アジアのビジネスドレスコードは日本とは異なることや、各国の服装や注意点を「【前編】アジアのビジネスドレスコードとは?主要10か国の例を紹介」で紹介しました。
後編のこの記事では、ビジネスドレスコードの背景にある宗教的・文化的、また気候的な理由を解説します。
ビジネスドレスコードの背景を把握し、「なぜこのようなドレスコードなのか」を理解することは、相手に敬意を払うことでもあります。
こうしたリスペクトは、相手にも伝わり、良い関係が構築できるでしょう。
1.アジアのビジネスドレスコードを知るべき理由
アジアには、国や地域、宗教・文化的背景によって日本とは異なる独自のドレスコードが数多く存在します。
宗教や文化による独自のドレスコードを理解することは、アジアでビジネスを行ううえで非常に重要です。
例えば、イスラム教やヒンドゥー教信者の多い国(マレーシア、インドなど)では女性の肌だけでなく身体のラインが出る服を着ることはタブーだと考えられています。
また、マレーシアの企業の多くで、ムスリム(イスラム教徒)女性はヒジャブ着用が一般的です。
ビジネスシーンだからといってヒジャブを脱ぐということはありません。
インドネシアのように「バティック」と呼ばれる伝統衣装が正装とされている国もあり、商談で伝統衣装で参加する人もいます。
海外の相手との仕事で信頼関係を築くには、こうした互いの文化・宗教的な背景を理解し合うことが不可欠です。
相手国の文化に合わせたドレスコードを知り、尊重する姿勢は、その理解と敬意を伝える第一歩と言えるでしょう。
東南アジアの気候に適した素材選び
東南アジアは一部の地域を除けば、一年中高温多湿です。
気温と湿度が高い地域では、以下のような通気性の良い素材の服を選ぶことで、快適に過ごせます。
【おすすめの素材】
・綿
・麻
・薄手のメリノウール
ウールは保温性に優れた冬向きの素材ですが、メリノ種という羊から採れるメリノウールは身体の汗を吸収し外へ逃がすため、汗によるベタつきを軽減できます。
上記以外にも、ポリエステルなどから作られている吸汗速乾素材や接触冷感素材もおすすめです。
2.アジアのビジネスドレスコード注意点2つ
アジアでビジネスを行う際は、服装そのものだけでなく、その土地の宗教や文化、気候といった背景を理解しておくことも大切です。
何気なく選んだ服が、相手に誤ったメッセージとして伝わってしまったり、現地の気候に適さなかったりすることがあるからです。
ここでは、アジアでビジネスドレスコードを考えるうえで押さえておきたい注意点を「宗教・文化的背景」と「気候・環境」の2つの観点からご紹介します。
2-1.宗教的・文化的背景を理解する
宗教的・文化的背景を理解したうえで、服装を選ぶべき理由は、相手への敬意を表すためです。
服装のタブーをルールとして捉えるのではなく、背景を理解していると共感した上で振るまえるので、相手を尊重する姿勢が伝わりやすくなります。
2-1-1.女性の肌の露出を控える理由
国によって女性の肌の露出や身体のラインを出す服装が控えられがちなのは、宗教や伝統に基づく「慎み深さ」の価値観があるためです。
イスラム教では信仰上の慎みとして肌を覆うことが重んじられ、カトリックでも謙虚さや品位が美徳とされています。
インドでは宗教に加え、女性の服装が家族や社会の名誉と結びつく伝統的な考え方があります。
こうした背景を理解して、女性は肌や身体のラインを出さない服装を選ぶと安心です。
女性は持参しておきたいスカーフ
イスラム教では女性が髪や首、肩を出すべきではないと考えられ、多くの女性が「ヒジャブ」と呼ばれるスカーフで頭部から肩を覆っています。
外国人や非イスラム教徒はヒジャブ着用の義務はありませんが、保守的な地域やモスクなどでは着用が義務付けられています。
イスラム教国への出張や滞在の予定がある女性は、大きめのスカーフを用意しておくと役立つでしょう。
冷房や紫外線対策としても使えます。
2-1-2.ムスリム男性がヒゲをそらない理由
日本のビジネスシーンでは身だしなみとしてヒゲを剃る人が多いですが、ムスリム男性はヒゲをあえて剃りません。
イスラム教ではひげは信仰心や一人前の男性であることを表し、非ムスリムと区別するためでもあります。
ですから、商談の場だからといってヒゲを剃らないのです。
2-1-3.一部のインド人がターバンを外さない理由
インドではターバンを巻いた男性を目にする機会があるかもしれません。
ターバンを巻いている男性は15世紀末に北インド・パンジャーブ地方で創始されたシク教を信仰している人たちであり、単なる装飾品ではなく、信仰心の表れです。
シク教において髪は神聖なものとされているため、保護するためにターバンを巻いています。
ですから、ビジネスシーンでもターバン姿で登場します。
こうした装いで現れた相手に対しては、その背景を理解し、敬意を持って接するようにしましょう。
2-1-4.特定の色がタブーとされる理由
国によっては、色が特別な意味を持っています。
たとえば中国では、赤は縁起の良い色とされる一方、白は弔事を連想させることがあります。
ビジネスシーンでは、水色や薄いグレー、アイボリーなど落ち着いた色を選ぶとよいでしょう。
またタイでは、赤と黄色に注意が必要です。
2000年代から2010年代にかけて、タクシン元首相派を支持する人々が赤いシャツを、反タクシン派が黄色いシャツを着用して対立し、社会的な分裂を招いた経緯があるからです。
マレーシアでは黄色い服は避けるほうが無難です。
2015年に発生した反政府デモ「ブルシ」以降、黄色は反政府運動を連想させる色ともいわれているためです。
ビジネスの場であえて赤や黄色の服を選ぶ人は少ないと思われますが、色に関するタブーを知っておくと、無意識に相手へ不快感を与えてしまうことを防げます。
国によって、特定の色の服を選ぶことを避けたほうが良い場合があることは知っておくとよいでしょう。
2-2.気候や環境を把握する
現地の気候をあらかじめ把握しておくと、出張先や駐在先でも快適に仕事を進めやすくなります。
たとえば東南アジアは一年を通じて気温が高い一方、電車やタクシー、飲食店だけでなく、オフィスや会議室も日本以上に冷房が強く効いています。
身だしなみのためだけでなく、体が冷えないよう、羽織れるジャケットを一枚持っておくと安心です。
また、国土の広いインドは、北部と南部で気候が大きく異なります。
一年中暖かいイメージを持たれがちなインドですが、ニューデリーなど北部は日中20度前後まで上がっても、朝晩は10度以下まで冷え込むことがあります。
一方、南インドのチェンナイやバンガロールでは、冬でも最高気温30度前後、最低気温20度前後と温暖です。
訪問する地域の気候に合わせて、服装を調整するようにしましょう。
出発前に確認したい現地の気温
北海道と沖縄では、気温が大きく異なるように、アジアの他の国々も、地域によって気候が異なることは珍しくありません。
例えば、ベトナムの場合、ホーチミンなど南部は年間を通じて高温多湿ですが、北部のハノイは夏は蒸し暑いものの冬は最低気温10度前後、最高気温20度前後と涼しくなります。
また、タイは地域によっては1日のうちに気温が大きく変化します。
山岳地域のチェンマイやチェンライなどは寒暖差が大きく、日中は気温が30度前後でも朝晩は15度前後、早朝は10度くらいまで下がることも。
ですから、「東南アジアだから、一年中暖かいはずだ」と考えず、事前に現地の気温や天候を確認することが大切です。
まとめ:アジアのビジネスドレスコードをおさえることは相手への敬意の現れ
アジアのビジネスドレスコードは、身だしなみのルールだけを意味するものではありません。
アジアの国々でビジネスをするときや商談に参加するとき、相手に合わせた服装を選ぶことは、その国や地域の宗教や文化といった背景を理解し、相手の文化そのものへの敬意を示すことにつながります。
逆に、その背景を知らずに日本と同じ感覚で装いを選んでビジネスの現場に向かってしまうと、悪気がなくても相手に違和感を与えてしまうかもしれません。
現地のドレスコードに合った服装で臨めば、相手との距離感を縮め、良好な関係構築ができるでしょう。
アジアでビジネスの予定のある方は、渡航前にこの記事を参考に服選びをしてみてくださいね。
また、本記事の前編では、アジアの主要な国別にドレスコードを紹介しています。
こちらも併せて、ぜひご一読ください。







