ビジネス基礎知識

2023.12.12

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商業登記はなぜ必要?法人登記との違いや手続き方法について解説!

会社の設立時に必要となる商業登記は、「聞いたことはあるけれど、よくわからない」と感じている方も多いかもしれません。
そこで商業登記の基本について徹底解説。法人登記との違いや、商業登記のための具体的な手続きの流れなどについてもまとめました。
商業登記は起業するなら通らなければならない道。
どんなことをすればいいのか把握しておけば、新たなビジネスをスムーズに始める一助になります。

起業を控えている方や、起業を検討している方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

1.「商業登記」は取引や融資などの実務でも必要

商業登記の具体的な方法を知る前に、まずはなぜ商業登記しなければいけないのかを見てみましょう。
企業として事業を運営する上では欠かせない、商業登記と法人登記は何が違うのかについてもチェックしていきましょう。

1-1.商業登記がないと株式会社になれない?

そもそも「登記」とは、重要な権利・義務を社会に向けて公示するための手続きです。
明治19年に登記法が公布されて以降、円滑な取引を行うための制度となっています。
行政に会社の情報をあらかじめ登録しておけば、顧客やビジネスパートナーが取引をする際にも信頼のおける商取引ができるようになります。

商業登記以外にも不動産登記などがあり、家や土地を購入した経験がある方にとっては
不動産登記の方が馴染みがあるかもしれません。

今回のテーマである商業登記は、会社を成立させるために必要な法律上の手続き。

会社の設立においては、

・会社名
・役員情報
・事業内容
・資本金

などを登記します。

会社法でも「株式会社は、その本店の所在地において設立の登記をすることによって成立する」(第49条)としっかりと書かれています。
つまり、商業登記をしなければ、株式会社になれないということなのです。

ちなみに、商業登記が必要なのは会社の設立時だけではありません。
会社の移転(本店の住所変更)や商号変更などの際にも会社変更登記が必要です。

参考:法務省HP「登記ー商業・法人登記ー」

1-2.商業登記が求められる理由は?

商業登記された内容は、法務局のデータベースに登録・管理されます。
これはつまり、法務局に請求すれば、その会社の登記情報を誰でも閲覧できるようになるということを指します。

先ほども少し触れたように商業登記には目的や会社名、本店の所在地に加えて発起人の氏名又は名称及び住所を登記しなければいけません。

会社と取引をする際に、相手の会社が一体どんな会社なのか、本当に存在する会社なのか、
不確かな状態では安心して取引はできません。
商業登記とその公示機能があることで、会社の信頼性が保てるのです。

【コラム】
商業登記しないと罰則はある?

商号登記の申請期間は、何らかの変更が生じた場合にはその時点から2週間が登記申請の期限とされています。
2週間を過ぎると罰則(代表者に対する100万円以下の過料の支払い)があります。(会社法第976条)

会社の設立時においてもこれは同じ。会社設立の際には、必ず登記が必要です。

1-3.法人登記との違いは?

商業登記の対象となるのは次の図にある通り、株式会社や合同会社、合資会社、合名会社。
一方で、一般社団法人や社会福祉法人、NPO法人、一般財団法人は商業登記ではなく法人登記となります。


画像:筆者作成

ときおり、商業登記と法人登記の両方を指して「会社登記」という言葉が使われるケースがありますが、
厳密には対象となる法人の種類が違うと覚えておくといいでしょう。
ちなみに、法人登記においても事務所の移転や理事長の変更、解散などの際には新たな内容での登記が必要です。

【コラム】
個人事業主なら「商号登記」

会社と異なり個人事業主の場合は、事業開始時に登記は必要ありませんが、屋号を法務局に登記する「商号登記」をすることも可能です。
費用はかかりますが、商号登記すると屋号に法的拘束力が生じるので、将来法人化する際に同じ屋号を確実に使えるというメリットがあります。

法人化を目指して個人で独立するなら、商号登記をしておくのも良いでしょう。

こちらの記事も参考に
https://www.bthacks.com/12268/
https://www.bthacks.com/972/

2.商業登記の流れと費用や準備すべきもの

商業登記をするためには、まずは会社の設立が必要です。
株式会社の設立を例に、商業登記までの簡単な流れを解説します。
また、商業登記には費用もかかるので、その点も合わせて確認していきましょう。
株式会社以外の法人を登記する法人登記でも、実務的な流れはほとんど同じですので、参考にしてみてくださいね。

2-1.選べる3つの商業登記申請方法


画像:筆者作成

商業登記の申請には、法務局に直接提出する手段に加えて、郵送・オンラインでの申請が可能です。
まずは、どの申請方法で商業登記するかを決めましょう。

オンラインの場合は、定款認証の嘱託や設立登記申請が同時にできるようになっているので、
法務局に足を運ぶのが難しい場合や郵送よりも早く手続きを進めたい際に便利です。

オンライン申請では最短で24時間以内に登記が完了できますので、スピーディーに商業登記ができます。

<商業登記が24時間以内に完了するための条件>
・定款認証及び設立登記の同時申請をしていること
・役員等(設立時取締役や会計参与、会計監査人など)が5人以内であること
・添付書面情報(定款、発起人の同意書、就任承諾書等)が全てPDFファイルで作成され、オンライン送信されていること
・登録免許税を収入印紙ではなく電子納付していること
・補正がないこと

登記自体をオンラインで申請した場合でも、登録免許税を収入印紙で納付したり、
添付書類を郵送や法務局に持参する際には24時間以内に登記ができません。
また、添付書類をオンラインで送信する際には作成者の電子署名や証明書が必要な点も要注意です。

参考:法務省HP「オンラインによる定款認証及び設立登記の同時申請の取扱いを開始しました」

2-2.商業登記のためにまずは「会社を設立する」

ここからは、商業登記のために必要な会社設立の流れに沿って、やるべきことを整理します。
まずは大まかでもいいので、全体の流れを把握してみましょう。

2-2-1.会社設立に必要な事項を決める

申請方法が決まったら、次は商業登記のために必要な会社の設立に必要なことを決めていきます。
会社を設立するためには、申請時に必要な次の情報を整理・決定していかなければいけません。
特に社名となる商号は、ほかに似たような社名がないかを確認するといいでしょう。

<会社設立のために決めるべきこと>
・目的
・商号
・会社概要(所在地、設立日、資本金、株主構成など)
・株式の発行可能総数とその内容
・取締役
・監査役を設置するのであれば監査役
・その他公示方法についての定款がある場合はその定めなど

参考:法務省HP「株式会社の設立手続(発起設立)について」

2-2-2.会社印を作成する

次に、やるべきことは会社印の作成です。
2021年2月15日までは商業登記に印鑑届出が必要でしたが、
オンライン登記申請がスタートしてから印鑑届出書の提出は任意になりました。
つまり、会社印がなくても法人は設立できます。

ただし、書面で登記申請する場合は会社印が必要。
また、金融機関の融資や行政への各種許認可申請ではまだまだ印鑑が求められるケースが多いので、作っておいた方がいいでしょう。

2-2-3.定款を作成し認証を受ける

また、会社の定款の作成と認証も商業登記には必須です。
会社の定款は、会社を設立した目的や組織構成など会社を運営する上での根本となる規則です。
いわば、会社の憲法となる存在とも言われています。

先ほど会社を設立するために決めるべきこととしてご紹介した、
目的・商号・本店所在地・設立時の出資額に加えて、発起人の氏名または名称及び住所は必ず定款に定めなければいけません。

定款を作成したら、公証役場に定款の成立や記載が正しいことを証明する認証を受けます。
定款は作成するだけではダメで、公証人の認証を受けて初めて効力が生まれます。
法人口座の開設や行政への補助金、助成金申請でも必要になりますので、きちんと作成・認証を受けましょう。

最後に、商業登記をする前に資本金を銀行口座に振り込みます。
法人登記前となりますので、発起人の個人口座に振り込み、それを証明する書類を持って登記手続きを行うこととなります。

こちらの記事も参考に
https://www.bthacks.com/11682/
https://www.bthacks.com/12419/
https://www.bthacks.com/961/

2-3.商業登記に必要な申請書や書類を作る

会社設立ができたら、登記申請書と次の書類を用意しましょう。

<商業登記のために必要な書類>
・定款(公証人認証済みのもの)
・発起人全員の同意があったことを証明する書面
・取締役等の就任承諾書
・代表取締役の就任承諾書
・取締役等の調査報告をした書面と附属書類
・金銭の払込があったことを証明する書類
・印鑑証明書(オンラインの場合は任意)
・取締役の本人確認証明書
・資本金額が会社法と会社計算規則に従って計上されたことを証明する書類
・取締役が代表取締役を選定した場合は、これに関する書類
・代理人が登記申請する際には権限を証明する書類

参考:法務省HP「株式会社の設立手続(発起設立)について」

意外と多いなと感じた方もいらっしゃるかもしれませんが、
一つでも足りないと再度登記申請をしなければいけなくなるので、抜け漏れのないようにしっかりと整えましょう。

2-4.意外とかかる!商業登記に必要な費用

商業登記する場合には、いろいろなお金が必要になります。
会社の資本金額にもよりますが、税金や収入印紙代など、主に必要となる費用をまとめると、
登録免許税や収入印紙代、認証手数料だけでも20〜30万円が最低必要となってきます。

<商業登記に必要な費用>
・登録免許税…資本金の0.7%。15万円未満の場合は、一律15万円
・定款につける収入印紙代…4万円(電子定款の場合は不要)
・公証役場での定款認証手数料…3〜5万円(資本金額によって異なる)
・謄本の発行手数料…数百円
・司法書士などに依頼する場合は依頼料

こうして見てみると、意外と多くの費用がかかることがわかりますよね。

ちなみに、商号変更や会社の事業目的を変更する際にも登録免許税がかかります。
例えば本店や支店の移転は1ヶ所につき3万円、資本金の増額時にも増加した資本の0.7%(最低3万円)がかかります。
すぐに変更すると追加費用がかかってしまうことになりますので、登記内容は慎重に決めましょう。

3.商業登記を自分でするのが不安なときの解決策

最後に、商業登記をするときに使えるサービスをご紹介します。
オンライン申請が可能になったこともあり、司法書士に依頼する以外にもクラウドサービスがここ最近充実してきています。

3-1.司法書士に相談する

商業登記は申請するために整えなければいけない書類も多く、会社の設立からとなると手間も時間もかかります。
スムーズな商業登記をするなら、会社設立からワンストップで全てお任せできる司法書士に相談するのも良いでしょう。

ただし、司法書士に依頼する際には費用がかかるのがネック。
一般的に、商業登記に関する司法書士への依頼料は30万円前後が相場と言われています。
これを高いと考えるか安いと考えるかは、会社の規模や手間をどう判断するかによっても変わってくるでしょう。

また、税理士事務所などとの付き合いがあるなら、司法書士を紹介してもらえることもあります。
長い付き合いになる前提として、多少費用の相談ができるケースもありますので、まずは話を聞いてみるだけでも良いでしょう。

商業登記や法人登記は会社を設立する上で避けて通れないこととはいえ、登記したからといって直接利益につながるタスクではありません。
だからこそ、無理して自分でやるよりも「任せられるところはプロにお願いする」方が、
結果的に事業運営に集中できるという側面も。
ご自身の確保できる時間に合わせて、選んでみましょう。

3-2.登記書類一括作成サービスを利用する

最近では、会社の設立に必要な書類を一括で作成できるサービスも登場しています。
書類作成にそれほど苦手意識がない方や、司法書士へ相談する費用を節約したい方は、次のようなサービスを利用してもいいでしょう。
システムの指示に従って一つ一つ必要事項を記入していけば登記書類が作成できます。

3-2-1.主な登記書類一括作成サービスとその特徴

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サービスの確かさが伺えますね。

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商業登記や法人登記はビジネスのスタートアップ時に欠かせない手続きだからしっかりと

制度上、会社を設立する際には必ず通らなければならない商業登記。
法人登記と合わせて、会社登記とも呼ばれるこの手続きは、複雑そうに見えますが、
ひとつひとつきちんとするべきことをこなしていけば大丈夫。

「難しそうで不安」と思っている方や、会社の事業を軌道に乗せる上でも、
そして社会的な信頼を得るための最初のステップだと考えて、きちんと登記手続きを進めましょう。
最近は、便利なサービスも登場していますので、気軽に活用してみてくださいね!

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