の中や冷暖房の効いたオフィスなど、海外出張時は乾燥に直面することが多いもの。
そんなときダブル洗顔でスキンケアをするのは肌荒れの元です。できるだけ洗い流すステップを省き、肌の潤いを保つように心がけてみましょう。
NIVEAの『Acqua Micellare Extra-Delicata 3in1』は、クレンジングを兼ねた拭き取り化粧水で、敏感肌向けのラインです。無香料なので外国で買う化粧品にありがちな、香料のきつさがなく、使いやすいタイプです。
3-4. 肌の保湿力を保つための乳液
画像出典:クリニーク 「ドラマティカリー ディファレント モイスチャライジング ローション プラス」
「化粧水や美容液、クリームも使っているのにイマイチ肌の調子がさえない……」というときに、試す価値があるのは乳液です。化粧水とクリームだけで終わらせるより、乳液を間にプラスすることで肌のうるおいを守る効果を期待できます。
残念ながら、海外では日本のように乳液がポピュラーではありません。その代わりに使えるのがこちらの製品です。日本の乳液にかなり近いテクスチャーで、伸びがよく使いやすいタイプ。空港の免税店や現地の化粧品店で手に入るので、見かけたらトライしてみては?
3-5. 硬水成分を洗い流すウォータースプレー
画像出典:Avene 「アベンヌ ウォーター」
ホテルで入念に肌のお手入れをしても「あまり効果を感じない……」というときにオススメなのが、ウォータースプレーです。
顔や身体を洗い終わったあと、化粧水やボディミルクの前に使ってみてください。コットンにたっぷりしみこませて肌を拭くことで、肌についた硬水成分が洗い流され、肌荒れしにくくなります。
アベンヌ ウォーターは、肌に良いとされる温泉の水をボトリングしたもの。ヨーロッパでは特にポピュラーで、薬局やスーパーで手に入ります。
3-6. 荒れた肌の調子を整えてくれるクリーム
画像出典:NIVEA ITALIA 「NIVEA SOFT 50ML」
「朝起きて顔を洗うだけでも肌にしみる」、「ひげ剃りのあとヒリヒリして辛い…」。そんなときほど、頼りになるのがクリームです。油分の多いクリームを、に少し多めにつけて、手のひらで押しつけるようになじませると、肌荒れが少しずつ治ってくることでしょう。
こちらのクリームは、日本でもおなじみのニベア。白いジャーに入っているタイプのほうが柔らかくてよく伸び、顔だけでなく全身のケアとしても使いやすいです。世界で販売されている製品なので、どこでも手に入りやすいのも魅力の一つ。
画像:筆者撮影
イタリアは湿度が日本よりはるかに低く、秋から冬にかけては特に肌や髪がカラカラになり、辛い季節です。
同様に、乾燥する地域へ海外出張するときは、ニベアが一つあると色々重宝です。
・スキンケアアイテムを忘れても、気軽に現地で買えるプチプライス
・男性でも使いやすいシンプルなパッケージ
・スーツケースに入れてもこぼれる心配がないクリームタイプ
など、ニベアクリームにはメリットがたくさんあります。
海外出張中の肌荒れ対策に試してみてはいかがでしょうか。
イタリアでは、夏のバカンスでダメージを受けた肌を守れと言わんばかりに、保湿効果をうたったクリームのCMを秋冬にかけてよく見ます。中でも、ニベアクリームは、秋冬にかけてスーパーの棚から消えることがあるほど、人気があります。
イタリアで暮らし始めてから乾燥や湿疹に悩まされ、スーパーで買えるお手軽なクリームを片っ端から試したところ、もっとも肌になじんだのはニベア青缶でした。
イタリアでは冬になると限定デザインの缶が販売されます。冬にヨーロッパ出張がある方は、お土産にもオススメです。
まとめ:海外出張中もスキンケアで肌荒れ予防を!
痛みやかゆみによる不快さ、見た目などで悩むことの多い肌荒れ。実は胃腸など身体の見えない部分に不調があることのサインも含まれています。
環境や生活リズムが変わり、疲労も溜まりやすい海外出張中でも、睡眠や食生活などに気を配りつつ、水や化粧品など外側からのケアをしておきたいもの。「たかが肌荒れ」と放置せずに、積極的な対策をすると良いでしょう。
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