ビジネス基礎知識

2019.06.26

Lock Icon 会員限定

海外出張のチップはどうする?日本ではなじみのないチップのマナー

日本にないチップを渡す風習。海外ではホテルやレストランでチップが渡すことが当たり前の国がたくさんあります。国によりチップの定義はさまざまです。チップはサービス業で働く労働者の正当な権利と考える国も少なくありせん。そのような国では、チップがもらえることが前提であえて給料を低く設定するケースも珍しくないのです。今回は、海外でチップを渡す意味やチップを渡すときのマナーを詳しく説明します。

チップは「満足するサービスを受けたときだけ」は間違い

アメリカやカナダなどの海外では、ホテルやレストランでサービスを受けたときに当たり前のようにチップを渡します。日本ではあまりなじみのない習慣なので「チップは満足のいくサービスを受けたときだけに渡すもの」と思っていませんか?

日本のホテルでは宿泊料金の10%がサービスチャージに該当します。サービスチャージとは、ベッドメイキングなどホテル側が宿泊客に提供するサービスに対する料金のこと。チップの考えもサービスチャージと同じで、チップを受け取るサービスマンがチップを渡すお客さんに対してサービスを保障するものと思ってください。

そのため、アメリカのサービス業ではチップ込みで基本給を低く設定しています。こうした背景から、アメリカのホテルやレストランなどサービス業で働く人たちは、チップがあることを前提で生計を立てているのです。チップは彼らの生活に大きな影響を及ぼすため、一般的にサービス料の15~20%のチップを支払うのが常識とされています。
「チップはよいサービスを受けたときにお礼の気持をあらわすもの。期待通りのサービスが受けられないときのチップは必要ない」という認識は間違いだと海外出張の前に覚えておきましょう。

チップが必要なシーンと金額の目安

チップはすべての国で必要な風習ではありません。アメリカやカナダのようにチップが必要な国もあれば、フランスのようにチップを渡す習慣がない国もあります。
チップが必要なシーンも国によりさまざまです。海外出張の前に、渡航先のチップの風習をガイドブックで調べておきましょう。

一般的にチップが必要な国では、レストランだとレシートにサービス料の記載がない場合は食事代とは別に料金の10~15%のチップを渡さなければなりません。

ホテル滞在中に館内のレストランで食事をした場合は、支払伝票にチップの金額を記入して、チェックアウトの際に宿泊費などと一緒にチップを払うこともできます。

ホテルでポーターに荷物を運んでもらったり、タクシーを呼ぶなど用事を頼んだりしたときもチップは払わなければなりません。ルームメイドに部屋の掃除をしてもらったときもチップが必要です。
そのような場合は、日本円で100円程度の現地通貨をチップとして渡せるように用意しておきましょう。

タクシーに乗ったときもチップは欠かせません。支払うチップの金額は乗車料金の10%程度で、釣り銭くらいと覚えておいてください。
ヨーロッパ圏の国では、公衆トイレが有料となるケースが多いです。係員がいたら現地通貨で50円程度の金額のチップを渡すものと考えておきましょう。
参考:【マイナビ学生の窓口 フレッシャーズ】アメリカは必須? フランスはいらないの? 知っておくと役立つチップが必要・不要な国まとめ
【ホテリスタ】レストラン、コーヒーショップで

チップのいらない業種やケース

チップを渡す習慣のある国だからといってすべてサービスで必要なわけではありません。

アメリカだとファーストフードのような、店員がお客さんの食事の給仕をしない飲食店ではチップは不要です。お客さん自身が食事の給仕と食事の後片付けをやるため、店員の手を煩わせる必要がないからです。
また、チップの風習がない日本人観光客が多いハワイのような場所では、あらかじめ支払伝票にチップが含まれています。そのような場合は、サービス料とは別にチップを支払う必要はありません。
ツアーに参加したときに受けられる荷物の持ち運びなど各種サービスに対してもチップの支払いは不要です。すでにチップ込みのツアー料金を支払っているからです。

チップの計算を自動的にしてくれるアプリ

サービスごとにチップを支払う料金の目安がわかっても、お店やホテルごとに料金はちがいます。チップを支払う習慣のない日本人にとって会計のたびにチップの金額を計算するのはとても面倒な作業ですよね。

そこで、スマホアプリを使えばチップの計算がとても簡単にできます。
代表的なチップ計算アプリとして、TipCalがあります。アメリカ、カナダ、イギリスなど約60カ国の通貨に対応。

使い方は、最初に滞在先の国や地域を選びます。
次に、利用シーンとレートを設定します。たとえば、レストランのチップ計算をする場合は「レストラン」を選び、レートが15%になったのを確認。
その後、レストランの食事代を計算機に入力すれば、自動的にチップの支払い金額が計算されます。

海外でもホテル内や都市部ではWi-Fi接続できるところが増えていますが、どこでもインターネット接続できるとは限りません。その点、TipCalはオフラインでも使えるので便利です

Tip-Cもほとんどの国の通貨に対応した便利なチップ計算アプリです。代金をアプリに入力するだけでチップの金額を簡単に計算できます。割り勘や税抜き計算も行えるので海外滞在中にさまざまなシーンで重宝することでしょう。

参考:【App Store】チップ計算機 TipCal オフラインで完全利用可能
【App Store】Tip-C 〜 スマートな海外旅行のお会計 〜

チップを支払ったときは経費にできる?気になる費用負担

海外出張した際の航空券代やホテル代は経費として精算できる会社がほとんどです。しかし、「レストランなどで払ったチップは経費にできるの?」と疑問に思う人もいますよね。
仕事のために使ったチップと証明できるものは経費として精算できます。具体的には、取引先とレストランで食事をした場合のチップ代は、レシートにチップの金額が正確な証拠として残るため、経費として認められる傾向にあります。
一方、ホテルでポーターに荷物を運んでもらったり、ルームメイドにベッドメイキングしてもらったりしたときのチップ代は現金で渡すものです。現金だといくら支払ったか明確な証拠を残すことができません。そのため、経費にするのは無理があります。同じ理由で、タクシーのチップも経費にすることは難しいでしょう。

チップで支払ったお金を帳簿につけるときに、どの科目で仕訳するかは会社次第。海外渡航費、会議費、交際費など計上方法はさまざまです。一般的な見解として、帳簿の仕訳に100点はないといわれています。そのため、どの科目で仕訳しても、税務調査の際に税務署から指摘を受けるリスクはゼロにならないことを覚えておきましょう。

チップはスマートに渡そう

チップは日本ではあまりなじみのない習慣です。しかし、アメリカやカナダのように、チップは労働者が受け取る正当な権利とみなす国も少なくありません。チップを渡す習慣があっても国ごとにチップが必要なシーンや料金が異なります。渡し忘れや少ない金額で渡すなどのマナー違反がないように、海外出張の前にスマートな渡し方を覚えておきましょう。

Lock Icon

この記事は会員限定です

会員登録すると続きをお読みいただけます。