【モビリティ×SDGsシリーズ Vol.3】「出張、搭乗を減らすだけじゃない!モビリティ×SDGs・ESGの新常識」開催レポート

【モビリティ×SDGsシリーズ Vol.3】「出張、搭乗を減らすだけじゃない!モビリティ×SDGs・ESGの新常識」開催レポート

「モビリティ×SDGsシリーズ Vol.3 出張、搭乗を減らすだけじゃない!モビリティ×SDGs・ESGの新常識」ウェビナーが2022年4月21日に開催されました。
今回のウェビナーでは、航空業界やホテル業界のSDGsやESGへの取り組み事例を紹介。さらに、国内外の事例から見えてきた、業界特有の課題も話題にのぼりました。モビリティ×SDGsをテーマとしたシリーズ第3弾となるウェビナーの様子を詳報します。

目次

1.ウェビナー概要と登壇者情報

「モビリティ×SDGsシリーズ」の第3弾として開催された今回のウェビナーでは、航空業界やホテル業界が取り組むSDGsやESGへの取り組みが紹介されています。さらに事例にとどまらず、各業界がSDGsと向き合う中で直面している課題や今後の取り組み展望にも言及されています。
今やどの業界でも無視できない社会の流れとなっているSGDsですが、出張の多いビジネスパーソンは一体どんなことを知っておくべきなのでしょうか?

1-1.ウェビナーの目的と概要

社会的にも注目の集まるSDGs。移動や交通におけるモビリティ業界でも無関係とはいえません。
ビジネスパーソンが出張時にサービスを利用する機会も多い航空業界や、ホテル業界でも、SDGsやESGの取り組みが各社から始まっています。

具体的に、航空業界やホテル業界では、どんな取り組みをしているのか。国内だけでなく海外の具体的な事例も交えながら、その動向やトレンドをご紹介します。

1-2.登壇者情報

・株式会社AIトラベル COO 藤本 了甫氏
2007年に新卒入社したメーカーで経理部原価計算担当へ配属。その後スタートアップ企業や外資系企業などのコーポレートを中心に業務改善サポート業務を歴任。現在は、スタディプラス株式会社管理部部長を経て、2020年からAIトラベルに参加している。

・株式会社トップレップ セールスマネージャー兼シニアコンサルタント 西ヶ花 竜希氏
日本初の「出張管理専門コンサルティング事業」立ち上げに2015年参画。現在はセールス兼シニアコンサルタントとして、企業の出張管理構築コンサルティングを推進している。昨今は、特にWith/Afterコロナの出張管理構築を、安全管理体制構築・DX移行・ESG調達などの視点から多角的に支援を展開中。

※ウェビナー登壇順に紹介

2.SDGs・ESGを理解するための基礎知識/株式会社AIトラベルCOO藤本了甫氏

2-1.SDGsやESGとは?

ニュースでもよく目にするSDGsという言葉。実際にその意味をしっかりと説明できる方は意外と少ないかもしれません。まずは、株式会社AIトラベルCOO藤本了甫氏によるSDGsとは何かの解説からウェビナーがスタート。
似た文脈で語られることの多いESGとの違いや、なぜ今SDGsが注目されているのか、その背景を紹介します。

2-1-1.今、世界ではサーキュラー・エコノミーへの転換が求められている

2016年以降、グローバルリスクはほとんどが環境に関するリスクとなっています。
環境リスクが高まる理由の一つとして挙げられているのが「短期利益追求型ビジネス」です。短期的に利益を最大化させるためにビジネスを展開すると、環境を無視して温室効果ガスの排出や汚染、乱獲、伐採などのミクロ課題。さらにこうした課題が原因となり引き起こされる自然災害や資源枯渇などのマクロ問題が生じてしまっています。

物流の断絶や調達の不安定化などマイナスの影響が、結果的に事業へも影を落とす短期利益追求型ビジネスは、企業として永続的成長を求めるのには限界を迎えています。

こうした社会的背景から出てきたのが「サーキュラー・エコノミー」という考え方です。

サーキュラー・エコノミーとは、原料の調達から生産・使用・リサイクルまで完全に循環する経済のあり方です。

経済をサーキュラー・エコノミー化していこうという流れの中で生まれたのが、今回のウェビナーテーマにもなっているSDGsの考え方です。

2-1-2.SDGsとは?

SDGs(Sustainable Development Goalsの略)とは、社会的課題を解決して、より良い世界を実現するために2015年9月に国民サミットで採択された2030年までの国際目標です。

SDGsには、「モビリティ×SDGsシリーズ」ウェビナー第2弾でもご説明してきた通り、各国に重点課題があり、日本にも8つの優先課題があるとされています。

2-1-3.ESGとは?

一方、SDGsと同様の環境や社会への配慮が必要という視点から、企業の評価基準に取り入れられ始めているのが「ESG」です。ESGとは、環境(Enviroment)・社会(Social)・企業統治(Governance)の3つの指標からなる企業の評価軸です。

昨今、投資の際の評価軸として財務状況だけでなく、こうしたESGも投資家から考慮され始めています。

2-2.SDGsとESGの関係性

こうして見てみると、似たような価値基準や背景のもとで語られることの多いSDGsとESG。
改めて両者の違いを見てみると、SDGsは「達成すべきゴール」として据えられています。一方で、ESGは課題を解消するための「企業活動プロセス」となっています。

※SDGsやESGに関する詳細は次のセミナーもチェック
【モビリティ×SDGsシリーズ Vol 2】SDGs・ESGの「ソーシャル」「ガバナンス」を徹底解説!開催レポート

3.モビリティ×SDGsの最前線 ――とあるホテルの取り組み/株式会社AIトラベルCOO藤本了甫氏

ここからは、ウェビナーの主題でもある、各業界のSGDsへの取り組みを具体的な事例や背景も交えながら紹介していきます。

今回藤本氏が紹介したのは、実際にとあるホテルへのインタビューを通じて見えてきた、SDGsへの具体的な取り組みと課題です。

3-1.コロナ禍により変化したホテルを取り巻く環境

コロナ禍の影響で、ホテルを取り巻く外部・内部の環境は大きく変化しました。一体どのような変化があったのでしょうか。

<外部環境>

コロナ禍により人々の移動ができなくなり、海外からの旅行者が減ったことで、ホテル需要は大幅に低下。今までは、何もしなくても部屋数は埋まっていたことから、従来は集客に対してホテル側はそれほど力を入れていませんでした。

コロナ禍になり一気にホテル需要が激減。集客が既存の枠組みで難しくなってしまい、対策が必要になりました。

<内部環境>

また、内部環境においても大きな変化が起こりました。
今まではスタッフをどんどん拡充すればよかったホテル業界も、人件費を抑えるという観点から限られたスタッフの中で効率的なオペレーションが必要になりました。
加えて、何もしなくても顧客が来ていた状況が変わり、宣伝方法の見直しや従業員の意識改革が必要になったそうです。

3-2.ホテル業界が取り組んだこと

こうした状況に直面し、ホテルが最初に着手したのは「何に取り組むか」をボトムアップで考えることでした。
その理由は、トップダウンでは現場が自分ごととしてアクションできないことが理由。現場から何ができるかを考え、PDCAのアクションを回していくことで、積極的に従業員が自分ごととして取り組むようになりました。

3-3.取り組みの成果

大きな思考の変革が求められたホテル業界。実際にボトムアップの取り組みとしてどんなアクションが行われ、どんな効果が出たのでしょうか。

3-3-1.コロナ禍でホテル業界が取り組んだ4つのアクション

ホテル業界では、コロナ禍により従業員数を減らした結果、オペレーションの効率化が必要になりました。より効率的にホテルを回すために、行ったのが次の4つのアクションです。

<コロナ禍でホテルが取り組んだ4つのアクション>

(1)短時間でシンプルにしつつ、清潔感のある空間づくり
(2)徹底的な省エネ・脱プラ
(3)非接触サービスなどの接客DXの推進
(4)無駄をそぎ落としたミニマムな快適性

ひとつ目は、お客様の満足感を損なうことなく、心地よい空間を効率的に整えること。2つ目はSDGsの観点からもアメニティグッズは各部屋ではなくフロントに置き、必要な人が手にできる仕組みに改善しています。こうすることで、アメニティを各部屋にセットする手間も省け、オペレーションが簡略化しました。

さらに、QRコード決済など非接触型の決済サービスなどを導入することで接客DXを促進しています。

ホテルでは、支払い以外のシーンでも、客室のテレビにVODパネルを設置してオペレーターと繋がりルームサービスを利用できるシステムづくりを構想しているそうです。

これまで人的資源の導入で作り上げてきた、快適なホテル空間とサービス。コロナ禍により、さまざまな技術システムやオペレーションを使う方向にホテルは舵を切りました。

3-3-2.SDGsの観点では4つのアクションがどう効果を及ぼしたのか

では、こうしたホテルの取り組みは、SDGsの観点からどのような効果を及ぼしたのでしょうか?
実際に挙げられた成果を、SDGsの視点から見てみましょう。

(1)働きがいも経済成長も実現するという視点

効率的なオペレーションで清潔感のあるホテル空間やおもてなしを作り上げ、非接触型決済システムなどのサービスを取り入れた取り組みは、SDGsの目標の一つである「働きがいも経済成長も目指す」という目標達成に貢献しました。

企業として接客DXの導入は先行投資なども必要になる部分ではありましたが、企業としてしっかりと取り組んでいかなければならない内容だと、ホテル側も認識しているそうです。

(2)つくる責任・つかう責任という視点

SDGsの目標として12番目に掲げられていた「つくる責任・つかう責任」の達成に貢献したのが、アメニティの設置方法や配布方法を見直した「徹底的な省エネ・脱プラ」と「無駄を削ぎ落としたミニマムな快適性」の追求でした。

プラスチック素材を使うことの多いホテルのアメニティ。無駄なアメニティの消費を抑えることで、ゴミの削減や化学物質の排出を食い止めることにも貢献しました。

3-4.自社でもSDGsの取り組みを始めてみよう

今回インタビューに答えてくれたホテル担当者からも、循環する経済を考えていくことは対外的PRとしても必要である一方、課題も認識しているという声が寄せられています。
「SDGsは人的コストや労力もかかるけれど、取り組まないことの方が大きなマイナス影響を及ぼすのでやらざるを得ない」
「企業の社会的立場としてSDGsに取り組まざるを得ない」
などという本音も企業担当者にはあるようです。

ウェビナー後半で取り上げられる航空業界も同様ですが、ホテル業界では「今までの業界のやり方ではいけない」という危機感を持って、SDGsへの取り組みを進めています。
全く何もなかった状態から、アウトプットし、取り組んできたホテルの事例は、他業界で勤務する企業担当者にとっても大いに参考になるのではないでしょうか?

4.航空業界が取り組んでいるESG事例/株式会社トップレップ セールスマネージャー兼シニアコンサルタント 西ヶ花 竜希氏

続いて登壇した西ヶ花氏からは、航空業界におけるESGの取り組みを具体的な事例をもとに紹介します。

4-1.航空業界もESGの取り組みを強化している

ホテル業界や他の業界と同様に、航空業界でもESGの取り組みが始まっています。

ESGの取り組みにおいて、特に航空業界特有の課題が浮き彫りになっているのが環境面です。
航空業界では航空機を動かすために、CO2排出は避けられません。そのため、CO2総排出量をいかに削減していくかは、業界特有の課題として挙げられます。

加えて、機内食排気量の削減や騒音の低減も航空業界特有の課題です。実際に航空便を使っていると、チケット類などの紙がだんだんと減ってきていると感じている方もいらっしゃるかもしれません。
こうしたことも、航空業界が今まさに取り組んでいる環境面への配慮と取り組みのひとつです。

4-2.環境分野で求められる航空業界特有の課題と取り組み

航空業界では、環境分野で特に業界特有の課題があることを紹介しました。
ここからは、具体的にどんな環境分野での課題があり、周辺からの要請があるのかを見ていきましょう。

4-2-1.周辺事情

・官(政府/自治体/国際機関)からの要望

例えばフランスでは、CO2排出量削減に向けて短距離国内航空便が禁止されています。具体的には、2時間30分未満で鉄道移動できる行き先へのフランス国内便は廃止され、鉄道利用へとシフトしています。

・民間からの要望

加えて、国民や市民団体・利用者などの民間からもCO2排出量削減に対する取り組みの要望が出てきています。

4-2-2.航空業界でCO2排出量が課題となる理由と苦心

航空業界において、CO2排出量の問題がしばしば取り上げられる理由として、フライトでのCO2排出量が非常に大きいことが挙げられます。
とはいえ、航空業界がこの課題を解決するまでの道のりは決して楽なものではありません。

 <CO2排出削減に航空業会が苦心する背景>

航空業界がCO2排出削減に苦心する背景には、次のような事業環境の特性があります。

第一に挙げられるのが、日本から海外への移動は飛行機を利用するしかないという地理条件です。海外のように「陸路での移動への切り替え」が容易にできる環境とはそもそも異なる環境でありながら、世界的には同じ土俵で語られてしまう向きが強い点は、大きな悩みの種となっているようです。

第二に、飛行機はその運行上CO2排出は避けられないことも苦心の背景として挙げられます。従来の燃油では、航空輸送のボリュームが発展すればするほどCO2排出量は増えてしまいます。事業の発展とCO2排出量削減を同時に達成するためには、そもそもの燃料の切り替え(燃油改革)が必要になってしまっているのです。

4-2-3.航空業界で注目されている新燃料SAF

航空業界では、持続可能な航空燃料としてSAF(Sustainable Aviation Fuel)が注目されています。
SAFは植物や廃油などから作られたバイオ燃料で、従来と比べてCO2排出量が80%程度減らせる画期的な燃料として着目されています。日本では、2030年までに航空燃料の10%をSAFに置き換えることが目標とされています。

とはいえSAFは現在輸入に頼らざるを得ず、コストが従来燃料の10倍かかることなどから、まだまだ課題もあります。
現在、日本では官民一体となってSAFの活用を進めていく動きが始まっています。

4-2-4.航空業界のSAF活用に向けた取り組み事例

(1)国内の動き
日本では日本航空(JAL)が2018年から国産バイオジェット燃料の製造に挑戦するプロジェクトをスタート。2020年3月下旬には国産バイオジェット燃料を完成させています。

一方で全日空(ANA)ではSAF Flight Initiativeというパートナーシッププログラムをスタート。加えて2022年4月からは、参加企業が出張の際にANA便を利用することでCO2排出量を実質的に削減することになるコーポレート・プログラムも始めています。

どれだけ削減されるのかやその割合は、法人契約ごとに実績に基づいて決定していくこととなっているそうです。企業側は、ANAが発行するCO2削減証書を、ESG経営の開示情報として活用できます。

(2)国外の動き
国外航空会社によるCO2削減も見てみましょう。
ユナイテッド航空では、SAF調達のための追加コストを一緒に負担する機会を企業に提供するプログラムを実施。マイクロソフトやBCGなどの大企業も参画しています。

さらに、CO2削減への取り組みが日本よりも進んでいるヨーロッパでは、エールフランスとKLMオランダ航空が、出張におけるフライトの化石燃料とSAFの差額を一部企業側も負担することで、参画企業が実質的にSAF普及に貢献できるプログラム(corporate SAF Program invitation)などの動きも始まっています。

日本のJALやANA、そしてユナイテッド航空では航空料金への影響が未発表であるのに対して、エールフランスとKLMオランダ航空では航空料金にもSAF切り替えへのコストを反映させています。
具体的には、航空券を購入する際にSAFへの少額の寄付を自動的に徴収する新基準。2022年1月時点での金額は、パリ・アムステルダム初の日本行きフライトで、エコノミークラスなら4ユーロ、ビジネスクラスでは12ユーロが一律料金から徴収されることとなっています。

4-3.航空会社とホテルの活動には利用者側の協力が不可欠

西ヶ花氏の講演後半では、航空会社やホテルの企業活動におけるSDGs・ESG実施のためには利用者側の協力が不可欠であることが指摘されました。

4-3-1.企業側と利用者側それぞれでできること

航空会社やホテルと、私たちサービスの利用者側が目指す姿は同じです。
既に航空会社やホテルは社会的な責任として、資源枯渇や環境破壊などの社会的な課題を達成するための対策を講じはじめています。

一方で、利用者側は、SDGsに関して取り組む企業を選ぶことで、社会的課題解決への助けになるのではないでしょうか。

4-3-2.短期的には課題もあるなかで取り組む理由

利用者にとっても、航空会社やホテルにとっても、SDGsやESGの取り組みを進めていくことは、長期的な視点では大切であるとはいえ、短期的視点では課題やデメリットもあります。

例えば、それぞれの立場からの課題としては次のようなことが挙げられます。

(1)航空会社やホテル側の課題
課題達成のためには、短期的にはまとまった投資が必要になったり、コストが増大したりなどさまざまな不便も出てくる。
また、環境問題はグローバルな問題で各国の価値基準も異なることから、日本の中だけで解決できることでもない。

(2)利用者側の課題
コストの増大は、利用料金にもつながる。
また、個人間で意識の差が出るのも事実。

(3)日本独自の課題の壁
・島国なため、陸路だけでは国境をまたいだ移動ができず、空路を頼らざるを得ない
・SAFの調達が輸入にたよっている

講演内では、藤本氏からも、ホテル側は「お客様にSDGsへの取り組みを受け入れてもらえなかったら、ホテルの取り組み自体を全く変えなければいけないのではないか」という不安や課題を感じている点が指摘されました。

企業側が「SDGsの活動に伴うサービスの変化などに対して顧客が抵抗を示したら経営への影響なども出のでは?」というリスクも抱えながら取り組むことに対して、今後利用者側がどのように受け入れていくのか――。
その姿勢もキーポイントになるのではと言及されました。

5.質疑応答

最後に、ウェビナー視聴者から寄せられた質問とそれに対する登壇者の回答を一部ピックアップしてご紹介します。

5-1.フライトシェイムは世界でどのくらい浸透していますか?

西ヶ花
飛行機に乗ること自体が環境負荷の大きい移動であり、恥じるべき行動であるというフライトシェイム、いわゆる「飛び恥」という考えは、世界単位でみても、まだ浸透しているとはいえないと思います。
ただし、欧州に関しては大陸間移動するにあたって距離が非常に短いということもあり、実際に陸路に繰り替えるなどの動きがなされることもあるでしょう。

5-2.出張の移動手段に飛行機を利用することは減ってきていますか?

藤本
現状ではまだ減ってきてはいません。特に、遠距離で飛行機の利用は多くあるという認識です。ただし、今後は「東京―大阪」間のような近距離移動では、飛行機以外の交通手段を使うかどうか議論の余地も出てくるでしょう。

西ヶ花
私も同意見です。例えば、ウェビナーでもご紹介したエールフランスでは、「パリーリヨン」間のような近距離はフライト路線を廃止するという法案が通されています。
もちろん日本でも、レジャーに関しては個人の判断となりますが、企業の業務渡航ではサステイナブルな視点でのトラベルポリシーが加味される会社も出てきています。そうなると、「東京―大阪」間のように比較的近距離の移動では、積極的に鉄道利用が進むこともあるかもしれません。

5-3.コロナ禍で航空会社は既に経営難になってきていると思います。SDGsを意識することで費用が増大し、経営破綻する可能性もあるのでは?

西ヶ花
企業にインタビューする中で、「SDGs活動を何もしない企業は、顧客から選ばれなくなってくるのでは」と危惧する声は、たとえば航空会社からさまざま聞かれます。
特に、環境への意識が高い傾向にある若い世代は、今後の航空会社の主戦場となります。こうした世代から選ばれる企業となるための取り組みは、欠かせない視点でしょう。

加えて、SAFに関しては団体が設立されることからも分かる通り、業界全体での動きが始まっています。ゆえに、全ての航空会社に共通する話となるわけです。また、SAFによるコスト増は、価格への転嫁などで利用者側に負担がくることになります。結果的に、どこか1つの航空会社が経営難に陥ることはないのではないかと考えています。

5-4.利用する側である企業のSDGs担当者は、ホテル・航空会社の取り組みをどのように評価・推進していくのがよいでしょうか?

西ヶ花
まずは航空会社やホテルの担当者さんに、どう言った取り組みをしているかをどんどん聞いていただきたいと思っています。また、先進的なポリシーの導入をしている企業の先進事例を参考にしたり、一緒に取り組んだりというのも一つのやり方としてあるのではないでしょうか?

藤本
AI TravelでもCO2レポートなどをリリースして脱炭素社会への取り組み機能を強化しているところです。
実際、欧米の外資系企業の日本支社などからも「本部からレポート提出が求められているが、何かないか」などのお問い合わせが増えてきています。こうした現場をみると、まずは脱炭素社会への取り組みの見える化から始まり、SDGsに取り組む企業を評価する流れが日本にも来ると感じています。

6.航空・ホテル業界のESGの取り組みは企業担当者も注視したいトピックス

航空業界やホテル業界でのESGへの取り組みを俯瞰した今回のウェビナーでは、今やSDGsやESGの視点から経営を考えることは、企業として避けて通れない道であることが伺えます。

新しい取り組みを始めるための産みの苦しみを乗り越え、次世代にふさわしい企業のサービス体制を整えることは、最終的には環境に配慮した企業として顧客から選ばれる存在になるために欠かせない取り組みです。

モビリティ業界のESG/SDGsへの取り組みは、他業界に身を置くビジネスパーソンにとっても大いに参考にしたいところ。また、出張業務を管理する立場から「環境に配慮した出張ができているのか」と言う視点で、ホテルや航空会社選びをして見てはいかがでしょうか。新たな知見や気づきがきっと見つかることでしょう。

編集:石島聡子(リベルタ)
文:松本有為子(リベルタ)

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2022年6月23日(木)13:30~
【モビリティ×SDGsシリーズ Vo.4】ウェビナー開催!



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