ビジネス基礎知識

2024.02.19

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メタバースとは?仮想空間や関連ビジネスの事例など基礎情報を解説!

近年、メタバースをビジネスに取り入れる企業が増えたこともあり、「メタバースとは何?」と気になっている人もいることでしょう。
メタバースは、今までの2次元的コミュニケーションからより現実世界に近づいたコミュニケーションが可能と言われ、注目を集めています。
この記事では、今後さまざまな場面で活用されるであろうメタバースの基礎を解説。
注目される理由や実際にビジネスシーンで活用されている事例なども紹介していきます。

1.メタバースとは

メタバースとは、インターネット上に作られた多人数参加型の仮想空間や、仮想空間内で行われるサービスのことです。

メタバースの名前は、「超越」や「高次元」を意味する英単語の「メタ(meta)」と、
「宇宙」や「世界」を表す英単語「ユニバース(universe)」をかけ合わせた造語に由来します。
参加すると、仮想空間上にアバターと呼ばれるユーザー自身の分身を作れます。

アバターは仮想空間上を自由に動き回ることが可能で、仮想空間上にあるお店でショッピングしたり、バーチャル旅行に参加したりなど、
仮想空間で提供されるサービスを現実世界のように体験できます。

2.メタバースの特徴

メタバースの概念が初登場したのは2007年ごろ。
しかし当時は定着せず、一過性のブームで終わりました。

メタバースが再度注目されるようになったのは、2020年ごろのコロナ禍がきっかけです。
現実世界で行われていたイベントやビジネスを、コロナウィルス感染リスクを恐れることなく、
場所や時間を選ばず継続できる場所として期待が集まったため、現在のような盛り上がりを見せています。

この章では、メタバースの特徴について見ていきましょう。

2-1.場所を選ばず利用できる

メタバースは、パソコンやタブレット、スマホなどのデジタルガジェットさえあれば利用できるため、
活動のための場所や時間をユーザーの都合に合わせられます。

例えば、国際会議や海外の取引先と商談をする場合などを想定してみましょう。
話をするために相手に来てもらうか自分から現地へ行かなくてはならず、移動の手間や時間のロスが起こります。

一方で、メタバース上で会えば場所や時間をお互いの都合に合わせられます。
移動や宿泊の費用が発生することもありません。

2-2.他のユーザーと簡単にコミュニケーションできる

ZOOMなど従来のオンライン会議システムでは、誰かが話しているときに他の参加者と違う話をしたり、
実際の会話のように、会話の相手を自由に変更したりということが難しいです。

一方、メタバースではユーザー同士のコミュニケーションが自由に行えます。
前述の通り、仮想空間を動き回れるだけでなく、話したい相手と自由に会話できるのが特徴です。

近年では、このメリットに着目する企業が少しずつ増加しています。
特に、オンラインイベントや国際会議などの、大人数を集める催しで活用されています。

2-3. デジタルデータに唯一無二の価値を持たせられる

メタバースが登場した2007年当時に比べると、現在のパソコンの性能や通信技術、3D技術などが大幅に向上しています。
このことも、メタバースが注目される大きな要因になりました。

特にNFTと呼ばれる技術は、メタバースに大きな影響を及ぼしました。
NFTがメタバースで重視されるのは、メタバース内のモノに、現実世界のモノ同様価値をあたえられることに理由があります。

NFT技術で作られたデジタルデータは、コピーや改ざんができません。
そのため、メタバース内で取得した暗号資産や不動産などのデータに、NFT技術で所有権を付与できます。
分かりやすい例は、1つの作品に何億円もの値段がついて話題になった、デジタルアートの分野でしょう。
モナリザなど、美術館で見ることのできる芸術作品と同様に、デジタルアートにも唯一無二の価値を持たせられるようになったのです。

2-4.経済活動ができる

近年では、企業がメタバース上にバーチャル店舗を設け、商品を販売することも増えてきています。

従来のネットショップでは、いまいち商品の実感がつかめなかったり、店員に相談しながらの購入ができなかったりと限界がありました。
一方、メタバース上のバーチャル店舗では、バーチャル店員に相談できます。

また、限りなく実物に近い商品サンプルを見れるなど、現実世界に近いショッピングが可能です。
消費者のニーズによりそった販売手法を展開できることから、バーチャル店舗に注目が集まっているのです。

メタバース不動産と言われるタイプの不動産にも注目が集まっています。
人気ゲームの舞台になっている場所など、メタバース上の土地を欲しがる人が増えたことが理由です。
仮想空間上ながら不動産としての資産価値が生まれたことをきっかけに、現実の不動産同様メタバース上で取引が行われています。

3.メタバースの海外ビジネス活用事例

これからのメタバースは、さらに発展することが期待されています。
現在、海外のビジネスシーンでは、どのように活用され始めているのでしょうか。
ここからは、海外でのビジネス活用例を見てみましょう。

3-1.メタバース上の講義【スタンフォード大学】


画像出典:スタンフォード大学公式HPより

全講義をメタバースで行う「Virtual People」というプログラムを行っているのが、アメリカのスタンフォード大学です。

擬似体験ができるVR(バーチャルリアリティ)ヘッドセットをパソコンにつなぎ、仮想空間上で講義を受けられるのが特徴です。
授業は、VRがどのように発展し社会へ浸透してきたか、そしてどのように社会に貢献できるのかを考える内容です。
特徴的な実習の1つに、被差別擬似体験のプログラムがあります。
差別を受けるとはどのようなことなのかなどを、当事者の立場で体験学習できます。

現実では起こりにくいことを、メタバース上なら擬似体験として簡単にプログラムできるため、学習に高い効果が期待されています。

公式HP:https://news.stanford.edu/2021/11/05/new-class-among-first-taught-entirely-virtual-reality/

3-2.メタバースを都市計画に活用【シンガポール政府】


画像出典:The GeospatialSG Programme「バーチャルシンガポール」公式HPより

メタバースにいち早く着目し、「バーチャルシンガポール」として公共サービスに応用しているのがシンガポール政府です。
メタバース上にシンガポール国土を再現し、効率的に都市計画を進めるツールとして活用しています。

国中に設置されている監視カメラや天候状況など、バーチャルシンガポールは現実世界の情報と連動しています。
そのため、都市計画を進める上でのシミュレーションが可能です。
例えば、インフラ改善のため道路を作る場合、どの程度渋滞が緩和されるかを予測できるほか、
どこに発電所を作れば最も効率よく電力供給が可能か、などをシミュレーションして建設計画を立てることができます。

シンガポールは島国で国土が狭い国ながら、国民の大半は移民で構成されています。
今後さらに増えると予測される人口に対応し、より効果的な開発や都市計画を進める上での重要なツールとして活用されているのです。

公式HP:https://www.sla.gov.sg/geospatial/

3-3.ビジネス用メタバースのツール ・Mesh【マイクロソフト】


画像出典:マイクロソフト公式HPより 

Meshは、マイクロソフト社が開発したメタバース上で会議やイベントを行えるツールです。

会議用ソフトウェアとしてすでにリリースされている、同社のTeamsの進化版として開発されました。
アバター機能の追加や、より現実のオフィス空間に近づけた仮想空間の作成機能も搭載しています。
アバターを使うことで、現実世界で会話しているように他のユーザーと話し合ったり、大人数で会議したりすることができます。

物理的に離れている相手とも側にいるように話し合えるので、新世代のコミュニケーションツールとして注目されています。

公式HP:https://www.microsoft.com/en-us/mesh

4. メタバースの国内ビジネス活用事例

昨今、日本のビジネスシーンでもメタバース活用へ本腰を上げる企業が増えつつあります。ここからは、国内のビジネス活用例を見てみましょう。

4-1.REV WORLDSでショッピング【三越伊勢丹】


画像出典:REV WORLDS公式HPより

REV WORLDS(レヴ ワールズ)とは、メタバース上にオープンした三越伊勢丹のバーチャル店舗です。
仮想空間上にある店舗の外装に伊勢丹新宿店を再現し、ユーザーに、よりリアリティを感じながらショッピングを楽しめる設計です。

バーチャル店舗は、三越伊勢丹オンラインショップと連動しており、バーチャル店舗で買いたくなったものは、実際に購入できるようになっています。
バーチャル店舗オリジナル商品やコンテンツなど、バーチャル店舗でしか体験できないサービスも用意。
ショッピングだけでなくイベントへの参加やファッション体験ができるということから人気を呼び、利用者が増えています。
2021年のサイトリリース後、同社の2023年3月期EC売上高は約400億円に達しました。

期間限定で、他のメタバースプラットフォームにも出店するなど、メタバース上の店舗展開に注力する三越伊勢丹。
メタバースがもたらす新しいビジネスに、期待が寄せられています。

公式HP:https://www.rev-worlds.com/

4-2.エンターテイメントも会話も楽しめるプラットフォーム ・αU【KDDI】


画像出典:αU公式サイト

KDDIで展開しているαU(アルファユー)は、メタバースプラットフォームです。

ライブやイベントなどのエンターテイメント体験や、友人知人とアバターで会話できる機能、
ショッピングを楽しめるバーチャル店舗機能など、メタバースを楽しむコンテンツが充実しているのが特徴です。

特に、ショッピングコンテンツの充実度は見逃せません。
auのバーチャル店舗が置かれており、最新モデルのスマホを見たり、バーチャル店員に相談しながら実際にスマホを購入可能です。
また、無印良品やセレクトショップLui’sなども出店し、注目を集めています。

公式HP:https://alpha-u.io/

4-3.秋葉原の中心エリアを再現 バーチャル秋葉原【大日本印刷】


画像出典:バーチャル秋葉原公式HPより

大日本印刷とAKIBA観光協議会が展開するのは、メタバース上の秋葉原です。
秋葉原のメインストリート、中央通り沿いのエリアやJR秋葉原駅を再現し、より実際の秋葉原に近い体験ができるプラットフォームとなっています。

バーチャル秋葉原では、実際の店舗を模したバーチャル店舗で実際に商品を見たり、購入したりが可能。
他にもイベントの開催やギャラリースペースの設置などもあり、実際に秋葉原を訪れているような体験ができます。

また、注目を集めるポイントの一つは、秋葉原のシンボルである神田明神も再現されていることです。
海外でも注目度が高い、日本の伝統に関わるコンテンツを積極的に発信する場として、活用が期待されています。

公式HP:https://www.virtual-akihabara.com/

コラム:メタバースの利用の注意点
今後の発展がさらに期待されるメタバース。
とはいえ発展途中の分野のため、むやみに利用するのはリスクが伴うかもしれません。
利用するときには下記のポイントを心がけましょう。

・依存性がある
メタバースはスマホやパソコンなどでも手軽に利用できる点から、今後さらに未成年の利用が拡大することも予想されます。
日常生活が疎かにならないよう、利用するコンテンツの内容には日常的に注意を払いましょう。

・個人情報流出などセキュリティに注意
利用時間が長くなればなるほど、個人情報流出の危険度が上がります。
デジタルガジェットにはセキュリティソフトを常駐させるなど、ユーザー側でも自衛策をとることが欠かせません。

・詐欺など犯罪に流用される恐れがある
アバターを使うコンテンツは特に、匿名性が高いです。
知らないうちに犯罪行為に悪用される懸念もあるので、あやしいと感じたものは利用しないことを心がけましょう。

・法整備が追いついていない
日本だけでなく、世界各国で関連する法律の整備が遅れているのが現状です。
トラブルに巻き込まれた場合解決が難しく、泣き寝入りということも考えられます。
メタバース内での高額の買い物や投資話などに乗らないよう、用心を怠りなく!

まとめ:メタバースとは新しいビジネスを切り開くツール

メタバースとは、新しいビジネスの世界を展開するツールと言えます。
現実世界に存在する産業や経済および文化の発達が、今日の世界の繁栄をもたらしました。
そこからさらに踏み込んで、人類の想像力の延長線上にある世界をも現実同様に発展させ、
新しいムーブメントを作り出す流れを、メタバースや最新のデジタル技術が大きく後押しすることでしょう。
今後はさらに、勢いを増すことが予想されます。

時代の潮流に合わせて自分のビジネスを拡大したいと考えている方は、メタバースの活用を考えてみると良いでしょう。
思わぬビッグチャンスを掴めるかもしれません。

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文:Rie.Barsanti

編集:カワムラ ルイ(リベルタ)