ビジネス基礎知識

2022.06.08

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外資系企業と日系企業の違いを学ぼう!転職成功のための基礎知識

多くの外資系企業が日本に進出しています。人材募集を目にするたび、「今は日系企業で働いているけれど、外資系企業で自分の腕を試したい」「専門性を活かして外資系企業に転職し、収入アップさせたい」などと考えたことがある人もいることでしょう。
そこで本記事では、外資系企業に転職したいと考えている人に役立つ、外資系企業と日系企業の違いや基本的な知識についてご紹介します。外資系企業に転職した後も、働き方の違いで困ることがないよう、予備知識を頭に入れてみませんか?

1.外資系企業ってどんな会社?外資系企業の成り立ち3パターン

経産省では外資系企業を「外国の投資家が株式の3分の1超を所有していること」「外国側筆頭出資者の出資比率が10%以上であること」など、細かく定義しています。しかし、転職するときには経営形態や組織の仕組みなど、業務や仕事の進め方に影響する部分が気になる人も多いのではないでしょうか。
まずこの章では、外資系企業にはどんな会社があるのか、日本で展開しているスタイル別に見ていきましょう。

1-1.外国に本社があり日本に支店や子会社を置いている

豊富な資金と組織力を持った規模の大きな企業が、日本国内で支店や子会社を開設し、事業を展開している例は多いです。
日本の子会社で活躍する優秀な人材を本社へ引き抜いて、さらに会社を発展させる戦力にすることがあります。

有名な会社では、
・アップルジャパン社(本社/カリフォルニア)
・ユニリーバ・ジャパン社(本社/ロンドン)
などがあります。

参考:外資系企業の特徴とは?日系企業との違いや就職前に知っておきたい情報 元Appleシニアマネージャー松井博氏がアップルでの仕事を語る – ログミーBiz

1-2.日系企業を外国の企業が買収した

倒産危機に直面した日系企業の株式を外国の企業が買い取り、経営権を獲得して子会社化するパターンもあります。
社風や指揮系統が外国の本社同様になり、現場の混乱が収まるまで時間がかかったり、本社制度に合わせた福利厚生の変更で社員のライフプランに影響したりするなど、組織全体に大きな影響があります。
とは言え、場合によっては経営権をそのまま元の日系企業が維持することもあり、変わったのは組織の上層部だけで、業務や仕事自体にはあまり影響しないというケースも。

例をあげると、
・台湾の鴻海精密工業社に買収された家電メーカーのSHARP社
・アメリカのウォルマート社と投資会社コールバーグ・クラビス・ロバーツ社によって買収されたスーパーマーケットチェーンの西友
などがその一例です。

1-3.外資系企業と日系企業が共同で出資している

外資系企業のブランド力や資金を利用したい日系企業と、国内企業の生産・販売ノウハウを利用して事業を展開したい外資系企業が、共同で設立する会社もあります。

小さな組織で運営していた日系企業が、外資系企業と力を合わせて販路を拡大した結果、業界でもトップの位置につけることができることも。また、組織を大きく成長させるのに成功できるなどのメリットがあります。

例えば
・旅行会社の販売網を持つJTB社と、外資損害保険大手のAIG社が共同出資したジェイアイ傷害火災保険
・スキンケアのニベアブランドを擁するバイヤスドルフ社と、化粧品大手メーカーの花王が設立したニベア花王社
などが有名です。

参考:調査の概要(METI/経済産業省)

2.文化だけじゃない!外資系企業と日系企業の違い

外資系企業には、「企業文化や経営方法などが外国流」「個人主義、成果主義が重要視される」などのイメージを持つ人もいることでしょう。残業や休暇の取り方など、細かい部分も日系企業とは異なる場合があるのが外資系企業です。
この章からは、外資系企業と日系企業の違いについて見ていきましょう。

2-1.採用基準ではキャリアや個人の能力が重視される

外資系企業は職種別の採用が中心で、日系企業のように「総合職」というポストで求人を行うことはほとんどありません。選考や面接で人柄はそれほど考慮されず、応募者のキャリアや能力を重視して採用する企業が多いです。

また、「インターン募集」と明記した人材募集以外は、雇用後に即戦力となることが求められます。結果を出せなければ、評価が低くなることも珍しくありません。

2-2.仕事の責任は本人が負う

日系企業では、周りの人と協働しチームワークで働くことが基本です。そのため仕事の責任を、チームリーダーとなる管理職が負うこともしばしばあります。

しかし外資系企業では、プロジェクトや仕事の内容はそれぞれの専門分野ごとに割り振られ、社員個々の役割がきっちり決められています。仕事の専門性が高くなると同時に、自分の裁量で仕事を進める必要があるため、ミスが起こったらミスをした本人が責任をとることがほとんどです。
個人の責任が重い一方で、良い仕事をすれば能力ありと認められ、短期でキャリアアップにつなげることが可能です。

参考:外資系企業とは?基礎知識や働くメリット・デメリットを解説

2-3.残業は能力なしと見なされる

残業は業務の一環として捉えられている日系企業とは違い、外資系企業では残業代=コスト、と見なされることが一般的です。
あらかじめ上司に申請してからでないと、残業は認められないという外資系企業もあります。最近の日系企業でも、コストを重視する風潮から残業は申請制、とする場合が増えてきました。

日系企業のように残業して仕事することは、「勤務時間内に仕事を終わらせられない人」と認識されることが多く、能力が低い人と見られることが多いので注意しましょう。

参考:外資系企業の特徴とは?日系企業との違いや就職前に知っておきたい情報

2-4.休暇は当たり前の権利として考える

外国の本社とスケジュールを合わせ、休暇を設定している外資系企業は少なくありません。そのため、クリスマス休暇が長かったり、バカンス休暇を1カ月近くもらえたりということがある反面、日本の祝日は出勤日である場合も。

また、日系企業のように有給を申請するには、もっともな理由をつけないと休みにくいというような風潮はありません。有給取得が社員の当然の権利とされているため、外資系企業での有給の消化率は高く、休みを取りやすい環境です。

2-5.語学力が必要になる

外国の本社と連絡する状況が多いので、必然的に英語など外国語でのやりとりを必要とします。
語学力を採用条件にしている外資系企業は多く、社内で使う公用語を英語にしている企業なら、TOEIC700点以上のレベルが一つの目安です。

参考:外資系企業と日系企業の違い!それぞれのメリット・デメリットは?|求人・転職エージェント

3.キャリアプランや収入に違いが出ることも!外資系企業で働くメリット

社員を家族のように見なす風潮がある日系企業と違い、外資系企業には、仕事の能力や仕事の結果が全て、というドライなイメージを持つ人もいることでしょう。
能力と結果を重視する反面で、日系企業ではできないような好待遇も用意されているのが外資系企業です。
ここでは、外資系企業ならではのメリットについて見ていきましょう。

3-1.短期間でキャリアアップできる

外資系企業では結果が重視されることが多く、日系企業のように年功序列で昇進する制度はほぼありません。そのため、仕事で成果を出せれば若くても昇進することが可能です。
また、ヘッドハンティングなどで人の出入りが盛んな企業なら、社外へさらに活躍の場を広げる機会に恵まれやすくなります。

3-2.能力次第で高い収入を見込める

求人の時点で、日系企業に比べると高めの給与額に設定されているのが外資系企業です。高い専門性をもった人材を獲得するのを目的に、給与面での好待遇が用意されています。

また、日系企業のように、上司以外の人事担当者も社員を評価し、多方面から査定するという制度がありません。上司の評価が直接給与に影響することがほとんどです。仕事で成功すれば、評価が高くなり、すぐ昇給することが頻繁にあります。

反面、上司と合わなかったり無能な上司の下についてしまったり、という「本来の能力を正しく評価されない」という状況になったら即、次を探すのは普通のことです。より高い給与、待遇を求めて転職回数を増やすのが、決してネガティブなことにならないのです。

3-3.ワークライフバランスを整えやすい

外資系企業では、「バリバリ働いて、休むときはしっかり休養する」という考えが一般的です。有給消化率が高く、バカンス休暇など長期の休みも可能なところが多いので、仕事もプライベートも充実させやすいメリットがあります。

また、一部の日系企業には「長期休職」をマイナス評価とする風潮があります。しかし外資系企業では出産や育休、病気による入院など「やむを得ず仕事ができなくなる期間」をキャリアの判断に加えません。仕事ができれば、働いた時期と実績、結果次第で評価を得られることがほとんどです。

3-4.海外で働くチャンスをつかみやすい

常に高い成果をあげている人なら、外国にある本社へ引き抜かれるなどして、海外で働くことも可能です。
また、外資系企業で働くチャンスをつかみキャリアを作ることができれば、海外にオフィスのある企業に転職することも難しくありません。

4.意外と見落としがち!外資系企業へ転職するときの注意点

「自分の仕事をしつつも、他のチームメンバーをフォローしながら全体で仕事を進める」のが日系企業なら、外資系企業は「個々の仕事の範囲をあらかじめ決め、高い能力と専門性をもって仕事に臨む」という、大きな違いがあります。これがわかっていないと、いざ転職しても後で困る羽目になる可能性も。
この章では、他にも注意しておきたいポイントをご紹介。転職先での心得として、頭に入れておいてはいかがでしょうか。

4-1.仕事に積極的なコミットが必要

「上司の指示を仰ぎながら仕事を進める」という、日系企業でよく見られる仕事の進め方はあまり歓迎されません。
上司の意見も大切にしつつ、自分の仕事に対しプライドを持って積極的に意見を交換する、コミットメント能力の高さが重要です。積極的に発言して、自分の存在感を高めていくと良いでしょう。

4-2.キャリアダウンもあり得る

仕事の結果が出ないとき、降格や給与減が行われることがあります。能力がどう評価されるかによって収入も左右するので、昔の日系企業のように安定しているわけではありません。

4-3.福利厚生が少ないことがある

仕事ができる人を高い給与で募集することの多い外資系企業は、「日系企業で言うところの福利厚生は高い給与で自ら補う」ことが前提です。

しかし、長く日本市場で事業を行なっている一部の外資系企業の中には、日系企業と同様の福利厚生制度を採用している会社もあります。気になる人は、転職活動のときマメにチェックしてみましょう。

4-4.スピードが求められる

日系企業ではチームで働くことに重点が置かれることが多い傾向に。一方で、外資系企業では個人の裁量に任せて仕事を進める企業が多いため、あらゆることを自分で切り盛りする必要があります。
したがって、自分の仕事を業務時間内に全て終わらせるにはスピードが大事です。仕事の優先順位をすぐにつけ、できることから即実行する習慣をつけておくと、転職先で困らずに済むでしょう。

4-5.幅広い業務を経験しにくい

外資系企業では入社直後から、個々の専門性に特化した業務を行うのを前提に、社員を雇用します。日系企業の新卒採用のように、適正を見極めたり、将来の異動を見据えたりする、という前提で少しずついろいろな業務を行わせる、ということをしません。中途採用向けのOJTも行わないのが基本です。

もし、会計や営業、コンサルティングなど専門性の高い分野で長く働いてきたなら、外資系企業転職に有利と言えます。外資系企業が初めてでも、積極的に転職活動すると良いでしょう。

外資系企業と日系の違いを知って転職をより有利に!

外資系企業と日系企業の違いは、キャリアや収入だけでなく仕事の
姿勢や進め方など多岐に渡ります。しかし、この記事でご紹介した基礎知識とポイントをおさえておけば、転職成功率も上がることでしょう。
「こんなはずでは……」と後悔することがないよう、基礎知識はしっかりと頭に入れてくださいね!

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