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2019.09.23

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出張前にチェック! 上海浦東国際空港を使いこなすコツ

上海の玄関口『上海浦東(シャンハイプードン)国際空港』。日本を含め、中国外からの国際線のほとんどがこの上海浦東国際空港発着です。広大なこの空港は、出張で快適に便利に過ごすには少しコツが必要。空港で「こんなはずではなかった……」「どうしよう……」と困らないよう、事前に予習しておきましょう!

1.上海には2つの空港が! 2つの違い


中国経済の中心である上海。この上海には『上海浦東国際空港(以下、浦東国際空港)』と『上海虹橋(シャンハイホンチャオ)国際空港(以下、虹橋国際空港)』、2つの空港があります。
虹橋国際空港は、日系企業が多く集まる虹橋・古北エリアに近く、羽田空港発の便が就航しているため、非常に便利。しかし、国際線が少なくほとんどの便が国内線です。
一方、浦東国際空港は世界の73都市を結ぶアジアのハブ空港と知られています。就航便や利用者の増加により2019年9月からサテライトターミナルを利用開始予定。さらに、2025年には第3ターミナル供用予定と成長を続けています(2019年8月現在)。

今回は、日本からの出張で使う機会の多い浦東国際空港について、詳しくご紹介いたします。

2.浦東国際空港から上海市中心へのアクセス方法


浦東国際空港は上海中心地から約35km離れたところにあり、上海中心部とのアクセスに時間がかかるのが難点です。しかし、上海の主要エリアと空港を結ぶ交通手段が充実しているので、初めての上海出張でも心配ありません。交通手段別に、移動時の注意点やコツをご紹介します。

2-1.タクシー

初めての上海出張なら、タクシー利用がおすすめです。英語が通じないことが難点ですが、行き先を紙に書いておき、ドライバーに見せればそれほど心配する必要はありません。日本に比べて運賃が安いので、気軽に利用できます。
ただし、空港内のタクシー乗り場が長蛇の列になっていることも多々あります。また渋滞に巻き込まれる可能性があるので、時間に余裕を持っておいた方が良いでしょう。特に、平日の朝や夕方は渋滞が発生しやすいため、要注意です。

空港のタクシー乗り場には係員がいて、どの方面に行くかを訪ね、方面を答えるとタクシーの前まで案内してくれます。そのため、どこに行くか住所やホテル名などを書いた紙を用意しておくと便利です。

≪各エリア間の料金・主要時間≫
・上海浦東新区:40~50分
・人民広場:40~50分
・古北エリア:60~70分
※上海浦東新区(ビジネスの中心地)/人民広場(上海の中心地)/虹橋・古北(日系企業の集まるエリア。駐在員の多くはこのエリアに住んでいる。)
料金:200~350元(約2,900円〜5,170円/1元=14.78円にて計算)

2-2.リニアモーターカー


リニアモーターカーも、初めて上海を訪れる人におすすめしたい空港からの移動手段です。
浦東国際空港と地下鉄2号線「龙阳路(ロンヤンルー)」を結ぶ世界最速のリニアモーターカーで、なんと最高速度は時速430㎞。上海出張でこのスピードを体験できたら、職場や出張先での話のネタにもなりそうです。

乗り場は、第1ターミナルと第2ターミナルを結ぶ中央通路にあり、看板に「磁浮(英語名:MEGLEV)」と記載されています。

≪浦東国際空港~龍陽路駅までの料金・主要時間≫
※龙阳路駅は中心部から離れているため、地下鉄に乗り換える必要があります。
料金:50元(約740円)/往復70元 *7日間有効(約1,035円)/VIP席100元(約1,480円)
乗車時間:約8分

参考:「上海館― 上海市文化観光局(旅行事業)オフィシャルHP」
http://www.shanghaikanko.com/info/airport/pudong/magnetic_levitation.html

2-3.地下鉄

時間がかかりますが、最も安く移動できるのが地下鉄です。
浦東国際空港から伸びている地下鉄2号線はビジネス街の上海浦東新区や中心地の人民広場エリアを通り、日系企業の集まる虹橋・古北エリアや虹橋国際空港まで1本で行けるので便利です。

車内には路線図があり、英語でのアナウンスもあるので、初めての中国でも安心して乗れるでしょう。

※2号線はどの方面へ行く場合でも「广兰路駅」より先に行かないので、乗り換えが必要(ホーム向いの電車に乗車)
≪各エリア間の料金・主要時間≫
・空港~上海浦東新区(最寄駅は陆家嘴駅):約1時間/料金:6元(約88円)
・空港~人民広場駅:約1時間/料金:7元(約103円)
・空港~虹橋・古北エリア(最寄駅は娄山关路):約1時間半/料金7元(約103円)

参考:「上海館― 上海市文化観光局(旅行事業)オフィシャルHP」
http://www.shanghaikanko.com/traffic/index.html

2-4.エアポートバス

浦東国際空港と中心地を結ぶバスも運行しています。タクシーより安く、地下鉄より乗車時間が短く便利ですが、中国に慣れていない人には驚くことが多いでしょう。

例えば、日本の長距離バスのようにきれいではないことがほとんど(シートがボロボロ等)で、バス内にトイレもありません。また、スーツケース等の荷物を預けられますが、取り出してくれる係員はいません。
そのため、自分で預けた荷物をバスから降ろすのですが、我先にと乗客がスーツケースを取り出そうとする光景は唖然としてしまうかもしれません。

行き先によってはバスターミナルから地下鉄やタクシー、バスなどでさらに移動が必要な場合があるため、ある程度の土地勘も必要。上海出張に慣れてから利用した方が無難です。

エアポートバスを利用する場合には、中心部である「城市航站楼(シティエアターミナル静安寺)」行きや、日系企業が集まるエリアに近い「虹橋枢紐東交通中心(上海虹橋国際空港T2)」行きが便利です。

≪各エリア間の料金・主要時間≫
城市航站楼(シティエアターミナル静安寺):約50分/24元(約354円)
虹橋枢紐東交通中心(上海虹橋国際空港T2):約60分/34元(約502円)
参考:上海市文化観光局
http://www.shanghaikanko.com/info/airport/pudong/bus.html

3.浦東国際空港利用のコツ


浦東国際空港は「混雑しやすい」「Wi-Fiがつながりにくい」など少々不便さを感じることも。
何も知らないで空港へ行くと「チェックインに時間がかかって飛行機に乗り遅れるかもしれない」「メールチェックしたかったのにWi-Fiがつながらない」と困ることがあります。いざ空港で困ってしまうことのないように、空港利用のコツをご紹介します。

3-1.早めに空港に到着しておく

利用者が多い浦東国際空港は混雑しやすく、出入国審査やチェックインに長時間並ばないといけない……ということもあります。
特に旧正月(1月後半~2月中旬)の前後や国慶節(毎年10月1日から始まる連休)は、故郷に帰る人や旅行に行く人が多いため、大変混み合います。
一般的に、空港には2時間前に到着するのが良いと言われていますが、この時期浦東国際空港を利用するなら、空港内の混雑が予想されていますので、3時間前に到着しておくことをおすすめします。

※参考
2018年より入国審査に指紋認証が導入されました。入国時混雑の緩和につながることが期待されています。
参考:指紋登録方法
日本通運グループサイト:
https://www.pelican-travel.net/news/info/detail?id=1271&shop=PVG

3-2. Wi-Fiルータは持参が安心

空港内には無料で使えるフリーWi-Fi がありますが、「非常につながりにくい」という声が多数上がっています。また、速度が遅いためサイトの読み込み、メールの送受信に時間がかります。それに加え、中国政府によるインターネットの閲覧制限により、FacebookやLINE、Instagram、Google、Yahoo検索等の閲覧できないサイトが多数あります。フリーWi-Fiでは閲覧制限を回避するVPNにもつながらないため、日本からVPN回線付きのWi-Fiルータを持って行くことをおすすめします

※インターネット規制から逃れるには、VPN回線付きのWi-Fiルータが必要です。レンタル時にVPN回線付きプランまたは中国専用のプランを申し込みましょう。
≪フリーWi-Fiの利用方法≫
浦東国際空港のフリーWi-Fi利用にはパスワードが必要です。パスワードの入手方法は2つあります。

1.インフォメーションカウンターで発行してもらう
パスポートを提示の上、Wi-Fiを利用したい旨を伝えるとパスワードを教えてくれます。

请告诉我Wi-Fi密码」/Wi-Fiのパスワードを教えてください。
近い発音:チンガオスウォーWi-Fiミーマ
※「Wi-Fi密码」だけでも通じます。
※英語が通じることもあります。

2.専用の端末で発行する
出発ロビーにある「浦东机场信息亭」と書いてある端末で発行が可能です。この端末でパスポートをスキャンするとパスワードが書かれた紙が発券されます。

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3-3.喫煙は建物の外で

2017年3月より「上海市公共施設禁煙条例」が実施され、公共施設や公共交通機関内での喫煙が禁止となりました。そのため、空港内もすべて禁煙です。
ただし、建物外でならどこでも吸っても良いとされています。そのため、日本のように喫煙エリアはなく、灰皿もありません。喫煙の習慣がある方は、携帯灰皿を日本から持って行くと良いでしょう。

※現地の人は携帯灰皿を持ち歩く習慣がないため、現地調達は難しいのでご注意を。
(吸い殻を道路に捨ててしまう人が多いです。)
上海出張裏ワザ:.飲料水を安く買うには?
出国審査後に飲料水を買おうとすると、20~25元(約295〜370円)と日本と比べて高い場合がほとんどです。
節約したい方向けに安く飲料水が手に入れられる場所をご紹介します。

1.出国審査のゲートを出てすぐにあるおみやげ屋
飲み物を置いている棚の奥や隅のほうに中国の飲料水(10元以下)がひっそりと置かれている場合があります。

2.バーガーキング
出発ロビーの2階にあります。こちらでも中国の飲料水を販売しています。

3.ウォーターサーバーから水をくむ
空港内には、ウォーターサーバーが複数設置してあり、無料で水が飲めます。地元中国人は水筒を持ち歩いている人が多く、水筒に冷水器の水を汲んでいる姿をよく見かけます。

3-4.ラウンジでPC作業する際の注意点


メールチェックなどPC作業が必要な場合、「航空会社やクレジットカードラウンジ内にあるワーキングスペースを利用しよう」と思う人が多いかもしれません。しかし、中国の場合は、注意が必要です。「インターネット規制」があるため、ラウンジ内のWi-Fiでは閲覧できないサイトがあります。
また、ラウンジのWi-Fiは空港内のWi-Fiと比べて繋がりやすいのですが、それでも「繋がりにくかった」「速度が遅かった」という声も上がっています。
ここでも日本から持参したVPN対応のWi-Fiルータを利用した方が、サクサクと作業が進みます。

≪電源はある? 充電できる場所≫
浦東国際空港の出発ロビーにはいたるところに電源が用意されています。電源があるところには「电源」と書かれている場合が多いので、見つけやすいでしょう。もちろん、自由に利用できます。

4.浦東国際空港 おすすめグルメ情報


浦東国際空港は「規模の割には飲食店の数が少ない」と言われています。実際、他国の主要な空港に比べ、レストラン街の充実度は少しだけ低め。そんな浦東国際空港ですが、おいしい食事を楽しむことはもちろん可能です! 地元の上海人の間でもおいしいと評判のお店をご紹介します。

4-1.帰国前に上海の家庭料理を楽しめる『上海人家』

帰国前に上海料理を食べたい人におすすめのお店です。気軽に上海の家庭料理が楽しめ、メニュー数が多いのが魅力。中でも小籠包と蟹粉豆腐が人気です。中国国内の中華料理レストランではまだまだ少ないセットメニューがあるので、1人でも入りやすいでしょう。
第2ターミナルの出発ロビー内にあります。

店名:上海人家
場所: 中国上海市浦东新区浦东机场第二航站楼3楼(第二ターミナル3階)
営業時間:6:00~21:00
代表的なメニュー:小籠包、蟹粉豆腐(カニと豆腐を煮込んだ料理)

4-2.日本のラーメンが食べられる『味千拉麺』

こちらも第2ターミナル出発ロビー内にあるラーメン店。
熊本発の豚骨ラーメン店ですが、上海で人気があり、街中にもあります。仕事後の飲み会や接待などで連日の中華料理に飽きてしまって、日本の味が恋しくなった人にぴったりです。

店名:味千拉麺
場所: 中国上海浦东国际机场T2航站楼国际出发大厅2楼(第二ターミナル2階)
営業時間:6:00~22:00
代表的なメニュー:猪骨拉面(とんこつラーメン)
URL:http://www.ajisen.com.cn/index.php

4-3.中華料理をたっぷりたべられる『真功夫』

ブルース・リーが目印。中華料理のファストフード店で、ご飯・おかず・スープがセットになったメニューが食べられます。浦東国際空港の飲食店は街中に比べて、比較的割高ですが、このお店はリーズナブル。ボリュームたっぷりなので、たくさん食べたい人にはうれしいお店です。
場所はリニアモーターカー乗り場付近。上海到着後、仕事を始める前のパワーチャージにもぴったりです。

店名:真功夫
場所: 中国上海浦东国际机场磁悬浮车站2楼A05-A08铺(モノレール乗り場2階)
営業時間:7:00~22:00(朝食7:00~10:00)
URL: http://www.zkungfu.cn/

4-4.店舗多数の『スターバックスコーヒー』

「上海に来てまでスターバックス?」と思うかもしれません。しかし、中国ではスターバックスはとっても便利。英語がほとんど通じない上海ではめずらしく英語が通じますし、日本でおなじみのお店なので、入りやすいでしょう。コーヒーで一息、頭をスッキリさせたいときや小腹が空いたときに良いですね。

店内で販売されている上海限定タンブラーはおみやげにもおすすめ。

また、空港内に10店舗もあるので、すぐに見つかります。
場所は第1ターミナル、第2ターミナル以外にリニアモーターカー乗り場付近にもあります。
中国スターバックス公式サイト
https://www.starbucks.com.cn/en/

5. 職場へのおすすめお土産が手に入る場所

5-1.中国茶が手に入る『Qitai Tea Shop』

第1ターミナルにある『Qitai Tea Shop』では、品質の良い個性的なお茶が買えます。プーアル茶やウーロン茶などの定番のお茶以外に「花茶」というお茶も人気です。「花茶」は、花の香りをお茶に付けたもので、華やかな香りが特徴。
おみやげ用の複数のお茶セットやバラマキ用のいろいろな種類を少しずつ入れたお茶のセットが便利です。

5-2.おすすめはパンダクッキー『上海特産』

国際線ターミナル1 セキュリティ入口付近にあり、中国の特産品が手に入ります。職場の人たちに配るのにおすすめなのは箱入りお菓子。中でもパンダの顔の形のパンダクッキーは、見た目がとても可愛らしいので喜ばれるでしょう。
また、上海蟹味やふかひれスープ味などの中国限定プリッツもおすすめ。
パンダクッキーやプリッツは『上海特産』以外でも、空港内の免税店でも販売されています。

5-3.女性へのおみやげに『HERBORIST(佰草集)』

漢方コスメが比較的安い価格で手に入る『HERBORIST』。中国を代表する自然派化粧品の専門店で、中国の20~30代の女性に人気だとか。肌質改善を目的とした基礎化粧品を販売しています。2008年にEUの化粧品基準をクリアし、パリ進出を果たしました。安心して使える化粧品です。

≪上海蟹のおみやげはNG≫
上海蟹が旬の9月~11月にかけて、街中だけでなく空港内でも上海蟹が売られていることがあります。蟹のおみやげはとても喜ばれそうですが、残念ながら日本への持ち込みは禁止です。おみやげにするなら上海蟹味の『プリッツ』や上海の日系企業が開発した『上海蟹煎餅』をどうぞ。

まとめ:上海出張は空港の進化にも注目してみよう!


浦東国際空港は「喫煙エリアがない」「Wi-Fiが繋がりにくい」「混雑している……」など世界各国の他の空港と比べて、少し不便な点があります。しかし、近年は指紋認証システムの導入や新ターミナルの増設など、目覚ましい発展ぶりで、今後どう成長していくのか楽しみな空港でもあります。
上海出張の度に「前回にはなかったシステムが導入されている! 」と驚くこともあるかもしれません。これからのビジネスの展開だけでなく空港の展開も楽しんでくださいね。

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