海外ビジネス成功のカギは「雑談力」!絆を活かし躍進を続ける秘訣【海外出張リーダーVol.14】

海外ビジネス成功のカギは「雑談力」!絆を活かし躍進を続ける秘訣【海外出張リーダーVol.14】

バイドゥ株式会社 執行役員 popIn株式会社 取締役副社長 髙橋大介氏

中国最大の検索サービス「Baidu(百度)」日本法人バイドゥ株式会社(以下、バイドゥ)の100%子会社であるpopIn(ポップイン)株式会社取締役副社長を務める髙橋大介(たかはしだいすけ)さん。中国をはじめ、東南アジア、アメリカ、ヨーロッパなど世界各国を飛び回り、自社サービスの提供を国内外に進めています。海外出張では人に会い、自分の想いを直に伝えることを大切にする髙橋さんの姿勢は、仕事関係者との信頼関係を深め、結果にもつながっています。髙橋さんのパートナーシップについての考え方を知れば、海外出張に行く意義をさらに深く見出せるでしょう。

※トップ画像は2019年12月アメリカ出張の際、シアトルのスターバックス1号店へ立ち寄った髙橋さん

1.世界中を渡り歩き自社サービスを展開!海外出張は年間30回以上


2018年12月 中国深セン出張での会食。会食も信頼関係を高めるための重要な場。右から3番目が髙橋さん

―popIn株式会社の事業について教えてください。

popIn株式会社では、親会社であるバイドゥの国際化推進を支える一事業部として、広告事業を担っています。具体的には、弊社が提供する広告を自然な形で配信できるネイティブアドネットワーク「popIn Discovery(ポップインディスカバリー)」を日本やアジア8エリア(韓国、台湾、中国、香港、インドネシア、シンガポール、タイ、マレーシア)へ展開しています。このサービスを導入することで、特許技術であるREAD機能により、Webメディアのサイト内回遊の向上、コンテンツやユーザーの分析、そして、広告掲載による収益化が可能になります。現在1,150の優良メディアをネットワーク化し、今年2020年7月に国内外合わせて月間100億PVを達成しました。

―「popIn Discovery」の提案や契約に海外出張へ行かれるのでしょうか?

そうですね、いわゆる営業です。出張先でメディアや広告代理店、広告主に私たちのサービスを紹介して導入していただきます。取引先は、現地の新聞社や雑誌社、アプリ運営の企業が多いですね。

―よく渡航する出張先を教えてください。

北京、深セン、上海を中心に中国が一番多いです。popIn韓国支社の代表も兼ねているので韓国に行くことも多く、他にはシンガポール、バンコクなど東南アジアの主要な国、Baiduのオフィスがあるシアトルやシリコンバレーに行くこともあります。

新型コロナウィルス感染症の影響で渡航できなくなる2020年2月頃までは、月に2~3回ほど海外出張に行っていました。特にバイドゥは中国企業なので頻繁に渡航していて、本社への出張など過去12年間で100回近く行っています。

2.海外出張では会話を広げる「雑談力」が重要


2018年5月 アメリカニューヨークのパートナー会社にて。人間関係を構築することでビジネスは円滑に進む。髙橋さんは写真中央

―海外とのビジネスでは何が大切だと思いますか?

やはり、海外出張では現地で「相手と直接会うこと」が大切だと考えています。また、「『あなたに会いたい、話したい』とストレートに伝えること」も重要です。海外出張は、人間関係を深めるための武器になります。実際に会ってコミュニケーションを取ることで問題解決がスムーズになり、その結果、ビジネスを円滑に進めることができるのです。

もう一つ、「スピード感」も意識しています。

こんなことがありました。ある大企業と契約をしたかったのですが、当時の私にはパイプがありませんでした。そんな中、なんとか相手の担当者と日本で会う事ができたときのことです。その担当者から「2、3日後に台湾に行く。できればpopInのオフィスを視察したい」と言われたんです。これはチャンスだと思い、私は急きょフライトを予約して台湾へ向かいました。どんどん交渉していきたいので、チャンスがあればすぐに飛びつくようにしています。

―人間関係を深めるために海外出張ではどのようなことをしていますか?

海外出張では、普段よりもチームでの関係性を深めやすいですね。日本にいるときと比べて、出張時はチームと一緒にいる時間が長いので、さらに信頼関係が生まれ仲良くなれますよ。帰国後も一緒に食事をしながら、海外出張の出来事を話すことも多いです。

現地で会う方々とは、雑談など、ビジネス以外の会話も大切にしています。会話を積極的にどんどん行った方が、相手をより理解しようとしていることが伝わりますし、良い関係が築けますよね。

オンライン会議ですと雑談をほとんどしないので時間的には効率が良い反面、実はその雑談にこそ大切なヒントが隠れている場合があります。ビジネス以外の何気ない会話から、相手の本音が垣間見えることがあるんです。相手の意外な一面をキャッチすることで、そこからつながりや関係性を広げていくこともできます。


2019年5月 中国深センでの会食。現地の人たちと一緒にお酒を飲むのも積極的に楽しむ。右側が髙橋さん

―実際に人間関係が構築できた具体例を教えてください。

出張中に空いた時間の使い方を工夫してレジャーを楽しむ「ブレジャー」をきっかけに、コミュニケーションが広がることもあります。

海外出張時の空き時間を生かして中国の泰山に行ったことを相手に話したことがあります。すると相手は、私が山が好きだということを知り、他の山の情報も教えてくれました。これだけで会話が広がりますし関係が深まりますよね。

それに、外国人が自分の国の観光資源に興味を持ち、そこに足を運んだという話を聞くと、きっと嬉しいと思うんです。ですから、お互いに共通する話題や経験を共有できるという点でブレジャーの話題は効果的な方法だと思います。

3.出張先では相手の心を掴む「キメの言葉」にこだわりたい


2018年10月 popInチームと中国深センにあるバイドゥのオフィスにて。仲の良い中国人社員とは人脈を紹介し合うなど協力し合っている。左から2番目が髙橋さん

―価値観や国民性が異なる海外の方とのコミュニケーションでは何に気をつけていますか?

先入観を極力なくして相手と接することです。そのために、現地に自分が足を運び、自分自身の五感で感じることが大切です。

例えば、相手の発言も言い方や表情などがわからないと、その方がどのように感じて発言しているのか真意を捉えることができません。現地の情報も同様で、誰かから聞いた話だとその人の価値観が上乗せされてしまい、事実からズレが生じてしまう懸念もあります。
ですから私は、人づてに聞くのではなく、実際に自分の耳で聞いて判断しています。

―営業において、海外相手ならではの交渉のコツはありますか?

コツは二つありまして、一つは「明確かつストレートに伝えること」です。サービスを導入することでどのくらい収益を上げられるか、数字を出して伝えます。海外ではこの方がわかりやすいと好まれるようです。

もう一つは、「現地の商習慣を把握すること」です。過去に、東南アジアのビジネスで商習慣の違いで急ぎすぎたため、契約のタイミングを逃してしまった経験があります。意思決定からアクションまでのスピードは、同じアジアでも国によって異なることを実感しました。
このような商習慣の違いを知るためには、やはり現地に行って自分自身が体感することが大切だとわかりました。

―交渉でこだわっていることは何ですか?

交渉の際、大切な一言や相手の心を掴むためのキメの言葉は自分で伝えるようにしています。流暢な言語でなくても自分で伝えることで、パートナーとして一緒にビジネスをしたいという想いが相手にも届き、その結果良いパートナーシップに繋がります。

こう思ったきっかけは、相手企業の経営陣が何を求めているのかを既に見すえていた上司の指示のもと行った、ある企業との交渉でした。

上司の考えはもちろんですが、私自身も、相手企業の期待に応えたいという強い思いがありました。その熱い志やパートナーになりたい思いを言葉にこめた結果、その企業と握手をかわすことができたのです。

この経験をきっかけに、私自身も今後彼らと同じような視座の高さで会社代表として提案や交渉を行いたいと感じ、相手の心を掴む言葉にこだわるようになりました。打ち合わせ後の会食などカジュアルな場面でも、積極的に自分で伝えるようにしています。

一方、交渉の中で、システム仕様の正確な説明やニュアンスまで伝えたい細かな部分は、語学堪能なスタッフを通じて意思疎通を行っています。

4.コロナ状況下で会えない今「心を込めたコミュニケーション」を大切に

―新型コロナの影響で渡航規制のある現在、どのような方法で人間関係を深めていますか?

海外出張に行けず相手に直接会えない分、WeChatやLINEなどチャットツールを使ってメッセージをマメに送るようにしたり、極力オンライン会議を行ったりしています。実際に会った方が濃いコミュニケーションを取れますが、今は細やかにやりとりをする回数が増えました。「会いたい」「一緒にお酒が飲みたい」といったビジネス以外のメッセージも大切にしています。


コロナ感染拡大防止のため、取材はオンラインで行った

―オンラインでのやりとりではどのような工夫をしていますか?

ひと手間かけたコミュニケーションを心掛けています。お中元を贈るときは直筆で手紙を添えますし、メッセージを送る時は定型文を使わずに、相手のことを思い出しながらオリジナルのメッセージを書いています。

―海外出張に行ける状況になったら、相手とどのように接したいですか?

全力でハグしたいですね。もともと私は、海外では誰に対してもハグすることにしています。今後はもしかすると、会える時間が限られたり、マスクの着用やソーシャルディスタンスを保つという制限があったりするかもしれませんが、この数カ月を惜しむように思いっきりハグをして、濃いコミュニケーションを取りたいですね。
今はそのために、メッセージのやり取りなどをして会えるときまでの準備をしていると言えますね。

5.海外出張の醍醐味はインパクトある体験の連続!海外に飛び込むと人生の道筋が見えてくる


2019年12月 アメリカのシアトルのMictosoft社にて。海外でもチャンスを逃さない行動力を発揮する髙橋さん

―海外出張に対して躊躇や不安のある方にアドバイスをお願いします。

海外出張に行くというより、新しい環境へ「dive(飛び込む)」してほしいと思います。海外での経験は他では味わえないインパクトがあり、やみつきになりますよ。海外のハードな環境で体験は、日本で味わうよりも何倍も心に響くと思います。

成功も失敗も含めて海外経験を重ねると、それが5回、10回と続き、ふとそれらの経験を振り返ると、いつのまにか「自分の道」ができていることに気づくはずです。
「将来こんな仕事をやっていきたい」
「今の方向性は違うかもしれない」
と、今後の人生をどのように進んでいきたいのかという自身の筋道が見えてきます。

人生の軸となる経験を多く得られますので、不安や躊躇にとらわれず、海外出張という新しい体験に飛び込んでみてください。

髙橋大介さんプロフィール
popIn株式会社 取締役副社長。ベンチャー企業、株式会社サイバー・コミュニケーションズ、株式会社電通を経て2008年バイドゥ株式会社入社。国際事業部 本部長として中国Webマーケティングを活用した日系企業の中国進出支援などに従事。バイドゥとpopInの経営統合以降はpopIn取締役も兼務し、2017年4月より現職。海外でのビジネスにおいて、相手と直接会いコミュニケーションを深めることが重要という考えから海外出張は年間30回以上に及ぶ。
popIn株式会社:https://www.popin.cc/
バイドゥ株式会社:https://www.baidu.jp/

構成・編集:石島聡子(リベルタ)
取材・文:カワムラルイ(リベルタ)
※出張先画像等は取材協力者提供

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