ビジネス基礎知識

2023.08.25

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管理職に必須のマネジメントスキルとは?能力アップのポイントも解説

管理職や経営者に求められる要素の一つとしてマネジメントスキルがありますが、どのような能力が重要となるのでしょうか。
組織の活性化やパフォーマンス向上を支えるビジネスパーソンが備えるべきスキルであるものの、
「どうやって身につければ良いか分からないが、今さら人に聞きにくい……」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この文章では、マネジメント能力を構成する要素や、スキルアップの秘訣をご説明します。

1.マネジメントスキルとは


マネジメントスキルは日本語では「管理能力」と訳されます。
組織の成長を支えるため、資源や手段を効果的に管理・運営する手腕としてとらえると、
管理職や経営者にとって切り離せない能力と言えます。
そんなマネジメントスキルの特徴を、具体的に見ていきましょう。

1-1.管理職の職務遂行に欠かせないスキル

管理職になると自身の業務を進めるだけでなく、組織のメンバーがパフォーマンスを発揮できるように
職場を管理するスキルが求められます。
マネジメントは職場の目標達成や人材育成、経営陣と現場の橋渡しといった管理職の職務を果たすために欠かせない能力を指します。

職場の環境を整備して人材を育てていかないと組織が成長せず、管理者自身の業務量も増えて負担が大きくなってしまいます。
そのためマネジメントスキルを磨き、職務を円滑にクリアすることが重要となっていくのです。

1-2.マネジメントスキルとリーダーシップとの違い

リーダーやマネジャーの立場にある人たちに求められる資質を表す言葉として、
マネジメントスキルの他に「リーダーシップ」が挙げられます。

リーダーシップはメンバーに事業などの方向性を提示して、円滑に遂行できるように引っ張る能力を指します。
これに対してマネジメントスキルは対象を人材に限定しておらず、
資源や商品なども含めビジネスに関わる人的・物的資源・資金・組織を管理・運営する能力を示します。

このように、リーダーシップはマネジメントとは異なります。
しかしリーダーやマネジャーがリーダーシップを発揮すれば、人材の業務遂行能力の向上や育成につながります。
結果的にマネジメントの面にもプラスの影響を及ぼすため、リーダーシップはマネジメントスキルを補強する能力ととらえることもできます。

1-3.マネジメントスキルは立場によって変わる

立場によって求められる視点が異なるのと同様に、マネジメントスキルもそれぞれの職位など背景によって違いが見られます。
立場に応じて以下の3種類に大別されます。

【トップマネジメント】 企業のトップなど経営陣が企業全体に関わる意思決定を下したり、経営を進める上で求められる管理能力

トップマネジメントに求められるのは、経営に関する方針や戦略を固めて実行することです。
組織のミッションや目標の決定、目標達成のための体制づくりや現場への通達といった役割が挙げられます。

【ミドルマネジメント】 経営陣の意向を汲んだ上で現場を管理運営する中間管理職などに求められる能力

ミドルマネジメントに求められるのは、上層部と現場の考えや状況などを双方に伝達し、組織のコミュニケーションを円滑化する能力です。
上層部が決定する経営戦略や会社の方針を、現場のポジションにいるメンバーに伝える役割と、
現場の進捗や要望、改善点を上層部へ伝える役割の2つです。

【ローアーマネジメント】 現場を運営する能力

ローアーマネジメントに求められるのは、組織の方針や戦略を現場の業務に反映させたり目標達成のために現場を運営する能力です。
現場のメンバーに適切に業務を振り分けたり、課題点が浮上した場合は現状調査や改善策の提案なども行います。

2.マネジメントスキルを支える能力4つ


マネジメントスキルは、職場の環境整備や実績アップにつながる複数の能力で構成されています。
マネジメントスキルを発揮するには、以下の能力を備えることがカギになります。

2-1.組織の成長を促す目標設定とフィードバックを行う能力

組織の長期・短期的な目標を設定してメンバーに伝え、
結果に対して適切にフィードバックする能力が、マネジメントスキルの重要な役割を占めます。

まず会社がチームに求めるミッションやメンバーのスキルを把握した上で、
組織や各自の成長につながる指標や数値などを設定します。
そして目標をもとにしたプロジェクトが行われたときは、詳細なフィードバック作業を通して実績を管理し、
以後の生産力や効率性アップを図ります。

こうした目標設定とフィードバックを都度遂行し、チームのパフォーマンス向上につなげる能力が管理職には求められるのです。

2-2.人間関係を活性化させるコミュニケーションスキル

チームを構成するメンバーと円滑な関係性を築き、信頼を得るためにコミュニケーションスキルも重要となります。

組織の人間関係が円滑であれば、プロジェクトの進捗状況などをリアルタイムに把握でき、
問題が生じた際にも速やかな対応や助言を行うことができます。

また管理職は、ミーティングの場でメンバーの意見を引き出しまとめるファシリテーターの役割を果たす場面も多いです。
そのため会議の進行をコントロールし、スムーズに結論を導くファシリテーション能力を身に着けることも、ポイントになります。

2-3.目標を円滑に達成させるプロジェクトマネジメント力

管理職にとってプロジェクトを目標達成に導く能力も重要です。
人材の適切な配置や進捗・コスト管理のほか、プロセスごとの評価指標を設定し達成率の管理や必要に応じた是正などを図る
「KPIマネジメント」を有効に取り入れることも、プロジェクト推進のカギです。

また「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」のステップを循環する
「PDCA」サイクルを意識することで、以後の業務内容の改善が図られ組織のパフォーマンス向上も期待できます。

2-4.抜かりなく自分の業務も遂行するテクニカルスキル

管理職と言えどもマネジメント業務に徹するのでなく、テクニカルスキルと呼ばれる業務遂行能力を高めることも重要です。
管理職も自身の業務を抱えているし、組織内でトラブルなどが発生した際に
業務に関するスキルや知識を備えておかなければ、解決に導くことも難しくなるためです。

営業・技術など職種によって内容は異なりますが、ビジネスパーソンとして当然身につけるべき業務遂行能力を高める努力も必要となります。

3.マネジメントスキルを高めるために押さえておくべき3つのポイント


これまでに述べた通り、マネジメントスキルを発揮するには、さまざまな能力を備え応用する姿勢がポイントになります。
困難に感じる面もあるかもしれませんが、職務を遂行する上で以下の点に留意すればスキルを高めやすくなります。

3-1.ミッションを把握した舵取りで部下の理解を得る

まず、会社の経営課題や方針を理解した上で各組織の「やるべきこと」を心得ていれば、円滑に組織の運営管理を進めやすくなります。

自身が統率する組織に関して「なぜこのミッションを与えられているのか」「プロジェクトにおける役割は何か」
といった点を管理職として把握していれば、部下にも説得力を持って指示や助言を送りやすくなります。
そうすると、各メンバーにもミッションの意図がスムーズに浸透していき、会社の課題解決につながるパフォーマンスが引き出せる可能性も期待できます。

3-2.職務遂行の阻害になるリスク管理を徹底する

次に、生産性の向上や業務遂行の支障になり得るリスクを排除する姿勢も重要となります。
コンプライアンスの徹底はもちろん、働き方改革やハラスメント防止など
働きやすい環境づくりにつながる施策を率先して推進することが、マネジメントの活性に役立ちます。

また、メンバーのモチベーションが低いと、生産力が低下するリスクも高まります。
評価制度や人材育成施策が適切に生かされているかどうかチェックしたり、
管理職やリーダーとして各自のキャリアプランをフォローする姿勢を見せることも、メンバーのモチベーション維持につながります。

3-3.リスクに備えトラブルを的確に乗り切る

リスクマネジメントを推進し、職務が円滑に遂行できるように環境を整えても、業務に支障をきたすトラブルが起こることはあります。
そのため、非常時に迅速な対応を進める備えを万全にしていたり、問題自体が起こりにくい環境を整える努力も、管理職には求められます。

問題点を整理して筋道を立てて考える「ロジカルシンキング(論理的思考力)」、
問題の本質を見極め周囲が納得できる対策を導く「コンセプチュアルスキル」といった考え方や視点を備えていれば、
トラブル発生時の混乱を防ぎ速やかに対処することができます。

特にロジカルシンキングは、問題発生のリスクを抑える効果も期待できます。
「今手掛けているプロジェクトの使命は何か」「なぜこのような指示を下したのか」
といった事柄について部下に理論付けて説明し、納得した上で職務を進めることが、トラブルを防ぎやすくします。

4.マネジメントスキルを上げたい人向け!オススメ書籍3選


マネジメントスキルを高めるには、マネジメントに関する理論を学んだり、実践につながる知識を得ることもポイントになります。
マネジメントスキル向上につながる情報を紹介する書籍も多く出ているので、参考にしてみてはいかがでしょうか。

4-1.『徹底的にかみくだいたドラッカーの「マネジメント」「トップマネジメント」』


画像参照:楽天ブックス

「経営学の父」と呼ばれるピーター・ドラッカーが提唱した、現在にも伝わるマネジメント理論を理解するのに役立つ解説書。
「マネジメント」「トップマネジメント」に関わる理論を吸収し、実行する上で役立つ書籍です。

【詳細情報】
『徹底的にかみくだいたドラッカーの「マネジメント」「トップマネジメント」』
著者:二瓶正之
価格:605円
電子書籍版:あり
URL:https://hb.afl.rakuten.co.jp/ichiba/327d7be4.00d64618.327d7be5.3b5aa57d

4-2.『リーダーの仮面ー「いちプレーヤー」から「マネジャー」に頭を切り替える思考法』


画像参照:楽天ブックス

45万部突破のヒットをあげたリーダーシップ書。
若手リーダー向けに、組織の成長を促すマネジメント理論を解いており、中間管理職などになりたての人におすすめの書籍です。
リモートワークなど、これからの働き方に即した組織論も学べます。

【詳細情報】
『リーダーの仮面ー「いちプレーヤー」から「マネジャー」に頭を切り替える思考法』
著者:安藤広大
価格:1,650円
電子書籍版:あり
URL:https://hb.afl.rakuten.co.jp/ichiba/327d7be4.00d64618.327d7be5.3b5aa57d

4-3.『人を動かす』


画像参照:楽天ブックス

弁論術や成人教育の講師を務め、人間関係の先覚者として知られるデール・カーネギーのベストセラー。

「人を説得する」「人を変える」といったトピックごとに事例を交えて人間関係の原則を説明。
チームのマネジメントやコミュニケーションなどで悩みが生じた際に、手を差しのべてくれるツールになるでしょう。
また、マネジメントにとどまらず、人間関係の改善に役立つ情報がまんべんなく得られます。

【詳細情報】
『人を動かす 文庫版』
著者:D・カーネギー
翻訳:山口博
価格:715円
電子書籍版:あり
URL:https://hb.afl.rakuten.co.jp/ichiba/327d7be4.00d64618.327d7be5.3b5aa57d

まとめ:マネジメントスキルとはビジネスを勝ち抜くカギ

マネジメントスキルは組織を盤石にし、人材が円滑に職務にあたれるようにサポートする術となるため、ビジネスの成功のカギにもなり得ます。
第4次産業革命やDX化の流れにより、ビジネスモデルや働き方に変革が訪れる昨今。
しかし、依然として管理職や経営者にとって重要なスキルと言えます。
一方で、マネジメント能力を向上させるには、問題解決能力やリスク管理といった複数のポイントがあり、
「何から手をつけていけば良いか分からない」と感じる場合もあるかもしれません。
まずは自身や組織の課題解決を意識して、記事でお伝えしたポイントなどを参考に、
マネジメントスキル向上のための行動を起こしてみてはいかがでしょうか。

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