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2019.11.08

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中国では水道水が飲めない! 中国出張中では飲み水はどうしたら良い?

蛇口をひねれば、きれいな水が手に入る日本。当たり前のことのように感じますが、世界では水道水をそのまま飲める国は数少なく、日本を含めてたった16ヵ国程度しかないと言われています。では中国はどうでしょう? 結論から言うと中国の水道水はそのまま飲めません。そこで、中国出張の際にどのように飲み水を確保したらよいか、またなぜ飲めないかをまとめました。

1.中国の水質は?


中国の水事情で気になるのは、やはりその水質です。水道水は飲めるのか、水は硬水なのか、軟水なのかなど、まずは基本の水事情をおさえておきましょう。

1-1.中国の水は軟水?硬水?

水は、マグネシウムやカルシウムの含有量によって「軟水」と「硬水」に分けられます。水1リットルに対してマグネシウム・カルシウム含有量120mg以下が軟水、それ以上は硬水とされています。日本の水は軟水(硬度平均50mg~60mg)で、一般的に軟水は口当たりが良いと言われています。一方、ヨーロッパなどの大陸の国々の水は硬水。苦味や重さなどクセのある味が苦手だという人もいますが、ミネラル補給ができるという利点もあります。中国は、北京周辺は硬度360mgの硬水、中国南部を流れる長江沿岸は100mgの軟水と地域によって異なります。

参考:東京都水道局
https://www.waterworks.metro.tokyo.jp/kids/knowledge/knowledge_02.html

1-2.中国の水道水は飲めるか?


日本の水道水は高度な浄水処理をされており、通常の浄水では除去できない臭いや人体に有害とされる有機物などを除去した上で供給しています。そのため、日本では安全な水道水を直接飲むことができます。中国でも、北京、上海などの大都市では、高度浄水処理がされた水を供給しています。
……と、ここまで聞くと中国の大都市なら水道水を飲めると思われそうですが、残念ながら中国の水道水は飲めません。高度浄水処理を実施しているのに、なぜ飲めないのでしょう?

1-2-1中国の水質汚染問題

中国では水質汚染の問題が深刻です。汚染された水は、通常の浄水では有害物質を取り除けません。
2014年に中国環境保護部が実施した水質調査では、「飲料できる水源」は中国の水全体のたった2.8%。「軽度の汚染、生活飲料水」に分類されている水は36.9%、「ある程度の汚染、生活飲料水」は31.5%と「生活飲料水」とされながらも汚染されています。
水質汚染の原因は、主に河川周辺の工場から排出される有害な工場排水。有害物質を含む排水をそのまま河川に流しているためと言われています。重金属(水銀、カドニウム、ニッケル、鉛)を含む有害物質などに汚染された水は、通常の処理では浄化しきれず、そのまま使用すると人体に悪影響を及ぼします(*1)

実際に、中国農村部では工場排水を有害だと知らずに生活用水として使用している人たちがおり、村の住民の約半数ががんになるという「がん村」が増加しています。

中国政府は水質改善の施策として、「水十条」と呼ばれる「水汚防治行動計画」を2015年に公布。「汚染物質排出の全面抑制」「節水と水資源の保護」など10条35項目からなる
水質の汚染防止方針を定めました。ところが、水質管理状況は一向に改善されず、2019年現在でも水質汚染は悪化し続けています(*1) (*2)。

※参考(*1)
2014年中国環境保護部調査 中国の水質汚染の状況
一類(飲料できる水源):2.8%
二類(軽度の汚染、生活飲料水):36.9%
三類(ある程度の汚染、生活飲料水)31.5%
四類(工業用水、人体が接触しない娯楽用水域向け)15.0%
五類(農業用水、景観用水域向け)4.8%
劣五類(重度汚染、利用不可)9.0%
※「地表水環境質量標準」で定められている数値
CLARA ONLINE:
https://www.clara.jp/wp-content/uploads/2016/02/20160225_chinawaterpollutionproblem_claraonline.pdf

1-2-2.中国の水道管の劣化

水道から出る水から悪臭がしたり、有機物質が大量に含まれていたりすることは、高度浄水処理を行っている中国の大都市でも見られます。
これは、浄水場から家庭に供給されるまでに通る水道管が原因。水道管の老朽化や、水道管に使われている粗悪な材質によって、浄水場から家庭の蛇口まで水が流れる間に、有害物質が混入したりして水質が悪くなるという声が上がっています。

実際に、2011年8月には江蘇省で銅精錬工場の排水が水道管に混入。周辺住民が中毒症状を訴えたというケースもありました。

1-3.中国の水道水は絶対に口にしない

中国では水道水を口にしてはいけません。飲まないのはもちろんですが、注意したいのが、歯磨きやシャワーです。
中国に来たばかりの人がうっかりやってしまうのが、歯磨き時に水道水で口をゆすぐこと。水道水だが、飲んでいないから大丈夫だと油断してしまいますが、微量の水が体内に入り込み、お腹を壊してしまったという声をよく聞きます。洗顔時やシャワーを浴びている時に口に入ってしまうこともありますので、歯磨きはペットボトルの水を使う、シャワー中は口を空けないなど注意が必要です。

2.出張中の飲み水はどうしたら良い?


中国では、日本と同じようにコンビニやスーパー等で水を購入できます。数は少ないですが、大都市なら地下鉄の駅に自動販売機が設置されていることがあり、そこで手に入る場合もあります。また、安全性を重視したいのであれば、日本から水を持ち込むのも良いでしょう。

2-1.ペットボトル入り飲料水を購入する場合

ペットボトル入り飲料水は簡単に手に入りますが、購入時には注意が必要です。
露店や個人商店ではニセモノや使用済みのペットボトルにただの水道水を入れて販売していることも。コンビニなどがなく、露店や個人商店でしか買えない場合は、使用済みペットボトルに水道水を入れて売っていないか、ペットボトルのキャップが開封済みでないかをチェックしましょう。

また、ペットボトルの水であればどれでも安心というわけではありません。中国でも有名な飲料水「农夫山泉」の製品基準が水道水にも満たないと2013年に報じられました。(2019年現在では、製品管理に力を入れ改善されていると言われています。)
≪中国で人気の高級ナチュラルミネラルウォーター≫
中国では、ミネラルウォーターを選ぶ消費者が増えており、その中でも高級ナチュラルミネラルウォーターの売り上げが伸びてきています。
次に紹介するナチュラルミネラルウォーターは水専門のメーカーより販売されているもの。これらのメーカーは、事業モデルをヨーロッパの同業メーカーを手本とし、ブランドイメージ向上も図っています。価格は500mlで5~8元(約75~121円)ほど。他の飲料水よりも値段が若干高めですが、品質が良いイメージがあるため駐在員の日本人も選ぶ人が多いようです。

・「崑崙山」
ハイエンドなナチュラルミネラルウォーターとして知られる「崑崙山」。海抜6,000mを超える崑崙山脈が水源地です。雪解け水が岩石層浸透を経た地下水を濾過してボトリング、販売しています。水源地や水を汚染から守るよう徹底して管理をするだけでなく、水源を保護するためのチャリティーも行っています。

出典:China mart
「崑崙山」公式サイト:http://www.kls-china.com/

・「西蔵5100(Tibet Spring)」
商品名にある「5100」は「海抜5,100m」の意味で、水源地がチベットのニェンチェンタンラ山脈の海抜5,100m地点にあります。硬水ですが「クリアな味で飲みやすい」「スッキリしている」と評判の水で、2016年からは香港でも販売されるようになりました。
他の水に比べて販売しているところが少なめですので、欲しい場合は見かけたら買っておくと良いでしょう。

出典:China mart
「西蔵5100(Tibet Spring)」公式サイト:http://www.5100.net/

・「百岁山(Ganten)」
広東省東部の羅浮山が水源地。軟水のため、日本人にも飲みやすいでしょう。販売元の百岁山(Ganten Water社)はグローバル展開しているメーカーで、2017年7月1日よりサッカーチーム・ユベントスとグローバル・パートナー契約を締結し(※3シーズンのみ)パッケージにユベントスの選手をプリントし限定販売したことも話題となりました。また、テニスの国際試合である全豪オープンのスポンサーでもあります。

出典:China mart
「百岁山(Ganten)」公式サイト:https://ganten.com.cn/index.php

≪中国で買えるヨーロッパの水≫
さらに安全性を求めるなら、中国でも販売されているヨーロッパブランドの水を購入すると良いでしょう。中国の富裕層はこの水を飲んでいることが多いと言われています。
中国で特に人気なのが、日本でもなじみのある「ペリエ(中国語表記:巴黎水)」と「エビアン(中国語表記:依云)」。特にエビアンは高級飲料水の売り上げ市場の25%を占めたことがあるほどの人気です。
パッケージは中国語と英語で表記されており、見た目は日本で売られているものとほぼ同じです。見つけやすい上、中国製ではないという安心感があります。
ただし、価格は500mlで20~30元(約300~450円)と日本で購入するよりもずっと高くなります。
空港や外資系スーパー、上海、北京、広州、深センなどの大都市のコンビニ・スーパーで購入可能です。しかし、郊外や地方都市では手に入りにくい(場所によっては手に入らない)でしょう。出張先が地方の場合は、日本から持ち込むか空港で購入しておきましょう。

2-2.日本から水を持ち込むには?


荷物がかさばってしまいますが「中国で水を購入するのがどうしても不安」という人は日本から水を持ち込むという方法もあります。

≪スーツケースに水を入れる時の注意点≫
水漏れが気になりますが、破損しない限り預け荷物に入れても問題ありません。気圧の変化があっても、未開封であればペットボトルは破裂しません。
心配であれば、ビニール袋に入れたり、ボトルが破損しないよう布なので包んだりする等の工夫を。衣類の隙間にペットボトルを入れるのも良いですね。

また、スーツケースに入れすぎると、重量の制限を超える可能性があるので入れすぎには注意しましょう。無料で荷物を預けられる重量は20キロ前後が目安です。(航空会社によって異なります。)

≪日本から水を送る場合の注意点≫
出張先が勤務している会社の現地法人であれば、そこに水を送っておくのも手。
EMS(国際スピード郵便)なら上海・北京なら約2日、航空便なら約7日で送れるとされています。ただし、あくまでも目安で、もっと日数がかかることもあります。送る場合は余裕をもっておきましょう。

また、現地法人のスタッフに確実に受け取ってくれるようお願いをしておき、宛先にその人の名前を書いておくのもポイントです。受け取り手がいないと「誰に渡せば良いのかわからない」と配達員が持ち帰ってしまい、その後日本に送り返されてしまうケースもあります。

参考:郵便局公式サイト:
https://www.post.japanpost.jp/int/index.html

長期出張者や駐在員におすすめなのが「楽天グローバルエクスプレス
日本のネットショップのサイトで購入した物を海外へ送ってくれるサービスです。楽天だけでなく、AmazonやYahoo!ショッピング等のサイトで購入した場合でも利用が可能。水だけでなく、日本の物が欲しい時にまとめて送ってもらえます。

参考:楽天グローバルエクスプレス:
https://globalexpress.rakuten.co.jp/

コラム:中国人や駐在員はどうしている?

中国に暮らす人は、どのように安全な水を手に入れているのでしょうか?

最も安全だと言われているのが、水道水に浄水器を取り付けさらに沸騰させる方法。現地中国人の浄水器を持っていない人も水道水は必ず沸騰させてから使っています。
ウォーターサーバーの水を使用する人もいますが、必ず安全とは言い切れない…という声があるのでご注意を。
≪中国でおすすめの浄水器≫
中国では日本製の浄水器を使っても、フィルターがあっという間に汚れてしまうことが。東レから販売している中国向けの「トレビーノ」や三菱ケミカルの「クリンスイ」などは日本製で中国の水道水に対応しているのでおすすめです。現地で購入が可能、取り付けサービスもあります。

公式サイト:
Toray(中国)https://www.torayvino.cn/
三菱ケミカル(中国)http://www.cleansui-cn.com/

まとめ:水の安全をどこまで求めるか?


中国以外の国から水を持ち込まない限り、完全には安全とは言えないのが中国の水。疑えばいくらでも問題が出てくるのが中国ですから、「短期の出張だから、現地の水を購入する」とある程度の割り切りも必要です。「飲み水は日本から持ち込んだ水(またはヨーロッパ製)、洗顔や歯磨きは中国のペットボトルの水」と使い分けても良いでしょう。どこまで安全性を求めるか、自分の中で線引きをしておけば現地で迷うことはありません。ただし、水道水を直接飲むことだけはしないよう、ご注意ください!

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