取材記事

2023.04.19

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今注目のアーバンスポーツ!Web3や地方創生まで株式会社ZETAが見据える可能性

株式会社ZETA
代表取締役CEO 財満 栄治 氏

東京オリンピックの競技種目にスケートボードやBMX、スポーツクライミングなどのアーバンスポーツが追加されるなど、
世界ではストリート・アクションスポーツへの注目が高まっています。

こうした中、2013年からいち早くストリート・アクションスポーツ総合ニュースメディア『FINE PLAY』を立ち上げ、運営しているのが株式会社ZETAさん。
近年は、メディア運営にとどまらずイベント開催やweb3事業、地方創生事業などを手掛けています。

ビジネスのアシストを成功させるヒントをトップランナーに聞く今回の企画では、株式会社ZETAの代表取締役CEO 財満 栄治 氏にインタビュー。
アクションスポーツ、ストリートカルチャーに特化した事業を展開する想いやきっかけ、仕事をする上で大切にしていることなどを伺いました。

1.アーバンスポーツに特化した事業を始めたきっかけ

東京オリンピックでBMXやスケートボードなどが種目に加わってことに加えて、
パリオリンピックではストリート・カルチャー発祥のダンスバトル、ブレイキンも新種目として追加されます。
都市型のスポーツとして、近年ますます盛り上がっているアーバンスポーツ。
株式会社ZETAではどんな切り口で、このアーバンスポーツ事業に取り組んでいるのでしょうか?

ーー株式会社ZETAでは、どんな事業を展開しているのか教えてください。
弊社株式会社ZETAではアクションスポーツ・ストリートカルチャーに根ざして事業を展開しています。
主に、
・メディア事業
・クリエイティブ事業
・地方創生事業
・Web3事業
の4本柱で事業を展開しています。

ーーメディア事業では、どんな取り組みを?
『FINE PLAY』という、アクションスポーツストリートカルチャーに特化したメディアを立ち上げ、運営しています。
「Yahoo!ニュース」をはじめとした、ニュース配信サービスにもコンテンツを配信するメディアに成長してきました。
また、スケートボードのWebメディアCURRENTも最近立ち上げました。

ーーメディア運営だけでなく、映像制作なども行っていると伺っています。
『FINE PLAY』では番組制作協力なども行っています。
こうしたノウハウをさらに事業として生かし、映像制作やウェブサイトの運営などを行うクリエイティブ事業も展開しています。

ーー地方創生やWeb3事業にも取り組まれている点に、先進性を感じます。
ありがとうございます。地方創生事業では、ストリートスポーツをフックに地方でイベントを開催したり、
地方のリソースとストリートスポーツを組み合わせたものを展開することで、地域が活性化するお手伝いができたらなと思っています。

Web3事業も最近始めた事業ですが、NFTですとか、メタバース空間を活用したサービスにも積極的に取り組んでいます。

2.サラリーマン時代に立ち上げたメディア事業『FINEPLAY』

2018redbull
2018年 Red Bull BC ONE WORLD FINALチューリッヒで取材した時のFINEPLAYチーム

ーーなぜ、アクションスポーツやストリートカルチャーに特化した事業を始めたのでしょうか?
株式会社ZETAは、私がサラリーマン時代に始めたメディア事業『FINE PLAY』からスタートした会社です。

サーフィンだけのメディアや雑誌とか、スケートボードだけの雑誌メディアのように、特定の種目に特化したものはたくさんありましたが、
複数のスポーツを横断的かつ総合的にまとめたサイトはありませんでした。
そこで、「いろいろなアーバンスポーツを扱う総合メディアをちょっと作ってみようかな」と思い作ったのが始まりです。

ーーアーバンスポーツに特化したことで良かったことはありますか?
今もそうですが、『FINE PLAY』のようにアーバンスポーツに特化した総合サイトは国内にはあまりありません。
独自性を確保できているところはよかったなと感じています。

また、メディアを立ち上げてから、2021年開催の東京五輪でスケートボードやサーフィンがオリンピック(の種目)に決まり、
ちょうど追い風になりました。ブレイキンも2024年開催のパリオリンピックに新種目として追加されています。

『FINE PLAY』はこのあたりも全部フォローできているんですね。いい風に乗れているなという手応えはあります。

ーー財満さんもサーフィン以外にアクションスポーツやストリートスポーツの経験はあるのでしょうか?
サーフィンは20年以上やっています。スケートボードもスノーボードも楽しんでいますよ。
いわゆる“3S”と言われる、サーフィン・スケートボード、スノーボードは網羅しています。
BMXは前にちょっと何かチャレンジしていますし、ボルダリングも好きでやっていたりとか。

なかなかブレイキンのようなダンスはできていませんが、自分がチャレンジできそうだと思うものはチャレンジしています。

3.アーバンスポーツの可能性はメディア運営にとどまらない!地方創生にも貢献!

株式会社ZETA 財満さん

メディア運営からスタートした株式会社ZETAの取り組みは、メディアの枠を超えて地方創生や、今注目が集まるWeb3事業へも広がっています。
具体的にどんな取り組みをしているのか、なぜメディア以外にも活動の場を広げているのか、その理由を今後の展望も交えて伺いました。

3-1.メディア事業から自然発生的に生まれたイベント事業

ーーメディアに限らず、近年はイベント事業にも積極的に取り組んでいらっしゃいますね。どのようなきっかけで?
最初は、メディアとクリエイティブ事業を中心にやっていましたが、事業を続けていく中で、いろんなことを相談されるようになりました。

例えば「キャスティングできないですか」とか、「ちょっとしたワークショップはできますか」とか。
こうした相談にお答えする形で、少しずつ事業の幅が広がっています。

ーーイベント事業とメディア事業はそれぞれ異なる価値観や目的で取り組まれているのでしょうか?
価値観としては全然別ですね。とはいえ、相互的に関わり合うところは多分にあります。

例えば、運営の実行委員会として入っている横浜のアーバンスポーツイベントは、メディア事業でも関わっています。
私たちが手がけるのは、基本的にアクションスポーツ・ストリートカルチャーに関わるものだからこそ、全てが総合的に絡み合っていると言えます。
株式会社ZETAではクリエイティブとかキービジュアルも作れますから。

また、映像作品なども、パートナーと一緒に作っています。
メディア事業やイベント事業に取り組むことで、生まれた出会いをきっかけに、自分たちがハブになって挑戦できる取り組みがどんどん広がっているのが今の形です。

ーー数々のイベントを成功に導いている秘訣は?
『FINE PLAY』というメディアを始めて、今年でちょうど10年目となります。
単なるメディア運営だけでなくイベントまで手掛けさせてもらえているのは、いい仲間や素晴らしい先駆者の方々の力添えがあったからだと感じています。

僕たちより、ずっと前からこのシーンをずっとやってきた方々がいらっしゃるなかで、ご一緒させてもらって、今があります。

赤レンガ
YOKOHAMA URBAN SPORTS FESTIVAL 2022

ーー先駆者の方の力があるからこそ、実現できているということでしょうか?
その通りです。アーバンスポーツイベントは、僕らだけでは当然できないことです。
イベントは運営、参加者、観覧者の方など、たくさんの方の力が集まることで、イベントになっていくと思っています。
先駆者の方と一緒にやっていくことがやっぱり一番です。

3-2.地方創生やWeb3事業を通じて社会に貢献していきたい

ーー地方創生事業にも取り組んでいると伺っています。詳しく教えてください。
ひとつは、ストリートスポーツのコンテンツを地方で開催することです。
競技会や体験会などで、たくさんの人に見てもらったり、体験してもらったりっていう企画に、今まさに取り組んでいます。

また、もうひとつはストリートスポーツで使われるアイテムに、日本の伝統的な工芸技術を加えた商品を作る取り組みも始めています。
売り上げの一部は、地方にももちろん使用料として還元しています。私たちの取り組みが伝統工芸を守ることにもつながるといいですね。

今後、ストリートスポーツという切り口からどう伝統工芸に貢献できるのか、私たちも楽しみにしています。

ーーWEB3事業に関してはいかがでしょうか?
2022年に、メタバース上で乗れるスケートボードを500個限定で販売しました。おかげさまで、すぐに完売しました。

画像出典:株式会社ZETA プレスリリース

また、今はですね、3月にとある企業さんと、メタバース空間上にストリートスポーツのワールドを構築しています。
メタバース内でストリートスポーツを楽しむという取り組みにも積極的にチャレンジしていきたいと思っています。

ーー事業の幅が広がる中で、アーバンスポーツに取り組む姿勢に変化はありましたか?
私たちの事業を通じて、アクションスポーツやストリートカルチャー、そして社会に対してもっと貢献していきたいと考えるようになりました。

イベントももちろんですが、地方創生事業もその一つ。事業を通じて、地方にも還元できることもやっていこうということで、2年前ぐらいから本腰を入れています。

4.好きなことで生活できるのがあたり前の世界を作りたい

トニーホーク
スケートボード界の神と呼ばれるトニー・ホークを取材した時の写真

ーー株式会社ZETAの事業を通じて、どんな世界を作りたいと思っていらっしゃるのでしょうか?
常に考えているのは、アクションスポーツやストリートカルチャーをどうやって次のステージに持っていくかというところです。会社の事業の柱にもなる考えです。

アスリートの子たち、例えばダンサーとかサーファーとかスケートボーダーたちが、好きなことだけをやって生活できるような世界を作っていきたいですね。

そのためにできることは、たくさんあります。メディアとして選手や競技の魅力をどんどん配信することで、
もっとたくさんの人にスケートボードやサーフィンとかダンスなどアーバンスポーツを知ってもらうというのもその一つです。
また、イベントを通じて、アーバンスポーツの魅力をひとりでも多くの方に体験してもらいたいですね。

ーーそのために、イベントやWeb3事業も大切になってくる?
その通りです。見てもらう、体験してもらう場所を作れば、アーバンスポーツやストリートスポーツの認知が広がります。
認知が広がり、もっとファンやアーバンスポーツを身近に楽しむ人が増えれば、アーバンスポーツで食べていける人が増えるはずです。

アーバンスポーツの世界で頑張っている子たちが、好きなスポーツに本気で打ち込んでいくことで生活できるようにすることが、株式会社ZETAの使命だと思っています。

ーー今後の展望は?
アクションスポーツ・ストリートカルチャーというものを軸に、もっと私たちとしてできることがあれば事業として立ち上げていきたいです。
アーバンスポーツは世界に広がっているものなので、アジアへの進出ですとか、海外でも事業を展開していきたいですね。

5.グローバルな視点はアーバンスポーツの発展に欠かせない

株式会社ZETA 財満さん

ーー海外にも多く足を運んでいるのでしょうか?
そうですね、コロナ前は結構毎年どこかしらには仕事に行かせてもらっていました。
ここ最近は行けていませんが、徐々にコロナ前に戻っているなという感覚はあります。
私は行けませんでしたが、会社としては『FINE PLAY』のスタッフが、ニューヨークで開催されるダンスのイベントに足を運んでいます。

ーーグローバルな世界に触れることはやはり大切でしょうか?
スポーツってサッカーとかメジャースポーツもそうですが、スポーツは基本的にグローバルなものだと思っています。
だからこそ海外の方がどういう感じでやっているのかを知っておくべきです。
実際に海外に足を運び、自分の肌で体感することで、アーバンスポーツに対する感じ方が違ってくるのではないでしょうか。

メディアやイベント運営にせよ、アーバンスポーツに向き合う姿勢にせよ、日本での価値観だけに囚われてはいけません。
海外の方がどういう考え方をしているのか、どうアーバンスポーツを楽しんでいるのか、現地に行くことでわかることがたくさんあります。
日本でのアーバンスポーツの発展をより充実させる上では、アーバンスポーツがどう捉えられているのかをグローバルな視点で感じ取ることが重要です。

6.ビジネス成功の秘訣は“己を貫くこと”

株式会社ZETA 財満さん

ーー財満さんが仕事をする上で大切にしていることを教えてください。
基本的なことですが、一つは、誠実に一つひとつのことに取り組んでいくということを大切にしています。本当に月並みですが。

ごまかしたり、嘘をついたりせずに、誠実に仕事をやっていかなければいけないと思っています。別にそんなに意識しているわけではないのですが、いつも心に留めていることですね。

もう一つは、現場を大切にすることです。私たちの仕事は、現場仕事がとても重要です。
だからこそ、イベント会場などに行けるときは必ず足を運んでいます。

現場には、選手以外にもたくさんの業界関係者の方が来ています。
たくさんの方と出会ったり紹介していただいたりするなかで、事業が広がるきっかけがあるし、これまでもそうだったと思っています。

ーーBTHacks読者に向けて、ビジネスの成功をアシストするアドバイスをお願いします!
僕は常に好きなことを追求した結果が、事業を立ち上げて、株式会社ZETAの活動に繋がっています。

組織に属していても属していなくても、「好きなことを追求する姿勢」は大切です。
僕は組織に所属しながらのスタートですが、やり方はいろいろあると思います。
自分でやりたかったことにチャレンジする、アクションを起こすことは、ビジネス成功においてとても大事ではないでしょうか。

財満 栄治(ざいま えいじ) さんプロフィール

株式会社ZETA 代表取締役CEO 
大学卒業後、広告会社、ヤフー株式会社、株式会社デジタルガレージ、
複数ベンチャー企業でコンテンツ・メディアプロデュース、スタートアップ支援などに従事。
2016年アクションスポーツ・ストリートカルチャーに特化した株式会社ZETA(ゼータ)を設立。
他、「ローレウス・ワールド・スポーツ・アワード」のアクションスポーツ部門パネルメンバー、
5万人を動員した横浜アーバンスポーツフェスティバル実行委員など兼任。

株式会社ZETA コーポレートサイト https://zeta-inc.jp/
アーバンスポーツに特化した総合ニュースメディア『FINE PLAY』 https://fineplay.me/

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