取材記事

2020.06.03

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出張は相手と関係を築くチャンス!ミセスワールドが実践する英会話術【海外出張リーダーVol.13】

ポートフォリオワーカー/ミセスワールド2016日本代表 山口真紀氏

外資系製薬会社で会社員として働きながら、フリーランスとしても活躍する山口真紀さん。歴史ある既婚女性向けコンテスト「ミセスワールド」に日本代表として出場したことがきっかけで、ポートフォリオワーカーと呼ばれる複数の仕事を並行してこなす生き方を始めました。明るくて人と接することが好きな山口さんのコミュニケーション術は、外国人との接し方や英語が苦手で悩んでいる人に勇気を与えてくれるでしょう。

1.複数の仕事を持つ生き方「ポートフォリオワーカー」


大学での講義では「私の授業は寝かさない」ためにユニークな工夫をしている

―複数のお仕事をされているとのこと。具体的な内容を教えてください。

外資系製薬会社でマーケティングを担当しながら、2017年に開業した「Maki.Japan」でフリーランスとしていろいろなお仕事を引き受けています。一つが美容系短期大学の非常勤講師です。他に、マーケティングのコンサルタントを担当したりイベント企画を手掛けたりしています。

このように、複数の仕事や活動の場を持つ「ポートフォリオワーカー」として生きています。

―どのような内容の講義でしょうか?

20年間勤務している製薬会社での知識や経験を活かして、マーケティングに関する授業が多いですね。学生さんたちに楽しんで学んでもらえるよう工夫をしています。

最近は、Maki.Japanでコンサルをしている美容雑貨メーカーと学生さんとでアイラッシュカーラー(いわゆるビューラー)の商品企画・共同開発をしました。みんなで既存のアイラッシュカーラーの使い心地をチェックしたり、課題点を考えたりして商品を作りました。

―イベント企画では、どのようなイベントを開催していますか?

Rock the Middle」というアマチュアロックフェスを半年に1度ペースで開催しています。大人が楽しみ社会に貢献できる場所にしたいので、チャリティーイベントとして行っています。


「Rock the Middle」には自身のバンド「ARK」も出演する。叫んだりジャンプしたり、パワフルなステージングが好きだそう

―複数の仕事を持つとお忙しいと思います。どのように時間を確保していますか?

家事に使う時間を減らすようにしています。例えば掃除では、お掃除ロボットの「ルンバ」を使っていますし、年に2回ほどダスキンに水回りの掃除をお願いしています。安くはありませんが、掃除の時間を自分や家族のために使えるので、良いと思っています。

2.ポートフォリオワーカーとして生きる転機「ミセスワールド」


2016年韓国で開催された「ミセスワールド」での出場者との出会いが転機となった

―なぜポートフォリオワーカーとして生きようと思いましたか?

「ミセスワールド」の日本代表として出場したことがきっかけです。

当時の私は、自己紹介の時に「〇〇会社の山口真紀です」と会社名を最初に出すのは当然と思っていました。ところが、各国の代表の人たちは、「私の名前は〇〇です。家族は何人いて、こんなことをしています」と、仕事よりもプライベート、つまり自分自身についての話を先にしていました。まずは個人がありその後に仕事がある、という考え方なんですね。そんな彼女たちと接していくうちに「会社に所属する私」が最も前面に出ていた自分のマインドに違和感を持つようになりました。

ミセスワールド終了後は、「会社から離れて私一人になったら、何ができるだろう?」と常に考えるようになりました。そして、学んだマーケティングの知識を活かした活動を私個人で始めようと決めました。

3.人との触れ合いが仕事を円滑にするコツ


自分の時間も大切。毎朝のヨガをルーティンとし、好きな飲み物で自分のペースを保つそう

―どのような時に海外出張へいきますか?

製薬会社での仕事で海外出張に行きます。ニューヨークが多いですね。過去には、シンガポール、韓国、シドニーへ行きました。

プレゼンをしに行く事が多く、主に日本の環境やプロジェクトの進捗状況の説明をします。質問の受け答えもしますので、想定される質疑応答をチームで考えて回答を作って持って行きます。

―海外出張で相手との関係を深めたいときの心構えは?

海外出張は、ただミーティングやプレゼンをしに行くだけではなくて、実際に相手に会い、仕事を円滑に進める関係を作るための場でもあると思っています。

相手に伝えたい思いにどんなに熱意があっても、実際に会わないとなかなか感じ取ってもらえません。私は、重要な仕事を依頼するときには、相手の目を見てはっきりした口調で話し、重要であることを全身で伝えます。そうすれば、相手に重要度が伝わります。

相手をもっと知るために一緒にお酒を飲みにも行きます。一緒にお酒を飲むと、相手との距離がそれまでよりも近くなることがよくあります。そうなると仕事でも肩の力が抜けて意思疎通がしやすくなるので、仕事を円滑に進めるには効果的です。

一度でも会って相手との距離を縮めておくと、出張から戻ってWeb会議や電話の時でも、表情や声のトーンから相手の状況を汲み取ることができ、自分がどう動いたらよいか判断しやすくなると思います。

―海外の人と接する時に、文化や考え方の違いで戸惑うことはありますか?

文化や考え方の違いに驚くことはあっても、ストレスに感じたことは、まずありません。その理由は、働いている職場の環境にあると思います。

会社にはいろいろな国の人がいて、彼らと接していると国が変わるだけで文化や風習が大きく異なることがわかります。彼らの言動には彼らなりの理屈があることを知ってから、違いを受け入れられるようになりました。人はそれぞれ違っていていいのだと気付いたんです。

ちなみに私は、行った国では現地の人がやっていることに倣っています。例えば、中国ではトイレの列に並ぶ習慣がないとわかったので、中国では私も並ばないことにしました!

4.英会話のコツは勇気を出して伝えること


躊躇うことなく英語を話す山口さん曰く「文法に気を取られすぎると発言するチャンスを逃してしまいます」

―海外出張でも社内でも、外国人の方との会話は英語だと思います。英語は得意ですか?

私は英語が得意ではないのですが、周りの人から「躊躇することなく英語で話している」とよく言われます。それは「正しい言葉で話すこと」よりも「自分の言いたい事を伝えること」に重きを置いているからだと思います。

かつては、正しい文法で話せているかが気になり、英会話に自信がありませんでした。でも、英語でプレゼンと交渉を私一人でしなければならない出張があった時に、勇気を出して、言いたい事をすべて伝えようと臨んだらどうにかプレゼンも交渉もできたんです。その時に、大切なのは文法が正しいかどうかではなく、勇気を持って話せるかどうかだと気付きました。

―英語を話すことに躊躇してしまう人へアドバイスをいただけますか?

日本人が英語が苦手な原因の1つは、日本の英語教育にあると思います。会話よりも文法重視する方針だからです。そのため、私たち日本人は、英語を話すときに文法が間違えていないかを気にしすぎてしまうんですね。

英語が母国語でない外国人の英語をよくよく聞いてみると、正しい文法で話している人は実は少ないと思うんですよ。私たち日本人も、母国語である日本語を正しい文法で話せている人、結構少ないですよね。それでも、自己主張をするために間違っても堂々と話しますし、伝えたいという意思を持って話せば伝わります。だから、正しい文法で話せなくてもいいんです。

積極的に外国人の方と話してみてください。状況に合った言い回しや正しい言い方を、会話の中で知ることができるんです。会話を積み重ねていけば英語がもっと話せるようになると思いますよ。

5.時間の有効活用で気分転換と時差ボケ解消


バリ島にあるお気に入りのホテルNefatari Exclusive Villasで資料作成

―海外出張の空き時間を観光に充てる「ブレジャー」はしますか?

最近は、出張の時間をめいっぱい仕事にのみ充てているのでブレジャーはしません。観光とは言えませんが、数年前の時間に余裕があった出張では、空き時間を気分転換のために使っていました。シドニー出張ではとてもきれいな公園でジョギングをしましたし、ニューヨーク出張ではセントラルパークを散歩したこともあります。

陽の光に当たると体内時計をリセットできるので、これは時差ぼけ解消のためでもあります。時差ぼけになってしまうと、仕事が思うようにはかどりませんから。

―海外出張で使う航空会社は決まっていますか?

出張では会社指定の航空会社を使いますが、プライベートではJALと決めています。マイルをためて、航空券に変えたり席をアップグレードしたりできますから。

プライベートで旅行に行く場合は、必ずビジネスクラスに乗ります。金額は高いですが、休みを取って旅行に行くわけですから、移動時間も存分に満喫したいと思っています。エコノミークラスだと、隣の人の存在が気になり気が休まりませんが、ビジネスクラスに乗れば、誰にも邪魔されずにのびのびと休めます。

6.海外出張の必需品は日常の愛用品


3週間のバリ旅行。出張も旅行も荷物は多いという山口さん。「RIMOWA」のスーツケースは丈夫で安心して使えるため愛用している

―海外出張に必ず持って行くものはありますか?

保温できる水筒と普段日本で飲んでいる麦茶のパックを必ず持って行きます。大好きな麦茶は外国で手に入りにくいんです。異国の地で体のサイクルが崩れていても、日本で常に飲んでいる好きな飲み物を飲むと、体がいつものサイクルに戻ると感じるんです。

出張が長期になると、下着は帰りの分しか持って行きません。海外出張中は水着を着ているんです。洗濯して部屋で干していている時にクリーンスタッフが見ても不快感を与えませんよね。それに、ホテルにプールがあれば、そのまま泳げますよね!

―化粧品やシャンプーなどは出張用に用意しますか?

日本で毎日使っているものをボトルのまま持っていきますね。ちなみに、愛用しているものは数百円で買えてしまいます。シャンプーは「メリット」を使っているんです。以前は髪が油分でペタッとなりがちでしたが、メリットを使い始めてからサラサラになりました。

ボディクリームは「ニベア」で、顔以外全身塗っています。空気が乾燥しているニューヨークやシドニーなどでも保湿してくれますね。

―荷造りのコツを教えてください。

私は、荷物が多いんですが、荷造りはとても早いんですよ。コツは、一番かさばるバスグッズやスキンケア用品を先にスーツケースに入れていきます。その後に、下着と水着、空いたスペースに服を入れていきます。

絶対に忘れたくない持ち物から入れていくと良いですよ。私の場合は、バスグッズが最優先です。海外のホテルはシャンプーなどのアメニティがない場合があって、そんな時にシャンプーを忘れるとショックが大きいんです。服は着替えがなくても現地でなんとかなると思っているので、一番最後に詰めています。

7.外国人とのコミュニケーションは知識を広げるチャンス

―海外出張でのコミュニケーションに不安を持っている人にアドバイスをお願いします。

海外と言えども、行き先は日本と同じく地球にあります。外国人と言えども、相手も自分と同じ人間です。風習や言葉が異なるだけなんです。日本も地域によって風習や言葉に違いがありますよね。その違いが少し大きくなったのが海外です。
ですから、あまり身構えずにコミュニケーションを取れば、きっと楽しいと思います。

相手が異なる考え方を持っていて驚いたとしても、新しい事実や知識として受け入れればいいんです。相手は自分の知らないことをたくさん知っていて、それを教えてくれる人だと思うと、海外の人と接することが楽しくなりますよ。

山口真紀さんプロフィール
外資製薬会社にてマーケティングに携わる。2016年「ミセスワールド」日本代表に選出、2017年「Maki.Japan」を立ち上げ、ポートフォリオワーカーとなる。大学のゲスト講師を経て美容系短期大学の非常勤講師としてユニークな講義を行っている。他にコンサルティング業、イベント企画など、活動は多岐に渡る。
経営学修士(専門職)MBA、ミセスワールド2016 日本代表、日本語教師養成総合講座420時間終了、一般社団法人日本思春期学会 性教育認定講師
ブログ(個人):https://ameblo.jp/maki780102/entrylist.html
Facebook (個人):https://www.facebook.com/MrsWorldJapan/
「Rock the Middle」Facebook:https://www.facebook.com/RockTheMiddle/ 

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