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2024.02.26

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確定申告のやり方を徹底解説!副業やフリーランス必読の情報まとめ

会社勤めをしていると、あまり縁のない確定申告はやり方もなんだか難しそう、という印象を抱きがちです。
とはいえ、最近は副業を始める人も増え「確定申告のやり方が知りたい!」と改めて調べ始めた方も多いかもしれません。
会社員でも無関係ではない確定申告は、きちんとポイントを押さえておけば怖いことはありません。
フリーランスや副業をしている人、そして会社勤めをしている人にも役に立つ、確定申告のやり方やポイントを解説します。

1.確定申告が必要なのはどんなとき?対象を確認しよう

確定申告とは、所得税額を決定するために必要になる手続きです。
給与所得の場合は、給与の支払者(雇用主)年末調整で所得税額を確定させ、納税もしていますので個人で確定申告をする必要は基本的にありません。
ただし、副業をしていたり、一定額以上の給与所得があったりする場合には、確定申告をしないといけません。
やり方を知る前に、自分が確定申告をするべきか、まずはチェックしてみましょう。

1-1.フリーランスで働いている人

1月1日から12月31日までの1年間の所得が、48万円以上となったら、確定申告が必要です。
フリーランスとして、もしくは個人事業主として事業をしている場合。
確定申告はほとんどのケースで必要になると考えておくといいでしょう。

また、年間所得が48万円以下の場合は、確定申告は義務ではありません。
ただし、その場合でも確定申告をしなくても住民税の申告は必要です。
確定申告をしていないと家を借りる際などに必要な所得証明が「0円」となってしまう点も要注意。
所得証明額が0円だと「支払い能力に不安がある」と貸主が家を貸してくれなくなる可能性もあります。
他にも事業資金の借り入れがしにくくなる、医療費控除が受けられないなどのリスクが生じます。

「やり方が面倒くさい」などの理由でついつい敬遠してしまいがちな確定申告ですが、義務がないという方もできればやっておいた方が安心です。

1-2.副業や投資をしている人

会社勤めなどで給与所得がある人も、今や副業をするのが珍しくなくなっています。
もし副業で年間20万円以上の所得があるなら、確定申告が必要です。

また、最近はNISA制度の普及などで挑戦する方も多い投資も利益が出た場合には確定申告をしなければいけません。
やり方は一度覚えてしまえば、翌年以降はスムーズにできますので副業や投資をしている方も確定申告を忘れないようにしましょう。

参考:国税庁HP「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」

1-3.年間2,000万円以上の給与所得がある人

1つの雇用主からしか給与をもらっていない人でも、年収が2,000万円を超えたら確定申告をしなければいけません。
もし2,000万円を超えそうな場合には、早めに確定申告の準備を進めておくといいでしょう。

参考:国税庁HP「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」

1-4.前年に住宅を購入して住宅ローン控除を受けたい人

マイホームを購入し、住宅ローンを組んだ場合には、確定申告をすると住宅ローン控除が受けられ、節税できます。

住宅ローン控除は、家を購入した翌年の初回のみ確定申告をすればいいので、面倒くさがらずにきちんと申告しておきましょう。
節税額はローンの額にもよりますが、数十万円単位でお得になることも多い制度です。

参考:フラット35「会社員が住宅ローン控除を受けるための「はじめての確定申告」

1-5.医療費が年間10万円を超えて控除を受ける人

1年間の医療費が10万円(総所得金額等が200万円未満の人は総所得の5%)を超える場合、所得税から一定額が差し引かれる医療費控除が受けられます。
世帯での医療費合計で計算できるので、家族が入院した年や医療費がかかった年は治療費の領収書を保管しておくと安心。
医療費控除を確定申告で受けるやり方は、いつもの確定申告時に必要事項を記入するなどすればいいので、比較的簡単です。

「もしかして」と思った方は、ぜひ一度年間の医療費をチェックしてみましょう。


※画像:筆者作成

2.実際にやってみよう 確定申告の具体的なやり方

確定申告が必要な人はどんな人か確認し、「自分は必要だ」と思ったら、早速やり方をチェックして確定申告の準備を始めましょう。
まずは具体的な確定申告のやり方や申告書の作成方法をご紹介します。

2-1.確定申告書の作成方法


※画像:筆者作成

確定申告書は、大まかに分けて3つの方法があります。

・会計ソフトを使って作成
・手書きや自前の帳簿から作成
・税理士に依頼して作成

フリーランスであれば、日々の収支管理や請求書の発行などで会計ソフトを使っていれば、
その会計ソフトが提供する確定申告作成サービスを利用するやり方が便利です。

副業をしている会社員の方も、家計管理機能に加えて確定申告作成サービスがついている
「Money Forward」などのアプリを使ってみると、確定申告の手間が減らせるのでおすすめです。

確定申告サービスのある会計アプリ

最近は、スマートフォンから日々の会計管理ができるアプリが登場しています。
デスクワークをする時間がない飲食店や小売事業者の方、副業をしているので資産管理もセットでしたいという方などにも使いやすいアプリをご紹介します。
やり方がよくわからないという方も、アプリがアシストしてくれるので活用してみてくださいね。

『Money Forwardクラウド確定申告』
個人事業主向けに提供されているクラウドアプリ。
銀行やクレジットカードとも連携でき、スマホから確定申告書類が作成できる。
https://biz.moneyforward.com/tax_return/

『freee会計』
『Money Forward』と同じように、お金の流れを一元管理できるfreee会計。
レシートもスマホで写真を撮れば保存・電子化できます。
https://www.freee.co.jp/accounting/individual/

2-2.提出方法は大きく分けて2つ

確定申告は、書面での提出か国税税申告・納税システム「e-TAX」からのオンライン申請のいずれかの方法が選べます。
断然便利なのは、税務署に行ったり、郵送の資料を用意したりしなくて済むe-TAX。
マイナンバーカードがあればe-TAXに登録し、スマホからでも申請できるのでぜひ活用してみましょう。

<e-TAX登録から確定申告までの流れ>

(1)利用者識別番号を取得
マイナンバーカードとスマートフォンがあればオンライン上でアカウントを登録、利用者識別番号が取得できます。

(2)電子証明書の取得
確定申告時に電子署名をするために、事前に電子証明書を取得します。

(3)手続を行うソフトを選ぶ
確定申告では、「e-Taxソフト」もしくは国税庁の「確定申告書等作成コーナー」のどちらかが使えます。

国税庁:確定申告書等作成コーナー
e-Taxソフト

(4)確定申告データを作って送信する
電子証明書を登録し、確定申告データを作成したら、データを送信して確定申告が完了します。

参考:e-TAX公式サイト「ご利用の流れ」

3.確定申告の大まかなスケジュールと準備

確定申告は一年中いつでも受け付けているわけではありません。
毎年決まった時期に行わなければならず、申告時期を過ぎてしまうと、場合によってはペナルティが待っていることも。
忘れたり、遅れたりしないように、早めの準備を始めましょう。

3-1.確定申告の時期

確定申告の期間は、毎年2月16日から3月15日までの1ヶ月間。
申告期間の最終日が土日となっている年は、明けの月曜日が確定申告期間です。

注意しなければいけないのが、所得税の納付期限も確定申告期限と同じという点です。
申告後、所得税の納付を忘れてしまえばペナルティもあるので忘れないようにしましょう。

確定申告アプリなどを日頃から使っていれば、確定申告の準備がスムーズになりますので、ぜひ遅れないように準備を進めておきましょう。

3-2.確定申告の種類

確定申告には、大きく分けて

・青色申告
・白色申告

の2つの種類があります。
税額控除が大きいのは青色申告。
事前に青色申告申請をしておけば、青色申告控除が受けられて、納める税金が安くなります。

青色申告のデメリットは、事前に申請が必要なことと白色申告と比べて申告書類の作成の手間が少しだけ増えること。
ただし、会計アプリなどを活用すればそれほど負担に感じずにクリアできることなので、ぜひ挑戦してみましょう。

3-3.書類の準備


※画像:筆者作成

確定申告には、

・確定申告書
・収支内訳書(※青色申告の場合は、青色申告決算書)
・固定資産台帳

という3つの書類が必要になります。

また、各種控除を受ける場合には控除証明書を用意しましょう。

<控除証明書の例>
・医療費控除明細書
・保険料控除明細書
・ふるさと納税の寄付金受領証

マイナンバーカードなどの本人確認書類も別途必要になります。
また、会社勤めなどで給与所得がある人は、源泉徴収票も準備しておきましょう。

4.確定申告の注意点

確定申告をする際には、意外と見落としてしまいがちなポイントがたくさん。
副業をしている人も、フリーランスの人も、知っておきたい注意点を最後にご紹介します。
基本的なやり方をマスターしたら、次の注意ポイントも確認してみましょう。

4-1.インボイス発行事業者の登録をした人は消費税の申告も必須

課税売上高が1,000万円以下の個人事業主の場合、これまで消費税の申告は免税事業者として免除されていました。
ですが、昨年からスタートしたインボイス制度で、課税売上高1,000万円以下でも消費税の申告が必要になっています。
消費税の申告と納付は4月1日までとなっているので、こちらも忘れないようにしましょう。

参考:国税庁HP「インボイス発行事業者の登録を受けた方へ」

4-2.ふるさと納税をしているなら寄附金控除の申告も忘れずに!

好きな自治体に寄付をして、返礼品も受け取れるふるさと納税。
節税対策として活用している人も多いことでしょう。
ふるさと納税の節税メリットを受け取るためには、確定申告時にふるさと納税の申告を忘れずにしておきましょう。
忘れてしまうと、せっかくのふるさと納税がただの“高い買い物”になってしまいます。

給与所得者で確定申告が必要ではない人は、「ふるさと納税ワンストップ特例」で手続きが簡単になります。

参考:国税庁HP「ふるさと納税をされた方へ」

4-3.所得税の納付も確定申告の締切と同じ日までに済ませよう!

確定申告をすることだけを考えていると、意外と忘れてしまいがちなのが「所得税の納付」です。
確定申告で算出された所得税額を、基本的には確定申告の締切日までに納付しないといけません。

納税額が高額な場合など事情がある方は、分割納付を活用するというやり方があります。
事前に申請すれば、2回に分けて所得税を分割納付できます。1回目の納付は3月15日まで。2回目は5月31日となります。

また、振替納税で口座引き落とし登録をしておけば、引き落としは毎年4月中旬〜20日ごろとなりますので準備をする時間的ゆとりが生まれます。

まとめ:確定申告のやり方と流れを把握して早めの準備を

確定申告は、やり方がよく分からなくて、面倒臭いと感じてしまいがちです。
けれどズルズルと後回しにしてしまうと、申告期限直前に慌ててしまい、ミスや申告遅れなどにつながります。
コツコツと日頃から準備をしたり、便利な申告アプリを使ったりしておけば、何も怖いことはありません。
確定申告をすることで、税金の控除などが受けられることもありますので、ぜひ早め早めに準備を始めて、スムーズに確定申告を済ませてしまいましょう!

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文:松本 有為子

編集:Rie.Barsanti(リベルタ)