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2025.08.27

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スペイン生理事情とは?出張や旅行で使える最新情報をスペイン在住の筆者が紹介!

スペイン滞在中に生理になったとき、日本にいるときと同じように過ごせるのでしょうか。
出張など、スペインでの旅行中に生理用品が必要になったときのために、スペイン在住の筆者がナプキンの使用感レビューをはじめ、スペインの生理について基礎知識を解説します。
現地で調達できる生理用品や薬、生理用品購入時に必要なスペイン語、スペインの生理事情も紹介するので、スペイン滞在時に役立ててくださいね!
 

目次

1. スペインでよく見かける生理用品とブランド


スーパーマーケットには、日本と同じようにたくさんの種類の生理用品が並ぶ(筆者撮影)
 
スペイン現地のスーパーマーケットやコスメショップなどにある生理用品売場では、ナプキンとタンポンがたくさん取り揃えられています。
その他にも、月経カップはデパートや薬局で、生理用の吸水ショーツや水着はデパートのほか、ランジェリーショップなどで手に入ります。
 
ここでは、多くの店に置かれたナプキンとタンポン、それぞれ2つのブランドについて詳しく見てみましょう。
 

1-1. 生理用ナプキンブランド2つ

 
スペインの生理用品売り場を実際に見て歩くと、ナプキンは、使用感レビューでも紹介する「EVAX」と「AUSONIA」の商品がどのお店にも置かれています。
どちらもメーカーは多国籍企業である「P&G」です。
「P&G」といえば、日本で数年前まで販売されていた「ウィスパー」の生理用品を使っていたという人もいるでしょう。
 

1-1-1. 【EVAX(エバックス)】カラフルなパッケージで種類豊富


お店の棚に並ぶ「EVAX」商品(筆者撮影)
 
「EVAX」は、カラフルなパッケージが印象的なブランド。
シリーズには、コスパを重視した「Compresas EVAX Fina y Segura」、コットンのような感触の「Comresas EVAX Cottonlike」、新素材を使用した「Compresas EVAX Liberty」の3種類あります。
それぞれ普通の日用、夜用、羽根つき、羽根なしなど、4〜7種類から選択可能です。
 
EVAX
公式サイト:https://www.evaxtampax.es/es-es/evax/
 

1-1-2. 【AUSONIA(アウソニア)】量やナプキンの形で選べる全11種類!


「AUSONIA」の商品は、店頭では超薄型シリーズを見かけることが多い(筆者撮影)
 
「AUSONIA」は、羽根なし、羽根つきの超薄型シリーズなど合わせて11種類あり、なかには後部が広く漏れを防ぎやすくする商品もあります。
超薄型シリーズは8h.(8時間)、12h.(12時間)などと使用時間の目安が書かれているので、スペイン語がわからなくても選びやすくなっています。
パッケージは、EVAXと比較すると控えめなデザインです。
 

コラム:売り場ではおりものシートや尿漏れパッドとの混同に注意


生理用ナプキンと尿漏れパッドが一緒に置かれているスーパーマーケットの棚(筆者撮影)

生理用品売り場の近くには
「salvaslip(サルバスリップ)」
「protegeslip(プロテヘスリップ)」などと書かれたおりものシートと、
「pérdida de orina(ペルディダ デ オリナ)」
「discreet(ディスクリート)」などと書かれた尿漏れパッドが置かれていることが多いです。
上の画像では、1段目と最下段右側にあるのが生理用ナプキン、それ以外は尿漏れパッドとなっています。
ポップなどで生理用品との違いが表示されていることは珍しく、商品を見て判断するしかありません。
混同しやすいので、購入前にパッケージに「salvaslip」「protegeslip」「pérdida de orina」などと書かれているか確認しましょう。

 

1-2. タンポン2ブランド

 
タンポンは「TAMPAX」というブランドが目立ちますが、大型店や薬局などでは「o.b.」も見られます。
「TAMPAX」は「P&G」、「o.b.」は日本では絆創膏「バンドエイド®」などを展開する「Kenvue」のブランドです。
 

1-2-1. 【TAMPAX(タンパックス)】スペインでポピュラーなタンポンブランド


「TAPAX」は量の多さによってパッケージの色が異なる(筆者撮影)
 
「TAMPAX」は、スペインの生理用品売り場に、ほぼ必ずといってよいほど置いてあります。
公式サイトを見ると、オーガニックコットンを使った商品や、プラスチック不使用のものもあるようですが、多くのお店で見かけるのは、アプリケーター付きの3シリーズ。
この3シリーズはコンパクトな形や挿入しやすさなど、使いやすさを特徴としており、出血量に応じてタイプを選べるようになっています。
 
TAMPAX
公式サイト:https://www.evaxtampax.es/es-es/tampax/
 

1-2-2. 【o.b.(オー ベー)】タンポンが苦手な人も試しやすい


シンプルなパッケージの「o.b.」(筆者撮影)
 
「o.b.」は、「TAMPAX」ほど多くないものの、大型スーパーマーケットやコスメショップ、薬局などで入手しやすいタンポンです。
ミニサイズの「o.b.® ProComfort™ Mini」は、シルクのようなタッチで挿入も取り出しも簡単にできる仕様になっているため、タンポンを使い始めた女性におすすめだというシリーズ。
ブルー・グリーン系と白でまとめられたパッケージに「o.b.」と書かれた商品は、ぱっと見てすぐわかり、見つけやすいです。
 
公式サイト:https://www.kenvuebrands.com/es/ob
 
このほか、スペインでは、スーパーマーケットのPB商品も人気があります。
ナプキン、タンポンともに昼用・夜用、普通の日用・多い日用とバラエティ豊か。
PB商品は、大容量で安価なので、筆者をはじめ、実際、PB商品を買うという在住者は多いです。
 
中には個包装されていないものもあるので、衛生面が気になる人は、購入時にパッケージを触って個包装されているか確かめてから購入しましょう。
 
なお、ユニ・チャームの「ソフィ」や花王(Kao)の「ロリエ」など、日本製品はスペインの一般的な店舗では売られていません。
いつも使っている製品でないと落ち着かないという人は、多めに生理用品を持って行くことをおすすめします。
 

コラム:日本 VS スペインなら?使用する生理用品とその割合

統計データ会社「Statista」では、2024年4月から2025年3月にかけて、世界数ヶ国で18歳から49歳までの女性に対してアンケートを実施。
スペインと日本を比較すると、どちらも生理用ナプキンの使用が大半ですが、スペインでは、日本よりタンポンや月経カップ使用者の割合が多いという結果になりました。


画像出典:https://es.statista.com/grafico/34518/porcentaje-de-mujeres-que-compran-productos-de-higiene-menstrual/

生理用ナプキン
日本:49%
スペイン:51%

タンポン
日本:5%
スペイン:30%

月経カップ
日本:1%
スペイン:8%

スペインでタンポンの使用率が高いのは、日本よりもビーチやプールでのバカンスを重視する傾向にあることや、選ぶ洋服によるのかもしれません。
水着や体のラインが出る洋服を着るときにタンポンを選ぶ人が多いようです。

スペインでは、月経カップを使う人も増加しています。
月経カップは使い捨てではなく、繰り返し使えるため、長い目で見ると経済的なことや、環境保護などの理由で選ぶ人が多いと考えられます。

2. スペインで3つの生理用ナプキンを試してみた


実際に試した3種類の生理用ナプキン(筆者撮影)
 
早速、3種類の生理用ナプキンを試してみました。
生理用品売り場を回った結果、多くのお店に置かれているメーカー品を2つ、さらにスーパーマーケットのPB商品を1つ選択。
各商品について、見た目、肌触り、ずれにくさのほか、水を使って吸水性の観点から使いやすさを検証しました。
 
なお、今回試した3種類のナプキンの個包装はどれもプラスチック製で、日本の商品と同様に、使用後にナプキンを包んで捨てられるようにテープがついていました。
 

2-1. EVAX Liberty Super Compresas Con Alas(エバックス リベルティ スーペル コンプレサス コン アラス)


EVAX Liberty Super Compresas Con Alas(筆者撮影)
 
「EVAX Liberty(エバックス リバティ)」は、メタリックな箱が目を引くシリーズ。
コスメショップで10個入り税込み2.99ユーロでした。
ブランドサイトによると、同シリーズには新素材が使われており、EVAXのなかで最も吸水性の高いパッドに仕上がっているとのこと。
普通の日用羽根つきと羽根なし、多い日用羽根つき、夜用羽根つき、多い日の夜用羽根つきと、5種類あります。
この「EVAX Liberty」シリーズのなかでも、多い日用羽根つきを選びました。
 
【見た目】

EVAX Liberty Super Compresas Con Alas の裏側(筆者撮影)
 
カラフルな個包装を開くと、吸水体は台形のような形をしており、肌に密着するように穴が開いています。
ナプキンの長さは約27cm、幅は広いところで約10cm、少し近づくとわかるほどの香りつき。
幅の両端に合わせてテープが2本貼られた裏側には、花のような絵が描かれているのも印象的です。
 
【肌触り・装着感】
肌触りは滑らか。
吸収体は厚みがあり、硬い印象を受けますが、押すと弾力があります。
接着面の2本のテープの間が広く開いていたので、ずれるか気になりましたが、吸収体がしっかりしていたからか、つけて数時間過ごしてもショーツとのずれやよれはありませんでした。
ナプキンが肌に完全に密着せず、少し浮いた感じになりますが、これは体型やショーツのつくりなどにもよるでしょう。
新素材のおかげか、長時間つけてもごわつきや擦れ、蒸れは感じられませんでした。
 
【吸水性】
水を5ml垂らすと、表面を触ってもさらさらの感触。
20〜40ml程度では、水を吸収するまでの時間は、ほかの2点より早いようです。
60mlまで垂らして表面をさわると、さらっとするものの、力を入れて押すと、吸収体の水分が戻ってくるように感じられるため、体にフィットした服を着る場合は、頻繁に取り替えた方が良いでしょう。
 

2-2. Compresas AUSONIA Ultrafina Día y Noche con alas(コンプレサス アウソニア ウルトラフィナ ディア イ ノーチェ コン アラス)


Compresas AUSONIA Ultrafina Día y Noche con alas(筆者撮影)
 
「AUSONIA」ブランドの超薄型シリーズのなかでも、「Compresas AUSONIA Ultrafina Día y Noche con alas」は、昼も夜も9時間まで使用できるというナプキンです。
コスメショップで9個入り税込み1.75ユーロで購入。
同シリーズの普通の日用と薄さは同じでも30%長く、寝ているときでもしっかり後部を守り、匂いも中和されるという設計。
肌が触れる部分は速乾性の素材が使われ、中心部分は液体をすぐに吸収するジェルが組み込まれています。
 
【見た目】
ピンクの個包装を開けて出てきたのは、肌に接触する表面に薄い色の柄と香りがついたメッシュタイプのナプキンです。
広げる前の大きさは、ほかと大差ありませんが、広げると長さが約30.5cmあります。
幅は幅広い部分でも約9cmと、ほかより短いくらいです。
裏の接着面は吸収体の一面に貼られており、プラスチックの包装から簡単に剥がれました。
 
【肌触り・装着感】
肌触りはメッシュタイプ特有のさらりとした感触。
装着すると、ショーツにぴったりとくっつきましたが、薄型で長いからか、ショーツと肌の間に空間ができやすいです。
太ももや股の擦れはありませんが、長時間経つと蒸れてきます。
冬場や蒸れが気にならない場合に肌にぴったりとしたショーツと組み合わせれば、このナプキンの効果を実感できるかもしれません。
 
【吸水性】
最初に約10mlの水を垂らしたところ、瞬間的に水分を吸い込み、表面がさらさらになりました。
しかし、中心にある水色の部分以外に水が流れると、吸収に数十秒時間がかかります。
40mlまでは10〜20秒ほどで表面がさらさらになりますが、60mlまで垂らして表面を押すと、若干水分が手につくようになり、70mlあたりから表面から水滴が消えるのに時間がかかるようになります。
9時間使用と書かれているように、100mlまで垂らしても吸収し、今回試した3点のなかでは一番の吸収力のようでした。
 

2-3. Compresa con alas normal Deliplus Cotton(コンプレサ コン アラス ノルマル デリプルス コットン)


「Compresa con alas normal Deliplus Cotton」(筆者撮影)
 
三つ目は、スペインで人気のあるスーパーマーケット「Mercadona(メルカドーナ)」が展開する敏感肌向けのPB商品です。
こちらは数が多く、32個入り税込み3.40ユーロ。
オーガニックコットンを使っているのが特徴で、天然素材を好む方に支持されています。
全体的に液体を均等に吸収し、中心部は特に吸水性の良い仕組み。
今回試したのは普通の日用ですが、多い日用もあります。
 
【見た目】
上の二つのメーカー品と比べると、パッケージ、個包装、ナプキン全てにおいて、シンプルなイメージ。
ナプキンに色や香りはついていません。
長さは約23cm、幅は広いところで約9.5cm。
裏の接着部分は、吸収体がある部分に太めの2本のテープが貼られており、表面はメッシュのように小さな穴が開いています。
 
【肌触り・装着感】
コットン製とのことだったので、厚めのナプキンを想像していていましたが、ほかの2つとあまり変わらない薄さで、若干ごわついた肌触り。
つけ始めたときはごわつきが気になったものの、太もも・股などナプキンの擦れや蒸れは気にならず、時間が経つと違和感を感じなくなりました。
ショーツの生地のかたさにもよりますが、装着して数時間経つとよれてくるので、量によっては漏れに注意が必要です。
 
【吸水性】
最初に10mlの水を垂らしたところ、何なく肌との接触面を通しましたが、20ml位から少し時間がかかり、30ml位では濡れた表面が気になります。
40ml垂らしても漏れませんでしたが、少し触っても表面が濡れて替え時と思われる状態になりました。
パッケージに書かれているように、普通の日や少ない日であれば問題ないでしょう。
 

3. スペインで生理用品を買えるお店と価格


デパート「El Corte Inglés」には生理用ナプキンと一緒に月経カップと吸水ショーツが置かれていた(筆者撮影)
 
スペインで生理用品を購入できるお店と価格を事前に把握しておくと、出張や旅行中に便利です。
突然生理用品が必要になったときに慌てないように、スペイン全国で生理用品を購入できるお店と、目安となる値段を紹介します。
 

3-1. スペインで生理用品を買えるお店

 
スペインの生理用品は、主にスーパーマーケットやコスメショップ、薬局で買えます。
なかでも、スーパーマーケットは品揃えが豊富。
自分でじっくり選んで買いたいときはスーパーマーケットやコスメショップ、具体的に欲しいタイプを店舗スタッフに聞いて買うときは薬局が良いでしょう。
 
なお、特定の薬局やコスメショップなどを除いて、スペインの多くのお店では、日本のように生理用品だけ紙袋や色つきビニール袋に入れてくれることはほとんどありません。
気になる場合は、自分で袋を持って行きましょう。
 
次に、それぞれどんな商品が置かれているか解説します。
 

3-1-1. メーカー品からPB商品まで種類豊富!スーパーマーケット

 
スペインの生理用品を種類豊富な商品のなかから選びたいときは、デパートや大型スーパーマーケットがおすすめです。
特に、スペインのデパート「El Corte Inglés(エル・コルテ・イングレス)」のデパ地下では、ほかではなかなか見つからない吸水ショーツや月経カップも売られていることがあります。
 
スーパーマーケットではPB商品が目立ち、メーカー品はやや押され気味。
PB商品はパッケージごとの個数が多い傾向にあり、旅行中にはかさばって不便ですが、安価に抑えられます。
 
スペイン都市部の中心街にあるスーパーマーケットは、主に次の通り。
店の規模によって「express」「mini」などの名前がついており、商品の豊富さも異なります。
 
【Alcampo(アルカンポ)】

「Alcampo supermercado(アルカンポ・スーペルメルカード)」(筆者撮影)
 
「Alcampo」には大小のスーパーマーケットがあり、都市の中心部にあるのは「Mi Alcampo(ミ・カンポ)」や「Alcampo Supermercado(アルカンポ・スーペルメルカード)」など。
特に、「Alcampo Supermercado」は中心部にしては広いお店が多く、主要メーカーのナプキンやタンポンが豊富に揃っています。
 
【Carrefour(カレフール)】

「Carrefour express(カレフール・エクスプレス)」(筆者撮影)
 
「Alcampo」同様に大小ある「Carrefour」のなかでも、「Carrefour express(カレフール・エクスプレス)」は、規模が小さいお店が多いものの、多くの街でよく見かけます。
生理用ナプキンの種類は限られますが、主要メーカーとPB商品から選べるので、平常時はもちろん、緊急時にも役立つでしょう。
 
【Día(ディア)】

「Día」(筆者撮影)
 
ディスカウントスーパーマーケットとして知られてきた「Día」。
主要メーカーのナプキンやタンポンのほか、PB商品が豊富です。
 
【El Corte Inglés(エル・コルテ・イングレス)】

デパート「El Corte Inglés」(筆者撮影)
 
「El Corte Inglés」は、衣類・家庭用品・食品などあらゆるものが揃うスペイン唯一のデパートです。
生理用ナプキン・タンポン・月経カップなどの生理用品は地下に置かれていることが多いです。
 
【Lidl(リドゥル)】

Lidl(筆者撮影)
 
中心部より少し離れた住宅地にあることが多いドイツ発の「Lidl」は、簡素な内装で倉庫を思わせる雰囲気です。
主要メーカーの生理用品は種類が限られますが、食品や家庭用品などの特売品が見つかることもあります。
 
【Mercadona(メルカドーナ)】

Mercadona(筆者撮影)
 
レビューでも紹介した「Mercadona」は、住宅街にあることが多く、PB商品の割合が高いのが特徴。
PB商品は生理用品だけでなく、食品やコスメなどバラエティ豊かです。
 

3-1-2. マイナーな商品が見つかるかも?!コスメショップ

 
スペインでは、コスメ・スキンケア・衛生用品などを売るコスメショップの一角で生理用品が売られています。
お店のなかでも、Parafarmacia(医薬品以外の衛生用品)コーナーを探すと見つけやすいでしょう。
スーパーマーケットと比べると、販売コーナーは比較的小さめ。
コスメショップは売れ筋のメーカー品のほか、比較的マイナーなメーカー品が置かれていることがあります。
 
スペインの都市部では、次のようなお店が見つかります。
 
【Primor(プリモル)】

Primor(筆者撮影)
 
「Primor」は、最近、スペインの都市部を中心に店舗数が増えているコスメショップです。
ほかではあまり見られない生理用品が見つかることもあります。
 
【Druni(ドゥルニ)】

Druni(筆者撮影)
 
バレンシア発の「Druni」はバレンシア、バルセロナ、マドリードなどに多くあるようです。
「Druni」は見て歩いたコスメショップのなかでも、生理用ナプキンの種類が豊富に取り揃えられていました。
 
【Clarel(クラレル)】

Clarel(筆者撮影)
 
「Clarel」はスーパーマーケット「Día」のコスメショップです。
主要メーカーの生理用品の値引き商品に出会えることがあります。
 

3-1-3. 24時間営業店舗もあり!薬局


看板と緑十字に「12h(12時間営業)」と書かれた薬局(筆者撮影)
 
緑十字が目印となるスペインの薬局は、12時間や24時間など長時間営業しているところがあり、緊急時に薬などを買えるようになっています。
多くの薬局では、カウンターで欲しい商品を伝えて、出してもらう仕組みになっています。
数軒回ったところ、顧客が手に取れる棚に生理用品が置かれていたのは、規模の大きい薬局だけでした。
欲しい商品を探す場合は、スペイン語や英語で伝えてみましょう。
 

3-2. スペイン生理用品の価格

 
次に、スペインの生理用品の価格の目安を紹介します。
お店によって異なりますが、スーパーマーケット、コスメショップ、薬局の順で値段が高くなる傾向にあります。
スーパーマーケットのPB商品には、メーカー品の値段の2分の1程度で買えるものも見つかるかもしれません。
 
<ナプキン>
(メーカー品)昼用超薄型羽根つき 12個入り 約1.70ユーロ / 1個約0.14ユーロ〜
(PBブランド)昼用超薄型羽付き14個入り 約1.35ユーロ / 1個約0.10ユーロ〜
 
<タンポン>
(メーカー品)多い日アプリケーター付き 16個入り約3.37ユーロ / 1個約0.21ユーロ〜
(PBブランド)多い日アプリケーター付き 16個入り約1.79ユーロ / 1個約0,11ユーロ〜
 
<月経カップ>
約6.00ユーロ〜
 
※価格は2025年7月現在
 

コラム:吸水ショーツや生理用水着とは?

スペインのデパート「El Corte Inglés」やランジェリーショップ、スポーツ用品店には、生理時に着用できるショーツや水着などが売られています。
水分を吸収する吸収体が入っており、ナプキンやタンポン、月経カップを使わなくても血が漏れにくい仕組みです。
吸水ショーツの値段は約15ユーロ、水着は約30ユーロから。

日本でも「吸水ショーツ」や「生理用水着」などの名前で販売されていますが、あまり一般的ではないかもしれません。
スペイン土産として探してみてもよいでしょう。

 

4. スペインで生理時に必要な薬やトイレは?お店で役立つスペイン語会話も紹介


スペインの薬局(筆者撮影)
 
スペイン旅行時の生理に痛みを伴ったら、生理用品だけでなく鎮痛剤を使いたいという場合もあるかもしれません。
さらに、生理のときにはトイレについても気になるところ。
次に、スペインで生理痛に効く鎮痛剤の種類やトイレについて紹介します。
 

4-1. スペインで生理に効く鎮痛剤

 
スペインで生理痛の鎮痛剤は、主に、次のようにイブプロフェンやパラセタモール(アセトアミノフェン)が一般的です。
最近では1回分の服用量は減ってきていますが、それでも、日本で奨励されているより1回量が多い傾向にあります。
錠剤のサイズも日本より大きいため、喉につまらせないように、半分に割って飲むなど工夫すると良いでしょう。
副作用が心配であれば、半分などにして飲むほか、胃に影響がある薬であれば、胃薬などと一緒に服用しましょう。
 
【イブプロフェン(Ibuprofeno)】
 
イブプロフェンは、日本でもおなじみの解熱鎮痛剤の成分の一つ。
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)のグループに分類されます。
日本の解熱鎮痛剤に使われるイブプロフェンの1日最大量は600mgであるのに対し、スペインの薬局では1錠400mgを処方せんなしで購入できます。
 
薬局では「イブプロフェノ」が欲しいといえば出してくれます。
「200mg(ドシエントス ミリグラモス)」と伝えれば、例え200mgを置いていなくても、最低量のものを提示してくれるでしょう。
錠剤のイブプロフェンは「Neobrufen(ネウロブルフェン)」がポピュラー。
「Ibuprofeno Bayers」「Ibuprofeno Kern Pharma」「Ibuprofeno Cinfa」など、「Bayers」をはじめとしたメーカー名で区別されて売られていることも多いです。
比較的飲みやすいソフトカプセルや顆粒剤が欲しければ、「Nurofen(ネウロフェン)」「Ibudol(イブドル)」といった商品を探してみましょう。
 
【パラセタモール(Paracetamol)】
パラセタモールは「アセトアミノフェン」という名前でも知られ、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)にアレルギーがある場合に勧められる鎮痛剤です。
胃に影響が少ないのも胃が弱い人には助かります。
医師の処方箋なしで購入できるのは500〜650mg程度。
 
購入時は、イブプロフェンと同様に「パラセタモル」といえば、多くの場合は「Paracetamol」と書かれた薬を出してくれます。
パラセタモールは「Gelocatil(ヘロカティル)」という商品も有名で、錠剤、顆粒剤、液剤などで売られています。
 

4-2. 生理時に必要なスペイン語会話と用語

 
スペインの薬局では、基本的に欲しい商品名を伝えれば出してくれます。
次のようなフレーズを使うと、薬剤師に伝わりやすいでしょう。
 
〇〇をください = 「〇〇, por favor(〇〇、ポル・ファボール)」
XXの〇〇が欲しいです = 「Quiero 〇〇 de XX(キエロ 〇〇 デ XX)」
例:夜用の羽根つき生理用ナプキンが欲しいです = 「Quiero compresas de noche con alas(キエロ コンプレサス デ ノーチェ コン アラス)※」
 
〜スペイン語生理用品用語〜
生理 = regla(レグラ)、menstruación(メンストゥルアシオン)
生理用ナプキン = compresa(コンプレサ)/ 注文時は複数形 compresas(コンプレサス)
タンポン = tampón(タンポン)/ 注文時は複数形 tampones(タンポネス)
普通の日用 = normal(ノルマル)
多い日用 = súper(スーペル)
日中 = día(ディア)
夜 = noche(ノーチェ)
羽根つき = con alas(コン・アラス)/ alas(アラス)
羽根なし = sin alas(シン・アラス)
薄型 = fina(フィナ)
超薄型 = ultrafina(ウルトラフィナ)
肌触りが柔らかい = suave(スアベ)
薬 = medicina(メディシーナ)
イブプロフェン = Ibuprofeno(イブプロフェノ)
パラセタモール = Paracetamol(パラセタモル)
200mg = 200mg(ドシエントス ミリグラモス)
400mg = 400mg(クアトロシエントス ミリグラモス)
 
〜パッケージに書かれている略語〜
個数 = un./u.(unidadの略 / 例:18 un.)
時間 = h.(horasの略 / 例:8 h.)
 

4-3. スペインで生理時に押さえておきたいトイレ情報

 
スペインの街中でトイレを探すときには、通りにある公衆トイレのほか、デパート、ショッピングセンター、カフェテリアなどを探してみましょう。
通り沿いにある公衆トイレは有料ですが、デパートやショッピングセンターでは無料で利用可能。
カフェテリアやレストランなどでは、多くの場合、ドリンクなどを注文すれば利用できます。
トイレには大抵サニタリーボックスがあるので、日本同様にトイレットペーパーや個包装の包みなどに包んで捨てれば問題ありません。
 
スペインでホテルなどのトイレに設置されているビデは、体調が悪く、シャワーを浴びたくないときでも清潔を保つために便利です。
しかし、最近ではスペインの宿泊施設でビデを見るのは珍しくなりました。
日本のようにビデが一体になったシャワートイレは、ほとんどないと言ってよいでしょう。

 
4-4. 日本から持参すると便利なもの

 
スペインでは、すでに紹介したように、ナプキンをはじめ、タンポン、月経カップ、吸収ショーツ、水着まで手に入ります。
しかし、日本でよく使われるサニタリーショーツはスペインでは使う習慣がありません。
吸水ショーツや普通のショーツで代用するのが落ち着かない場合は、サニタリーショーツを日本から持っていくことをおすすめします。
 
さらに気を付けたいのは、トイレットペーパーが切れているトイレが多いこと。
生理時でなくても必要になることがあるので、余分にティッシュペーパーを持参すると何かと便利でしょう。
 

5. スペイン人の生理事情とは

最後に、スペイン人の生理に対する考え方や制度について見てみましょう。
日本ではフェムケア意識が高まっていると言われますが、スペインではどうなのでしょうか?
生理に関するアンケート調査や制度を参考にして考察します。
 

5-1.スペイン人は生理に対してオープン?

 
スペインのメディアによると、生理は昔からタブー視されてきたといいます。
最近では社会的、政治的に活躍する女性が増えて、生理への接し方も変わってきているのでしょうか。
ここでは、アンケート調査を参考に、男性からの観点と女性からの観点に分けて、スペイン人の考え方を見てみましょう。
 

5-1-1. スペイン人男性:約33%は生理について女性と話すのに抵抗あり

 
月経カップなどを扱う「Intimina」が2021年に行った調査によると、約3分の1のスペイン人男性が女性と生理についてオープンに話すのに居心地悪さを感じると回答しました。
思春期にさしかかる娘を持つ父親に関しては、娘と生理について話すのに抵抗を感じると答えた男性は45%と高い数字です。
 
とはいえ、半数以上の男性が女性や娘と生理について話すのに抵抗がないという結果は、ある程度オープンと言えるかもしれません。
 

5-1-2. スペイン人女性:父親と初潮について話した女性は約2%

 
2023年に14歳から18歳の女性に対して行った調査では、父親に初潮が来たことを話したのは、全体の2%という結果に。
多くは母親をはじめ、友人、祖母、姉に相談すると回答しました。
女友達と生理について話すときは「生理」という言葉を避け、学校で生理用品を貸すときは、男子に気づかれないように隠して渡すという経験を持つ人が多いようです。
 
ほかにも現在の生理に対する接し方を探したところ、「生理について学校での教育は1950年代から変わっていない」「生理はいまだにタブー」など、否定的な意見が目立ちました。
 
しかし、実際、スペインの生理用品売り場に行くと、母親に連れられた10歳位の男の子が生理用品を手に取る様子が見られました。
筆者の友人の場合、30代以上の男女間で、生理痛の話題を口にするのを聞いたことがあります。
一概に言えませんが、日本人と比べてスペイン人は生理についてオープンであるようにも感じられます。
 

5-2. スペインの生理と制度

 
スペインでは、数年前に生理休暇や学校での生理用品の無料配布などが定められました。
法律が成立した際にはメディアで話題になりましたが、実際に必要とする女性が制度を利用できているのか、その後の経過を見てみましょう。
 

5-2-1. 生理休暇を取得するのは少数派

スペインでは、2023年6月から、医師の診断で必要とみなされれば、生理休暇が認められるようになりました。
日本ではすでに労働基準法で定められていますが、ヨーロッパで生理休暇が認められたのは、スペインが最初の国です。
 
法律が適用されてから10ヶ月後の調査によると、生理休暇を申請して許可されたのは1,400件強。
スペインには、ひどい生理痛に悩まされる人が多いという子宮内膜症の女性が約100万人いると言われるなかで、目を引くほどの少なさです。
同僚の目が気になる、出世に影響するなどの理由で、生理休暇を申請できない人が多いと考えられています。
 

5-2-2. 生理に対してオープンになりつつある社会

 
スペインで生理休暇が認められた年に生理用品の付加価値税(VAT)の減税も可決され、2023年1月に10%から4%に下がりました。
さらに、貧困で生理用品を自由に買えない子供たちのために、学校で生理用品を無料配布することも決定。
しかし無料配布の状況に関しては地方によって異なり、準備が整っていない地方が多いのが現状です。
一方、ある地方では、中学校で再利用可能な生理用品キットを配り、薬局で再利用可能な月経カップや吸水ショーツを受け取れるようになっています。
 
スペインでは、生理に関して完全にオープンとは言えないようですが、最近では、SNSなどを利用した、生理についての情報交換が活発になっていると言われます。
生理用品のテレビ広告や街頭広告では、長年、血を想像させる赤色の代わりに青い液体が使われてきたものの、最近では赤色が用いられることも増えてきました。
「社会全体で考えるべき問題」という捉え方で、社会や制度が少しずつオープンに扱うようになってきているようです。
 

スペインで生理に必要な情報を把握して快適に過ごそう!

スペインは、日本とは文化も考え方も異なる国とはいえ、そこに住む女性の悩みは日本と変わりません。
慣れない国での出張中に生理になれば、時間的な余裕もなく慌てがちですが、お店やスペイン語など、必要な情報を把握しておけば、冷静に対応できるでしょう。
 
困ったことがあれば、宿やお店の人に相談するのもおすすめです。
周りの人が助けてくれて、後まで心に残る良い思い出になるかもしれません。
突然の生理でも慌てず、焦らず、この記事を参考にして、快適なスペイン滞在をしてくださいね。

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