ビジネス基礎知識

2023.09.26

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シンガポール移住でビジネスチャンスを掴め!ビザや注意点も解説

移住者の多い、多民族国家シンガポール。
アジアでの一大ビジネス都市として認知され、多くの外国人が生活しています。
日本でも、著名人や企業家のシンガポール移住の話題がメディアで取り上げられました。
この記事では、シンガポールへの移住の背景や情報を解説!
注意点やビザの情報もあるので、シンガポール移住を考えている人は、ぜひ参考にしてみてください。

1.シンガポールへ移住する外国人が多い理由

シンガポールは、アジア諸国やオセアニア圏へのアクセスが抜群で、アジアのハブとも言われています。
立地の有利さから人が集まり、大きなビジネス都市として発展してきました。
ここからは、シンガポールがビジネスパーソンを引きつける理由を見ていきましょう。

1-1.税率が低い

シンガポールでは、個人の所得税が所得額の最大22%に定められています。住民税は存在しません。
移住者の出身国別に各国の税率を見ると、中国の所得税が25%、インドは10~25%(所得額によって変動)、
マレーシアは25~30%(所得額によって変動)と、シンガポールに比べて高い比率となっています。
ちなみに、日本は所得税+住民税が最大55%です。周辺国と比べた税率の低さが、多くの移民を引きつける理由になっています。

また、シンガポールの法人税率は最高17%と、低い税率です。
周辺国と比較すると、中国の法人税は25%、インドは30%、マレーシアは24%の税率が課せられています。
なお、日本は企業の規模によって最高税率が異なり、大企業は30.62%で中小企業は34.59%です。
家電メーカーのダイソンや、高級ホテルチェーンのパン・パシフィック・ホテル・アンド・リゾーツなど、
多くの外資系企業の本社が、シンガポールにあります。節税対策の容易さが、シンガポールを選ぶ理由の1つと言えるでしょう。

参考:
【税理士執筆】シンガポールでの節税に向く人、向かない人と節税効果 – リビンマッチコラム

1-2.取締りが厳しい一方で治安が良く住みやすい

米国の調査会社ギャラップ社の2020年「法秩序指数調査」によると、
シンガポールは世界一安全な国として、7年連続で世界1位を獲得しています。

シンガポールは多民族国家のため、政府も国民も犯罪防止に対しての意識が高い国です。
治安維持のため、軽犯罪も厳しく罰するのが一般的です。

コラム:旅行者といえども例外なし!シンガポールの取締り事情
シンガポールでは軽犯罪でも罰するのがルールです。
市内のあちこちに監視カメラが備えつけられ、犯罪の取締りを行なっています。
旅行者といえども例外ではありません。
違反した全ての人に罰金刑が執行されるのに加え、専用ユニフォーム着用の上で公共スペースの
社会奉仕(ゴミ拾い)を命ぜられます。

取締りの一例:
ゴミのポイ捨て、指定場所以外での喫煙/罰金最大1,000シンガポールドル(約104,864円)
公共の場での唾吐き/初犯2,000シンガポールドル(約209,729円)、
2回目2,000シンガポールドル(約419,458円)、
3回目10,000シンガポールドル(約1,048,646円)
チューインガムの持ち込み/10,000シンガポールドル(約1,048,646円)

参考:
【2023年最新版】知らないと罰金!?シンガポールの厳しいルールを徹底調査 面白い罰金やルールについてもご紹介! | SingaLife | 在シンガポール日本人向けのフリーマガジン。グルメ、習い事、ビジネス、教育など充実の内容満載のウェブサイト

1-3.英語がわかればやっていける

さまざまな人種が入り混じるシンガポールでは、英語・中国語・マレー語・タミル語の4ヶ国語が公用語です。
特に、ビジネスシーンで使われるのは英語。
英語さえわかれば、仕事にも生活にも支障がありません。

また、シングリッシュと呼ばれる現地流の英語が広く使われています。
中国語やマレー語など、各国の単語や発音が混じった独特なもので、覚えておくと良いでしょう。

【シングリッシュの例】
・No need(ノッニッ)/ I don’t need、要りません
・You like this meh?(ユーライクディスマー?)/Do you like this?、これは好きですか?

1−4.医療レベルが高い

ドイツに本社を置く、世界有数の調査会社statistaが行なった「世界医療レベルランキング(2023年度)」では、
世界2位となった日本を抜き、シンガポールが世界1位となりました。

世界有数の医療サービスを提供する医療観光も、シンガポール政府が注力するビジネスの1つです。
周辺国だけでなく欧米からも患者が流入し、2009年時点で22万人の外国人利用者と1,157億4千万円の収益を生みだしています。

参考:
Health index of countries worldwide in 2023 | Statista
医療ツーリズムの最近の動き:インバウンド

2.シンガポール移住の注意点3つ

多くの移住者が集まるシンガポールでは、日本と異なる様々なルールがあります。
シンガポールで暮らす上で、どのような点に気をつければ良いでしょうか。
この章では、生活での注意点を解説します。

2-1.生活費は日本同様か高めになる

シンガポールは島国で、狭い国土に多くの人口が集中します。
特に不動産や賃貸の価格は高騰する一方。政府が開発・販売する公共住宅HDBに、シンガポール人の80%が住むと言われています。
公共住宅とはいえ、家賃3LDKの平均家賃が約20~27万円と、東京より高い傾向にあります。

また、周辺国と比較すると生活にかかる物価は高めです。
その理由の1つに、家で食事を作るという習慣があまりないことが挙げられます。
共働きが一般的なシンガポールでは、外食産業が発達していて、外食か中食(惣菜屋やレストランなどで作られた食事を家に持ち帰って食べる)が一般的です。
そのため、食費が高くなりがちな家庭は多いと言われています。

【シンガポールの生活ミニ情報】
※月収以外は2023年8月現在。商品価格は参考
・通貨:シンガポールドル(以降、S$。1S$=約107.20円)
・総合職の平均月収:約5,070S$(2022年時点。約543,522円)
・物価:ミネラルウォーターペットボトル500ML1本=1.20S$(約129円)
    コーヒー1杯=1.30S$〜(約140円)
    チキンライス1皿=5S$〜(約537円)
    地下鉄(初乗り)=0.99S$(約107円)
    タクシー(初乗り)=3.90S$(約419円)
・日本との時差:1時間

2−2.ビジネスでの文化習慣を頭に入れておく

あらゆる国から大勢の移民が集まる国のため、不要なトラブルを避ける意味でも、移住前には文化習慣を覚えるのがオススメです。
特に商習慣の違いを心得ておくと、後々困らずに済みます。

まずは服装から見てみましょう。日本のビジネスシーンでは背広と革靴が一般的ですが、
シンガポールの気候は熱帯なので、涼しく快適な服装で仕事をするのが通常です。
そのため、ビジネスマンでもノータイ、上着なしの軽装で出社する習慣があります。

仕事の上では即断即決、早く仕事をすることを求められます。
例えば、取引先へ行き商談を行う際「いったん預かって検討いたします」と、返事を伸ばすことは嫌われます。

また、宗教の違いによる文化習慣がビジネスシーンでも当てはまるのを、頭に入れておきましょう。
1日5回礼拝するイスラム教徒の社員のために社内でルールが設けられていたり、宗教ごとに食習慣が異なる事情で、
お土産などちょっとしたものにも配慮が必要だったりと、気を使うシーンが意外と多いです。

2-3.病気やケガに備えた貯蓄をしておく

シンガポールには、日本のような国民皆保険制度がありません。
健康保険の代わりとして、総合社会保険貯蓄制度「CPF」と呼ばれる制度があります。
CPFで開設した医療費専用口座から医療費を引き落とす「メディセーブ」という制度を使って医療費に充てる仕組みです。

なお、CPFは国民と永住権保持者は強制加入、永住権を持たない移住者は対象外です。
医療費は100%自己負担なので、医療用の貯蓄を用意しておくと良いでしょう。

参考:
シンガポールは医療先進国!医療体制などの特徴とは | 会員制医療クラブセントラルメディカルクラブ世田谷

3.シンガポールで働きながら移住する方法3選


シンガポールに移住するために「まずはシンガポールで働ける仕事を探そう!」と考える人は多いことでしょう。
この章では、どのような働き方が可能かを解説します。
転職・就職活動を始める前に、まずどのようなワークスタイルがあるのかを頭に入れておくと、役に立つでしょう。

3-1.シンガポールの現地企業に就職する

ビジネスレベルの英語力と、海外でも通用するキャリアがあれば、シンガポールの現地企業に転職するのが一番手っ取り早い方法です。

応募から内定まで1ヶ月以内の募集がほとんどと、スピードを求めるシンガポールの商習慣が求人にも表れることが多いです。
また、書類選考を経たあとの面接は2回が一般的です。

1回目:人事担当者と募集部門の担当者
2回目:募集部門の担当者と募集部門の責任者

直接、担当者や責任者と2回の面接が行われます。

3-2.現地に支店や現地法人がある日本企業に就職する

日本企業から現地へ派遣される海外駐在員と、日本に本社がある現地法人の直接採用は、求められる仕事の内容や責任の範囲などが異なります。

【日本に本社を置く企業の海外駐在員として働く】
多くの場合、募集職種の豊富なキャリアを要求され、責任あるポジションに身を置くことになるので、キャリアに自信があればチャレンジしてみると良いでしょう。

海外駐在員として採用されるため、日本企業と雇用契約を結ぶのが一般的です。
月収に上乗せして海外赴任手当がつくことが多く、借り上げ住宅を用意していたり、
会社負担でハウスキーパーを派遣してくれたりという福利厚生を行う企業もあります。
なお、応募から内定までのスケジュールは、日本の企業と同様です。

【日本に本社を置く企業の現地法人で働く】
現地法人では、仕事を英語で行うのが基本です。
しかし日本語のニーズも高いため、日本語に堪能な人材を募集することが大半です。
募集職種の種類が幅広いので、応募しやすいでしょう。

3-3.シンガポールで起業する

シンガポール政府は、国内産業奨励やシンガポールへの投資支援に積極的です。
世界銀行による「ビジネスがしやすい国ランキング2020年版」では、世界2位にランクインしています。
ビジネスを大きく成長させやすいことが、起業家や投資家を集める理由となっています。
また、最低資本金が1S$からと、起業時の準備金のハードルが低いのも起業家を引きつけるポイント。
そのほか、起業する本人がシンガポール国外に居住していても、現地居住取締役を1人選任すれば法人登記できるようになっていたり、
全ての手続きがWebで完結できたりと、起業しやすい環境が揃っています。

参考:
Ease of doing business ranking

4.厳しくなりつつある?シンガポール移住のための主なビザ2つ

移民を積極的に受け入れてきたシンガポールですが、近年はビザの要件が厳しくなりつつあるようです。
この章では、現地で働くことを考える人に向けて、どんなビザがあるのか具体的にご案内します。

4-1.働きたい人も起業したい人も使える Employment Pass

経営者や管理職、および専門職などに発給されるのが、エンプロイメントパス(通称EP)と呼ばれるビザです。
滞在期間は最長2年間で、以後は更新が必要なタイプです。

自国民の雇用を守るため、EPの発給は年々厳しくなる傾向です。
特に、2022年に行われた発給条件の改訂では、最低年収がそれまでの4500→5,000S$に引き上げられました。

【申請条件】
・移民評価制度COMPASSによって総合的に判断され、審査基準ポイント(40点以上)を満たす申請者にビザを発給。

【主な評価種類と内容】
・年収/月収5,000S$以上であること。
ただし申請者の職種が金融業界の場合は、5,500S$以上。
・学歴/充分な学歴を持っていること(大卒以上が望ましい)
・国籍多様性/申請者を雇用する企業内に、従業員の国籍多様性があるか
・ローカル雇用/申請者を雇用する企業内に、自国民の採用度がどれくらいか

【ボーナスポイント付与条件】
・申請者のスキルが政府の人材不足職リストに該当すること
・申請者を雇用する企業が、イノベーションまたは国際活動で政府と協同していること

参考:
第二回 シンガポールでの起業方法は?会社設立のステップや条件も徹底解説! | SingaLife
シンガポールの就労ビザについて(2023年度最新情報)

4-2.一般職でも取得可能 SPass

EPの職種に該当しない、外国人就労者向けのビザがSPassと呼ばれるビザです。
高度な技術やマネジメントを担当しない、中技能を持つ人が対象です。EPと同様に、滞在期間は最長2年間。
以後、更新が必要です。

【申請条件】
・年収/月収3,000S$以上であること。ただし申請者の職種が金融業界の場合は、3,500S$以上。
・学歴/充分な学歴を持っていること(専門学校、短大以上が望ましい)
・雇用企業人数制限/申請者を雇用する企業の外国人数が、上限以内(サービス業:従業員数の10%、製造業:15%、その他の業種:15%)であること

参考:
シンガポールの就労ビザについて(2023年度最新情報)

5.シンガポールへの日本人移住実例2つ

シンガポールへ実際に移住した人は、現地でどのような活動を行なっているのでしょうか。
この章では、日本人の居住例をご紹介します。

5-1.マイクロソフト現地法人で活躍! 岡田兵吾氏


画像出典:岡田兵吾氏 公式FACEBOOK

マイクロソフトシンガポール法人で、日本・韓国・オーストラリア・ニュージーランドの
4か国のライセンス業務の責任者を務めるのが岡田兵吾氏です。

最初は日本の外資系で働き、多国籍チームの一員としてキャリアを積んだあとに
マイクロソフトシンガポールへ転職。超一流のグローバルビジネスマネージャーとして勤務するかたわら、
「ソーシャルチェンジ」を掲げて、日本とシンガポールへのビジネス貢献を目指しています。
自らの知見を活かして、各種メディアでも活躍中。
岡田氏の豊かな経験談に基づくビジネスアドバイスは、シンガポール移住を目指す起業家の方におすすめです。

参考:
[HRプロ連載記事]第10話:日本人が本来もっている精神が、グローバル化の鍵となる|外国人採用に特化した適性検査CQI(11言語・オンライン受検対応)
リーゼントマネジャー岡田 兵吾 | シンガポール和僑会
海外勤務でどうすればいいか分からない!グローバルのことはリーゼントマネージャー岡田兵吾さんから学べ! | SingaLife | 在シンガポール日本人向けのフリーマガジン。グルメ、習い事、ビジネス、教育など充実の内容満載のウェブサイト

公式ツイッター:https://twitter.com/phoenix_hugo

5-2.Youtuberとしてシンガポール情報を発信! Gjib Ojisan氏


画像出典:Gjib Ojisan氏 公式ホームページ

シンガポール在住のYoutuberで、現地の情報を発信しているのが、Gjib Ojisan氏です。

大手メーカーで会社員として働いたあと、世界を放浪。
旅の動画をYoutubeにアップロードしたところ人気となり、1週間でフォロワーが2万人を超えたそうです。
シンガポールで起業したあと、自身のチャンネルをシンガポール関連の内容に特化。
現地の複数メディアでも話題を呼び、シンガポール在住日本人として一躍有名となりました。

Youtubeのチャンネルだけでなく、現地情報をチェックできるサイトの編集長としても活動している同氏。
ガイドブックだけではわからない、シンガポールのコアな情報が満載のサイトなので、シンガポール移住前の方にオススメ。
文化習慣の予習をかねて、目を通してみてはいかがでしょうか。

参考:
ハローインタビュー シンガポール在住の日本人YouTuber Ghib Ojisan (ジブおじさん) (9月号 2021年)
シンガポールと熱狂

公式URL:https://www.ghib-oji.com/

まとめ:移住前にシンガポールを知ってビジネスに役立てよう

シンガポールに移住してビジネスをする人は、今でも多いもの。
様々な民族が集まり、多種類の文化が共存する街には、自由な気風があふれているのかもしれません。
そこにチャンスを感じられれば、大きなビジネスを生み出せる可能性も芽生えてくることでしょう。

シンガポール移住を成功させるために、異文化への理解や商習慣の認知など、どんな国なのかを知ることが欠かせません。
あらかじめ情報をおさえておけば、現地の人や習慣にとけ込むことも早くなります。
友人や知人が増えれば、人脈もつながりやすくなります。
シンガポールを知るための探究心が、世界有数のビジネス都市で、多くのチャンスを生み出してくれることでしょう。

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