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2023.03.23

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パスポートがない!ベトナムでスリに有った時の対処法【体験談】

 
海外出張や旅行では、財布やスマートフォンなど貴重品を盗まれるスリに遭遇する可能性があります。特にベトナムは、そのような状況が起こるリスクが高い場所の1つです。筆者も2023年初にベトナムのハノイに行ったのですが帰国直前に同行者のパスポートの入った財布ごと全部スリにあってしまうという悲劇が起きてしまいました。
しかし、スリにあったら・・・という前提で動いていれば、対処法もちゃんとあります。ここではベトナムでの実体験エピソードも交えながらスリ被害の予防や対応策をまとめてご紹介します。

1.スリ被害にあわないようにすること

日本国内ではあまり馴染みがないかもしれませんが、スリはベトナムに限らずヨーロッパなどでも多いと言われています。
まずはスリにあわないことが大前提。そのためには事前に以下を確認することが大切です。
 
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1-1.外から何があるかわからないようにすること

スリに狙われやすい貴重品や貴金属は、目立つところに身につけないようにすることが大事。また、背中に抱えたリュックや肩掛けバッグは非常に狙われやすいのでそこに貴重品を入れることは止めましょう。今回の同行者も背中側に抱えたリュックを狙われました。

1-2.人混みや危険な地域を避ける

人混みや危険な地域には注意して通るようにしましょう。スリは、人混みや危険な地域を狙いやすいため、そういった場所を避けることが重要です。またやむを得ずそういうところに行く際は貴重品の所有を最低限にしておくと良いでしょう。リュックや肩掛けバッグは前に抱えましょう。

1-3.不審な人物を見極める

明らかに不審な人物には注意を払うことでしょうが、それ以外でも注意が必要です。特に、観光客だと分かって声を掛けてくる人は一見親切に見えても最低限の警戒は怠らないようにしましょう。出された飲料を飲んでしまって意識混濁している間に窃盗に会うことなどもあります。

1-4.同伴者と行動する

一人で歩くことは、スリに狙われやすい行動です。同伴者と一緒に歩くことで、スリに狙われにくくなります。またスリに狙われやすいタイプというのもあります。例えば高齢者や明らかな観光客は狙われやすい傾向もありますので現地の人や屈強な体格の人が一緒の方が安心です。(今回は集団で行動していたのですが、一番後ろを歩いていた時に狙われたようです)

1-5.詳しい人に事前のアドバイスを求める

現地の人やホテルのコンシェルジェ等にアドバイスを求めることで、スリに合わないための助言を得ることができます。現地の人に聞くことで、スリに狙われる可能性の高い場所や、犯罪が多い時間帯などを知ることができます。

以上のポイントに気をつけることで、スリに合わないように注意することができます。旅行前には、事前に現地情報を収集し、対策を考えることも重要です。また、スリに遭遇した場合には、冷静に行動し、即座に警察官に相談するようにしましょう。

2.被害が小さくなるようにする事前の工夫

相手もプロですから、100%スリを防ぐことは難しいこともあります。
仮にスリの被害にあっても被害が小さくなるための対策は色々考えておきましょう。

2-1.分散して持つ

スリに狙われて財布やバッグを盗まれた場合でも、現金や貴重品を分散して持っていると被害が最小限にとどめることができます。現金を数千円単位で分けて持つ、クレジットカードやパスポートを複数箇所に分けて持つなど、分散して持つようにしましょう。(今回痛かったのは現金とパスポートを一緒に持っていたこと。これは痛かった。)

2-2.通信手段を2つ以上持つ

また窃盗にあうのがスマホの場合もあります。そうなると現地で通信手段を失ってしまいます。そのため、Wi-Fiで通信できる古いスマホなども充電して分散して持っておくと良いでしょう。

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2-3.クレジットカードやパスポートは写真を撮っておく

クレジットカードやパスポートが盗まれた場合は、すぐにカード会社や大使館に連絡を取り、カードの利用停止やパスポートの再発行手続きをしていくことになります。おすすめは財布の中身を並べてスマホで写真撮っておくこと。それをクラウドに同期しておけばどのような場合にも対応できる可能性があります。パスポートはコピーを持っておくこと。

2-4.保険に入っておくこと

旅行保険は窃盗の被害をカバーしてくれるものに入っておくと良いでしょう。また、代替の移動手段を手配してくれたり、現地でのサポートを提供してくれたりする付帯保障もあるものがあります。困った時にこのようなサポートは心強いでしょう。

2-5.揉めたら抵抗せずに渡す

スリや窃盗犯に絡まれたらまずは命を優先しましょう。そのため、最悪の場合は抵抗せずに持っているものを渡した方が良い場合もあります。相手が暴力行為に出る事もありますので、自分の身を守るためにも渡す方が安全です。

3.スリにあってからの初動

まずは悔やんでもしょうがない、だれでも起こりうることだと思って冷静になって対応しましょう。
(今回、財布がない!と気づいてからかなり冷静に対応できました。)

3-1.まずは深呼吸

スリに遭遇した場合、パニックになってしまいがちです。また周りが犯人かもしれないと思い疑心暗鬼陥ってしまう事もあるかもしれません。しかし、助けてくれる人はいっぱいいます。大抵の事はどうにかなりますからまずは落ち着いて深呼吸をしましょう。

3-2.近くに助けを求める

犯行現場に気付いた時は人々に助けを求めるために大声で叫ぶのは有効です。スリは、被害者が声を上げることを嫌います。また、後で気付いた場合は、周りの人に助けを求めましょう。ホテルの担当者などは対応に慣れています。遠慮せずに助けを求めましょう。

3-3.旅行会社や大使館に相談する

冷静になったら旅行会社や大使館に連絡をしましょう。旅行会社を通している場合や添乗員がいる場合は同様の知見がいっぱい溜まっているので冷静にやるべきことを指示してくれるはずです。また、大使館や領事部もネットで探せばコンタクト先が出ます。大使館は国民(あなた)を守るのが仕事、遠慮せずに助けを求めてください。

4.スリに有ってしまってからの対応

冷静になったら周りが見えてくると思います。パスポートが無ければ帰国も出来ないですから何らかの代替手段を確保したりする必要があります。まずは腹を据えて安全を確保しましょう。パスポートがないのはしょうがないとして、ホテルに交渉して宿泊を延期してもらうことや通信手段を確保することに努めましょう。帰国までは概ね以下の流れになるはずです。

4-1.支援者と共に現地警察で被害届を出す

まずは被害届が必要です。支援者と共に警察に赴き盗難届を提出します。
日本と違い警察はフレンドリーでないことも多く、対応に時間がかかる場合も少なくありません。
(夜中でも対応はしてくれはず・・・という期待をしてしまいましたが、今回、正式な書類とするために警察幹部のサインが必要と言うことで翌日朝にもう一度行くことなりました。)

4-2大使館・領事館に行き渡航書を取得

証明書類を日本大使館に持参して、紛失した旅券の失効手続をします。その後新たに旅券を申請するか、帰国のための渡航書を発給してもらいます。「帰国のための渡航書」は日本への帰国に限られ、第三国への入国は出来ません。

4-3.各種手配

クレジットカード会社や銀行に電話をしてストップしましょう。カードを止めること自体はすぐにできます。航空会社・保険会社などに連絡して帰りの便などを再手配すること、また保険会社にも連絡をしましょう。取り直した航空便の費用などが保障の対象になることがありますので、確認しましょう。

5.意外に出てくる場合も

実は今回、このスリの被害に有った財布とパスポート、現金以外は丸ごと見つかりました。
スリの被害者も足がつくことを避ける傾向がありますので、現金を抜いたら道端に捨てる可能性があります。それを見つけて連絡をくれる場合があるのです!ですので、最後まで希望をもって進みましょう。もしかしたら日本に帰国後に朗報が届くかもしれません。ですので、あきらめずに待ちましょう。

<実際の体験談>
帰国前、みんなで食事をした後ホテルに21:00集合だったので、20:30過ぎにカフェを出ました。
(ちなみに、カフェでお財布を出したので、その時点ではお財布とパスポートがあったことを確認しています)

ホテルへ向かう道中(いま、思い出すと)2回ほど背中を押されたような感覚がありました。
ホテルへの帰り道は、僕の前を女性3人が歩いて、僕が1番後ろを歩いていました。
「えっ、、、まさか、、、、」血の気が引くとはまさにこのことです。
「日本帰れない、、、」「仕事どうしよう。アポもある。」「しばらく、現地でバイトしないと!?」
いろんなことが過ぎりました。

その後、現地の方とホテルのおじさんに助けられ、近くの公安に盗難届を出しに行きました。
が、、、、「責任者がいないので、明日の朝8:30にまた来てくれ!」と。
「えー!?そんなことあるの!?」翌朝、気を取り直して、公安に行きます。

そこで盗難届が受領されたのですが、待っている間の数分間に事態は急変!

私の携帯に一通の不審なメールがきました。その謎のメールのタイトルは「紙かみが落ちる」
一瞬、迷惑メールかと思い、開封するのをやめようと思いました。でも、なぜか少し胸騒ぎがして開封してみました。

そこには、たどたどしい日本語で、
「おはようございます!あたなはMさんですか、今はベトナムがいますか。わたしはベトナムでパスポートのあなたがもらいました。Emailを貰ったら、Mへ貰うに行ってね。」

そのメールには、写真が添付されていました。
なんと、それは紛れもなく私のパスポートと、私の名刺です。
思い返せば、私は財布にいつも名刺を入れていたのです。私の財布を拾ったベトナムの方が、中に入っているパスポートと私の名刺をみて、困っているものだと思って連絡をくれたのでした。
私は、その方に、メールで感謝を伝え、その住所にある公安に行きました。現地の方に協力してもらい、5,6キロ離れたその公安に行ったところ、私の盗まれた財布とパスポートがあったのです!

「ベトナムにも神様っているんだ!」
これほどまでの安堵感を感じたことは、今までの人生でなかったかもしれません。

ちなみに、今回返ってきたものは、パスポート、マイナンバーカード、銀行のキャッシュカード、健康保険証、わずかなベトナムドン、日本円の小銭、名刺、そして「一陽来復」のお守りです。
一方で、クレジットカード3枚、運転免許証、日本円3万円は無くなっていました。
運転免許証が盗まれて、マイナンバーカードが戻ってくるとは、ベトナムも日本のマイナンバーカードは使えないモノなのか・・・。
一般的に海外で盗難にあうと十中八九盗まれたものは戻ってこないと言われていますが、今回は違いました。
メールをくれた方に、お礼と質問をしてみたところ、日本で6年間ほど働いていたということ。異国である日本の生活は大変なことも多かったと思います。でも、それ以上に日本を良く思ってベトナムへ帰国された方と想像することができました。
日本人の優しさがベトナム人に伝わり、そしてベトナムの地で日本人に返ってきました。
日本人であることを誇りに思い、ベトナムが大好きになった、そんな経験でした。

 
寄稿:デジタルカレッジKAGA

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