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2023.10.06

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ふるさと納税と企業版ふるさと納税の魅力とは?控除や注意点も解説

自治体への寄付を通して地域を応援する、ふるさと納税。
魅力的な返礼品が受け取れる点から、幅広く人気を集めています。
寄附金が税額控除されるため、納税者の関心も高い制度と言えるでしょう。
近年では企業版ふるさと納税も、都市部の企業と地方自治体のつながりを生むきっかけとして、注目を集めてきています。

この記事では、ふるさと納税や企業版ふるさと納税双方のメリットや、税額控除の仕組みについて解説します。

1.ふるさと納税の魅力は3つ

ふるさと納税は、個人が「応援したい」と思う居住地以外の地方自治体に、寄付をする制度です。
寄付は、個人が応援を希望する自治体に翌年に支払う予定の税金を前払いする形で行われ、寄付金控除が受けられます。

ふるさと納税によって生じるメリットとしては、以下の3点が挙げられます。

1-1.寄付先から返礼品がもらえる

ふるさと納税をすると、寄付先の自治体から返礼品が送られてきます。
返礼品はその地方の特産品や現地宿泊・レジャー施設の利用券、雑貨、日用品などさまざまなアイテムがあり、
寄付者は寄付額に応じて好きな返礼品を受け取ることが可能です。
寄付によって魅力的な返礼品を獲得できる点は、ふるさと納税の人気を支える大きな要因と言えるでしょう。

1-2.寄付金は税額控除でほぼ戻ってくる

ふるさと納税による寄附金額は、自己負担金2000円をのぞく全額を、税額控除の対象にできます。
具体的には自己負担金をのぞく全額が、ふるさと納税した年の所得税や翌年度の住民税から還付・控除の対象となり得るのです。

前述した寄付先から返礼品を受け取れる点を踏まえると、実質2000円の負担で地方の魅力的な特産品などをもらうことができます。

1-3.個人が地方貢献できる

ふるさと納税による寄付金は、地方自治体の文化・スポーツ・観光振興、子育て支援、文化財保護などに活用されます。
間接的に、個人が地方の振興などに貢献できる制度となっているのです。

またふるさと納税は、都市部などに住んでいる人と地方をつなぐきっかけにもなり得ます。
例えばふるさと納税を通して、故郷を長く離れている人が出身地に貢献したり、
都市部に住む人が縁のなかった地方に興味を持ったりと、地方と人を結びつける機会となるのです。

2.ふるさと納税でおさえておきたい注意点3つ

魅力の大きいふるさと納税ですが、知らないままだとメリットを十分に受けられなかったり、
手間がかかったりという事態が生じるケースもあります。
ここからは、ふるさと納税における注意点を説明していきます。

2-1.会社員でも別途手続きが必要なケースがある
会社員で、ふるさと納税の寄付先が5自治体を超える場合、確定申告をしなければいけません。
その場合、申告書の作成・提出などの手続きが必須です。

一方で、寄付先が5自治体以内にとどまる会社員の場合、確定申告は不要です。
しかし税額控除を受けるための「ワンストップ特例制度」を利用する必要があり、
寄付先自治体に特例申請書を送付するといった手続きを踏まなければいけません。

2-2.寄付金額によっては自己負担分が増えることもある

寄付のほとんどを税額控除の対象とするためには、各自が年収などに応じた額の寄付をする必要があります。
各自の年収などによって設定される寄付上限額を超えてしまうと、自己負担分が増えてしまう可能性も生じます。

各自の寄付上限額については、以下の計算式で把握できます。

(個人住民税所得割額×20%)÷(100%ー住民税の税率ー(所得税率×復興税率))+自己負担金2000円

寄付上限額は、ふるさと納税関連サイトに掲載されるシミュレーションを使って目安を把握することも可能です。

【シミュレーションサイトの例】
ふるさと納税の限度額はいくら?控除シミュレーションと上限額の計算方法 | ふるさと納税サイト「ふるなび」
ふるさと納税の限度額を計算。控除上限額シミュレーション|ふるさとチョイス

2-3.寄付先に差異が生まれ行政サービスの低下につながることも

ふるさと納税では、魅力的な返礼品のある自治体が寄付先に選ばれるケースが多く、
人気の高い特産品のある自治体に寄付金が多く集まる傾向があります。
一方、都市部などでは集まりにくいといった現象がしばしば見受けられます。

寄附金の集まりにくい自治体ではさらに、住民たちが他の自治体にふるさと納税をするため、
税収が減少するといった事態が生じるケースもあります。

このような地域間差異の影響によって、自治体によっては不公平感が生まれ、
実際に納税額が減少した地域では行政サービスの低下につながるリスクも生じるのです。

3.企業版ふるさと納税が企業や地方にもたらすメリット3つ

企業版ふるさと納税は、内閣府に認定された地方自治体の地域再生計画に対して、
企業が1回あたり10万円以上の寄付をすると、法人関係税の優遇を受けられる制度です。
2016年度の税制改正で創設され、正式名称は「地方創生応援税制」と言います。

2021年度には前年度比約2.2倍の4922件の寄付があり、
寄附金額も前年度比約2.1倍の225.7億円を達成するなど注目を集めています。

3-1.ふるさと納税による地方貢献で企業価値がアップ

企業版ふるさと納税の対象に認められる地域再生計画は若者定住、
災害復興、地場産品創出、少子化対策などのプロジェクトがあります。
そのため、企業は企業版ふるさと納税を通して、地方自治体のプロジェクトをサポートする姿勢を、ステークホルダーに伝えることができます。
このような活動は企業イメージの向上にもつながります。

プロジェクトの中には、地域の資源循環や脱炭素化といったSDGs実現を見据えた内容もあります。
企業版ふるさと納税をすることで、「SDGs達成への支援に取り組む企業」というイメージが高まる効果も見込まれます。

3-2.寄付金の税額控除が最大9割まで可能

2020年の税制改正により、企業版ふるさと納税に対する税制上の優遇措置は拡充され、
税の軽減効果はそれまでの最大6割から9割にアップしました。
税額控除の特別措置は2024年まで受けられます。

通常は自治体への寄付の際、損金算入によって寄付金額の3割程度の軽減効果が得られます。
しかし企業版ふるさと納税を活用した寄付の場合、さらに最大6割が税額控除の対象となるため、
企業の実質負担を1割程度に抑えることが可能となるのです。

3-3.新たなビジネスや交流のきっかけにも

企業版ふるさと納税は、企業と自治体が連携して地域課題の解決に向けた取り組みを進めるきっかけとなり、
地方におけるビジネスチャンスの可能性を高めます。

また、プロジェクトに関する専門的知識やノウハウを持つ人材を、企業側が自治体に派遣するという形の寄付もあり、
人的交流による縁づくりも期待できます。
企業にとっては地方とのつながりを持つ機会となり、自治体にとっては地方創生に向けた施策を強化する効果を狙えます。

4.企業版ふるさと納税で注意すべきポイント3つ


メリットをしっかりと享受して企業版ふるさと納税を行うためには、押さえておくべきポイントがあります。
ここからは、ふるさと納税をする上で注意すべきポイントや、事前に知っておいた方が良い情報をお伝えします。

4-1.国が認定するプロジェクトでないと無効

寄付を検討するプロジェクトが内閣府から認定されていないと、
企業版ふるさと納税としては無効になり節税メリットも受けられません。

また、企業が本社を置く地域の自治体に企業版ふるさと納税はできない決まりになっています。
企業版ふるさと納税を検討する際には、寄付先やプロジェクト内容についてよく確認しておきましょう。

4-2.寄付金額を事前に確認する必要がある

企業版ふるさと納税による減税効果を最大限生かすには、各企業ごとに寄付金額を調整する必要があります。
税制優遇のメリットを受けるための寄付上限額は、資本金や課税所得などによって異なるため、
寄付金額について事前に税理士などに相談すると良いでしょう。

4-3.自治体からの返礼品はなし

個人によるふるさと納税と異なり、企業版ふるさと納税では寄付に対する返礼品はありません。
内閣府令により、寄付を行う企業に対する経済的な利益を自治体から提供することは禁じられています。
例えば、企業は寄付の見返りとして自治体から補助金を受け取ったり、有利な利率で貸付を受けたりしてはいけません。

まとめ:ふるさと納税のメリットを生かして地方に貢献

ふるさと納税、企業版ふるさと納税ともに、寄付者や寄付企業と地方自治体にとってメリットがあり地域振興に役立つ制度となっています。
多くの地方自治体が、さまざまな返礼品や地方創生に向けたプロジェクトを提示しています。
返礼品やプロジェクトの種類は関連サイトで詳しく調べられるので、活用すると良いでしょう。

一方、納税金が本当に必要な地方へ届くよう、寄付する側のできるだけ公平な選択も必要です。
寄付先や寄付金額についてじっくりと検討した上で、地方貢献や地方とのつながりを築くきっかけとして、
利用してみてはいかがでしょうか。

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